十三機兵防衛圏(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『十三機兵防衛圏』とはヴァニラウェアが開発し、アトラスが発売したゲームソフトだ。PlayStation 4版が2019年、Nintendo Switch版が2022年に発売された。ディレクターは『プリンセスクラウン』や『朧村正』などに携わった神谷盛治が務めている。物語の舞台は架空の日本だ。5つの時代に点在する13人の主人公それぞれの視点を美麗な2Dグラフィックで描くドラマチックアドベンチャーゲームである。主人公たちは強大なロボット「機兵」に搭乗し、未知の敵と対峙していく。

『十三機兵防衛圏』の概要

『十三機兵防衛圏』とはヴァニラウェアが開発し、アトラスが発売したドラマチックアドベンチャーゲームだ。PlayStation 4版が2019年11月28日、Nintendo Switch版が2022年4月14日に発売された。ディレクターは『プリンセスクラウン』や『朧村正』などに携わった神谷盛治が務めている。
2019年に日本ゲーム大賞のフューチャー部門、2020年に日本ゲーム大賞の優秀賞を受賞している。

本作の主な舞台は1980年代頃の架空の日本だ。それ以外にも1945年・2025年・2065年・2105年の4つの時代も舞台になっている。点在する13人の少年少女のそれぞれの視点を美麗な2Dグラフィックで描くドラマチックアドベンチャーゲームである。シミュレーションパートも搭載されており、主人公たちは強大なロボット「機兵」に搭乗し、突如現れた未知の敵と対峙していく。滅びゆく世界に絶望せず、希望を持ちながら運命に抗っていくSF群像劇である。

本作の大きな特徴は「美麗な2Dグラフィック」と「物語の壮大な謎」。
ヴァニラウェア社は3Dグラフィックが優位を占めるゲーム業界において、2Dアートを駆使する会社である。
『十三機兵防衛圏』も「美麗な2D」のグラフィックを使用している。ドット絵のような2Dグラフィックとは違い、イラストがそのまま動いているような錯覚を覚える。キャラクターの表情も多彩で、キャラクターの心情がよく分かるようになっている。
また背景の描き込みもすごく、特に光と影の入り方がゲームを綺麗に彩っている。
キャラクターデザインは平井有紀子が務めている。
『十三機兵防衛圏』は「物語の壮大な謎」が少しずつ明らかになる物語だ。
それぞれの時代を転移し、主人公たちの物語が複雑に交差していく中で、登場キャラクターたちの関係性も明らかになっていく。
過去、現在、未来が複雑に絡み合い、それぞれの視点で謎を追求していくこともこのゲームの大きな特徴であり、面白いところでもある。
13人の視点で物語が明らかになるため、少しずつ真相が明らかになり、散りばめられた伏線が回収されていくのは非常に面白い特徴となっている。

『十三機兵防衛圏』のあらすじ・ストーリー

鞍部十郎編

1985年5月 放課後、怪獣襲来の数日前、特撮映画が好きな少年、である鞍部十郎(くらべ じゅうろう)は教室で不思議な違和感を覚えていた。
その違和感の正体は彼が記憶を失う前は和泉十郎(いずみ じゅうろう)であり、未来の事故によって記憶を失い廃人となりかけた為、新たな人格を高校の養護経論でありクラス担任の森村千尋(もりむら ちひろ)先生と十郎の祖母である鞍部玉緒(くらべ たまお)によって、別々に入れられたためである。
森村先生は未来の犯罪者である“426“の人格を入れ、それに気づいた鞍部玉緒はその逆の優しい穏やかな鞍部十郎という人格を入れていた。
そのため、鞍部十郎は記憶が混濁して人格破綻を起こしかけていた。426は人型のロボット、ドロイドから十郎の体に入ることによって、そのことに気づいた。
426は十郎の人格が破綻しないように、426の記憶をビデオを見ていると信じ込ませることにした。彼は合成人格を作り、柴久太(しば きゅうた)として、十郎の幼馴染を名乗り記憶を調整していた。
しかし、十郎が機兵を呼び出したり、他にも同じように不思議な夢を見ていた少女、冬坂五百里(ふゆさか いおり)や不思議な夢や体験をしている少年、網口愁(あみぐち しゅう)と話したり、以前の和泉十郎を知っており、鞍部家に居候中の少女、薬師寺恵(やくしじ めぐみ)や先輩の少女、東雲諒子(しののめ りょうこ)と接触することによって、日常に違和感を覚えるようになる。それによって、426の存在に気づき、彼からこの世界の真実の記憶を受け継ぎ、機兵で戦う覚悟を持つ。

冬坂五百里編

冬坂五百里のパート。

1985年、冬坂五百里は毎晩見る変な夢のせいで、寝坊していた。そのため、急いでいたところ、学校の正門で未来から来た少年、関ヶ原瑛(せきがらは えい)とぶつかってしまう。
冬坂はある日、偶然時間転移をして未来にいくことになる。
そこで、関ヶ原と再会し、廃墟の街を見ることになり、変な夢の内容が真実であること知る。さらに別の日、関ヶ原に呼び出され、この夢は森村先生の過去の記憶であると教えられる。
森村はこの世界にループする前の世界から来た人間であり、本人はすでに人としては死んでいる。セクター0と呼ばれるところにコピーを取り復元されたAIデータである。そのため、冬坂に記憶を移植し、なり替わろうとしていたが、途中で諦めていた。
冬坂は本来セクター1(2105年)という未来で生まれたこの世界の森村千尋である。その子を森村がセクター4(1985年)に養子に出したのだ。
関ヶ原はこのループを使って新たな世界に冬坂と逃げようとした。しかし、森村に人としては死ぬことを聞き絶望し、冬坂の前から一度は去ってしまう。
冬坂がこの世界の住人を守るために、戦う覚悟をしていることを知った関ヶ原は自身の機兵を冬坂に託した。

薬師寺恵編

2024年(セクター2)学校からの帰り道、薬師寺と歌が得意な少女、如月兎美(きさらぎ とみ)は機兵と搭乗者の少年、和泉十郎と出会う。後日、彼女の世界にも怪獣が侵攻してきた。和泉は皆を守るために機兵に乗り、薬師寺の前から去ってしまう。
薬師寺は1985年(セクター4)に避難してきていた。鞍部玉緒に十郎と一緒に暮らすことを条件付きで許可される。
ある日、薬師寺は不思議な猫、しっぽに取引を持ち掛けられる。
取引内容はしっぽの手伝いをすれば十郎の記憶を元に戻すというものだ。
薬師寺は取引を了承する。しっぽは薬師寺に魔法の銃を渡し、適合者を撃つように指示を出す。
薬師寺は指示通りに適合者を撃っていく。しかし、十郎が思い出している記憶が、426の記憶であったことを知る。また、戦いを回避するためにだと思っていた行為が、実は皆を戦いに巻き込むものだったと知る。自責の念から、最後は自分を銃で撃つ。
目覚めた薬師寺の前には、十郎がいた。彼は記憶の中で機兵に乗って戦い、薬師寺の名前を呼んでいたことがあると告げる。これは薬師寺の求めていた和泉十郎の記憶である。しっぽは、薬師寺との約束を守っていた。
薬師寺は、今度は自分も機兵に乗って十郎と戦うと誓う。

南奈津乃編

1985年、SF好きな少女、南奈津乃(みなみ なつの)は部室の中で、小型ロボットを見つける。
奈津乃は彼のことをBJと呼んだ。BJの望みは、彼の記憶と17番機兵を探すことだ。
BJの探し物をするために常坂神社に行き、転移用のゲートを起動する。
転移した未来や過去では、街が怪獣に襲われ廃墟になっていることを知る。
また、BJが敷島製のロボットであることに気づくことになる。
BJは奈津乃に2188年の記憶を見せ、この世界が地球ではないこと、箱舟計画と呼ばれる人類を再生させる計画があることを教える。また、2188年は遠い過去の話であることも教える。
ある日、BJはセクター1(2105年)の研究所で、17番機兵の在処を突き止めた。
奈津乃は17番機兵を見つけたBJから、17番機兵の操縦権限を譲渡される。BJは機兵に保存されたデータが消去されないように、自分が入っているこの装置に移した。容量が足りないため、自分が消滅することを分かった上でBJは自分のAIデータを削除し、記録を受け取った。
奈津乃は未来をかけた最終決戦に参加することを決意する。

比治山隆俊編

1944年、日本軍の機兵の訓令兵の少年、比治山隆俊(ひじやま たかとし)はある日、機兵開発者の娘でスパイ容疑を掛けられている少女、堂路桐子(どうじ きりこ)が、機兵の開発者で未来から来た少年、沖野司(おきの つかさ)であること知る。比治山は彼を追いかけて、未来であるセクター4(1984年)に転移してしまう。
比治山は転移から半年後、沖野と再会する。沖野の目的は世界を滅ぼす怪獣の阻止だ。そのために、怪獣を呼び出しているDコードの制御鍵の所持者を探していた。
そこで、リーゼント頭の不良少年、緒方稔二(おがた ねんじ)を捕獲し、彼の脳内を調べるが、制御鍵は既に緒方の元になく、別の人物に移っていた。
比治山は沖野から、更に詳しくこの世界について聞く。
この世界の地下には巨大な中枢コンピューター、通称ユニバーサルコントロール(以後UCと表記)が埋まっている。これは各セクターの地下にあり、怪獣ダイモスはこれを狙って攻撃をしている。またこのUCとそのセクターにいる人々の消滅は関係している。そのため、怪獣に襲われたセクターはUCが制圧され、無人となっていた。
後日、再びセクター3(2025年)の中枢へ行き、司令船の人物から話を聞こうとするが、突然、ドロイドに襲われ、沖野は致命傷を負ってしまう。
セクター4に怪獣の侵攻が始まり、比治山は沖野が残した手紙に従い、彼の12番機兵を起動し、最終戦に参加する。

網口愁編

網口愁は最近不思議な体験をしていた。一つは未来の世界でロボットが登場する夢だ。彼はその夢で、井田鉄也(いだ てつや)と名乗っていた。
2つ目がアイドルの少女、因幡深雪(いなば みゆき)にテレビの中から話しかけられるというものだ。
どちらも現実離れしたものだが、因幡に言われたことを実行していくと、徐々にこの世界の違和感に気づいていくことになる。
彼が見ていた夢は因幡深雪が“井田鉄也”と呼ばれる人間の行動理由を知るために見せていた。この世界は何回もループしており、井田鉄也はループ前の人間であり、今回の世界に復元された存在である。今回の世界の自分を網口家に養子出している。その養子に出された井田鉄也が網口だ。彼は、ループ前の如月兎美を現在の如月に記憶を移そうとし、復活させようとして失敗した。そのため、再度世界を怪獣に破壊させリセットし、ループさせようと企んでいた。
因幡深雪はループ前の如月兎美であり、16番機兵のAIであった。井田のやり方に反対しており、網口たちを助けようとしていた。
ある日、因幡深雪は井田に見つかったため、網口に助けをお願いする。網口は因幡深雪を助けようとセクター3の中枢に向かうが、井田に不良で転校性の少女、鷹宮由貴(たかみや ゆき)を人質に取られてしまい16番機兵ごと停止されてしまう。

関ヶ原瑛編

関ヶ原瑛は目を覚ました時、記憶喪失となり、なぜか黒服の男(井田の部下)に追われていた。
彼の側には、女性の死体があり、近くに落ちていた資料から彼女が咲良高校の教員、森村千尋であると判明する。
彼は自分の持ち物を検証していくことのよって、少しずつ自分のことを思い出していく。
彼が記憶を無くしたのは未来で起こった事件により、DD426に感染したためである。
その後、彼はDD426の進行を遅らせる薬を手に入れたものの、治すのは不可能であった。そこで、井田に記憶を元に戻すことを条件に取引を持ち掛けられる。しかし、途中で井田に自分が利用されていることに気づき、記憶をバックアップし思い出す方法を探す事にしたのだ。
沖野がその方法をしっていることを気づき、彼に記憶のバックアップを頼むことになる。
それによって、忘れていた記憶は徐々に蘇り、井田に再度利用されていることに気づく。
また、この世界は再度ループにできないことを森村から聞いていたことを思い出し、リセットしようとする井田を止めようとする。
井田は冬坂を人質に取るが、この世界がループできないことを知ると動揺し、関ヶ原に倒されてしまう。

三浦慶太郎編

1945年、機兵の訓練生の少年、三浦慶太郎(みうら けいたろう)は、休暇をもらい家に帰宅途中、南奈津乃と出会う。
その時、空襲が始まり、怪獣が闊歩しているのを見た三浦は機兵に乗り撃退しようとした。しかし、最後の特攻をかけようとし時、光に包まれ機兵ごと1985年に転移してしまう。
彼は野宿などしながら過ごしていたが、奈津乃と再会し、彼女の仲介で鞍部家に居候することになる。
三浦は奈津乃にお願いし、元の時代に戻るが、そこは廃墟となっていた。鞍部玉緒に三浦の妹、千尋(ちひろ)は未来から来た少年、郷登連也(ごうと れんや)に連れ去られたと聞かされた。
公園で千尋に再会するも、彼女は雰囲気が変化しており、その場から郷登と共に去ってしまう。
後日、三浦はBJから正体と目的を説明される。
彼の正体はミウラケイタロウというAIで、元々は機兵に組み込まれていた。機兵に問題が発生し、この探査装置に自分を移した。
目的は機兵に残してきた自分の記録を回収することだ。
ミウラは自分がもうすぐ消滅するため、三浦に回収した記録の解析をお願いする。
森村のターミナルの防衛機能を作動し、怪獣がターミナルを破壊できなくなるイージス作戦では三浦たちは破滅するため、他の解決策を見つけるように言う。

鷹宮由貴編

1985年、鷹宮由貴は特務機構の任務のために咲良高校に転校していた。
特務機構の任務は井田との取引によって数日前に受けることになった。
任務内容は咲良高校に潜入し、敷島重工の兵器開発にかかわっている生徒たちを監視してほしいというものだった。
監視対象リストには、幼馴染で親友の南奈津乃も入っていた。
そんなある日、奈津乃が失踪し学校に来なくなる。
鷹宮は奈津乃が心配なため聞き込みを行う。その途中で探偵に憧れる少女、相葉絵梨花(あいば えりか)と知り合い、一緒に奈津乃の行方を調査することになる。
調査の途中、鷹宮は機兵の存在や、一緒に調査していた相葉が426という未来の犯罪者であることを知る。
更に調査を進めると、奈津乃がセクター3というところに閉じ込められているとミラウから教えてもらう。
鷹宮は奈津乃を救うため、セクター3に向かい彼女を無事救出する。

如月兎美編

2025年(セクター4)如月は街を怪獣に襲われ、郷登たちによって1985年に避難していた。
ある日、如月は同じクラスで友達の少女、沢渡美和子(さわたり みわこ)と緒方と共に偶然転移に巻き込まれ、2025年に転移する。
そこで、如月は元居た時代が廃墟になっていることや怪獣の正体が敷島重工のロボットであることを知る。
中枢に転移するためのゲートがあり、そこで16番機兵のAIと通信がつながった。しかし、すぐに通信は切れてしまう。
後日如月は、再び16番機兵と通信するため、沖野の協力によりセクター3に向かう。
するとそこには網口、奈津乃、そしてミウラがいた。
如月は網口から16番機兵がもう一人のキサラギであること知ることになる。
井田が停止した16番機兵は、設計者である沖野の権限を使い再起動した。キサラギとの通信に成功した。
彼女からこの世界の真実、箱舟計画の存在、そしてこの世界から脱出する計画について聞くことになる。

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