cocoon(今日マチ子)のネタバレ解説・考察まとめ

『cocoon』とは、今日マチ子によって2009年3月から2010年5月にかけて秋田書店の『Eleganceイブ』に連載された戦争漫画である。単行本は2010年8月、文庫版は2015年4月に、それぞれ秋田書店より刊行された。
沖縄のひめゆり学徒隊から着想を得た戦争と少女の物語。女学校に通う少女・サンの視点から、刻一刻と悪化していく戦況と、その中を懸命に生きた少女たちの姿が描かれる。戦争の悲惨さと、その中でも失われない主人公の少女性の描写が見どころである。

女学校の仲間たち

ユリ

サンとマユの女学校での後輩。マリとは双子の姉妹である。空襲で背中に大火傷を負ってしまうが、「これで双子を間違われないで済む」と気丈で明るい様子を見せた。
サンたちと共に看護隊として戦地に赴いた後は、「疲れて体が動かない。お国にお役に立てない」と泣き出してしまい、サンに慰められていた。
看護隊解散後は、双子のマリと1本のウージ(サトウキビ)を分け合って食べた後に死んでしまった。

マリ

サンとマユの女学校での後輩。ユリとは双子の姉妹である。空襲で背中に火傷を負ったユリを心配し、土木作業や看護隊としての勤務中も、常に寄り添いサポートする。
看護隊解散後は、ユリと1本のウージを分け合って食べた後に死んでしまった。死の直前に、ウージを2人だけで食べてしまったことをサンに打ち明け、謝罪する。

エツ子

サンとマユの同級生で、メガネがトレードマークの生真面目な少女。サンたちと共に看護隊として戦地に赴くが、出発前は母親と抱き合って号泣していた。
看護隊解散後、南の岬に向かって逃亡する際に左足を負傷してしまう。サンたちはエツ子を庇いながら逃亡を続けるが、エツ子は激痛と仲間に迷惑をかけていることへの罪悪感に耐えられず、「もう頑張れない」と泣き叫びながら石で自分の頭を殴り自決した。

タマキ

サンとマユの同級生で、おしゃれが大好きな美少女。サンたちと共に看護隊として戦地に赴くが、面倒な仕事はサボってばかりいた。また、負傷した兵士の足を切断する現場に居合わせた際には、気分が悪くなり嘔吐してしまった。
最後は砲弾の爆発を受け、はらわたを撒き散らして死亡する。

ひな

サンとマユの同級生で、絵を描くのが好きな大人しい少女。サンたちと共に看護隊として戦地に赴くが、もともと体が弱かったため、栄養失調に陥ってしまう。
実作業に加われないことを申し訳なく感じながらも、絵を描くことで仲間たちを笑顔にしていた。
やがては目も見えなくなり、悲惨になっていく戦況を目にすることなく、病院壕の奥でひっそりと死んでいった。

その他

兵隊たち

サンたちが看護隊として働く壕に運び込まれてくる負傷兵や、看護隊解散後、逃亡している最中に出会った兵士たち。克明に描かれる少女たちに対し、兵士たちは皆白い影の姿で描かれている。

『cocoon』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

マユ「想像してみてーーー自分たちは雪空のような繭に守られていると」

「男の人がこわい」と訴えるサン(画像右)におまじないをかけるマユ(画像左)

看護隊として戦地に派遣された直後、「男の人がこわい」と打ち明けたサンに、マユがかけた言葉。マユはサンに目を瞑らせ、「ここには男の人なんていない。男の人はみんな白い影法師」「想像してみてーーー自分たちは雪空のような繭に守られていると」とおまじないの言葉をかけた。このおまじないのおかげで、この直後から運び込まれてくる負傷兵たちはサンにとっては白い影法師にしか見えなくなり、サンは看護隊としての任務を果たすことができた。また、この「繭に守られている」というおまじないは、この後も繰り返しマユによって唱えられており、サンが絶望しそうになるたびにサンの心を救ってくれる言葉となった。

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