英雄王、武を極めるため転生す(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『英雄王、武を極めるため転生す』とは、ハヤケンが『小説家になろう』に2019年3月から連載し、ホビージャパンのHJ文庫から2019年11月に刊行されているライトノベルである。英雄王イングリスが転生し、今度は美少女騎士として武を極める物語である。特徴として、異世界転生と性転換の要素が融合し、主人公の成長と戦闘が描かれる。漫画版もあり、アニメは2023年に放送され、スタジオコメットが制作を担当した。魅力は、緻密なバトルシーンと個性的なキャラクターである。

虹の粉薬(プリズムパウダー)

血鉄鎖旅団は虹の雨の成分を濃縮し、粉末状にした虹の粉薬(プリズムパウダー)を製造している。この粉薬は天上人さえも魔石獣に変える強力な効果を持つ。血鉄鎖旅団の構成員は全員、この危険な粉薬を常に携帯しているという。この虹の雨と虹の粉薬の存在は、この世界の秩序を脅かす潜在的な脅威であり、同時に強大な力を求める者たちにとっては、魅力的な武器ともなり得るのだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

魔石獣(ませきじゅう)

魔石獣は、この世界に突如として現れた脅威だ。その特徴的な姿は、体表に宝石のような結晶化した物質を纏っており、人々を襲う恐るべき存在として知られている。通常の武器ではほとんど歯が立たず、魔石獣に対抗するには魔印武具の力を借りなければならない。これらの魔石獣は、主に動物が虹の雨に濡れることで変身する形で出現する。しかし、時として何らかの未知の原因により、空間に直接転移して現れることもある。この予測不可能な出現パターンが、魔石獣の脅威をさらに増大させている。

虹の王(プリズマー)

魔石獣の中でも最も恐れられているのが、虹の王(プリズマー)と呼ばれる存在だ。その力は圧倒的で、一国を滅ぼすほどの破壊力を持つと言われている。虹の王の出現は、まさに国家存亡の危機を意味し、人々に絶望と恐怖をもたらす。魔石獣、そして虹の王の存在は、この世界の秩序を根底から揺るがし、人々の生活に常に不安と緊張をもたらしている。その対処法が限られていることも、事態をより深刻なものにしているのだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

天上人関連

天上領(ハイランド)

天上領(ハイランド)は、空中に浮かぶ巨大な島々から成る、地上とは隔絶された世界だ。その規模は1つの都市を凌ぐほどなのだ。天上領の社会は、大公派と教主連という二大勢力の対立によって分断されている。この対立は地上の情勢にも多大な影響を及ぼしている。大公派は魔印武具に加え、機甲鳥(フライギア)や機甲親鳥(フライギアポート)といった高度な技術を地上に提供しようとしている。一方、教主連はこれに強く反対し、地上の人間に必要以上の技術を与えるべきではないと主張している。
この天上と地上の関係、そして天上領内部の政治的対立は、この世界の複雑な力学を形作る重要な要素となっている。

天上人(ハイランダー)

天上領(ハイランド)に暮らす天上人(ハイランダー)たちは、地上には存在しない高度な技術を有している。彼らは地上の人々から多大な献上物と引き換えに、魔印武具などの先進的な品々を下賜している。多くの天上人は、地上の王侯貴族さえも蔑視し、地上の人々の生死に無関心な態度を取る。しかし、全ての天上人が生まれながらにしてそうであるわけではない。地上出身でありながら、何らかの理由で天上人となった者も存在する。天上人の存在は、地上の人々にとって畏怖と憧憬の対象であると同時に、時として脅威ともなり得るのだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

魔印武具(アーティファクト)

魔印武具(アーティファクト)は、天上領から授けられた卓越した武具であり、地上の技術では到底制作できない代物だ。魔印を持つ者がこれを使用すると、身体能力が飛躍的に向上し、さらに各武具に備わった奇蹟(ギフト)と呼ばれる特殊機能を発動できる。

天恵武姫(ハイラル・メナス)

最強の魔印武具(アーティファクト)は、天恵武姫(ハイラル・メナス)と呼ばれる存在だ。虹の王に対抗できるのは、この天恵武姫のみであり、特級印を持つ聖騎士だけがその真価を引き出せる。通常時、天恵武姫は少女の姿をしており、独自の人格を持つ。この人間状態でさえ、その戦闘能力は聖騎士に匹敵するほどだ。天恵武姫が真の力を解放すると、武器の形態に変化する。特級印を持つ聖騎士がこれを振るうことで、その真の力が発揮される。しかし、天上人への反逆を防ぐため、天恵武姫には危険な仕掛けが施されている。真の力を解放した際、聖騎士の生命力を吸い取り、死に至らしめるのだ。この仕掛けは霊素(エーテル)を操る能力があれば干渉し、無効化することが可能だ。作中では、イングリスがこの細工を無効化し、武器の姿となったエリスとリップルを使用した。この事実は、魔印武具の力と、それを制御する側の能力の複雑な関係を示している。
天恵武姫の存在は、この世界の力関係や技術の階層性を象徴するとともに、天上と地上の緊張関係をも表している。それは単なる武器以上の、この世界の秩序を形作る重要な要素なのだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

『英雄王、武を極めるため転生す』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

幼いながらもイングリスの見事な闘いぶりのシーン

第1話「英雄王イングリス、転生す」における稽古場でのシーン。
騎士たちが稽古しているところへ旅の行商人がやってきて、息子のラーアル・ランバーの稽古をつけてやってほしいと言ってきた。ラーアルは魔術を使い、騎士の自由を奪って次々に勝っていく。そこへイングリスが稽古を申し込み、エーテルの力で魔術を無効化しながら見事な体術と剣捌きでラアールを圧倒し、倒してしまう見応えのある名シーン。

ラフィニア・ビルフォード「ホントクリスは天使の身体に武将の魂が宿っているわよね」

第2話「転恵武姫の邂逅」における砦のバルコニーでのセリフ。
ラフィニアとイングリスの目の前を空中を周回している天上領ハイランドが通りかかった際に、ラフィニアがジンクスであるハイランドに向かって祈ると願いが叶う行為をイングリスにも促すと、イングリスが「歯応えのある強いものと戦えますように」と願った。それを聞いたラフィニアが、「ホントクリスは天使の身体に武将の魂が宿っているわよね」と的確な名セリフを発する。

イングリス・ユークス「私が楽しい。それだけです」

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