ライフ・イズ・ビューティフル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ライフ・イズ・ビューティフル』とは1997年公開のイタリアの映画である。監督・脚本・主演を務めるのはロベルト・ベニーニ。ユダヤ人のグイド・オレフィチェは第二次世界大戦中、息子のジョズエ・オレフィチェとともに強制収容所へと送られる。グイドは収容所内で起きることは全てゲームであるとジョズエに信じ込ませ、彼を現実の恐怖から遠ざけようとした。悲劇の中に光を見出そうとする人間の想像力と、幼い息子を守ろうとする父の愛情を通じ、家族の愛の物語として描いた作品である。

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出典: eigahitottobi.com

180度まで深くお辞儀をしようとするグイド。

エリゼオのいる町にやってきて、住み込みで働くことになったグイド。早速エリゼオから給仕の指導を受け、グイドは一通り彼の前でやってみせる。しかし180度までお辞儀をしようとするグイドに対し、エリゼオは「ヒマワリは太陽に頭を垂れるが地に着くほど垂れるのは枯れた時だ。給仕は召し使いではない。もてなしとは神が成したもうた技術なのだ。」と言って止めた。グイドはついやりすぎてしまう。彼はいつもの延長でおどけて深すぎるお辞儀をしようとしたが、エリゼオには通用しなかった。彼は30年、給仕をしている人物である。訪れた人々を神の成した技術でもってもてなす。自身の仕事に誇りを持っていることが窺える。

ドーラ「私の夫と息子があの列車に乗っているんです。私も乗ります。あの列車に乗りたいんです。」

ナチス・ドイツにより強制収容所に連行されてしまったグイド、ジョズエ、エリゼオの3人。ドーラは無人になった自宅の惨状を見て、収容所行きの列車の停まっている場所まで向かった。そこで彼女はナチス将校に向かい、「私の夫と息子があの列車に乗っているんです。私も乗ります。あの列車に乗りたいんです。」と言う。ナチス側からすれば、ユダヤ人ではないドーラを連行する理由はない。しかしドーラは1人だけが安全な場所にいて、3人の帰りを待つつもりなど毛頭ない。ドーラに折れるようにして将校は許可を出し、走り始めようとした列車を止めた。

ナレーター「これが私の物語だ。父が私にしてくれたこと。それこそが贈り物だった。」

収容所が解放され、ドーラと再会したジョズエの喜ぶ背後でナレーターが「これが私の物語だ。父が私にしてくれたこと。それこそが贈り物だった。」と語る。まだ真実を何も知らない幼いジョズエと、全てを理解したジョズエが映画上で交わる部分である。自身が射殺される直前まで、ジョズエが怖がらないよう演じ切ったグイド。真実を伝えるばかりが愛ではなく、幼い息子を守るために嘘を突き通すことも1つの深い愛であった。

『ライフ・イズ・ビューティフル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

着想のヒントはロベルト・ベニーニの父親であるルイジ・ベニーニの強制収容所での体験談

物語自体は特定の実話に基づくものではないが、ロベルトの父であるルイジ・ベニーニがベルゲン・ベルゼン強制収容所に2年間収容されていた経験を参考にしている。戦後、幼いロベルトに収容所での体験を話す際、ルイジは残酷な実話をそのまま明かすのではなく、悲劇から距離を置いて伝えたという。ロベルトらが怖がらないようにという配慮からくるものであった。この時のルイジの話し方が映画のベースになっている。脚本を作る過程でベニーニは、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所の生還者であるプリーモ・レーヴィ(ユダヤ系イタリア人の化学者・作家)の回想録を繰り返し読み込み、イタリア人生存者ルビーノ・ロメオ・サルモニの『最後にヒトラーに勝った』も参考にした。史実と異なる描写をあえて残しているのは、本作は実話ではなく寓話であるという一線を引くためである。

本作のタイトルの元ネタはロシアの革命家レフ・トロツキーの言葉

本作のタイトルは、ロシアの革命家レフ・トロツキーの言葉を基にしている。トロツキーはメキシコに亡命中、ヨシフ・スターリンの刺客に暗殺されることを悟りながらも、庭にいる妻の姿を見て「それでも人生は美しい」と書き残したという逸話がある。ベニーニは「どんな状況下でも人生は生きるに値するほど美しい」という信念に感銘を受け、それが映画に反映されている。

妻役のニコレッタ・ブラスキは公私共にロベルト・ベニーニのパートナー

グイドの妻であるドーラを演じたブラスキは実際のベニーニのパートナーである。2人は過去の作品でも夫婦で共演している。本作の他にベニーニの初監督作である『Tu mi turbi(原題)』(1983年)、『ダウン・バイ・ロー』(1986年)、『ジョニーの事情』(1991年)、『ロベルト・ベニーニの Mr.モンスター』(1994年)、『ピノッキオ』(2002年)、『人生は、奇跡の詩』(2005年)がある。

『ライフ・イズ・ビューティフル』の主題歌・挿入歌

主題歌:ニコラ・ピオヴァーニ「La Vita è Bella」

ニコラ・ピオヴァーニは現代クラシック音楽、映画音楽、テレビ音楽、舞台音楽と幅広く活躍しているイタリアの作曲家。ピオヴァーニは第71回アカデミー賞でオリジナル作曲賞(ドラマ部門)を受賞している。かつて音楽は特権階級のためにあり、中でもクラシックは格調の高いものが多く、それらが魅力的な音楽文化を形成した。やがて時代の変化とともに音楽文化も多様化し、クラシックも大衆に近づいたことで、より大きな拡がりを見せている。「La Vita è Bella」は、そのような時代の変化を感じさせる大衆的な親しみやすさのある楽曲である。

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