『ライフ・イズ・ビューティフル』とは1997年公開のイタリアの映画である。監督・脚本・主演を務めるのはロベルト・ベニーニ。ユダヤ人のグイド・オレフィチェは第二次世界大戦中、息子のジョズエ・オレフィチェとともに強制収容所へと送られる。グイドは収容所内で起きることは全てゲームであるとジョズエに信じ込ませ、彼を現実の恐怖から遠ざけようとした。悲劇の中に光を見出そうとする人間の想像力と、幼い息子を守ろうとする父の愛情を通じ、家族の愛の物語として描いた作品である。
『ライフ・イズ・ビューティフル』の概要
『ライフ・イズ・ビューティフル』とは1997年のイタリアの映画である。イタリアでの公開は1997年12月20日。日本では1999年4月17日に公開されている。イタリア語の原題は「La vita è bella」。監督・脚本・主演を務めるのはロベルト・ベニーニ。本作はベニーニがイタリアを代表するコメディアン・俳優としての持ち味を存分に発揮している作品である。『ライフ・イズ・ビューティフル』は第51回カンヌ国際映画祭(1998年)で審査員グランプリを受賞。第71回米国アカデミー賞(1999年)では7部門にノミネートされ、作曲賞、外国語映画賞、主演男優賞を受賞している。他にもトロント国際映画祭の観客賞や、セザール賞の外国映画賞も受賞している。製作費は2,000万ドル程であるが全世界の興行収入は2億3,000万ドルを超え、アメリカ国内だけで5,760万ドルを記録した。映画は第二次世界大戦とホロコーストという悲惨な出来事を悲劇としてだけでなく喜劇的要素を加え、父親の愛と想像力の物語として描いている。そのためユダヤ系団体や一部の批評家からは、歴史的現実を過度に美化しているという批判の声もあがり、賛否を生んだ。前半後半で大きく雰囲気の異なる二部構成となっている。
1930年代後半のイタリア。ユダヤ系イタリア人のグイド・オレフィチェは、陽気でユーモアに溢れた青年であった。彼は小さな書店を開くことを夢見て、叔父のエリゼオ・オレフィチェがいる町を訪れる。グイドはそこで偶然出会った教師のドーラに一目惚れし、数々の偶然や機知を駆使して彼女の心を掴んでいった。やがて2人は駆け落ちするようにして結婚し、息子ジョズエ・オレフィチェが誕生する。こうしてグイドは憧れの書店を営みながら、幸せな家庭を築いていった。しかしファシズムによりユダヤ人迫害の影が次第に色濃くなっていく。そうしてとうとうグイドとジョズエ、エリゼオは強制収容所へと送られることとなった。ユダヤ人ではないドーラも家族との別離を拒み、自ら志願して強制収容所へ向かう列車に乗り込んだ。グイドは収容所での過酷な現実から幼い息子を守るため、とっさに嘘をつく。収容所でのことは全てゲームであり、点を貯めて優勝すれば本物の戦車が貰えるというもの。それからグイドは恐怖と絶望に満ちた収容所の生活を、ジョズエには単なるゲームであるかのように見せ続ける。グイドは過酷な環境も笑いや知恵で乗り越え、ジョズエを守り抜こうとした。
『ライフ・イズ・ビューティフル』のあらすじ・ストーリー
再会を重ね結婚に至ったグイド・オレフィチェとドーラ
1930年代後半、イタリアのトスカーナ州にあるアレッツォにユダヤ系イタリア人の青年グイド・オレフィチェがやってきた。陽気で機知に富んだグイドは友人のフェッルッチョ・パピーニとともに田舎町に向かう。道中、自動車が故障したため立ち寄った農家で、グイドは少女のエレオノーラと出会った。そうして2人が話していた時、突如納屋の上から教師のドーラが落下してくる。咄嗟に抱えて受け止めたグイドは、彼女に一目惚れをした。やがて叔父のエリゼオ・オレフィチェが勤めるホテルに着いたグイドは、そこに住み込みで働くこととなる。それからグイドは書店を開くための申請をしに、早速市役所へ向かった。しかし書店を開くには数年かかり、さらには役人のロドルフォもグイドとまともに取り合う気がない。落胆するグイドが窓辺に寄りかかると鉢が落下し、ちょうど下を歩いていたロドルフォの頭に直撃。詫びにグイドは卵をロドルフォが置いた帽子に乗せたが、彼は卵に気付かずそのまま被ってしまった。激怒したロドルフォに追われ、グイドは自転車で逃走する。その最中に小学生を引率していたドーラと再会するものの、それどころでないグイドはそのまま逃走。その後もグイドとドーラは偶然再会するが、そこには彼女と親しげに話すロドルフォの姿があった。
ホテルでは給仕に徹しているグイド。定宿にしている医師のレッシングとなぞなぞを出し合うことが常になっていた。そこにローマから役人が訪れる。コックが帰った後であったためグイドは戸惑うが、チップ欲しさになぞなぞに夢中なレッシングのテーブルにある手つかずの料理をそのまま役人のテーブルに移した。すると彼がドーラの勤めるペトラルカ小学校の監督官であることが判明し、グイドは彼のフリをして学校に潜入することを決める。こうしてグイドは再びドーラの前に現れ、彼女を驚かせた。そこで今度はドーラがオペラ鑑賞に行くと知りグイドも同じ日に向かうが、再びロドルフォとドーラが一緒にいるところを目撃。2人は婚約関係にあったのだ。それでもグイドは積極的に彼女に接触を図り想いを告げる。その後、グイドが勤めるホテルでドーラたちの婚約披露パーティーが開かれ、彼は非常にショックを受けた。しかし自身を連れ去ってほしいとドーラに言われ、グイドは彼女を馬に乗せて逃走。2人は駆け落ち同然で結婚へと至った。
ジョズエ・オレフィチェの5歳の誕生日に強制収容所に連行された一家
やがてグイドとドーラの間に息子のジョズエ・オレフィチェが生まれる。グイドは念願の小さな書店を開き平穏な生活を送っていた。しかしジョズエの5歳の誕生日に悲劇が起こる。グイドとジョズエ、エリゼオは突然連行され、強制収容所行きの貨物列車に乗せられてしまう。ユダヤ人ではないドーラは同行する必要がなかったが、自ら志願し列車に乗り込んだ。収容所に到着したグイドはドーラを見つけるが同行することは許されず、グイドら父子とエリゼオもそれぞれ別の宿舎に割り振られた。グイドは幼いジョズエが言った何のゲームなの?という問いに対し、咄嗟にこれから始まる収容所での生活はゲームであり、優勝すれば賞品が手に入るとグイドは嘘をつく。始めは信じていなかったジョズエであるが、やがてグイドの言葉を受け入れ、理不尽な扱いもゲームの一部として堪えるようになる。グイドは毎日過酷な労働に耐え、疲れ果ててジョズエのもとに戻ればゲームであることを信じ込ませ、彼が怖い思いをしないよう努めた。一方ドーラも女性収容棟に隔離され、労働を強いられる。その際、彼女は子供と老人がシャワーの時間としてガス室に連れられ殺されている噂を耳にする。その後、ガス室で死亡した老人や子供の服が大量に積まれた場所で、ドーラはジョズエの服を探した。その時、敷地内の放送室からグイドとジョズエの声がドーラの元に届く。放送室に誰もいないことを確認したグイドが機転を効かせ、ドーラに無事であることを伝えたのだ。ジョズエはシャワーが嫌いであり拒否したことで生き延びたのであった。
その後、身体検査を受けようとしたグイドは軍医として派遣されたレッシングと遭遇する。そこで兵士やその家族を招いて食事会を開くため、グイドはレッシングから給仕をするよう指示を受ける。彼はレッシングの助けを得られるかもしれないと期待を寄せた。そしてグイドが食事会で給仕をしていたところ、レッシングから大事な用があると話しかけられる。しかしグイドの期待は外れ、レッシングはなぞなぞの話を始めるのであった。解けないなぞなぞに悩むレッシングを見て、グイドは絶望した。
最後まで息子を守り続けた父親の愛
深夜、響く銃声の音にグイドは目を覚ます。戦況が悪化し、ドイツ軍の敗色が濃厚になっていた。連合軍が侵攻していたため、収容所は撤退の混乱に包まれる。グイドはジョズエに隠れるよう言い、ゲームの最終段階に来たことを伝える。収容所の皆がジョズエを捜しているため、彼には絶対に見つからないよう注意した。それからグイドは女装し、ドーラを捜しに行く。しかしグイドはドイツ兵に見つかり連行されてしまう。物陰からその様子を見ていたジョズエにグイドはこっそりウインクをし、おどけた足取りで歩いてみせる。グイドは最後までジョズエが怖がらないよう演技を続けてみせた。ジョズエに何が起きているのかを悟らせないまま、その後グイドは射殺される。
翌朝、収容所は解放された。物陰から出てきたジョズエの前に本物の戦車が現れ、彼はゲームに優勝し賞品をもらったのだと信じて喜ぶ。連合軍の兵士によって戦車に乗せられ道を進むジョズエは、やがて歩く人の中にドーラを見つけ、2人は再会を果たす。物語は成長したジョズエによるナレーションで、グイドが自身に捧げてくれた犠牲と愛の大きさを静かに振り返り幕を閉じた。
『ライフ・イズ・ビューティフル』の登場人物・キャラクター
オレフィチェ家
グイド・オレフィチェ(演:ロベルト・ベニーニ)
出典: jp.ign.com
吹替:原康義(ソフト版)/山寺宏一(テレビ朝日版)
陽気で機知に富んだユダヤ系イタリア人の男性。書店を開く夢を抱いて、友人フェッルッチョとともにエリゼオのいる田舎町にやってくる。それからはエリゼオの勤めるホテルの給仕として働いた。ドーラに一目惚れし、持ち前のユーモアと機転を駆使して彼女の心を掴み、結婚に至る。ドーラとの間に、息子のジョズエを授かった。幸せな家庭を築いていたが、ユダヤ人であるためナチスにより強制収容所へ送られてしまう。収容所という過酷な環境でも、グイドは幼いジョズエの心を守るため全てをゲームと偽り、点数を貯めれば本物の戦車がもらえると信じ込ませた。最後までジョズエを守り抜き、自身は兵士に見つかり銃殺される。グイドは絶望に飲まれても愛とユーモアを失わない人間の強さを体現していた。
ドーラ(演:ニコレッタ・ブラスキ)
出典: hinemoto1231.com
吹替:日下由美(ソフト版)/田中敦子(テレビ朝日版)
裕福な家の生まれ。婚約者のいる身であったが、グイドの陽気さと機知に富んだアプローチに次第に惹かれ、最終的には駆け落ちするようにしてグイドと結ばれる。2人の間には息子のジョズエが生まれ、幸せな家庭を築く。グイドとジョズエが強制収容所へ連行された際、ドーラはユダヤ人ではなかったが、自ら志願し収容所行きの列車に乗り込んだ。この選択は彼女の深い愛情や強い意志を表している。ドーラは無事に生き延び、最後にジョズエと再会を果たす。強要されるとしゃっくりが出るという特徴をもつ。
ジョズエ・オレフィチェ(演:ジョルジョ・カンタリーニ)
吹替:桜井誉礼(ソフト版)/常盤祐貴(テレビ朝日版)
グイドとドーラの息子。前半では両親のもとで愛情深く育てられ、無邪気で好奇心旺盛な子供として描かれる。シャワーが嫌いであり、風呂に入ることを嫌がった。収容所に送られてからは、真実を理解するよりもグイドの作り上げたゲームを信じ込み、過酷な環境に耐えていく。ジョズエが最後まで見つからずに点数を貯めることができたら、本物の戦車が優勝賞品として貰えるというゲームをしていた。最後はグイドに言われた通り、誰にも見つからないよう身を潜め生き延びる。やがて目の前に戦車が現れゲームに勝ったと信じ込み、ドーラと再会を果たした。後に彼は真実を知り、物語の語り部となる。
エリゼオ・オレフィチェ(演:ジュスティーノ・ドゥラーノ)
出典: hinemoto1231.com
吹替:小林恭治(ソフト版)/佐々木勝彦(テレビ朝日版)
グイドの叔父。ユダヤ人であり、田舎町のホテルで30年にわたり給仕をしている。グイドが町にやってきた際には彼を迎え入れ、仕事の世話をした。馬を大切にしており、ロビン・フッドと名付けている。その馬に反ユダヤ主義者により「ユダヤ人の馬」と落書きをされるだけでなく、エリゼオは他にも自宅を彼らに荒らされている。そこには趣味で集めた骨董品や、ガリバルディ将軍の寝たベッドなどが所狭しと置かれていた。エリゼオもナチスによる迫害の対象となり、グイド、ジョズエとともに強制収容所へ送られる。老人であったためガス室で殺害された。
町の住人
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目次 - Contents
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』の概要
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』のあらすじ・ストーリー
- 再会を重ね結婚に至ったグイド・オレフィチェとドーラ
- ジョズエ・オレフィチェの5歳の誕生日に強制収容所に連行された一家
- 最後まで息子を守り続けた父親の愛
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』の登場人物・キャラクター
- オレフィチェ家
- グイド・オレフィチェ(演:ロベルト・ベニーニ)
- ドーラ(演:ニコレッタ・ブラスキ)
- ジョズエ・オレフィチェ(演:ジョルジョ・カンタリーニ)
- エリゼオ・オレフィチェ(演:ジュスティーノ・ドゥラーノ)
- 町の住人
- レッシング医師(演:ホルスト・ブッフホルツ)
- フェッルッチョ・パピーニ(演:セルジョ・ビーニ・ブストリッチ)
- ロドルフォ(演:アメリゴ・フォンターニ)
- エレナ(演:ラファエラ・レボローニ)
- ドーラの母(演:マリサ・パレデス)
- 校長(演:ジュリアーナ・ロヨディーチェ)
- ロドルフォの友人(演:クラウディオ・アルフォンシ)
- エレオノーラ(演:カルロッタ・マンジョーネ)
- いす張り職人(演:アンドレア・ナルディ)
- ブルーノ(演:アントニオ・プレステル)
- 知事(演:ジル・バローニ)
- 教師(演:アレッサンドラ・グラッシ)
- 秘書(演:ジョヴァンナ・ヴィッラ)
- その他
- グイッチャルディーニ (演:リディア・アルフォンシ)
- バルトロメオ(演:ピエトロ・デ・シルヴァ)
- ヴィットリーノ(演:フランチェスコ・グッツォ )
- 作業着の男(演:マッシモ・ビアンキ)
- ナレーター
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』の用語
- ホロコースト
- ジュゼッペ・ガリバルディ(1807年 - 1882年)
- フランチェスコ・ペトラルカ(1304年 - 1374年)
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- エリゼオ・オレフィチェ「ヒマワリは太陽に頭を垂れるが地に着くほど垂れるのは枯れた時だ。給仕は召し使いではない。もてなしとは神が成したもうた技術なのだ。」
- ドーラ「私の夫と息子があの列車に乗っているんです。私も乗ります。あの列車に乗りたいんです。」
- ナレーター「これが私の物語だ。父が私にしてくれたこと。それこそが贈り物だった。」
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 着想のヒントはロベルト・ベニーニの父親であるルイジ・ベニーニの強制収容所での体験談
- 本作のタイトルの元ネタはロシアの革命家レフ・トロツキーの言葉
- 妻役のニコレッタ・ブラスキは公私共にロベルト・ベニーニのパートナー
- 『ライフ・イズ・ビューティフル』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:ニコラ・ピオヴァーニ「La Vita è Bella」
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