独房の生贄 悪霊が棲む213号室(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』(原題:Cell 213)とは、2011年のカナダのホラー映画である。もし、逃げ場のない独房に怨霊が住んでいたら。本作はそんな密室の恐怖を描いた作品である。単なるホラーに終わらず、どこか深みのある描写と演出が印象的で、他のホラー映画とは一線を画す物語が特徴と言える。

シックス(演:ヴィヴ・リーコック)

刑務所の囚人。同性愛の嗜好がある様子で、しきりにグレイにちょっかいをかけてくる。

リン(演:タマラ・ゴルスキー)

刑務所の事務を担っている女性。

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』の用語

サウスリバー州立刑務所

グレイが収容されることになり、オードリーが調査に訪れている刑務所。独房の213号室に入った囚人が不審な死を遂げていることが明らかになっている。
職員と囚人が結託しての汚職も横行していることが示唆されており、お世辞にも環境がいいとは言い難い。

ルカの福音書22章31節―32節

作中、独房の213号室の壁に「シモン、シモン。見なさい。サタンが、あなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って聞き届けられました。」という文字が浮き出てくる。
新約聖書に収められているイエス・キリストの生涯を描いた4つの福音書の一つ「ルカの福音書」の22章31節~32節からの引用で、213という独房の番号と、22章31節という番号の符号が取り沙汰されていた。

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

独房にいる怨霊の根元がグダグダ

独房に怨霊が出てくる。確かにそれは間違いないが、独房に霊が住み着いているのかといえばそうではない。そこに収監された囚人に恨みを持つ霊がそこに現れ、囚人を死へと誘うのだ。
しかしこの部分がひどく曖昧で、前の囚人に恨みを持つ霊が全く関係のない人の前に出てきたりするため、かなりアバウトな印象がある。終始強引な展開が続き、監獄内の序列といった要素も絡んでくるが、それがどうにも取って付けた感が否めない。
また、独房ものであればほぼ密閉された空間で演出すればいいものを、しょっちゅう外に出ているため悪い意味で息苦しさというものが感じられない。これなら、独房でなくても。たとえば単に部屋の一室に霊が住み着いているという設定でも替えが十分利いてしまうだろう。

宗教色がわりに強い

天使と悪魔という言葉が幾度か交わされるシーンがあり、それに付随して宗教の色が濃いセリフ回しが見られる本作。日本だとあまりピンとこないかもしれないが、キリスト教に属している場合はしっくりくるセリフなのかかもしれない。天使と悪魔という言葉も何かのメタファーなのかもしれないが、それが何なのかはわからないままだ。
そしてラストは、微妙に思わせぶりな感じで終わる。しかし、それも視聴者に解釈を委ねるという形ではなく、それがどうしたという感じで終わってしまうため消化不良である。最初から最後まで怖いシーンはほぼ皆無なため、ホラーだと期待して見ると肩透かしになるかもしれない。

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