カレイドスター(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『カレイドスター』とは、佐藤順一による青春サクセスストーリーアニメ作品。舞台はアメリカ、そこには世界的に人気のエンターテイメントショー「カレイドステージ」が存在した。主人公である苗木野そらは、カレイドステージに特例として入団を認められる。そこから、そらが諦めない根性を持ち味に試練を乗り越えるたびに成長していく姿が、感動的に描かれている。エンターテイメントショーを題材にしているだけあって非常に動きの描写が細かく、ステージのシーンも華やかに描かれている。

フランスで、三年に一度のサーカスフェスティバルが開催されることになる。その大会は、三年前にレイラが「ゴールデンフェニックス」で優勝したものだった。
そらもメイも、レオンもノミネートはされていなかった。しかし、レイラがその出場権を持ってカレイドステージを訪れる。レイラは、そらかメイ、どちらかを推薦するという。ペアでの出場が条件となるため、パートナーとなるレオンに、その選択は委ねられる。
そのテストとしてレオンは『ドラキュラ』の公演中、空中ブランコでわざとメイの手を放し、それに対応できず怪我をしたメイを失格とする。
そらも、レオンの特訓を受ける。レイラと大技にばかり挑戦してきたために体がアンバランスなそらに基礎を叩き込むような内容だった。最終試験を受けるが、メイのことを思い出して失敗してしまう。
落ち込み、迷いから抜け出せないそらとは対照的に諦めきれないメイは、怪我を利用して新しい技を編み出す。その技が認められ、メイがフェスティバルの出場権を手に入れる。
レイラの期待を裏切ってしまったと涙するそらだったが、三年前、レイラのパートナーとして出場していたユーリも出場権を持っていることに気づく。そこで、パリに留学しているユーリを訪ねることにする。
道中、公園でパフォーマンスをしてお金を稼ぐそら。お腹がすいて倒れてしまったところを、ミュートとアリスという男女が助けてくれる。フェスティバルの参加者だという彼らと話をしているところを、レイラからの連絡を受けてそらを探しに来たユーリが見つけ、二人はなんとか再会する。
一緒に参加してくれるよう頼むと、ユーリはそらには無理だと言う。けれども、そらは「優勝するということは他の人を蹴落すということだとわかっている」と言う。そらの決意を聞いて、ユーリは最終的にはパートナーとして出場することを承諾してくれる。ユーリの案で、二人で「天使の技」の練習を始める。そこへ、ミュートとアリスが「練習を手伝う」と言って訪れる。しかし、それは技を盗むためだった。そらは、それに気づかず練習を続ける。
フェスティバル当日、控室のあまりにも刺々しい空気にそらは怯んでしまう。遅れてきたミュートとアリスは、天使のようなコスチュームを着ており、先に天使の技をやらせてもらうと宣言する。しかし、ミュートとアリスは失敗してしまう。
そらは気持ちが折れてしまい、演技中に泣いて続けられなくなってしまう。その結果、レイラには見損なったと言われてしまう。
自分が何を目指せばいいのかわからなくなってしまったそらは、逃げ出して日本に帰国する。

争いのないステージを目指して

帰国したそらは、以前「カレイドステージ」を観に来てくれた友人、まなみや他の友人と久しぶりに会って話をする。皆の進路の話を聞きながら、悩むそら。その途中で何かやって見せてくれとせがまれてパフォーマンスをする。フェスティバルの時はその場の喝采を受けるのが怖いと感じたのに対し、友人たちの拍手は違うように感じる。違うのは観客の気持ちではなく、自分なのだと気づく。
他の友人たちが帰った後、そらはまなみと二人きりで話をする。そらの話を聞いたまなみは、「そらが後悔していないのならいい」「そらが後悔しているところは見たくない」と言う。また、追いかけて日本までやってきたケンが、「争うのがいやならば、そういうステージを作ればいい」と言う。そのことばによって、そらは「演者も観客もみんなが楽しめる争いのないステージ」が自分の夢だということに気づく。そのことによって、そらはステージに戻る決意をする。
再び「カレイドステージ」に戻るそらだったが、当然契約は解除されており、寮の部屋もなくなっている。ステージに上がることはできず、そらは何とかカレイドステージに関わるために、ギャラもなしで雑用をすることにする。
一方、フェスティバルで優勝したメイとレオンは、凱旋公演として『ロミオとジュリエット』を演じることになる。レイラと、今のレイラのパートナーである、オフ・ブロードウェイの演出家のキャシーも助言者として参加する。
練習中、キャシーはそらに「あなたのジュリエットが見たい」とステージに上がって演技することを求める。だが、争いたくないとそらは断る。そのことによって、フェスティバルでつかなかったそらとの勝負の決着をつけたいと思っていたメイを傷つけてしまう。レオンは、「争いのないステージ」を信じるそらを、死んだ妹のソフィーに重ねて見始める。
次の日、レオンは無理矢理そらをステージに上げる。混乱するも、そらは観客が動揺していることに気づいて活き活きと演じ始める。歓声を受けて、ステージから降りようとするそらを追いかけて、レオンはブランコから落ちて怪我をしてしまう。そのせいで、カレイドステージは一ヶ月の営業自粛となってしまう。
そんな中、そらたちは、Mr.ケネスの計らいでモーターショーに出演することになる。そのことをレイラに報告しに行った際、レイラに、そらが目指しているものは真のカレイドスターではなかったのだと言われる。しかし、そらは真のカレイドスターの夢も諦めていないと言う。誰とも争わずに真のカレイドスターを目指すと言い切るそらに、自分の信じる道を行くようにとレイラは微笑んだ。
ショーの当日、予定外に安全ネットを使用したり、ブランコの位置が高くなっていたりと予定していた演技ができなくなってしまう。それでも、そらはその場でアドリブのプランを立てる。そらはステージが大好きでたまらないといった様子で演技をする。そらがいつも見ていたのは、笑顔で溢れた風景だった。それに気づいたメイはこころを動かされる。感化されたメイも観客の笑顔のために演技をし始める。結果、ステージは大盛況に終わった。

レオンの過去と天使の技

モーターショーの後、ロゼッタの持ってきたフランスのサーカスの巡業の仕事で、そらたちはフェスティバル以来のフランスにやってくる。そこで出会ったのは、かつてレオンと、レオンの妹ソフィーに空中ブランコを教えていたアラン・ルーベルだった。彼はフリーのトレーナーで、才能のある子どもをスカウトしてきては、一流のブランコ乗りに育て上げていた。世界でも指折りのトレーナーだったが、レオンたちは彼の最後の生徒だった。
アランは夢である天使の技の完成のためにソフィーを徹底的に鍛えた。ソフィーも、すべての人のこころが一つになるような演技をするという、真のスターを目指してアランの特訓に耐えた。しかし、ソフィーの身を案じたレオンは、ソフィーを連れてアランの元を去ってしまった。その数年後、ソフィーが亡くなったことでアランは自分の夢が潰えたと思い、トレーナーをやめてしまったのだった。
アランの話を聞いて、そらは天使の技の先に真のスターへの道があるという確信を得る。その道を行くことで、真のカレイドスターになるという夢を叶える決意をする。
フランスからの帰国後、復帰するユーリのプロデュースによる新作「白鳥の湖」の主役としてそらもステージに復帰することが決まる。そして、「白鳥の湖」で完璧な天使の技を披露するよう言われる。

天使の技の特訓

「白鳥の湖」の練習が始まる。「天使を育てられるのは悪魔だけ」という言い伝えを信じて、レオンはそらに過酷な特訓を受けさせる。そらも、憎しみや争いがないステージを望みながらも信じきれない。見ている人のこころを一つにする天使がどのようなものかもわからず、悩んでしまう。
そんなとき、憧れだった「不思議の国のアリス」のアリス役、ドナ・ウォーカーと街中で偶然出会う。ドナはカレイドステージの退団後、盲導犬の訓練士をしていた。そらは、ドナから盲導犬の話を聞いているうちに、天使の技は皆の「誰かを笑顔にしたい、しあわせにしたい」という「天使のこころ」を呼び覚ます技なのだと思うようになる。
迷いの消えたそらは、特訓に戻る。足の皮がめくれても、ぼろぼろになっても食らいつくそらに、耐えきれなくなってレオンは途中で特訓を終わらせてしまう。それでもそらは、このままでは皆の天使のこころを呼び覚ますことはできないと諦めない。まずは、足りていなかったバランスを取る訓練からやり直す。
自分に容赦がないそらに、見ていられなくなったレオンは再び特訓をやめるように迫る。しかし、「争いのないステージがどんなものかわからないが、それでも見てみたい」というそらのことばで、ソフィーが真のスターを目指していたのは自分のためだったことに気づく。それによってレオンは思い直し、特訓を再開する。

真のカレイドスター

天使の技は何とか完成した。そこへ、もう一人の主役候補として、カレイドステージを去ったはずのレイラがユーリとともに現れる。オーディションをして、レイラと勝負をすることになる。レイラにはまだフールが見えており、密かに天使の技の特訓をしていたのである。
争いのないステージを目指しているはずなのに、レイラと役を争うことに、そらは体が熱くなるほどの気持ち感じる。その気持ちを抑えられないそらは、レイラの挑戦を受ける。
皆が見守る中、天使の技を披露するそらとレイラ。二人とも完璧にマスターしており、技術的に五分五分だった。
そらに勝ちたいと思うレイラに対して、そらは途中で「もっと自由に演じてみよう」と思い、演技を変える。それによって、張り詰めていた観客席から熱気が消える。それに気づいたレイラが振り返ってみたそらの姿は、まさに翼を羽ばたかせる天使だった。負けを悟ったレイラは自分を乗り越えたことを祝福するのだった。
初日は、夜明け前の早朝公演だというのに観客は満員だった。それぞれが最高の演技をする中、ついに天使の技が披露される。その演出は、会場の壁を開き、日の出とともに演技をするというものだった。
そらの天使の技によって、じっとしていられなくなった演者たちが、観客の飛び入りも含めてステージに上がり始める。そこには確かに、争いのないステージが存在した。
そらは、ついに「真のカレイドスター」となったのだ。

『カレイドスター』の登場人物・キャラクター

主要人物

苗木野そら(なえぎのそら)

CV:広橋涼
16歳の日本人。本作の主人公。小学校に入る前に両親を交通事故で亡くして、苗木野夫妻に引き取られた。大切に育てられ、自身も苗木野夫妻を大切に思っていたが、宿泊費を気にしてオーディション当日の飛行機を選ぶなど、遠慮があった。しかし、妹となる夢の出産を通してこころを通わせ、幻の大技の披露の際には招くことが出来るほど打ち解けた。
ステージの精であるフールが入団前から見えていた。
幼い自分を残して亡くなった両親が、やりたいことがたくさんあり、悔しかったであろうと考えている。そのため、「考えるよりもまずやってみる」ことにしている。無茶ばかりする、諦めない性格をしている。
初めのうちは、精神的に脆く、レイラに依存している部分があった。しかし、数々のステージの経験や試練を乗り越えることで成長した。それによって、最終的には「真のカレイドスター」となる。

レイラ・ハミルトン

CV:大原さやか
17歳のアメリカ人。第一期の8話で誕生日を迎え、18歳となる。
カレイドステージのトップスターで、そらの憧れの人物。初めのうちは特例で入団したそらに厳しく当たるが、段々とそらを認めていき、幻の大技ではパートナーとなる。
幻の大技の練習時に負った怪我が原因でカレイドステージを引退する。その後は、キャシーの誘いでオフ・ブロードウェイの舞台で女優として活動する。そらを自分の舞台に招いた際に、まだフールの姿が見えることに気づき、自分の役割は何かと考える。
そして、自分はそらに負けることなくステージを去ってしまったことに気づく。そのため、天使の技を一人でマスターし、そらの前に立ちはだかる。そらに敗れ、その後の在り方を諭すことで役目を終え、フールの姿は見えなくなる。
OVA『カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜』では、主人公を務めた。

フル・フール

CV:子安武人
幻の大技を演じることができるプレイヤーを探す、ステージの精である。クラウンの格好をした人形のような見た目をしている。やたらと風呂に入ることを勧めたり、風呂を覗こうとしたりと、助平な性格である。その度にそらから制裁を受けている。
第一期ではタロット占いで、第二期では水晶を使った星座占いで、そらを占う。
物語の途中からはレイラにも見えるようになり、最終回ではロゼッタもその姿を見ることが出来るようになる。

ミア・ギエム

CV:西村ちなみ
16歳のオランダ人。そらの友人。物語の序盤はプレイヤーとして活動するが、「フリーダム」で脚本・演出の才能を認められたことで、そちらに転向する。レイラからも、才能があると言われるほどである。キャシーからも気に入られ、ミア自身もキャシーを師と仰ぐようになる。

アンナ・ハート

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