休日のわるものさん（漫画・アニメ）のネタバレ解説・考察まとめ

『休日のわるものさん』の概要

『休日のわるものさん』とは、森川侑による日本の日常系コメディ漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ作品である。原作漫画は2018年12月15日より「ガンガンpixiv」にて連載されている。アニメは2024年1月から3月まで全12話放送された。悪の組織の幹部である「わるものさん」が、休日を満喫しようとする様子を描くコメディ作品である。
アニメーション制作は数々の有名作品を制作しているシンエイ動画とSynergySPが手がけ、監督は小高義規、シリーズ構成は後藤みどり、キャラクターデザインは島崎知美が務めた。

原作漫画は作者の森川侑が2017年よりTwitter・pixivに投稿しており、話題になったことで「ガンガンpixiv」にて連載されることになる。2021年にはドラマCD化し、2023年にアニメ化が発表された。

宇宙から飛来して地球の支配を目論む悪の組織と、地球を守るレンジャーたちが戦う世界のお話だが、戦いではなく悪の組織のショーグン（わるものさん）の休日に焦点を当てた作品である。
本作の特徴であるゆるい作風と柔らかい作画がマッチし、優しい雰囲気で心の休息や癒しを得られるのが魅力の作品である。普段は仕事で戦っているレンジャーとの休日での関わりや宇宙人であるわるものさんの地球での過ごし方も見どころとなっている。

『休日のわるものさん』のあらすじ・ストーリー

休日を満喫するわるものさん

地球を支配するために侵略を行う悪の組織の幹部・わるものさん（組織内ではショーグンと呼ばれている）は、休日を何よりも大切にしていた。悪の組織に所属していても癒しは必要だとして、休日は絶対に仕事から離れるという信条を掲げている。仮に敵であるレンジャーと出くわしても、その日が休日であれば決して戦わないのであった。
わるものさんは悪の組織の拠点近くにアパートを借り、人間と同じような生活を送っている。そうして地球の季節や食べ物を楽しんでいるのだった。
休日という1日を満喫するため、二度寝はせずにしっかり起きて朝ごはんを作り、好きなことに取り組んでいる。
地球に住む生物の調査で知ったパンダに夢中になりパンダグッズを集めたり、パンダの動画を見たり、パンダのラテアートを提供する喫茶店に行ったりと、人間よりも行動的に休日を楽しむのだった。

寒い季節は、仲良くなったコンビニ店員・山野からおすすめのアイスや暖かい部屋で食べるアイスの美味しさを教えてもらって実践する。さらに中華まんにハマり毎日仕事終わりの楽しみにしたり、同僚のルーニーによりこたつに魅了されたりと地球の冬を堪能した。

挑戦と出会いの季節

暖かくなり桜が舞う季節になり、いつものようにコンビニに行くと中華まんのケースは撤去されていた。大好きな中華まんが食べられなくなったと嘆くが、山野から新作のアイスを教えてもらい、嬉々として商品を選ぶ。
気温が上がって外に出かけやすくなった頃、パンダのラテアートを見るため喫茶店に挑戦する。そこではコーヒーを入れるサイフォンなど見たことのないもので溢れ驚きを隠せずにいた。さらに出されたパンダのラテアートは可愛さのあまり、飲むと消えてしまうパンダを思い泣きながらラテを飲みきる。
後日わるものさんは、パンダラテアートを体験したことをきっかけに、自分でも作った杏仁豆腐やプリンにパンダのデコレーションをすることに挑戦しようと決めた。その試作をするためにスーパーで大量に牛乳を買い、その重さに苦しむ。
地球にきてからわるものさんは主に地球の食べ物に一喜一憂しているのだった。

ニュースで見た日本の文化である花見をしにきた時には、桜はほとんど散ってしまっていたが、桜の木の精の少女に出会う。そこで少女はわるものさんが花見の時に食べようと用意してきたお弁当を食べさせてくれたお礼に、舞い散る桜を見せてくれた。そうしてわるものさんは、桜は満開の時だけでなく散る時も美しいということを知るのである。

地球で有意義な休日を満喫する中でレンジャーとも関わりも持つ。シノノメピンクの大切なキーチャームを交番に届けて感謝されたり、ショッピングセンターで迷子になっていたレイメイグリーンの双子を助けたりと、敵対しているとは思えないほど平和な関係を築いていた。

2度目の冬

季節が巡って再び冬になるとまたしてもこたつの魔の手にかかる。組織本部でルーニーとこたつに入りみかんアートで競い合い、地球人が毎年楽しんでいるクリスマスという行事を体験し、地球での2度目の冬を楽しむのだった。
いつも通っているコンビニでは、野良の猫を見かけるようになり仲良くなろうと奮闘するもなかなか上手くいかないでいた。ある日、その野良猫に懐かれている様子のヨイヤミブラックに出会う。自分とは全く違う態度にショックを受けるが、ブラックにもらったちゅーるで猫と距離を縮めることができた。
わるものさんはブラックがレンジャーであることに気づいていなかったが、ブラックはわるものさんがよくコンビニに出没するという情報から様子を見に行っていたのである。しかし休日のわるものさんには全く戦意はなく、雰囲気も柔らかいため少し不思議に思うのだった。

春には桜の木の精と再会し、その精と仲良くなりたい男の子とも出会って仲介することになったり、壊れかけのロボット猫を助けたりと出会いが増える季節となった。

『休日のわるものさん』の登場人物・キャラクター

悪の組織

わるものさん（ショーグン）

CV：浅沼晋太郎／津田健次郎（ドラマCD）
地球の支配を目論む悪の組織の幹部。本名は不明であり、便宜上「わるものさん」という名前がついている。悪の組織内では敬意を込め「ショーグン」と呼ばれ、レンジャーのアカツキレッドには「悪の組織の親切な方」と呼ばれている。
体が大きく強面で荒々しい部分もあるが、悪者とは思えないほど穏やかで優しい性格をしている。敵であるレンジャーや老人、子どもを助けているシーンがよく描かれていた。
仕事時には髪の毛をオールバックにしているが、休日は髪を下ろして目が見えない状態になっている。

とにかく休日を大切にしており、絶対に仕事から離れると決めている。そのため休日に同僚を見かけても無視し、レンジャーに出くわしても戦闘は絶対に回避する。
可愛いものに弱く特にパンダが大好きで、休日はよくパンダを見に動物園に足を運んでいる。
パンダの尻尾の色は何色なのかを知るために何時間もパンダコーナーの前に滞在したり、パンダ関連の商品があれば買ったりと、パンダへの愛情は深い。
そのため彼の行動の原因には大抵パンダに関連していることが多い。

ルーニー

CV：斉藤壮馬／寺島拓篤（ドラマCD）
わるものさんの同僚であり幼馴染。悪の組織の幹部の1人でもある。
非戦闘員であり研究者として情報収集やデータ解析などを行う。
人当たりの良い性格だが、自由人なところもありわるものさんを振り回すことも多い。

トリガー

CV：中村悠一
悪の組織の幹部の1人。自信家で感情の起伏が激しく荒々しい性格をしている。
わるものさんをライバル視している。

レンジャー

アカツキレッド

CV：石橋陽彩／天崎滉平（ドラマCD）
悪の組織と戦う地球防衛組織「レンジャー」の一員でレッド担当。レンジャーの中では一番の後輩である。
まっすぐで純粋な性格だが、使命感や正義感が強く空回ってしまうところがある。またどこか抜けていて極度の方向音痴でもあるため、他のレンジャーたちによくお世話されている。
わるものさんと遭遇する時も迷子になっていることが多く、よく案内してもらっている。優しくしてくれることから、敵ではあるがわるものさんのことを「悪の組織の親切な方」と読んでいる。