独房の生贄 悪霊が棲む213号室(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』(原題:Cell 213)とは、2011年のカナダのホラー映画である。もし、逃げ場のない独房に怨霊が住んでいたら。本作はそんな密室の恐怖を描いた作品である。単なるホラーに終わらず、どこか深みのある描写と演出が印象的で、他のホラー映画とは一線を画す物語が特徴と言える。

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』の概要

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』(原題:Cell 213)とは、2011年のカナダのホラー映画である。監督はスティーブン・T・ケイ。ブルース・グリーンウッド、エリック・バルフォー、マイケル・ルーカー主演。

弁護士マイケル・グレイは、殺人犯の弁護のために隔離された刑務所に召喚される。尋問中に殺人犯が自殺を遂げてしまい、グレイもサウスリバー州立刑務所で刑期を宣告される。サディスティックな看守と謎めいた所長に翻弄され、殺人犯と同じ213号房に閉じ込められたグレイは、神と悪魔の攻防に巻き込まれる。
もし、逃げ場のない独房に怨霊が住んでいたら。本作はそんな密室の恐怖を描いた作品である。単なるホラーに終わらず、どこか深みのある描写と演出が印象的で、他のホラー映画とは一線を画す物語が特徴と言える。

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』のあらすじ・ストーリー

捕らえられた敏腕弁護士

敏腕弁護士のマイケル・グレイは、暴行殺人犯の弁護のために隔離された刑務所にいた。殺人犯との接見にあたったグレイだが、彼は何かに怯えている様子で犯行を自供し、しきりに「独房に戻りたくない」と繰り返している。困惑するグレイだが、殺人犯は「次はあなただ」といった旨の言葉を残し、グレイの使っていたペンで首を刺す形で自殺を遂げてしまう。
グレイは全くの無罪である殺人の容疑者として、サウスリバー州立刑務所での懲役刑を宣告されることになった。
サディスティックな看守と謎めいた刑務所長にも翻弄され、疲弊しきったグレイが収監されたのは、自殺した殺人犯と同じ牢獄、暴行殺害された少女の怨念が宿る、恐怖の部屋だった。
213号室は次々と入居者が死ぬ呪われた独房だった。213号室に来た受刑者は、神と悪魔に試される。天国へ行くか、地獄へ行くか。そのための試練を課される部屋だったのだ。
この部屋に来た入居者は、自分の過去の罪にさいなまされ、追い詰められていたのだった。
鳴り物入りの敏腕弁護士として名高かったグレイも、裏では検察側の証人に危害を加えていたりと犯罪じみたことをしており、独房の213号室に選ばれた人間だった。
彼は少女や片目から血を流す男性の幽霊に悩まされ、精神を蝕まれていく。

天国か地獄か

グレイは死を過剰に恐れる「死恐怖症」を患っており、その荒療治として署内にある遺体安置所の業務に回されることになった。
遺体から血液を抜き取り、防腐剤を入れるという仕事はますます彼の精神を蝕んでいくが、共に作業をする一人の囚人男性と交流を持つようになる。
しかしある日、看守の手引きで遺体安置所を訪れた同性愛の嗜好がある囚人男性に犯されそうになったグレイは、彼の血液を抜いて防腐処理を施すという手段で殺害してしまう。
所長はグレイを疑っていたが、あえて同僚の囚人男性に罰を与えるよう、看守長のクレメントに命じる。同僚の囚人はグレイを庇い、文句ひとつ言うことはなかった。この一件で、グレイはますます追い詰められていく。

その頃、州管理局の職員であるオードリーは、サウスリバー刑務所の実態調査に訪れていた。彼女はクレメントや所長の態度に不審なものを感じつつも調査を続け、やがてこの刑務所で受刑者の不審死が相次いでいることを突き止める。その犯人は、サディスティックな看守長ことクレメントだった。
彼女に全てを知られたことを察したクレメントは、グレイを独房から連れ出して殺害しようとする。
遅れて刑務所に突入したオードリーが所長に突き止めた真相を語ると、彼はレイの居場所を教えて彼女に拳銃を渡し、送り出すのであった。
グレイは資料保管室で暴行を受けていた。彼を見つけて助け出そうと奮闘するオードリーだが、クレメントに銃を奪われてしまう。グレイは撃たれそうになったオードリーを庇い、自らが撃たれてしまう。
しかし、”死して善に尽くす”事で、グレイは悪魔に魂を奪われずに済んだ。グレイはオードリーに「ありがとう」と言い残し、命を落としてしまうのであった。
果たしてグレイは天国へ行けたのか。それは誰にもわからない。

『独房の生贄 悪霊が棲む213号室』の登場人物・キャラクター

主人公

マイケル・グレイ(演:エリック・バルフォー)

スーツの男性がグレイ

主人公の敏腕弁護士。殺人犯との謁見中、殺人犯に自殺されてしまい、殺人の容疑で捕まってしまう。

その他のキャラクター

刑務所長(演:ブルース・グリーンウッド)

グレイが収監される刑務所の刑務所長。汚職などを黙認している節がある。

レイ・クレメント(演:マイケル・ルーカー)

チェックのシャツの男性がクレメント

刑務所の看守長。囚人とつるんで悪事を働き、時には行き過ぎた体罰で死者を出したりする悪徳看守。

オードリー・デイヴィス(演:デボラ・ヴァレンテ)

画像左側の女性がオードリー

州矯正局の女性職員。グレイが収容された刑務所の実態調査に訪れた。彼とは個人的な交流がある。

フランク(演:コンラッド・コーツ)

刑務所の看守。時々タバコを吸うために見張りの仕事をサボっている。

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