こっとん鉄丸(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『こっとん鉄丸』とは、1987年から1988年にかけて『週刊少年サンデー』で連載されたあおきてつおによる服飾漫画だである。単行本は全5巻。千葉から原宿へ上京した少年・山田鉄丸が、実家の洋裁店で培った確かな技術と独創的なセンスを武器に、ライバルたちと「ファッション対決」を繰り広げ成長する姿を描く。物語の合間には、実生活で役立つ着こなしやテクニックを紹介するアドバイスコーナーが設けられていたのが特徴である。

村雨 室男 (むらさめ むろお)

原宿学園1年C組の男子生徒。自称「オシャレ大好き少年」だが、ファッションへの知識は浅く、デートで季節外れのアイテムを指摘されるなど失態も多い。可愛い女の子を見かけると節操なく声をかけるため、由貴からは「カルイ男」と揶揄されている、一行のムードメーカー的な存在である。

冴見 あきら (さえみ あきら)

神戸から原宿学園へ転入してきた1年C組の女子生徒。原宿文化に強い憧れを持つ自称ファッショニスタだが、その情熱は自身が所属するアマチュアロックバンドのギタリストとしての活動、および「ロックファッション」にのみ偏っている。同じバンドのボーカルを務める恋人がいる。

菊池 知美 (きくち ともみ)

絶大な人気を誇る女性アイドル。ブランド「ピーターズ」から提供される清純派イメージの衣装に物足りなさを感じていた。新曲の発売を機に、従来の殻を破る斬新な衣装デザインを公募。特定の照明下で内側のデザインが浮かび上がるという、鉄丸考案のセロハン製衣装を採用し、新たなイメージを確立した。

沙尾里 (さおり)

海の家「さざなみ」の看板娘。マリンギャルたちの水着デザインコンテストに鉄丸とタッグを組んで出場し、自らモデルを務めた。大手ブランドが展開する競合店「マリンハウスTOPS」の最新水着を相手に、鉄丸の独創的なアイデアで見事勝利を収めた。

『こっとん鉄丸』の用語

私立原宿学園 (しりつはらじゅくがくえん)

本作に登場する、原宿に位置する私立高校。瀬川由貴、村雨室男、冴見あきららが通学している。
松本カンゾーがデザインを手がけた女子制服は、原宿の街でも高い人気を誇る注目の的だった。一方、男子制服はOBの意向により旧態依然としたデザインが維持されており、現役生徒たちからは極めて不評。
この男子制服のリニューアルデザインを巡り、主人公の山田鉄丸とタケイ直による対決が勃発する。結果として、伝統を重んじるOBと新しさを求める生徒双方の支持を集めた、鉄丸の「リバーシブル案」が採用されることとなった。

『こっとん鉄丸』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ファッション漫画だが現代の感覚ではダサい

当時はこんな格好がお洒落だと思われていた

本作が連載されていたのは、1987年から1988年である。そのため、現代の感覚で読むと、「こんな格好をしているやつがいたら間違いなくモテないと思うのでこういった格好は避けましょう」という見本のような内容になってしまっている。

「じゃじゃーん」と登場しているが、明らかに格好良くないあたりが、この作品の真骨頂と言える。そもそもTシャツをジーパンの中に入れるという発想は、現代ではなかなか高度なファッションテクニックであるため、漫画を鵜呑みにしないよう注意が必要だ。

「Tシャツをジーンズから出してぼてっと見せるより、こうした方が活動的だろ?」という鉄丸のセリフがあるが、まさにこの漫画を象徴しており、当時の読者に多大な影響を与えた。しかし、冷静に考えれば「タックイン(ロールイン)」は、着る者のスタイルや全体のバランスが整った「おしゃれな男」にのみ許された高度な技であり、安易に真似をするのは危険だと言わざるを得ない。
もし服の素材やシルエットが現代的に洗練されていれば非常にスタイリッシュに見える可能性もあるが、あの時代を象徴するような「色の浅いケミカルウォッシュ気味のジーンズ」で実践するのは避けるべきだろう。

このようにデザイナー同士の盗作疑惑が持ち上がる

物語が進むにつれて、デザイナー同士の盗作疑惑まで持ち上がってくる。当時のファッション業界における競争、いわば「ファッション戦争」がいかに熾烈なものであったかが伺える。
そもそも、客観的に見てお世辞にも洗練されているとは言い難いデザインのセーターを着用しているキャラクターに、盗作だの何だのと難癖をつけられるのは心外だろう。しかし、そうした「現代の感覚で見ると独特すぎるセンス」のぶつかり合いこそが、この時代の熱量を象徴しているとも言える。

アプリで読める『こっとん鉄丸』

古い作品が、アプリ版として復刻して再び脚光を浴びることがある。やはり多くの人間に影響を与えた作品というのは、時代を経ても色褪せない魅力があるのだろう。本作のその中の一つだと言える。
ただし、『こっとん鉄丸』作中で提示される服装の多くは、現代の感覚からすれば「ダサい」部類に入ってしまう可能性が高いため、その点は注意が必要だ。当時の熱狂を懐かしみつつも、あくまでエンターテインメントとしてその独特なセンスを楽しむのが正しい鑑賞法なのかもしれない。

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