南海トラフ巨大地震(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『南海トラフ巨大地震』とは、原作biki、作画よしづきくみちにより、2023年5月から現代ビジネスで連載をし、2024年7月から講談社マガジンポケットに移籍・連載している漫画。100~150年周期で起こるとされている南海トラフ地震が2025年2月11日に発生してしまうという設定。挫折をし、人生に希望を見出せない西藤命が、過酷な災害現場を生き抜きながらも精神的に成長していく物語。綿密な取材によって、起こりうる地震のリアルな現場を描いているため、防災知識の学習としても大いに役立つ漫画である。

『南海トラフ巨大地震』の概要

『南海トラフ巨大地震』とは、原作biki、作画よしづきくみちにより、2023年5月30日から現代ビジネスで連載をし、2024年7月30日から講談社マガジンポケットに移籍・連載している漫画。100~150年周期で起こるとされている南海トラフ地震が2025年2月11日に発生してしまうという設定。挫折をし、人生に希望を見出せない西藤命(さいとうめい)が、過酷な災害現場を生き抜きながらも精神的に成長していく物語。西藤命と老人が会話している最中に地震が発生し、負傷した老人を支えながら、2人は災害が身に迫る中なんとか生き延びようとする。そして、途中出会った元自衛隊陸軍隊員の知識を得ながら、厳しい状況を生き抜こうとするのである。綿密な取材によって、起こりうる地震のリアルな現場や対策を描いているため、エンタメとしてだけではなく、防災知識の学習としても大いに役立つ漫画である。主人公が災害に関する知識を学ぶシーンは実際に被災をした際にも必要な知識となってくる。単行本には専門家による解説記事や地震に関する読み切りを掲載するなど、防災にとって有用なものとなっている。現代ビジネスでは1000万PV越えの記録を出し、地震や防災に対する意識を高められる作品となっている。

『南海トラフ巨大地震』のあらすじ・ストーリー

地震発生前

派遣社員として工事現場に勤める西藤命(さいとうめい)27歳は、人生に希望を見いだせなくなってしまっていた。命は新卒で入社した会社を辞め、派遣社員として勤める自分を卑下していた。そんな自分と比べ、結婚や出産、出世といった人生のイベントを迎える友人たちには大手の建設で働いていると見栄を張っていた。しかし、実際は日々の稼ぎをパチンコにつぎ込み、この世界が壊れてしまえばいいと思うほどに生きる希望を失っていた。そして、名古屋港で一服をしている際に、倉石光行(くらいしみつゆき)という老人に話しかけられる。その内容はその場所はいつも倉石が釣りをしている場所だから邪魔であるという旨であった。倉石は西藤命のおどおどとした態度に怒り、説教を始めた。見ず知らずの自分にいちゃもんをつけ、文句を言う老人を西藤命は未来の自分のように感じ、そうはなりたくないと自分自身を変えようと決意する。その時、2025年2月11日15時07分、マグニチュード9.2、最大震度7の地震が発生した。

地震発生直後

巨大地震によって廃墟と化した街で立ち尽くす西藤命

3分間ほど続いた地震によって見渡す限りの家屋やビルが崩壊してしまっていた。また、電柱が転倒したことにより、倉石は右足をつぶされてしまった。そこで西藤命は倉石を助けようとするが、大津波警報が発令されたというアナウンスを聞き、津波に対する死の恐怖から一度は倉石を見捨てようとする。西藤命はやけくそになりながらも倉石を背負って津波から避難するため高台を目指した。西藤命は人を背負いながらの避難は体力的に困難と考え、車での移動を試みようとする。キーはないがドアロックがかかっていない車を見つけ、2人は一時的に車で過ごす。しかし、津波にがゆっくりと迫ってくることで、水位が上がり、車内に浸水したうえに、水圧によってドアが開けられなくなってしまった。西藤命は何とか脱出に成功し浮上するが、倉石は服が座席レバーに引っかかって脱出ができなくなってしまっていた。西藤命は倉石を見捨てることができず、助けに戻るがひとり溺れてしまった。その際、近くのビルに避難していた朝霞鋼太郎(あさかこうたろう)という元陸上自衛隊隊員と許斐結衣(このみゆい)という大手食品会社社員によって救出される。

津波火災

4人はビルの屋上で救助を待っていたが、太平洋沿岸部各地で地震や津波の影響を受けているため、すぐには救助が来ないことをSNSからも一行は理解することができた。なにか出来ることはないかと対策を練っている最中に余震が発生してしまった。狼煙をあげる案を思いついたが、多くの建物内で津波火災が発生していたため、そこら中に煙が上がっているのであった。さらに、自分たちが避難している建物も火災が発生していた。そこで比較的火の手の回っていない隣の建物に避難することとした。しかし、津波が引き、水位が低下したことで、下の階層から隣の建物に移る必要があった。一行は火災が起きている建物内を慎重に進んでいった。足を負傷している倉石を西藤命が背負って進んでいた。しかし、進んでいる際に、余震が発生し、火災により脆くなっていたため、天井が崩落し始めた。そして、倉石は西藤命をかばう形でがれきの下敷きとなってしまう。火災現場に長く居座るのは危険なため、朝霞は倉石を見捨て、脱出しようとするが、西藤命はひとり倉石の元に戻り、救出しようとした。しかし、煙を大量に吸ってしまい、意識を失ってしまう。その後、再度戻ってきた朝霞によって西藤命だけ救出される。

食料調達

火の手の回っていない建物にたどり着き、西藤命が意識を取り戻すと、そこには西藤命救出の際に左腕をやけどした朝霞がいた。西藤命は自分の浅はかな行動で他人に迷惑をかけてしまった責任感や今後他人を救うために、朝霞に災害に関する教えを乞う。3人は一通り知識を伝授した後、食料や医療品などの調達を行うことにした。そこで200メートル先のコンビニへ西藤命と許斐が向かうこととなった。がれきや地割れなどによって、道路は容易に歩けるような状態ではなかったが、なんとか2人はコンビニにたどり着くことができた。しかし、店内は地震や津波でぐちゃぐちゃになっていて、無事であったであろう物資は既に持ち去られいて、収穫はなかった。

『南海トラフ巨大地震』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

西藤 命(さいとう めい)

27歳。派遣社員として建設会社で勤務する。新卒で入社した会社を辞めてから人生が上手くいっておらず、かつての友人たちが仕事や家族で成功しているのを見て、つい見栄を張ってしまうような人物。パチンコをよく行い、給料をパチンコにつぎ込んでいる。母を亡くし、家族は父と弟がいるが、不仲な様子がうかがえる。

倉石 光行(くらいし みつゆき)

72歳。名古屋港にて、西藤命と出会い、説教をする。妻とは離婚し、娘や孫とは絶縁状態にある。地震発生の際には、転倒してきた電柱により右足をつぶされ、西藤命に助けられる形で避難する。糖尿病を患っている。火災からに逃げるために隣のビルに移る際に、西藤命の身代わりとなり、がれきに埋もれ死亡する。

朝霞 鋼太郎(あさか こうたろう)

25歳。元陸上自衛隊の隊員であり、現在は化学工場にプラントエンジニアとして勤めている。同棲中の彼女がいる。元自衛隊隊員の知識と経験を活かし、救助や手当を行う。現実的で冷静な判断をすることができる。

許斐 結衣(このみ ゆい)

milk-nekoq8
milk-nekoq8
@milk-nekoq8

目次 - Contents