コヨーテ・アグリー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『コヨーテ・アグリー』とは2000年にアメリカで公開された青春映画である。シンガソングライターになるという夢を叶えるためニューヨークにやってきたヴァイオレットは、生活のため「コヨーテ・アグリー」というクラブで働くこととなる。何もかもが規格外で刺激的なその店で、ヴァイオレットは思いがけない自分を発見する。そしてシンガソングライターという夢を応援してくれる青年オドネルとの出会いと恋と別れ。未知の世界に飛び込んだ田舎娘ヴァイオレットの葛藤と成長、挫折と成功を描くハートフルサクセスストーリーだ。

ヴァイオレットの父親。
道路の料金所で働いている。
娘が危険な街ニューヨークへ行くことに反対していた。
しかし娘が夢を諦めようとした時は叱咤激励し、彼女を応援した。
娘の晴れのステージに駆け付け、何枚も写真を撮りまくる子煩悩な父親だ。

リアン・ライムス(演:リアン・ライムス本人)

アメリカのカントリー歌手。
グラミー最優秀新人賞受賞歴もある実力派シンガーである。
今作では本人役で出演し、ヴァイオレットの書いた曲「Can't Fight the Moonlight 」を歌った。
実は今作でヴァイオレットが歌った曲の吹き替えはすべてリアンが担当している。

『コヨーテ・アグリー』の用語

コヨーテ・アグリー

店名になっている「コヨーテ・アグリー」だが、その由来についてリルが次のように語っている。「一晩楽しんだ後ふと目が覚めたら、あんたの腕枕で醜い(アグリー)男が寝ていて、その腕を嚙み切って逃げたいと思ったことない?」となんとも刺激的な内容である。多分リルの経験談もあるのだろうが、破天荒で刺激的なクラブでありたいという彼女のビジネス観が表れている店名だ。そもそもこの言葉は罠にかかったコヨーテが、自分の足を噛み切ってでも逃げようと悪あがきする様子からつけられたスラングである。このスラングは「酔っ払って全く知らない相手と勢いで関係を持ってしまった後、腕枕してる相手の醜い顔を見てしまった時に感じる後悔と腕を噛み切ってでも逃げ出したいと思う衝動」ということを意味する。

ジャージーの尼さん

店ではバーテンダーそれぞれにあだ名がついている。キャミーはロシア系のキュート系女子であることから「ロシアの小悪魔」。レイチェルは男にだらしなく、喧嘩っ早い性格から「ニューヨークのアバズレ」というあだ名だ。ヴァイオレットの場合は、ニュージャージー出身であることと、リルが修道院から逃げてきた尼さんという話をでっち上げて「ジャージーの尼さん」と名付けた。この役名を演じることで、客が妄想をかき立てられ、より一層店が盛り上がるという演出だ。

『スパイダーマン』

『スパイダーマン』とは言わずとしれた映画化までされた大人気アメコミだ。オドネルとの初デートで、ヴァイオレットは彼の怪しい取引の現場を目撃する。マイアミから空輸したというその袋の中身は、『スパイダーマン』のアメコミ本だった。パニッシャーというキャラクターが登場するその本は、プレミアがついてなんと1000ドルもしたと言う。スマートでイケメンのオドネルがオタク趣味の持ち主だったとは、ヴァイオレットは意外すぎるギャップに触れて彼に初めて好意を持つ。しかしヴァイオレットが業界人御用達店のステージをキャンセルした時に、この本はキャンセル代として店の主催者に受け渡すことになってしまった。自分の大事なお宝を手放してでもヴァイオレットの夢を応援したいというオドネルの愛情が伝わってくるエピソードだ。このコミック本は後にヴァイオレットが買い戻し、オドネルにプレゼントするという粋な計らいをした。

『コヨーテ・アグリー』の名‌言・‌名‌セ‌リ‌フ‌/‌名‌シー‌ン・‌名‌場‌面

リル「腕ちょっと見せて」

初めてクラブを訪れたヴァイオレット(右)を品定めするリル(左)

カフェにいたキャミー達の話からヒントを得て、ヴァイオレットは「コヨーテ・アグリー」を訪ねる。オーナーのリルに雇ってもらえないかと懇願すると、急に彼女は「腕を見せて」と言い出す。麻薬の注射針の跡がないかどうか確認するのだ。「本気?」と聞き返すヴァイオレットに、リルは「冗談に聞こえる?」と答える。採用条件がそれだとは、ニューヨークが危険であることを改めて認識させられるシーンだ。そんな刺激的な街で生き残ってきたリルの信念は絶対に揺るがず、実にかっこよくてクールな彼女の生きざまに思わず身震いしてしまう。そんなリルの生き方が「コヨーテ・アグリー」を大繁盛店にのし上げたのだろう。

ケンカの仲裁

ケンカをしている客に10ドルを差し出すヴァイオレット

「コヨーテ・アグリー」のオーディションの日に、ヴァイオレットは酔っ払い客のケンカに出くわす。ヴァイオレットはサッと10ドル札を取り出し、「女の子に1杯おごれば」と言ってスマートにその場を収めた。その様子を見ていたリルが彼女を気に入り、ヴァイオレットは本採用となる。リルがなぜこんな対応が出来たのかと問うと、ヴァイオレットはニュージャージー時代のことを語った。彼女が勤めていたピザ屋はフットボール中継の日に大興奮状態となってしまうので、そこで酔っ払い客のあしらい方を覚えたようだ。リルはヴァイオレットをただの田舎娘だとタカをくくっていたのだが、この出来事で彼女を見直す。そしてリルの見立て通り、ヴァイオレットは「コヨーテ・アグリー」で今後大活躍することになる。

ヴァイオレット「全部開いちゃうの?これ」

鏡を見ながら洋服を選ぶキャミー(左)とヴァイオレット(右)

「コヨーテ・アグリー」に本採用となったヴァイオレットは、キャミーと共に店で着る洋服をショップで選ぶ。キャミーが最初に手にしたのは、なんと全面にジッパーがついている超ミニスカート。信じられないという様子のヴァイオレットは「全部開いちゃうの?これ」とキャミーに問いかける。ヴァイオレットが「こんなの履く人いる?」と再び問うと、キャミーは「私青いの持ってる」としれっとした顔で答えた。これ位当り前よという風情だ。最初は目を白黒させていたヴァイオレットだったが、次々とセクシーでクールな洋服を試着する2人は実に楽しそう。刺激的な街ニューヨークは、ファッションもまさに過激だ。そんな公開当時のニューヨークのファッションを堪能できるシーンである。

ハリボテで訓練

オドネルが用意したハリボテ

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