
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』とは、枯野瑛によるファンタジーライトノベル、およびそれを原作とした漫画やアニメなどのメディアミックス作品である。人間がいなくなってしまった終末の世界を舞台にしたファンタジー作品で、地上は「獣」と呼ばれる怪物によって荒廃していた。500年もの間石化しており、この世界で目を覚ました主人公は、「武器保管庫」の管理を命じられる。しかしその武器とは、聖剣で戦う可憐な妖精たちだった。
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)の概要
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』とは、枯野瑛による日本のライトノベル、およびそれを原作とした漫画やアニメなどのメディアミックス作品である。イラストはueが担当。略称は「すかすか」など。2014年11月1日から2020年6月1日にかけて、全8巻(本編5巻+外伝1巻+異伝2巻)が刊行された。
続編となる第2部『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?』も刊行されており、 全11巻が発売された。
また、2016年7月より『月刊コミックアライブ』にてせうかなめ作画による漫画版が連載された。単行本は全4巻。
2017年4月から6月にかけて、テレビアニメがTOKYO MX、AT-Xほかにて放送された。
作品の舞台は、すでに人間という種族が滅びたあとの世界。地上は「獣」と呼ばれる怪物によって荒廃しており、生き残った種族は空中に陸地を造ってそこで暮らしていた。
500年もの間石化していた準勇者である主人公・ヴィレム・クメシュは、「武器保管庫」の管理を命じられる。しかしその武器とは、かつて人間が使っていた聖剣で戦う妖精たちだった。彼女たちを「獣」との戦いの場に送り出す使命を受けたヴィレムは、彼女らが「兵器」として使い捨てられている状況を目にし、「彼女たちが救われるために今の自分にできること」を模索していく。
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)のあらすじ・ストーリー
人間と妖精の500年を経た出会い
500年以上も昔、地上では人間族(エムネトワイト)と、「怪物(モンストラス)」が領土を巡って争っていた。人間の絶大な力を有する聖剣(カリヨン)を使いこなす勇者(ブレイブ)たちは、星神との決戦に臨んだ。その一人、準勇者であるヴィレム・クメシュは、星神の守護につく三柱の地神(ポトー)の一人、黒燭公(イーボンキャンドル)を激闘の末に倒したが、呪いによって石と化してしまった。そしてそれから1年と経たないうちに、突如出現した「〈十七種の獣〉」により、人間族と地上はあっけなく滅ぼされてしまったのだった。
そして、長い年月を経て目覚めたヴィレム。そこは、地上を蹂躙する〈獣〉から逃れた様々な種族が暮らす上空に浮かんだ陸地、浮遊大陸群(レグル・エレ)だった。石化していた彼を発見した地上探索隊の一人、グリック・グレイクラックの勧めで、ヴィレムは護翼軍の兵器管理の仕事をはじめた。そして彼は、68番浮遊島にある軍の施設「妖精倉庫」にて、クトリ・ノタ・セニオリスたち妖精兵と出会うのだった。
戦う者と見守る者
妖精兵たち黄金妖精(レプラカーン)がただの「兵器」として使い捨てられていることを知ったヴィレム。しかしヴィレム自身は呪いにより、戦えば死ぬ体となっていた。ヴィレムは、彼女たちが救われるために今の自分にできることを模索する。そして、クトリはそんなヴィレムに惹かれていく。
そんなある日、15番浮遊島に〈深く潜む六番目の獣〉(テイメレ)が現れる。この戦闘で自爆することが定められていたクトリだったが、ヴィレムの指導や自身の奮闘により、奇跡の生還を果たす。しかし同時に、黄金妖精特有の「前世の侵食による人格崩壊」が始まってしまう。クトリは精神世界において、すべての黄金妖精たちの魂のおおもとであるエルク・ハルクステンと邂逅。エルクに別れを告げたクトリは奇跡的に意識を取り戻したが、その後も彼女の記憶は次第に虫喰いのように欠けていく。
エルクの浸食を受けるクトリ
地上に足止めされてされてしまった調査艇の救出計画に参加したヴィレムは、今回の発掘品のリストの中に聖剣・ラピデムシビルスを見つける。この剣であればクトリを救えるかもしれないと考えたヴィレムは、妖精兵ネフレン・ルク・インサニア、クトリらと地上に向かう。地上の遺跡にたどり着いた面々だったが、そこで眠っていたのは、500年前、正規勇者であったリーリァ・アスプレイの前に斃れ、聖剣・セニオリスにより「死」の呪詛を刻まれたエルクだった。彼女を目にしたことで侵食が急速に進み、昏睡してしまうクトリ。
同時に、地下の巣で眠っていた無数の〈六番目の獣〉が目覚め、飛空艇を襲った。激しい戦いでもはや自爆を免れないと悟ったネフレンは、宙にその身を投げる。ヴィレムも彼女を守るべく艇を飛び出した。
意識の世界でエルクを邂逅したクトリは、人格はギリギリの状態ながらも、クトリとして戻り、戦うことを決意。そしてヴィレムとネフレンに襲いかかろうとする無数の〈獣〉を斬り伏せ、ヴィレムに感謝の気持ちを伝えたのだった。
落とされた幻想世界
目を覚ましたヴィレムとネフレンがいたのは、人間が滅ぼされる直前の日々を再現した幻想世界だった。その中で「最初に〈獣〉が発生した日」が訪れた、二人は幻想を作り上げた〈月に嘆く最初の獣〉(シャントル)の正体と、世界滅亡の真実とを知った。ヴィレムは幻想世界を終わらせだが、行き場を失った〈最初の獣〉の因子は、ヴィレムとネフレンの中に流れ込んだ。
こうして異質の存在となったネフレンは、地上でグリックに発見され、浮遊大陸群に帰還。しかし、自身が浮遊島群の脅威となってしまう可能性を考えたネフレンは、妖精倉庫へは戻らずに大賢者と黒燭公のもとに身を寄せることに決めた。一方、意識の大半を〈獣〉に支配された状態で地上を彷徨っていたヴィレムは、エルピス集商国軍によって回収され、11番浮遊島に運び込まれた。しかし事故で浮遊島に放たれたヴィレムは星神・ニルスに記憶を封印してもらったことで、安定した人格を保てるようになる。エルクもまた「死」の呪詛を緩められており、ヴィレムとエルクは宿で働きながら共に新しい生活を始める。
最後の戦い
クトリは最期の戦闘で、〈獣〉たちの中で唯一浮遊島を脅かす存在であった〈六番目の獣〉を大きく遠ざけるという戦果を遂げた。しかしこれにより、人心に余裕が生まれ、「対〈獣〉用兵器」の私有化を求める声があちこちで高まってしまった。
そんなさなか、護翼軍と対立していたエルピス集商国が、11番浮遊島・コリナディルーチェ市に〈穿ち貫く二番目の獣〉(アウローラ)を解き放った。この蛮行は、軍事力の増強を対外的に正当化することを目的とした自作自演だった。偶然その場に居合わせ、新兵器が幼い黄金妖精の命で稼働していることに気づいたヴィレムは、〈獣〉の力で新兵器を圧倒。そしてヴィレムが考えたのは、「新兵器では敵わない〈獣〉」である自分が、妖精兵たちの手で討伐されることだった。そうして戦闘の末、ヴィレムは彼女たちの成長を嬉しく思いながら死の眠りについた。
時は流れ、妖精倉庫はいつもと同じように賑やかな様相を示していた。
ある日、妖精倉庫を訪れた青年の頭上から、蒼い髪の少女が降ってくる。
どこかで会ったような気がする二人。そこへ桜色の髪をした女性が近づいてくる。桜色の髪の女性は青年の顔を見て驚いたような顔をして、青年のただいまにお帰りなさいと返事をするのだった。
『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)の登場人物・キャラクター
妖精倉庫
クトリ・ノタ・セニオリス (Chtholly Nota Seniorious)

CV:田所あずさ
本作の主人公のひとりで、青空の髪、凪の海のような眼を持つ黄金妖精(レプラカーン)の少女。妖精倉庫の中ではもっとも年長の15歳である。
レベル52。最強の聖剣の一振り、セニオリスの適合者。発生は94番浮遊島。
人間族のヴィレムと知り合い、一目惚れのような形で淡い想いを抱いている。
ヴィレム・クメシュ (Willem Kmetsch)

CV:新井良平
本作の主人公のひとり。この世界で生き残った唯一の人間族(エムネトワイト)で、世界を救うことができなかった準勇者。レベル81。肉体年齢は18歳だが、500年以上石化していたため、実年齢は543歳である。
建前上の役職である二位呪器技官の職位を与えられ、妖精倉庫の管理者を任された。以前は、身寄りのない子供たちを集めた養育院で、師匠に変わり孤児たちの面倒を見ていた。
正規勇者の資格を持たないために準勇者であるが、夢を諦めずにあらゆる武芸・技術を修めていった結果、規格外と評されるほどの強さを得た。
アイセア・マイゼ・ヴァルガリス(Ithea Myse Valgulious)

CV:Machico
稲穂色の髪、朽ち木色の眼を持つ黄金妖精の妖精兵。レベル53。聖剣ヴァルガリスの適合者。
情報通で常に本気のわかりにくい笑顔を浮かべているが、クトリの危機などには素の表情を見せる。のちに前世の記憶に浸食されており、現在のアイセアの人格はすでに彼女の前世である30年前の妖精兵ナサニア・ウィル・パーチェムで上書きされていることが明らかになる。
目次 - Contents
- 『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)の概要
- 『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)のあらすじ・ストーリー
- 人間と妖精の500年を経た出会い
- 戦う者と見守る者
- エルクの浸食を受けるクトリ
- 落とされた幻想世界
- 最後の戦い
- 『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)の登場人物・キャラクター
- 妖精倉庫
- クトリ・ノタ・セニオリス (Chtholly Nota Seniorious)
- ヴィレム・クメシュ (Willem Kmetsch)
- アイセア・マイゼ・ヴァルガリス(Ithea Myse Valgulious)
- ネフレン・ルク・インサニア(Nephren Ruq Insania)
- ラーントルク・イツリ・ヒストリア(Rhantolk Ytri Historia)
- ノフト・ケー・デスペラティオ(Nopht Keh Desperatio)
- ナイグラート・アスタルトス(Nygglatho)
- ティアット・シバ・イグナレオ(Tiat)
- ラキシュ・ニクス・セニオリス(Lakhesh)
- パニバル・ノク・カテナ(Pannibal)
- コロン・リン・プルガトリオ(Collon)
- アルミタ(Almita)
- 護翼軍
- 石灰岩ノ肌(ライムスキン、Limeskin)
- スウォン・カンデル(Souwong Kandel)
- バロニ・マキシ
- ゴドレイ・モグタマン
- その他の登場人物
- グリック・グレイクラック(Grick Graycrack)
- 人間族(エムネトワイト)
- リーリァ・アスプレイ
- 『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実は一度は打ち切りが決まっていた『すかすか』
- 『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』(すかすか)の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング)・ED(エンディング)
- OP(オープニング):田所あずさ「DEAREST DROP」
- ED(エンディング):TRUE「フロム」
- ED(エンディング):TRUE「キネマ」(第6話)
- ED(エンディング):山田タマル「Ever be my love」(第12話)
- 挿入歌
- 山田タマル「Scarborough Fair」(第1話、第12話)
- 山田タマル「Always in my heart」(第1話、第3話、第12話)
- 山田タマル「Call you」(第9話)