復讐の教科書(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『復讐の教科書』とは、2020年から原作・廣瀬俊、作画・河野慶により講談社「マガジンポケット」で連載された漫画。主人公・黒瀬良太郎は担任教師である白鳥聖のような教師を志していた。しかし、複数人からいじめを受け、校舎の屋上から突き落とされてしまう。偶然落下地点にいた白鳥と激突し、お互いに重傷を負うが、目が覚めると黒瀬は白鳥と人格が入れ替わっていた。黒瀬が白鳥の立場や人望を利用し、自分をいじめていた人間たちに復讐を行っていくサスペンス作品である。
『復讐の教科書』の概要
『復讐の教科書』とは、原作・廣瀬俊、作画・河野慶により講談社「マガジンポケット」で2020年3月23日から2022年6月13日まで連載された漫画。単行本は全13巻まで発行されている。主人公・黒瀬良太郎(くろせりょうたろう)は担任教師である白鳥聖(しらとりこうき)のような教師を志していた。しかし、複数人からいじめを受け、校舎の屋上から突き落とされてしまう。偶然落下地点にいた白鳥と激突し、お互いに重傷を負うが、目が覚めると黒瀬は白鳥と人格が入れ替わっていて、白鳥は意識を失った状態にあった。黒瀬が入れ替わった白鳥の立場や人望を利用し、自分をいじめていた人間たちに復讐を行っていくサスペンス作品である。作中ではさまざまな復讐方法が登場し、いじめていた人間の反省度合いなどによって復讐の重さが変わるのが特徴的。復讐鬼となった黒瀬ではあるが、元々の心優しい性格がうかがえる。黒瀬を中心とした登場人物のそれぞれ異なる正しさ、強さに焦点があてられた作品。
『復讐の教科書』のあらすじ・ストーリー
復讐編
横濱学園高校の2年B組に所属する黒瀬良太郎(くろせりょうたろう)は、不道エイジ(ふどうエイジ)・遊井学(ゆいまなぶ)・切木竜也(きりこたつや)・森野くるみ(もりのくるみ)・仙水理人(せんすいりひと)の5人に習慣的にいじめられていた。徐々にいじめはエスカレートし、最終的に不道らは黒瀬を屋上に呼び出し、いじめを隠ぺいするために自殺に見せかけ屋上から黒瀬を突き落とした。黒瀬が落ちた先にいたのは、彼らの担任教師である白鳥聖(しらとりこうき)であり、落下してきた黒瀬と白鳥はお互いの頭を強く打ち、病院に搬送された。しかし、黒瀬が目を覚ますと、白鳥の中に黒瀬の意識があり、人格が入れ替わっているのだった。黒瀬の体はまだ意識を取り戻していなかったが、黒瀬(白鳥の体)は1週間後には退院をし、白鳥として職務に復帰した。そこで、黒瀬は自身をいじめた5人に対する復讐を始めるのであった。遊井は夢を、切木は絆、くるみは承認欲求、仙水は金、不道は自尊心に執着があることを見抜き、それらを上手く使うことで遊井・切子・仙水を死亡させるまで追い詰め、くるみはスパイとして上手く利用していた。
白鳥対立編
復讐を遂げていく中で、白鳥が5人を利用し、黒瀬をいじめていた諸悪の根源であることがわかった。白鳥は強い心を持つ者を集団でいじめるべきという理念を持っている人間だった。そして、黒瀬のクラスメイトであり、黒瀬に惹かれていた柊カレン(ひいらぎかれん)も強い心をもつ存在であった。白鳥のターゲットが不屈の精神を持つ黒瀬と、真面目な正義感を持つ柊だったのである。
白鳥が黒瀬の体で意識を取り戻すとまず、柊を狙い始めた。黒瀬は柊を守ろうと意識するが、白鳥は二人を追い詰めようと考える。白鳥は黒瀬の体であることを利用し、柊にアプローチを続け、交際することに成功する。そうして、白鳥は黒瀬の心を自らの手によって壊すことに成功した。黒瀬は立ち直れず、学校を休み続けてしまう。
白鳥の目的は達成したかに思われたが、白鳥の協力者で「狸」と呼ばれる人物はその現状に満足しておらず、邪魔者を排除しようと考え始めていた。白鳥の悠長さに嫌気がさした狸はついに行動を起こし、ウサギの飼育小屋に放火をした。クラスメイトの冴木薫(さえきかおる)が第一発見者となる。改心し始めていたくるみや正義感のある冴木は放火犯を捜査したが、「狸」の正体である新島絹枝(にいじまきぬえ)にはめられ、冴木は殺人未遂の罪で捕まり、くるみは重傷をおってしまう。
邪魔者である冴木とくるみを排除した新島は次の行動を起こす。柊を自殺に見せかけて殺害しようとしたのだった。柊が抵抗しきれず、殺されそうになったところを黒瀬が助けに来たのであった。黒瀬は柊を保健室へと向かわせ、新島への攻撃を始める。新島を首吊りさせるに至ったが、白鳥の策略によって生徒たちで黒瀬を捕えることとなった。そうして、黒瀬は多くの生徒たちに邪魔されてしまった。しかし、黒瀬は止まることなく、不道と白鳥への復讐を誓い、不道を追いかける。しかし、追い詰めたところで、白鳥により校舎に火をつけられてしまった。校内に取り残された人々は校外へと脱出しようとする。不道は最後の黒瀬の温情を無視して、黒瀬が用意していた脱出用の救助袋の罠にはまり、4階から落ちて死んでしまった。
脱出後、白鳥の母を白鳥の目の前で殺すことが復讐になると考えた黒瀬は、白鳥が一人になったタイミングで白鳥の母が入院をしている病院へと連行しようとする。病院前に着いたが、白鳥は歩道橋を使い逃げようとする。激闘の末、黒瀬は白鳥を追い詰め、歩道橋から白鳥を突き落とすことに成功する。足が折れてしまい、はいつくばって逃げようとする白鳥を、黒瀬は歩道橋から飛び降りることで衝突し、道連れにしようとするのであった。そして二人は激突し、白鳥の体は死んでしまい、黒瀬の体は意識不明で入院することとなった。その後、目覚めた黒瀬の体の中の人格はどちらかわからなかったが、黒瀬は姿をくらました。
最終章
目覚めた黒瀬の中身は黒瀬ではなく、白鳥であった。白鳥は黒瀬の元彼女である志田さくら(しださくら)に黒瀬のふりをして連絡を取り、匿ってもらいながら計画を手伝ってもらっていた。まず、柊を呼び出し、柊がいる小屋ごと燃やした。続いて、冴木と吉倉ネネ(よしくらネネ)を川に沈めた。しかし、さくらは途中から違和感を持ち、協力するふりをしているのであった。そのため、3人ともさくらによって殺されずに済んだ。
白鳥は最後の邪魔者を排除するため、刑事である群青ひかる(ぐんじょうひかる)の元へと向かう。しかし、群青は黒瀬が以前渡していたノートによって今の黒瀬の中身が白鳥だとわかったため、紅茶に黒瀬のアレルギーであるそば粉を混ぜていた。それを飲み、死にそうになる白鳥であったが、群青が油断したすきに応急処置をし、持っていたナイフで群青に反撃を開始する。
群青が追い詰められ、ナイフを振り下ろされる寸前、ナイフで刺したのは白鳥自身の体であった。それを行ったのは黒瀬の人格であり、黒瀬の体に白鳥と黒瀬の二人が共存していたのであった。そしてそのタイミングでやっと黒瀬が出てくることができ、黒瀬と白鳥はそこで死んでしまった。
事件の後、それぞれが反省や後悔に暮れる中、後遺症を残しながらも回復をしたくるみは黒瀬の夢を引き継ぎ教師に、冴木は刑事になるためにそれぞれが前を向き始めるというところで物語は幕を閉じる。
『復讐の教科書』の登場人物・キャラクター
主要登場人物
黒瀬 良太郎(くろせ りょうたろう)

物語の主人公。横濱学園高校の2年B組に所属する。人だけでなく、動物にも優しく接する心優しい青年。不道エイジ(ふどうエイジ)・遊井学(ゆいまなぶ)・切木竜也(きりこたつや)・森野くるみ(もりのくるみ)・仙水理人(せんすいりひと)の5人に常習的にいじめられていた。最後まで仲直りすることを望んでいたが、彼らに殺されかけたことをきっかけに復讐を誓う。彼らに学校の屋上から突き落とされた際に担任教師の白鳥聖(しらとりこうき)と衝突したことにより、命は助かるが、目覚めるとお互いの人格が入れ替わっていた。そのことを利用して彼らへの復讐を行っていく。
白鳥 聖(しらとり こうき)

横濱学園高校の2年B組の担任教師。黒瀬が屋上から転落してきた際に衝突した際に、人格が入れ替わってしまう人物。生徒や他の教師からの信頼や人気が高い教師である一方、動物嫌いや黒瀬のいじめを扇動していたという裏の顔が存在する。影響力が強く無自覚に弱者を追い詰める強者をいじめて、弱者が生きやすい社会を作るという信条を持って教育活動を行っていた。
いじめグループ
不道 エイジ(ふどう エイジ)

横濱学園高校の2年B組所属。黒瀬、遊井、切木、仙水、くるみとは同じ掃除の班であり、共に黒瀬をいじめていた。元々はまじめな性格であり、黒瀬とも仲良くしていた。しかし、父親は自分には厳しく、黒瀬をよく褒めていたことから、嫉妬心が膨れ上がり、それを白鳥に刺激されたことで黒瀬をいじめるようになってしまう。最終的には白鳥の手先となり、動いていた。二人で白鳥を打倒しようという黒瀬の提案を無視し、自分しか信じなかったため、黒瀬が張ったわなに引っかかってしまい、転落死する。
遊井 学(ゆい まなぶ)

横濱学園高校の2年B組所属。黒瀬、不道、切木、仙水、くるみとは同じ掃除の班であり、共に黒瀬をいじめていた。画家を目指していて、不道を題材にコンクールで入賞している。画材費と称して黒瀬からお金を取っていた。入選した絵を白鳥と人格が入れ替わった黒瀬によって破かれる。黒瀬の策略により下着泥棒の濡れ衣を被せられ、最終的には右半身を大火傷し、入院する。後に目が覚めた時には、不道たちから裏切られたことで、黒瀬のいじめの罪を背負わされそうになり、自暴自棄になる。その結果学校に包丁を持って侵入し、不道に怪我を負わせる。しかし、白鳥によって自殺に見せかけて殺害される。
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目次 - Contents
- 『復讐の教科書』の概要
- 『復讐の教科書』のあらすじ・ストーリー
- 復讐編
- 白鳥対立編
- 最終章
- 『復讐の教科書』の登場人物・キャラクター
- 主要登場人物
- 黒瀬 良太郎(くろせ りょうたろう)
- 白鳥 聖(しらとり こうき)
- いじめグループ
- 不道 エイジ(ふどう エイジ)
- 遊井 学(ゆい まなぶ)
- 切木 竜也(きりこ たつや)
- 森野 くるみ(もりの くるみ)
- 仙水 理人(せんすい りひと)
- 学校の登場人物
- 加藤 大悟郎(かとう だいごろう)
- 吉倉 ネネ(よしくら ネネ)
- 柊 カレン(ひいらぎ カレン)
- 冴木 薫(さえき かおる)
- 新島 絹枝(にいじま きぬえ)
- 美谷 ひな(みたに ひな)
- 若王子 昴(わかおうじ すばる)
- 雪田 清子(ゆきた せいこ)
- 藤川(ふじかわ)
- 牛尾(うしお)
- 司馬(しば)
- ナナコ
- ミナミ
- 黒瀬家
- 黒瀬 貴子
- 黒瀬 勇
- 警察関係者
- 群青 ひかる(ぐんじょう ひかる)
- 赤松 大(あかまつ まさる)
- 金木 総司郎(かねき そうじろう)
- 黄場 虎徹(きば こてつ)
- 桃木 龍(ももき りゅう)
- 白鳥の関連人物
- 星宮 紗良(ほしみや さら)
- 犬飼 耕助(いぬかい こうすけ)
- 夏川 麦子(なつかわ むぎこ)
- 芦屋 優馬(あしや ゆうま)
- 神童 輝(しんどう あきら)
- 仙水 エリカ(せんすい エリカ)
- その他の登場人物
- くるみの母
- 不道 正義(ふどう まさよし)
- 雨宮
- 三雲
- 志田 さくら(しだ さくら)
- 動物
- ピョン吉(ピョンきち)
- ハム吉(ハムきち)
- 『復讐の教科書』の用語
- 強者
- 弱者
- 優生思想(ゆうせいしそう)
- 劣生思想(れっせいしそう)
- 『復讐の教科書』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 黒瀬良太郎「君の生き様に君は殺されたんだ」
- 吉倉ネネ「私は命を懸けても教え子を守るわ!!」
- 星宮紗良「好きだから突き放せないんだよ!!」
- 群青ひかる「黒瀬君が私に託したこの復讐の教科書にね!!」
- 森野くるみ「くるみにはまだ…やらなきゃいけないことがあるんです」
- 冴木薫「人の心に生き続けていたらハッピーエンドって言えんじゃねーか?」
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