LIMBO THE KING(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『LIMBO THE KING』とは、田中相による近未来SFアクション漫画作品。本作は2016年から2018年にかけて『ITAN』にて連載後、「コミックDAYS」に移籍、2018年から2019年にまで連載された。
2086年、海軍での事故で片足を失った軍人のアダム・ガーフィールドは家族を養うため、かつて「ゴールデンゲートの英雄」と呼ばれたルネ・ウィンターと相棒となる。2人は「眠り病」と呼ばれる奇病の感染者の記憶にダイブし治療を行う一方、その謎に迫る。

アダムの弟で次男。アダムが片足を失い退役する場合は就職しようとしていたが、兄が復帰したため現在も学生である。非常に優秀で飛び級進学しており、サマーカレッジにも参加していた。それが故に「新型眠り病」の被害者になりかけたが回避した。

ハリー・ガーフィールド

ガーフィールド兄弟の末の弟。13歳で、よく体調を崩している。体調を崩した際にはアダムから「Hush A Bye Baby」をよく歌ってもらっていた。兄・クリスのサマーカレッジに荷物持ちとして同伴した際に眠り病に感染してしまう。手先が器用で折り紙が得意。

アナ・ウィンター/シャーロット・ミーガン

8年前に生まれたルネの娘。シャーロット・ミーガンとして養子に出されており、ルネとは接触していない。ルネ自身は娘の存在を周囲に隠していたが、架空の口座を経て毎月里親に送金していることから存在が判明した。ハニーブロンドの少女で、養母のシャンプーを勝手に使用している。実母の髪色が黒髪であることを養母から聞かされており、今後髪色が変化するかもしれないことを少し不安に思っている。養父母に愛されており、彼女自身も彼らを愛している。現在の両親は本屋を経営しており、時々店番もする。

ロバート・アスプリン

「USAジャーナル」社会部の記者。眼鏡をかけた猫背で細身の中年男性である。彼が10数年前に書いた「眠り病」に関する記事の内容が良く、ルネの記憶に残っていた。このことからCNASが黒幕の可能性があるという暴露記事を書くようアダムたちが訪ねた。証拠が何もないことから記事にすることは難しいとしながらも、過去にLIMBO内の記憶ログが裁判の証拠に採用されたことを例に挙げ、アダムたちに知恵を授けた。

マックス・ハットン

短髪の成人男性で軽度の新型眠り病患者であったことから、ルネとアダムによる最初の治療を実施された。スピットン前哨基地で、捕虜をわざと脱走させ背後から仲間と銃撃、殺害したことがトラウマとなっている。

『LIMBO THE KING』の用語

眠り病

別名「記憶のガン」。ESVと呼ばれるウイルスが感染者のトラウマの記憶に取り付き増殖、機能不全に陥ることで昏睡状態に陥る。3ヶ月以内に治療しない限り95%が死に至る病である。8年前に一旦落ち着いたと思われた眠り病だったが、新型の眠り病により再発した患者が発見された。これにより前回事態を収拾したルネが再びダイブし治療することが望まれた。ダイブは患者である感染者に対し、ダイバーとコンパニオンの2名1組で患者の脳に侵入して治療を行う。感染者だけでなくダイバー達にも危険が伴う治療で、感染者の記憶による暴走で命を落とすこともある。旧型の感染源は判明しており、タブレットPCのCM30秒の特定箇所である6秒が視覚で捉えられると感染する。この事実はパニックを引き起こすとして、WHOと政府によって隠蔽された。

LIMBO

眠り病感染者の脳内世界のこと。生体コネクトと呼ばれるものを使い、ダイブすることにより現実世界において感染者、ダイバーそしてコンパニオン3人の脳波が増殖し混ざり合う。その脳波を現実世界のように映像化するのがダイバーで、コンパニオンはその世界内においての位置情報を感じることができる。LIMBO内の事象は感染者の記憶であることから、干渉することは出来ずダイバーたちは幽霊のような存在となる。しかし新型の眠り病においては、この法則は適合せず記憶の中の者がダイバー達を襲い、死に至らしめる。またLIMBO内にて1点に集中すると連想の扉と呼ばれるブラックホールのようなものに吸い込まれてしまう。脳内を「スパイスコード」と呼ばれるコードで書き換える治療もできるが、代償が大きく感染者は記憶の一部を失ってしまう。

直観像記憶能力

ルネの能力の一つ。映像記憶、写真能力とも呼ばれている。過去目にしたの映像を完全に記憶するもので、幼少期にはよく見られる現象ではあるが思春期と共に失われる能力である。作中ではアンジェラを殺した真犯人を突き止めるためにアダムが活用を提案した。ルネ自身も土壇場で新型のコードを全てその場で記憶してしまうことを決断し、事態の収束を図った。

『LIMBO THE KING』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ルネ・ウィンター「過去が現在を作る この自分ひとつで過去の意味は変えられる たぶん未来も」

トラウマに苛まれる幼いアダム(画像左)を説得するルネ(画像右)

アダムは幼少期父親から殴られたり、暴言を吐かれるなどの虐待を受けていた。ある日、アダムは父親をとうとう瓶で殴ってしまう。父親は昏倒しするだけで命は助かるが、その出来事はアダムのトラウマとなってしまった。なぜなら父親から自分は「悪い人間になる」と言われ続けており、父親の言う通り「いつか誰かを殺す」かもしれないと思ったからだ。ダイブ中に図らずも、アダムのトラウマを見たルネはアダムの手を取ってその考えを「お前は大きくなってもそうならないよ」と否定する。実際、成長したアダムは陽気なネイビーになったからだ。ルネは続けて「過去が現在を作る この自分ひとつで過去の意味は変えられる たぶん未来も」と幼いアダムに語りかける。トラウマであった記憶もアダムは乗り越えられ未来への糧にできるとルネは考えており、それ故トラウマの記憶を消すことはやめたのだった。

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