シンクロオンチ!(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『シンクロオンチ!』とは、きらによるラブコメディ漫画。2002年から『YOU』及び『別冊YOU』(集英社)に連載されており、集英社より発売されている。主人公のOLたま子は、スイミングクラブに通い始めたところを、イケメンの男性コーチ・鎌田に誘われ、シンクロを始める事になる。鎌田の指導により、大会に出場するなどシンクロにはまっていくたま子。たま子の鎌田への気持ちは、次第に恋心へと変わっていく。ぽっちゃり体型で自信のない主人公が、シンクロと恋との出会いで変わっていく姿に、共感できる作品となっている。

鎌田の始めたアクアビクスのクラスに参加していたが、鎌田目当てでシンクロスクールにも入会した女性。体型がたま子とそっくりで、鎌田も後ろ姿をたま子と見間違えて声をかけてしまう。大会では、たま子とデュエットを組んで出場する事になる。

『シンクロオンチ!』の用語

シンクロ

本作では、シンクロナイズドスイミングの略称で使用されている。シンクロナイズドスイミングは、プールの中で音楽に合わせて体を動かし、技の完成度や芸術的な表現、同調性、公正などを競う水泳競技。
しかし、現在では「シンクロナイズドスイミング」という名称は使用されていない。
2017年7月22日、曲や人に同調する事を意味している「シンクロナイズド」という言い方がそぐわないという理由で、国際水泳連盟(現・世界水泳連盟World Aquqticcs)が競技種目名を「アーティスティックスイミング」に変更した事で、日本水泳連盟も2018年4月1日から同じく「アーティスティックスイミング」に変更した。

ノークリ

ノーズクリップの略称。競泳、アーティスティックスイミング、カヌー、カヤック、フリーダイビングなどで使用する道具で、鼻をはさんで鼻の穴から水が入らないようにするために使用する。たま子(たまこ)はシンクロにどんどんはまっていき、ノーズクリップを職場で披露したりする場面も描かれている。

日輪シンクロクラブ

たま子が通うカルチャースクールとは違い、有力な選手育成を目指す厳しいクラブ。希望者は全員入会できるが、実力判断テストがあり、そのテストで著しく実力不足と判断された場合は自主的にやめる事になる。鎌田(かまた)は、このクラブのヘッドコーチである乾(いぬい)にスカウトされ、このクラブに移る事になる。そんな鎌田を追いかけ、たま子も入会し、実力テストにも合格するが退会する。

赤裸々モード

たま子がお酒を3杯以上飲むと、赤裸々モードに入り、いつもは心の奥底にしまっている本音を赤裸々に口に出してしまう。しかし、その時の記憶はいっさいない。

『シンクロオンチ!』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

鎌田「お願い 俺にコーチさせて!」

鎌田(かまた)がシンクロの「勧誘係」としてたま子(たまこ)をシンクロに誘ったと知り、甘い言葉にひっかかった自分にショックを受けて落ち込むたま子に、ノーズクリップを渡しながら鎌田は、「なっ 松!お願い 俺にコーチさせて!」と言った。鎌田が銀太(ぎんた)やトミコと一緒にたま子の自宅に乗り込み、たま子の人生におけるすさみ具合が他人事じゃなくてほうっておけなかったと、たま子にシンクロを続けるよう説得した時の言葉。
ここから、たま子と鎌田のシンクロスクールでの日々が始まったという意味で、重要な一言。

銀太「まだ何もしていない人間に「もうダメ」なんて言う資格はありません!」

鎌田が日輪シンクロクラブに移ってしまい、鎌田への恋心を自覚しているたま子が、不安や焦りで「もうダメだもん…」と銀太に泣きつくと、銀太が「まだ何もしていない人間に「もうダメ」なんて言う資格はありません!」と厳しく言った。「わかってるんだ コーチは行方不明じゃないんだもん 追いかければいいことくらい でもだって そしたらバレバレになっちゃうでしょ…」と涙するたま子に、銀太は「バレるのが嫌ならやめればいいわね やめてもんもんとしてればいいのよ 「もんもん」が嫌なら追いかければいいし」「追いかけるのも「もんもん」も嫌なら 最初からなーんにもなかったことにして上っ面笑ってたらいいわね」と言い、どれも自分で選べるのだとたま子に伝える。この言葉に背中を押されて、たま子は鎌田を追いかけて、日輪シンクロスクールに入会することになる。

松たま子「白鳥になれる気がする」

鎌田がニューヨークで一緒に活動していたシンクロチームが、たま子が通うシンクロスクールの発表会で演技してくれる事になり来日する。鎌田は再会を喜ぶが、たま子はその容姿の美しさとシンクロの技量に圧倒され、強いコンプレックスを感じる。たま子は発表会で「白鳥の湖」で泳ぐ事になっており、プールで練習をしていたが、鎌田の前で「こんなみにくい白鳥ですみません…」と泣いてしまう。そこを通りかかったニューヨークのシンクロチームの女性メンバーに、鎌田は、自分の恋人だとたま子を紹介する。たま子は、鎌田が恋人だと紹介してくれた事で、「たったこれだけで私にも 白鳥になれる気がする」と最高の笑顔で演技する事が出来た。たま子が自信を取り戻した場面が印象的に描かれている。

『シンクロオンチ!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

作中で絵が変わってしまうのは不定期刊行が原因

初出は『YOU』2002年11号で、同誌に連載されたが、2003年以降、『GENJI 源氏物語』『パティスリーMON』などの作品を連載したため、連載は不定期化している。2007年以降は年1、2話程度の発表となっており、きら本人も「(「シンクロオンチ!」は)他の作品のあいまにちょこちょこ描いているもので、毎回絵が違ったりします。そのあたりは大目に見ていただけたら…いっそ見ないフリしていたらけたら…。」と書いている。確かに、1巻の鎌田(かまた)やたま子(たまこ)の顔と5巻の顔を見比べてみると、目の大きさや顔のパーツのバランスなどが変わってきているのがわかる。

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