バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のネタバレ解説・考察まとめ

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』とは、2014年に公開されたアメリカのドラマ映画。監督はメキシコ人映画監督であるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、主演はマイケル・キートンが務める。タイトルの不可思議さと独特なカメラワークが話題となった。本作の主人公は落ちぶれた末、ブロードウェイの大舞台に再起を賭ける一人の俳優。そんな彼の元にある日、かつて自身が演じたスーパーヒーローである「バードマン」の幻影が現れる。

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バードマン

リーガン(手前)の後ろに立っているのがバードマン

リーガンが若い頃に演じていた人気映画のタイトル兼主人公の名前で、超能力を駆使して戦う。作中ではリーガンの側にいる幻影として登場した。

『愛について語るときに我々の語ること』

リーガンがカムバックを賭けて臨んだ舞台の作品名。アメリカの作家であるレイモンド・カーヴァーの同名短編小説をリーガン自身がアレンジし、自身を主人公として起用する形で舞台化が計画された。リーガンが俳優を志すきっかけとなった作品でもある。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

極限なのにどこかコミカルな葛藤シーン

自身の再起をかけた大舞台の準備に慌ただしく追われるさなか、精神的なストレスから、リーガンはかつて自身が演じたバードマンの幻影を見るようになる。バードマンはリーガンに寄り添い、何かと話しかけてくるのだが、彼の言葉は「もうやめてバードマンの新作を作ろう!」などと皮肉ばかりで、それに対して真っ向から悩むリーガンの葛藤もどこかコミカルだ。ただそれは人の正の感情から誘発される笑いではなく、理不尽な展開に翻弄される滑稽な人間をこき下ろすかのような、負の感情から発する笑いだ。あるいはそれは、失笑と呼ぶべきものかもしれないが。
はたから見るとリーガンが楽屋で叫んだり物に八つ当たりしているだけという場面なのだが、主演のマイケル・キートンの圧巻の演技力と撮影技術により、見ているだけで惹きこまれるものがある、名場面として仕上がっている。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

臨場感を生んだ独特のカメラワーク

本作は長回しでの撮影方式が話題になった映画でもある。「長回し」とはその名の通り、カメラがずっと回り続けていて場面転換の際にも役者がドアをくぐったり、道を渡ったりして行う手法のこと。これがまるで一続きの舞台を観ているような感覚になっていて、なかなか面白い視覚効果を生んでいる。カメラが登場人物の背中を追って、部屋から部屋へと移るシーンなどでは、臨場感を生むという意味でも一役買っている。

ラストシーンで示唆されているリーガンの死

本作は再び薬に手を染めたリーガンの娘、サムが目を見開いて空を見上げるシーンで終わりを迎える。このシーンに対する解釈は様々あり、ストーリー上明確にこそされていないものの、実際にはリーガンは舞台の上での自殺未遂の際、弾が逸れずに死んでいることが示唆されているとも解釈できる演出となっている。
精神的に追い詰められていったリーガンは途中からバードマンが現れる空想の世界と実際の現実の境目がわからなくなっていたのだ。サムが微笑むラストシーンは、役者として苦悩してきた父がようやくその重荷から解き放たれた瞬間を見たから、とされている。これは少々ほろ苦いエンディングではあるが、しかし主人公のリーガンにとってこれは幸せでもあるだろう。この解釈であれば、彼は最後に本当の「バードマン」になったと考えることもできるからだ。

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