境界の彼方(ラノベ・アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『境界の彼方』とは、鳥居なごむによる日本のライトノベル、及びそれを原作としたテレビアニメ作品である。アニメは2013年10月から12月まで全12話で放送され、アニメの続編として2015年に劇場版が2作公開された。半妖夢で不死身の身体を持つ神原秋人と妖夢を討伐することを生業とする異界士・栗山未来が出会うことで始まる青春物語である。高校生として穏やかな日常もありつつ、異能力を使ったバトルシーンが見どころとなっている。
『境界の彼方』の概要
『境界の彼方』とは、鳥居なごむによる日本のライトノベル、及びそれを原作としたテレビアニメ作品である。異能力を持つ「異界士」と人間を襲う存在「妖夢」が戦うダークファンタジーとなっている。アニメーション制作は京都アニメーションで、監督は石立太一、シリーズ構成は花田十輝、キャラクターデザインは門脇未来が手掛ける。2013年10月から12月まで全12話、2015年3月28日に第0話がBS11のみで放送された。またアニメの内容を振り返る過去篇と、その続編が描かれる未来篇『劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE-』がそれぞれ2015年3月14日と4月25日に劇場公開された。
原作小説は「第2回京都アニメーション大賞」の小説部門にて奨励賞を受賞している。どう受賞作品の中で『中二病でも恋がしたい!』や『ハイ☆スピード!』に続くアニメ化作品となった。
半妖夢で不死身の身体を持つ高校生・神原秋人(かんばらあきひと)は、ある日「呪われた血の一族」と言われる異界士の少女・栗山未来(くりやまみらい)と出会う。初めは妖夢として未来に命を狙われていたが、お互いを知るうちに協力して他の妖夢を討伐するようになる。そして2人は異界士を取りまとめている名瀬家が関与する事件へと巻き込まれていくのだった。
高校生同士の微笑ましくも笑えるやりとりや、祭りなどのイベントに参加するなど高校生らしく暮らしつつも、妖夢との異能力を使ったアクションバトルもあるのが見どころの作品である。
『境界の彼方』のあらすじ・ストーリー
眼鏡美少女との出会い
世界を徘徊する異形のもの「妖夢」の父と、妖夢討伐を生業とする異界士の母を持つ「半妖夢」の少年・神原秋人(かんばらあきひと)は、ある日異界士の少女・栗山未来(くりやまみらい)出会う。それ以来、秋人は未来から命を狙われることになる。しかし不死身の特性を持つ秋人はどんな致命傷を与えられても死ぬことはないのだった。何度も体を刺され殺されかけても秋人は未来と普通に接し、妖夢を殺したことがないという未来が他の妖夢の討伐を手助けもする。未来は「呪われた血」の一族で異界士の中でも忌み嫌われている存在であった。また過去には妖夢に憑かれた親友を手にかけたことがあり、自分の存在意義を見失っていた。そんな自分に普通の人間と同じように接して優しくしてくれる秋人と関わる中で、次第に未来は秋人を殺そうとはしなくなった。
秋人の正体
命を狙われることがなくなり、秋人は学校でも異界士としても孤立して生きようとする未来を気にかけていた。未来は、呪われた血を持ち人殺しでもある自分は人と関わるべきではないと考えていたのである。しかし秋人が半妖夢でありながら、異界士たちと普通に暮らしていることに羨ましさも持っていた。秋人たちが住む長月市を納める大地主で、一帯の異界士も取りまとめる名瀬家の次女・名瀬美月(なせみつき)や妖夢でありながら人間と共存している新堂愛(しんどうあい)も秋人と仲の良さそうに接しているのが気になっていたのである。それでも自分は人とは違うのだという考えは変えられなかった。
そんな中、強大な力を持つ妖夢「虚ろな影」が街に迫っていた。虚ろな影によって過去に親友を失っている未来は、1人で討伐に向かう。どうしても心配だった秋人も未来の後を追い、一緒に戦うことになった。なんとか倒すことはできたが、秋人は深刻な負傷を受けたことで妖夢の部分が表に出てきてしまう。名瀬家の長男で秋人の友人である名瀬博臣(なせひろおみ)や愛と同様に妖夢であり人間と共に生きている新堂彩華(しんどうあやか)など、秋人の素性や過去の暴走を知る者が止めに入るが、強力な力を前に倒れてしまう。
秋人は過去にも妖夢化したことがあり、博臣に大きな傷を負わせてしまっていた。秋人の凶暴な姿を見て、未来は秋人も自分と同様、異質な存在であることに苦しんでいたことに気づく。そして泣いて謝りながら必死に秋人を止めた。
虚ろな影の事件は落ち着き、未来は半ば強引に文芸部に入れられる。これまで自分は人と関わるべきではないと思っていた未来は、過去に苦しみながらも人と共に生きる秋人を見て少し考えを改めていた。そうして美月や愛ともよく話すようになり、一緒に妖夢を討伐したりバイトをしたりご飯を食べたりと仲を深めていく。
境界の彼方
期末試験の時期、秋人たちの住む街に「凪」がやってくる。凪は妖夢の生命力を極端に弱めるのだが、秋人も凪の影響を受け寝込んでしまう。さらになぜか妖夢だけでなく人間の部分も極端に弱まっており、ついに妖夢の部分が表層に現れて姿を消した。秋人が危険な存在だと判断した名瀬家の当主・名瀬泉(なせいずみ)は未来に対して、秋人を見つけ次第殺すように言い渡す。
実は秋人が内に抱えている妖夢の正体は「境界の彼方」であった。境界の彼方は、人の怨嗟や歪みが渦巻き一つの形になったもので、世界を滅ぼす力を持っている。そしてそれを倒せるのは呪われた血の一族のみで、未来は最初から境界の彼方である秋人を殺すため、泉に呼び寄せられていたのだった。しかし秋人と関わっていくうちにどうしても殺したくないと思うようになっていたのである。
未来は秋人を発見するが殺すことはできず、泉に聞いていた方法で秋人の中から境界の彼方を追い出した。しかしその代償に未来は世界から消えてしまう。
3ヶ月後秋人は目を覚まし、博臣から未来が消えたことを聞かされ、未来の犠牲の上に生き延びたことを悔いていた。
しかし未来は、消滅を免れていた境界の彼方といまだに戦っていたのである。それを知った秋人は未来の元へ向かい2人は再会した。激しい戦いの末、秋人は境界の彼方も自分の一部だと受け入れ、身体に戻し戦いは終わりを迎えたのである。
決着(『劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇』)
境界の彼方が消えることで世界から消滅してしまうも再び戻ってくることができた未来だが、実は戻ってくる代償に未来は全ての記憶を失ってしまっていた。そして未来の記憶をめぐり騒動が起きる。
名瀬家の当主であった泉が、異界士教会の左門館である藤間弥勒(ふじまみろく)の能力によって操られ敵として秋人たちの前に現れたのである。秋人の中にいる境界の彼方を狙う弥勒は、未来のことも利用しようとしていた。そして失っていた過去の記憶を話すことで気持ちを揺るがされ、意識を奪われてしまう。
しかし弥勒は未来を操ることができず、逆に返り討ちにあい命を落とした。未来は暴走しており手がつけられなかったが、秋人が未来の潜在意識の中に入り込んで止めようとする。未来は、呪われた血として迫害されてきたことや、親友を手にかけ秋人を殺そうとしたことを思い出し、再び存在意義を見失っていた。しかし秋人が過去など関係なく自分には未来が必要なのだと訴え、その気持ちを知って未来は正気を取り戻すことができた。
一件落着かと思った時、秋人の母・神原弥生(かんばらやよい)が現れる。そして2人は弥生が人間の世界と妖夢の世界の門番であること、境界の彼方は大きな愛情によって倒せることを知った。
2人の間に生まれた愛によって境界の彼方を倒すことができたのである。
『境界の彼方』の登場人物・キャラクター
主要人物
神原秋人(かんばらあきひと)

CV:KENN、田中メイ(小学生時代)
妖夢の父と異界士の母の間に生まれた「半妖夢」の少年。物凄い再生力を持っており、ほぼ不死身である。しかしダメージが限度を超えると内に潜む妖夢が表に出てきてしまい暴走してしまう。過去に暴走したことがあり、博臣に傷を負わせてしまった。
妖夢の正体は「境界の彼方」という世界を滅ぼすほどの力を持つ存在である。その危険性から泉に命を狙われた。
優しくおおらかな性格で、周りにボケしかいないためツッコミになることが多い。
自他共に認める眼鏡フェチで、日々眼鏡について語っている。未来と初めて会った際、自殺しようとしていると勘違いして止めるために、眼鏡が似合う人に死んでほしくないと呼びかけた。さらに未来の写真をコレクションしているなど、眼鏡に関しては変態的な一面を見せる。
栗山未来(くりやまみらい)

CV:種田梨沙
眼鏡が似合う異界士の少女。自身の血を操り武器とする異能力を持つ。
この能力を持つ者は「呪われた一族」と言われ、異界士の中でも異質な存在として忌み嫌われてきた。自分の血を使うため、戦闘で使いすぎると貧血を起こす。
性格はおとなしめでおっとりしているが、かなり抜けたところがありドジである。しかし戦闘においては冷静でキレのある動きを見せる。
「不愉快です」が口癖で、盆栽とブログ更新を趣味としている。ブログには感情のままに書き込むため頻繁に炎上している。
過去に妖夢に憑依された親友を手にかけたことをずっと後悔している。人を殺してしまったことと人とは違う異質な存在であることで、人とか関わらずに1人で生きようとしていた。しかし秋人と出会い関わる内に、自分と同じように事情を抱えながらも周囲と関わり生きる秋人の姿を見て、考えが変わっていった。
初めは親友の仇である「虚ろな影」という妖夢を討伐するために秋人たちの住む街にやってきたと言っていたが、本当は秋人の中にいる「境界の彼方」を倒すために泉に呼び寄せられていた。呪われた血を持つ未来のみが境界の彼方を倒すことができたのである。しかし秋人と過ごす時間が増えていくごとに殺したくないという気持ちが強くなり、自分を犠牲にして秋人を倒すことを決める。最終的には秋人を救い、自分も助かることができた。
名瀬美月(なせみつき)

CV:茅原実里
秋人たちの住む街の大地主であり、一帯の異界士を取りまとめている名瀬家の次女。秋人とは同級生の異界士で文芸部では部長を務めている。
異界士としての能力は姉や兄と比べて低く、裏方に回ることが多い。そのことを自身でも気にしており、兄の警告を無視して単独で行動することもある。
ヤキイモという名前の小型の妖夢を飼っており、戦闘ではヤキイモに攻撃を任せている。
美人で尊大な態度を取るため冷たい性格に見えるが、秋人や未来のことを心配して気に掛ける優しさも持っている。兄の博臣に対しては、重度のシスコンなためかなり気持ち悪がっているが、困難な状況に陥った時には助けを求めるなど、頼りにしている存在である。
名瀬博臣(なせひろおみ)

タグ - Tags
目次 - Contents
- 『境界の彼方』の概要
- 『境界の彼方』のあらすじ・ストーリー
- 眼鏡美少女との出会い
- 秋人の正体
- 境界の彼方
- 決着(『劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇』)
- 『境界の彼方』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 神原秋人(かんばらあきひと)
- 栗山未来(くりやまみらい)
- 名瀬美月(なせみつき)
- 名瀬博臣(なせひろおみ)
- 峰岸舞耶(みねぎしまいや)
- 異界士関係者
- 名瀬泉(なせいずみ)
- 新堂彩華(しんどうあやか)
- 新堂愛(しんどうあい)
- 二ノ宮雫(にのみやしずく)
- 藤間弥勒(ふじまみろく)
- 伊波唯(いなみゆい)
- 真城優斗(ましろゆうと)
- 楠木右京(くすのきうきょう)
- 永水桔梗(えいすいききょう)
- 一ノ宮庵(いちのみやいおり)
- 秋人の家族
- 秋人の父
- 神原弥生(かんばらやよい)
- その他
- 伊波桜(いなみさくら)
- ヤキイモ
- 篠崎夏菜(しのざきかな)
- モグタン
- 『境界の彼方』の用語
- 妖夢(ようむ)
- 虚ろな影(うつろなかげ)
- 妖夢石(ようむせき)
- 半妖(はんよう)
- 異界士(いかいし)
- 異界士協会(いかいしきょうかい)
- 名瀬家(なせけ)
- 檻(おり)
- その他
- 長月市花野寺町(ながつきしはなのでらちょう)
- 『境界の彼方』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 神原秋人「とにかくあなたのようにメガネが似合う人が死んではいけない!要するにメガネが大好きです!」
- 神原秋人「倒したって何も変わらない。その体に流れる血もおかれた場所も何一つ変わりはしない。でも栗山さんはここに来たんだ。だったら貫け!虚ろな影なんかに屈するな!」
- 栗山未来「きっと先輩怒ると思います。私がこんなことしたって聞いたら、何も分かってないって、あの時みたいに。ざまあみろです」
- 『境界の彼方』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 物語の聖地は奈良県
- 第0話は秋人・博臣・美月の出会いの物語
- 『境界の彼方』は石立の監督デビュー作
- 『境界の彼方』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):茅原実里「境界の彼方」
- ED(エンディング): STEREO DIVE FOUNDAITION「 Daisy」
- イメージソング:茅原実里「NO LINE」
- 挿入歌:妖夢討伐隊「約束の絆」(第6話)
- 劇場版(未来篇)主題歌:茅原実里「会いたかった空」