うらみちお兄さん(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『うらみちお兄さん』とは、ウェブコミック配信サイト「comic POOL」で2017年から連載されている漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。作者は久世岳。MHK教育番組の体操のお兄さんをしている表田裏道は子供たちに笑顔を振りまく優しいお兄さんだが、大人の社会でメンタルをやられ、ネガティブな発言をする裏の顔を持つ。そんな裏道が、どこかズレていて濃いキャラの番組の出演者やスタッフに囲まれながら、日常を送る姿を描く。裏道が時々裏の顔を見せて毒を吐く姿が見どころとなっている。

目次 - Contents

子供「お兄さんこれからもお仕事頑張ってね」

第9話、裏道にお礼を言う子供たち

年末の最後の怒涛の3本撮りで収録を終えた裏道は疲れ切っていたが、ディレクターの出木田から明日の忘年会に出るようにと釘を刺されたうえ、癖が強い新人たちを忘年会に誘ってほしいと頼まれる。裏道は嫌だと断ったものの、出木田は有無を言わさず立ち去ってしまった。その後、裏道が収録現場を出ると廊下で子供2人が彼を待っていた。裏道はいつものように気持ちを切り替え、笑顔で「どうしたの?」と尋ねる。どうしても伝えたいことがあるという子供たちは「今日はとっても楽しかったです」「お兄さんこれからもお仕事頑張ってね」と裏道に告げた。裏道はその言葉に感動し、乾いた喉に水が染み入るように風邪に薬が作用するように、疲れ切ってしおれた心にこそ響くものがあると感じるのだった。純粋で優しい子供たちの言葉が、大人の社会に疲れ切っていた裏道の心を癒す名言だった。

熊谷がタバコを吸いながら裏道に過去のことを語る場面

第10話、タバコを吸う熊谷

熊谷は以前の職場で上司を殴ってクビになった経験があったが、裏道たちに多くを語っていなかった。その後、裏道は子供にハラスメントは何かと尋ねられる。裏道はハラスメントについて説明し、「どんな馬鹿でも本当は殴ったりしたらいけないんだけど、殴らないと分からない馬鹿もいる」などと語る。それを舞台袖で聞いていた熊谷は以前の会社にいた頃のことを思い出す。熊谷も参加した飲み会の帰り道、酔った上司は捨て猫が入った段ボールを何度も蹴って悪ふざけし、周囲の社員たちもそれを笑ってみていた。カッとなった熊谷は上司を殴ってしまったが、捨てられた子猫を自宅で保護したのだった。そして子供に殴らないと分からない馬鹿は殴ってもいいのかと尋ねられた裏道は「人を傷つけることは自分自身も傷つけることだから、それさえ知っていれば、その時が来た時自分でも考えられる」と答えた。収録後、熊谷は一服する裏道の元へやって来て彼からタバコを1本もらう。そして熊谷は、上司に辞表を叩きつけた後のタバコが人生で1番美味かったと語る。そんな彼に裏道は「そっか」とだけ返した。熊谷が上司を殴ったことを深く追及せず、彼の言葉を静かに受け止める裏道の優しさを感じる名場面だった。

裏道たちが変わらない日常に幸せを感じる場面

第13話、何も変わらない日常に幸せを感じる裏道

迷子の子供が現れたり池照が怪我をしたり、詩乃が結婚したいと発狂したりと最終回らしいことが起こりそうになるも、すぐに丸く収まっていく。そんな中、出演者たちが控室でくつろいでいると、詩乃が「結婚したら仕事を辞めなきゃいけなくなるかもしれない」と話す。すると池照が、詩乃が辞めるのは嫌だと拒絶する。普段は人の話を聞かずにキョトンとしている池照の反応に、周囲は「珍しく池照が話を聞いてる」と笑った。裏道は今の感じが1番最終回っぽいと感じ、何も変わらない日常が幸せってことだと語るのだった。最終回らしく大事件が起こりそうで起こらなかったものの、出演者同士で他愛もない話をして笑い合う何も変わらない日常に幸せを感じる裏道たちの姿がほっこりする名場面だった。

『うらみちお兄さん』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

チンワードは視聴者からアイデアをもらって書いている作者

原作を執筆した久世岳は、元々ダークファンタジー系の新連載を書く予定だったが、『うらみちお兄さん』をTwitterに上げたところ大きな反響を呼んだため本作の連載を開始したという。裏道のネガティブな言葉は特に20代前半の社会人から共感されており、久世自身も裏道を変な人だとは思っておらず、誰にでもある心の裏表を両方体現している人というつもりで描いているそうだ。また池照がチンワードに反応してしまうというキャラ設定だが、チンの付くワードを探すのは大変だったという。しかし読者がチンの付くワードを教えてくれるらしく、ありがたく使わせてもらっているようだ。

神谷浩史や宮野真守など豪華すぎる声優陣

本作はアニメ化されるにあたり、豪華な声優陣が話題となった。まず声優界でもトップレベルの人気を誇り、数々の賞も受賞する実力派の神谷浩史が裏道を演じ、歌を歌うシーンがある池照と詩乃を歌手デビューもしている宮野真守と水樹奈々が演じる。さらに杉田智和や中村悠一、堀内賢雄や中井和哉、津田健次郎や花江夏樹などといったベテランから若手まで実力も人気もある声優陣が揃っている。このように声優が豪華なことについて特に理由が明かされているわけではないが、視聴者の間で様々な噂が飛び交っている。まず本作はキングレコードのアニメ部門で制作されたことから、キングレコードがイベントの動員力があるアニメにしたいと考え、豪華な声優を起用したという説。実際に同時期に放映されたキングレコードの他のアニメも、豪華な声優がキャスティングされている。他にも出版社が、さらに『うらみちお兄さん』の人気向上を狙ってかなりの予算を投資した説などもある。

コロナ禍の収録で戸惑っていた神谷浩史

アニメ化決定前、単行本が発売されるたびにPVを制作していたが、その頃から裏道の声を神谷浩史が担当していた。神谷はアニメ化を目指しているとスタッフから言われていたものの、キャストの豪華さからこんな忙しい人たちが集まれるのかと疑っていたという。しかしコロナ禍での収録だったことから、全員そろってアフレコすることはできなかったようだ。それでも掛け合いの会話がある人たちを集めて、相手がいる状態で収録できる状況を作ってもらっていたため、神谷は不自由なく収録できたという。ただ途中コロナの影響でアフレコの間隔が空くようになり、半年くらい作品のアフレコがない期間もあったそうだ。そのため最後の3話は1年以上経ってから収録をしたらしく、戸惑いもあったものの、このキャストなら大丈夫という自信も持っていた。アフレコ現場では絶妙な演技やアドリブが多く、リハーサルで宮野真守の素の笑い声が漏れ出るような楽しく愉快な現場となっていたようだ。

『うらみちお兄さん』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):いけてるお兄さんとうたのお姉さん「ABC体操」

歌のお兄さんの池照と歌のお姉さんの詩乃を演じる宮野真守と水樹奈々が歌う楽曲である。作詞は原作者の久世岳が担当する。

ED(エンディング):宮野真守「Dream on」

池照役の宮野真守が歌う楽曲である。久世からのノスタルジーなムードでオープニングとの対比を出してほしいというリクエストに応えて作られた。

挿入歌:うたのお姉さん「傘持ってないときに限って雨降るのなんで」

umatiga8
umatiga8
@umatiga8

目次 - Contents