独房は恐怖に包囲されている。ホラー映画「独房の生贄」の魅力をご紹介します!
もし、逃げ場のない独房に怨霊が住んでいたら。今作はそんな密室の恐怖を描いた作品です。単なるホラーに終わらず、どこか深みのある描写と演出が印象的で他のホラー映画とは一線を画す物語が特徴と言えるでしょう。映画「独房の生贄」をご紹介致します。
あらすじ・ストーリー
敏腕弁護士が、暴行殺人犯と刑務所で接見していた。突然、殺人犯が弁護士のペンで自殺し、弁護士が殺人の容疑者として投獄される。収監されたのは殺人犯と同じ牢獄、暴行殺害された少女の怨念が宿る、恐怖の部屋だった。
出典: www.amazon.co.jp
独房にいる怨霊の根元がグダグダ
独房に怨霊が出てくる。確かにそれは間違いないのですが、独房に霊が住み着いているのかといえばそうではありません。そこに収監された囚人に恨みを持つ霊がそこに現れ、囚人を死へと誘う。しかしこの部分がひどく曖昧で、前の囚人に恨みを持つ霊が全く関係のない人の前に出てきたりするのでかなりアバウトな印象を受けました。終始強引な展開が続き、監獄内の序列といった要素も絡んでくるのですが、それがどうにも取って付けた感が否めず、白けてしまいましたね。
また、独房ものであればほぼ密閉された空間で演出すればいいものを、割としょっちゅう外に出ており悪い意味で息苦しさというものが感じられませんでした。これなら独房じゃなくてもできるよなあという感じで、たとえば単に部屋の一室に霊が住み着いているという設定でも替えが十分利いてしまうような塩梅。
宗教色がわりに強い
天使と悪魔という言葉が幾度か交わされるシーンがあり、それに付随して宗教の色が濃いセリフ回しが見られます。私自身宗教に疎いものでいまいち理解ができなかったのですが、これはお国柄なのでしょう。キリスト教に属している人にはいくらかしっくりくるセリフなのかなあと思ったり。天使と悪魔という言葉も何かのメタファーなのでしょうけど、結局それが何なのかはよくわかりませんでした。うーん、私の理解が及ばなかったという可能性もありますが、それにしても分かり難い。
ラストは微妙に思わせぶりな感じで終わります。しかしそれも視聴者に解釈を委ねるという形ではなく、それがどうしたという感じで終わってしまうので凄い消化不良です。もやっとした感じで終わり、こんな風に終わらせておけばなんとなく深そうな作品になりそうだという魂胆が見えたり見なかったり。まあこれはあくまで主観ですけどね。最初から最後まで怖いシーンはほぼ皆無で、かなり肩透かしな作品でした。
まとめ
色々と無駄な要素が目立つ映画でした。最短距離でラストまで駆け抜ければ良いというものではありませんが、それにしても無駄が多い。燃やすべき脂肪がまだまだ残っている感じです。というか余計な脂肪をつけすぎてにっちもさっちもいかなくなって最後は諦めちゃった、という感覚の方が正しいかもしれません。それくらい物語の焦点が定まらず、結局ホラー演出を見せたいのか、それとも宗教を本格的に絡めたいのかよくわからない作品となってしまいました。
緊迫したシーンも欠伸しながら観ることができますので、まあなんとなく雰囲気を味わうならば良いかなといった感じ。おそらく一晩寝たら内容はほぼ頭の中に残っていないこと請け合いです。ある種の怖いもの見たさであれば、観てみてください。