カレイドスター(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『カレイドスター』とは、佐藤順一による青春サクセスストーリーアニメ作品。舞台はアメリカ、そこには世界的に人気のエンターテイメントショー「カレイドステージ」が存在した。主人公である苗木野そらは、カレイドステージに特例として入団を認められる。そこから、そらが諦めない根性を持ち味に試練を乗り越えるたびに成長していく姿が、感動的に描かれている。エンターテイメントショーを題材にしているだけあって非常に動きの描写が細かく、ステージのシーンも華やかに描かれている。

レイラ「あなたが、本当の敵に見えてきたわ」

空が初の主役を経験した『人魚姫』の次の演目、『アラビアンナイト』では、ユーリではなくそらがレイラのパートナーを務めることになった。二人が共演するシーンは、炎に包まれ、揺れる船の上で綱渡りをしながら戦う演技をするものだった。
レイラがそらの部屋に泊まりこむなどしてまで特訓を重ねるが、完成には程遠い状態でゲネプロの前日を迎えることになる。このままではいけないと考えたレイラは、ゲネプロの日も特訓をさせてもらえるようカロスに願い出る。そして、船を用意し、嵐の海の上で最後の特訓を始める。
これは自分とそらとの本気の勝負だというレイラに、特訓を受けて立つそら。それまで認められずにいたそらのことを認め始めて、レイラはそらが、役の上だけではなく本物の敵に見えてきたと言うのだった。

「フリーダム」とラストステージ

レイラ「私が望まない限り、私のラストステージはやってこない。そう信じているし、少なくともそう信じることが出来なければ、この舞台に立つことはできない」

ユーリの乗っ取りによって、カレイドステージを追われることになるそらたちは、「最後だからこそ力いっぱいやって、最高のステージにしよう」と考える。しかし、それをそらから聞いたカロスは、「そんな気持ちでやるくらいなら、やらないほうがましだ」と言う。
そらは、どういうことかわからず、悩んでしまう。寮に戻ってフールに相談しようとしても、フールの姿が見えなくなってしまっていた。
カレイドステージがなくなる。カロスには「お前にはがっかりだ」と言われてしまう。フールの姿も見えなくなってしまう。そらはすべてをいっぺんに失ってしまったと落ち込む。寮からカレイドステージに戻ると、ちょうど、ユーリがレイラを送ってきたところだった。
「今日で君たちのカレイドステージは終わりだ」と言ったユーリに向かって、レイラは「自分は最後だなんて思っていない」と言い切る。
「フリーダム」は未来を信じる若者たちの物語で、自分が望む未来に必ず手が届くと信じており、どんな困難な状況でも何もせずに悲しみに暮れたりしないところが気に入っているとレイラは語る。
そして、自分が望まない限り、ラストステージはやってこないのだと信じている、そう信じることが出来なければ、「フリーダム」の舞台に立つことはできない、とも言う。
そのことばを聞いたそらは、最後だから頑張るのではなく、今日も、明日も、明後日も、いつも最高のステージを見せるのだと思いなおし、カロスのことばの意味を理解する。そのことによって、再びフールの姿が見えるようになるのであった。

レイラ「私の夢になってよ、そら」

レイラ「あなたならなれるわ。真のカレイドスターに」

幻の大技を演じきったそらとレイラ。しかし、練習中に負ったレイラの怪我は、もう二度とカレイドステージにあがることが出来ないほどのものだった。そらは、そのことを演技が終わった直後のレイラとレイラの父親の会話によって知る。泣き出してしまったそらは、その場から逃げ出す。
舞台裏で泣きじゃくるそらに、追いかけてきたレイラは言う。自分は幻の大技を完成させるためならば、どんな代償でも払う覚悟で挑んだのだと。そらも、自分と一緒に運命に挑戦すると言ったと。そのことばが本当ならば、立ち上がれと。
そのことばで、泣きながらもそらは立ち上がる。そんなそらに、レイラは微笑む。そして、そらならば、自分が夢見た「真のカレイドスター」になれると信じて、夢を託すのだった。

そら「今ここは私のステージ。私を見てくれるお客さんのために、あの人のために、全力を尽くす!」

そら「じゃあお見せします。今ここで、演技をお見せします」

レオンの怪我によって、カレイドステージが一ヶ月の営業自粛となったことに責任を感じて落ち込むそらは、ケンに誘われて街に出る。その途中、幼馴染にプロポーズをするというポリスと遭遇し、協力することになる。まずは、休日で居場所がわからないというその幼馴染を見つけ出すところから始める。偶然にも見つけ出したそらは、銀行に行くという彼女に同行することになるのだが、そこでなんと銀行強盗に巻き込まれてしまう。
そらは、その銀行強盗に「カレイドステージがインチキだ」と言われる。また、「自分を笑わせてみろ」とも言われる。インチキではないことを証明するために、銀行強盗を笑顔にするために、そらはその場で演技をすることになる。
銀行強盗が用意したロープと、ケンが作った即席のブランコでショーをしながら、そら自身もなぜカレイドステージを目指したか思い出す。活き活きと演技するそらに、銀行強盗はついに笑ってしまう。そらのショーで笑顔になったのは実は銀行強盗だけでなく、外で銀行内の様子を監視するモニターから見ていた警察官や、通行人もだった。

レイラが見た天使

レイラ「真のプリマは、共演者をも観客にしてしまうというわ。私は、技を競いながら、いつの間にか観客になっていた。そらの天使の技を見たいという気持ちを、抑えられなかった。とうとう私を乗り越えたのね。うれしいわ、そら」

「白鳥の湖」の主役、オデット役を賭けてオーディションに挑むそらとレイラ。二人とも天使の技を完璧にマスターしており、技術的には互角だった。
二人の演技の迫力に、観客席は緊張感に張り詰め、熱気に満ちる。本気でそらに勝とうとするレイラに対して、そらは途中から演技を変え、役を競っているとは思えないほど穏やかな演技をする。
それによって観客席の空気が変わったことで、レイラは、自分が勝負の前に既にそらの演技を楽しみにしていたことに気がつく。そして、演技中にもかかわらず、振り返ってそらの演技を見る。
そのとき、そらの背後で「白鳥の湖」のセットの工事中のために張られていた幕から差し込んだ光が、まるで天使の翼のようにはためいた。レイラは思わず、天使、と呟く。
レイラは微笑んで、自分の負けを認める。そして、そらがようやく自分を乗り越えたことを純粋に喜ぶのであった。

レイラ「あなたは私の誇りよ」

レイラ「あなたはもう、私の夢じゃないわ。あなたは、私の誇りよ」

無事に「白鳥の湖」の初日を終えたそらは、観客として見ていたレイラと話をする。
これからも自分はレイラの夢だと思っていいのかと問いかけるそらに、レイラはもう自分の夢ではないと否定する。自分の夢だった「真のカレイドスター」のショーを見せてくれたそらは、自分の誇りだ、と微笑むのだった。

『カレイドスター』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

影の薄さのおかげで死なずに済んだケン

佐藤順一監督のインタビューによれば、ケンはタイミングがあったら死ぬはずだったという。しかし、あまり目立たない存在になってしまったため、「死んでもあまり盛り上がらない」ということになり、早い段階でその展開はなくなった。
(『10年目の すごい Blu-ray BOX』付属ブックレットより)

フールが見えるようになったロゼッタは「ステージ馬鹿」

ロゼッタがそらの後継者的な立ち位置になったのは物語が進む中で生まれた設定だという。
一番得意なディアボロを捨てて未経験の空中ブランコに挑むロゼッタは、周囲からすれば「愚か者」である。フールが見えるのはそういった「愚か者」、平たく言えば「ステージ馬鹿」なのだと、佐藤順一監督はインタビューで語った。
(『10年目の すごい Blu-ray BOX』付属ブックレットより)

ユーリを巡る恋のバトルをするはずだったそらとレイラ

最初は、ユーリを巡ってそらとレイラの間で恋のトラブルがある予定だった。しかし、初期の段階から「そらはレイラに憧れていて大好き」という設定があった。また、レイラも早い段階でそらを認めていった。そのため、そらとレイラが相思相愛状態となり、ユーリとの恋愛要素は自然と薄くなっていった。
(『10年目の すごい Blu-ray BOX』付属ブックレットより)

レイラが見たそらの天使の羽は、偶然の産物

第50話で天使の技で役を競い合うそらとレイラのシーンがある。その中に、レイラがそらを振り向くと、工事中の幕がなびいてまるで天使の羽を背負っているかのように見えるシーンがある。このシーンは、数枚前のカットを描いている時点では思いもよらなかったものだったという。そらの演技のシーンを描き始めてから、「なびいたら羽になる」と思い付いたのだそうだ。
(『10年目の すごい Blu-ray BOX』付属ブックレットより)

『カレイドスター』の主題歌・挿入歌

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