『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』とは、2013年のイギリス・アメリカ合作のドラマ映画。2013年の第70回ヴェネツィア国際映画祭にて初上映された。一夜の過ちで妊娠した浮気相手の出産のために車を走らせる男が、運転しながら家族や職場の同僚たちと繰り広げる電話での会話劇のみで構成されている。邦題の「86分」は本作の上映時間で、短時間で目まぐるしく起こる決断と崩壊が、リアリティと緊張感を持って描かれている。
アイヴァンとカトリーナの次男。ドナルと連絡が取れなくなったアイヴァンが利用し、職場と連絡を取ろうとしたものの、子の行いがカトリーナを更に激怒させることになる。
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の用語
86分
映画の中で、アイヴァンが仕事や家族を失うまでの一連の流れが発生した時間。本作の上映時間に由来するものだが、正確には本作の上映時間は85分とする表記も存在する。
緊急帝王切開
胎児の状態によって緊急で行われる開腹手術での出産。作中では「へその緒が首に絡まっている」という緊急事態で適用することになったが、ベッサンがこれを拒否したことで病院からアイヴァンの元に助けを求める電話があった。
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
父親の幻に語り掛けるアイヴァン
作中、すべてを失ったアイヴァンが、自身の亡き父の幻に話しかけるシーンがある。アイヴァンには実は私生児という出自があり、父は決して自分の家庭を顧みてくれることはなかった。アイヴァンは「決してあなたのようにはならない」とその幻に語り掛けながら、ベッサンの待つロンドンに向かってハイウェイを急ぐのだ。
たった一度の過ちとその結果とはいえ、彼が向き合おうと動くのは、こうした出自も大きく関係していることを表している。
『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
「86分」という邦題は上映時間から
本作の邦題である『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』がなぜ86分なのかというと、そのまま上映時間が86分だから。この時間の区切りが、主人公が「この夜」「この車中」で決断と崩壊を経る時間的限定を示しており、映画的な緊迫感を増すことに一役買っている。
本作は「主人公が誠実であろうとして、結果的に全部を失う」という構造を持っており、仕事と家庭、妊娠した浮気相手という三方向からかかる電話と、それぞれに対する責任や義務がぶつかり合い、彼の選択によって今まで築いてきたものが揺らいでいくという流れだ。
さらに「父親に捨てられた過去」というバックボーンまでもがアイヴァンの行動の動機として描かれており、親の過ちを繰り返すまい、という思いが、別の形で破綻を招くというストーリーが、この短い時間に凝縮されてドラマ性を増している。
上映時間は85分としている表記も散見されているが、この短い時間の中に1人の人間の人生を詰め込んだかのような構成は、「人生というのは、1つの過ちと決断で、まさしく一瞬のうちに崩壊するのかもしれない」というリアリティと緊張感をもたらしている。
こうした部分も好評を集め、本作は第16回英国インディペンデント映画賞脚本賞、第40回ロサンゼルス映画批評家協会賞主演男優賞、第27回ヨーロッパ映画賞編集賞などに輝いた。
目次 - Contents
- 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の概要
- 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』のあらすじ・ストーリー
- 浮気相手の元へ向かうアイヴァン
- 全ての喪失と小さな希望
- 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- アイヴァン・ロック(演:トム・ハーディ)
- 電話の相手たち(声のみの出演)
- ベッサン(演:オリヴィア・コールマン)
- カトリーナ(演:ルース・ウィルソン)
- ドナル(演:アンドリュー・スコット)
- ガレス(演:ベン・ダニエルズ)
- エディ(演:トム・ホランド)
- ショーン(演:ビル・ミルナー)
- 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の用語
- 86分
- 緊急帝王切開
- 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 父親の幻に語り掛けるアイヴァン
- 『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「86分」という邦題は上映時間から
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