南海トラフ巨大地震(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『南海トラフ巨大地震』とは、原作biki、作画よしづきくみちにより、2023年5月から現代ビジネスで連載をし、2024年7月から講談社マガジンポケットに移籍・連載している漫画。100~150年周期で起こるとされている南海トラフ地震が2025年2月11日に発生してしまうという設定。挫折をし、人生に希望を見出せない西藤命が、過酷な災害現場を生き抜きながらも精神的に成長していく物語。綿密な取材によって、起こりうる地震のリアルな現場を描いているため、防災知識の学習としても大いに役立つ漫画である。

建物の屋上に避難後、西藤命が自分たちにできることを模索しようとする場面

朝霞からこの地震が南海トラフ地震である可能性が高く、救助がすぐにくることはないだろうという絶望的な状況を聞いた後の西藤命の「でも何か…『出来ること』はないですかね?」というセリフ。災害が起きる前まで生きる意味を見失っていた彼が、震災時に感じた「死にたくない」という思いや他人とのかかわりによって、成長をしているのが感じられるシーン。

朝霞鋼太郎「オレはもしもの時アンタを見棄てて脱出すると思う」

災害現場の厳しさに関して朝霞が語る場面

建物間を移動する前に、朝霞が放った「オレはもしもの時アンタを見棄てて脱出すると思う」というセリフ。倉石光行が足を負傷しているため、誰かが支えなければならないが、災害現場でそのような余裕がないために、一つの選択肢として事前に説明した。災害現場での中で現実的に行動できる朝霞の冷静さがよく表れているセリフ。

朝霞鋼太郎「「知識」は命を救う いざという時に必ずお前を助けてくれる」

二度と過ちを犯さないために教えを乞う西藤命に対して、朝霞が陸上自衛隊時代の上官からの受け売りを伝える場面

西藤命が自分の浅はかな行動で他人に迷惑をかけてしまった責任感や今後他人を救うために、朝霞から災害に関する知識を教えてもらうシーンで朝霞が放った「「知識」は命を救う いざという時に必ずお前を助けてくれる」というセリフ。このセリフは朝霞が陸上自衛隊時代に上官の大磯源から言われた言葉であり、それをそのまま西藤命に伝えている。漫画の構図もほぼ同じように描かれているため、知識が紡がれていく様もうかがえる。

『南海トラフ巨大地震』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実際の地震が生む防災意識

「『南海トラフ巨大地震』題材の漫画アクセス急増で売上18倍 担当編集者は複雑な心境「手放しで喜べるものではありません」」という記事がORICON NEWSに掲載されている。
記事内では『南海トラフ巨大地震』の担当編集者にインタビューを行っている。もともと人気の漫画ではあったが、2024年8月8日に宮崎県南部で発生した震度6弱の地震の影響を受け、閲覧数が増加したという。『南海トラフ巨大地震』は講談社マガジンポケットにて連載されているが、そこでの売り上げは地震前と比較し、18倍になったそうだ。現実で起きた地震により人々の防災意識が高まったことで、興味を持ち閲覧する人が増えたのだろう。

現実に起きたら連載終了の意志

作画担当のよしづきくみちのXのポストにて「南海トラフ巨大地震が現実に発生したら本作は連載終了」という考えを製作チームで共有していると語られた。防災意識の向上という社会的意義のために描いていても、エンタメ的側面もあることから実際に自身が起きたらと考えると葛藤もあるのだと思われる。

単行本巻末で災害対策

各巻には備え・防災アドバイザーの高荷智也や防災・危機管理アドバイザー山村武彦による防災対策ガイドを収録している。さらに、単行本第2巻には「南海トラフ巨大地震で東京はどうなる」と「【シチュエーション別】地震発生時にすべき行動」という2本の読み切りを収録している。まさに『南海トラフ巨大地震』がエンタメとしての漫画だけでなく、防災意識の向上のためでもあることがわかる。

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