豚のレバーは加熱しろ(豚レバ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『豚のレバーは加熱しろ』とは、小説原作を基にした異世界転生ファンタジーアニメである。ひょんなことから豚になってしまった主人公が、心が読める少女と出会うことで、彼女の過酷な運命を救うため繰り広げられる冒険譚。特徴はその独特な世界観で、平気で差別がまかり通ったりその世界にしかいない生物がいたりしている。少女の種族の謎を巡るミステリ要素が魅力。

『豚のレバーは加熱しろ』の概要

『豚のレバーは加熱しろ』とは、逆井卓馬による日本のライトノベルでアニメ化もした異世界転生ファンタジーである。略称は「豚レバ」。この作品は第26回電撃小説大賞で金賞を受賞し、2020年3月から電撃文庫より刊行されている。
アニメ『豚のレバーは加熱しろ』は2023年10月にアニメ化され2024年2月まで放送された。全12話で構成され、project No.9がアニメーション制作を担当した。主人公が豚のレバーを食べた後、意識を失い、異世界で豚に転生するという斬新な設定で話題を呼んだ。主人公は、イェスマと呼ばれる特殊な能力を持つ少女ジェスと出会い、彼女の王都への旅を護衛することになる。この物語は、異世界転生ものとしては珍しく、主人公が非人間の姿で冒険を繰り広げる点が特徴。アニメは、そのユニークな世界観とキャラクターの魅力、心を読む能力を持つイェスマという種族の設定が評価され、多くのファンを獲得した。また社会的な影響としては、異世界ものの枠を超えた新しい可能性を提示し、アニメ業界に新たな風を吹き込んだと言える。
音楽やキャラクターデザイン、ストーリーテリングの面でも高い評価を受け、特に主人公とジェスの関係性や成長が描かれた点が視聴者の心を掴んだ。

『豚のレバーは加熱しろ』のあらすじ・ストーリー

気がつけば豚小屋と美少女

気がつくと主人公は豚小屋にいて困っていた。1人の少女が豚小屋に入ってきて、自分を見ている。「豚小屋で動けないので助けてくれ」と自分を主張していると、意志が通じているらしく、ついでに自分が豚になっていることが分かる。豚の生レバーを食べて激痛ののち、気がつくとこうなっていたらしい。
少女は人間扱いしてくれ、部屋まで運んでくれて、手当してくれたのかちゃんと動ける。少女は頭をなでなでしてほしいと思えば素直にしてくれるほど優しすぎた。服を脱いでほしいと望めば脱ぎ出すほど。そこまでする必要はないと心の声で言うと、「何かして差し上げたいのです」と言ってくる。だが豚はツンデレが好きで、一方的な優しさはいらないのだった。普段は豚として扱ってくれて、ここぞという時に手を差し伸べてくれた方が萌えるのだ。豚になった理由をジェスは考えるも、暗黒時代だと呼ばれる昔に魔法使い同士が争っていた頃、人間を動物に変えたというが人間が豚になった例はほとんど聞いたことがない。人間に戻るには魔法使いの生き残りである王様に会うしかないという。ジェスも王都に行く用事があるというので、一緒に行くこととなった。

王都までの道中

ジェスの王都までの目的がその口から語られる。ジェスは16歳でその歳になると仕えているところを離れ1人で王都へ身を捧げに行かねばならないという。イェスマの身体とその首につけている銀の首輪も高価で取引されるためイェスマ狩りという連中に狙われることになる。
それでもこんないい子を放って置けないとついていくと決めた豚。
バップサス村では死んだイェスマのイースに似ていると、凄腕の狩人のノットがイェスマの旅の同伴者であるシャビロンになろうと申し出ようとする。ノットのことが好きな宿屋で働いているイェスマのセレスの頼みもあったが、豚はイェスマを通して自分は人間でジェスのシャビロンであり、一緒に王都に入る前までついてきてほしいと頼む。ノットが好きだった、イェスマを匿っていた修道院にいてイェスマを狩るイェスマ狩りによって死んだイースのようにジェスを死なせる気かと言われ、セレスには「ちゃんと帰ってくる」と言ってノットは護衛を引き受けた。
ミニレスの街では街外れの教会の地下に捕えられていた王都を目指しているイェスマのブレースの心の声を聞きつけ、ノットがイェスマ狩りを倒して助け出し、1人では危険だと、一緒に連れて行くことになった。だが、ついて行く間中、祈ってばかりで無気力な様子のブレース。それもそのはず、教会ですでに内臓を抜き取られ、先が長くないのだった。王都近くの針の森でイェスマ狩りに襲われ、ブレースは命をかけて凶刃に倒れ豚とジェスを助けた。ノットもイェスマ狩りと戦って盾になり豚とジェスを先へと進ませ、2人は王都のすぐ前までたどり着く。

王都にて

王都は高く聳える岩山だった。入り口はどこにも見当たらない。どこにでもいるこの世界独自の生き物ヘックリボンが見ているだけ。豚はそこから、こいつは監視していて王につながっていると考えジェスがヘックリボンに「王都に入れてください」と頼むと、山の一部に穴が空き入り口が開く。中は壮麗で、豚とジェスは王に会うことが叶う。王はジェスを王族に迎え入れると言う。ジェスは「豚さんを人間に戻してください」とお願いすると王イーヴィスは了解する。ただ、その方法が問題だった。豚を殺せば、中の意識は元の世界に帰るというのだ。そして、イェスマの正体も判明する。イェスマとは、魔法使いだったのだ。なぜ、イェスマという身分が存在するのか。それは、魔法使いを保持するためのシステムだった。奴隷に近いのはイェスマがいることで社会が安定しうまく回るから。銀の首輪も自己中心性を奪い、従順にするためなのだ。死をかけて王都に向かわせるのは、優秀な者を選り分けるのが目的なのである。女しかいないのは男はいつ子供を作るか分からないから処分していた。元の世界に戻るための日没までまずジェスと話す。ジェスは豚がこうなったのには「私が『1人で王都に行くのは怖い。誰か一緒に行ってくれる人をお連れください』と奇跡も起こせる魔法石・黒のリスタで願ったからだ」と告白する。人間の姿だったら王に元の姿に戻してもらうという理由ではついてこなかったかもしれないと。「豚さんにはこのままでいてほしい」というわがままに、豚は「戻ることを断れば王の機嫌を損ねるかもしれない、だから王の誘いを受けて幸せになってほしい」と諭す。次に豚とジェスは街を散策した。豚は「好きな人とこんなことができるなんてもうできないだろう」という自分の発言に慌て、恥ずかしくなって否定する。ジェスが「私も豚さんのことが大好きです」とここぞとばかりに感情を込めて告白する。豚は黙って聞いていた。

元の世界に戻ってきて

日没、王の魔法によって何事もなく元の世界に戻ってくる主人公。
あったことを小説の投稿サイトにも公開する。こう付け加える。「『豚のレバーは加熱しろ』。でないと、大変な目に遭うぞ。」
それは、主人公がメステリアでの体験を忘れられない証拠だった。彼はウェブの小説投稿サイトに小説として公開した。彼はジェスやノット、セレスなどの仲間たちとの冒険を思い出しながら、自分の言葉で書き綴った。すると、彼の小説に反響があった。ダイレクトメールで会って話したいという人たちが現れた。彼は、彼らが自分の小説のファンだと思って喜んだ。彼は、彼らと会って話をすることにした。
しかし、彼は驚くことになった。彼らは、自分の小説のファンではなく、メステリアからの帰還者だったのだ。彼らは、メステリアのことにやたら詳しく、主人公の小説に書かれた場所や出来事を知っていた。彼らは、メステリアの現状を教えてくれた。イェスマ狩りが横行し、内乱が起きていた。彼らは、主人公にもメステリアに戻るように誘う。彼らは、主人公がつけた道筋がすでにできていると言った。
かくして、主人公はまた豚としてメステリアに戻ったのだった。

『豚のレバーは加熱しろ』の登場人物・キャラクター

主役

豚(ぶた)

CV:松岡禎丞
19歳の日本人大学生の主人公。彼は理系の分野に熱心なオタクであり、生の豚レバーを食した後、意識を失い、目覚めたときには豚小屋にいることに気づく。彼は自身を痩せ型で眼鏡をかけた青年と評し、童貞であることも自認している。弱きものを放って置けない性格。外見は豚そのものになり、元の人間の姿に戻る方法を探る中でジェスという女性と出会い、彼女の旅に同行することになる。彼はジェスを守ることを誓い、彼女の王都への旅を支える。ジェスに対する彼の感情は深く、彼女を守るためにノットという人物に護衛を依頼する。
日本に戻った主人公は、異世界メステリアでの冒険を夢のように思い返しながら、ウェブ小説を執筆し始める。その小説は読者によって好評を博し、オフ会で出会った読者からメステリアが内乱に陥っていることを知らされる。これをきっかけに、ジェスとの再会を願い、再びメステリアへと旅立つ決意を固める。彼は再び豚として転生し、その冒険を続けることになる。

ジェス

CV:楠木ともり
16歳で、キルトリの街にあるキルトリン家に仕えるイェスマである。イェスマは人の心を読む能力を持つ種族であり、その能力ゆえに社会からは疎まれ、厳しい運命を背負う。ジェスは、豚に変わってしまった主人公を見つけ、彼の世話をすることになる。清楚でとても優しい性格。美少女であるが、本人はそういわれることを嫌う。王都への旅を控えており、1人での旅は恐ろしいため、助けてくれる人物に出会うことを密かに願っていた。

イェスマ

セレス

CV:富田美優
13歳の少女で、バップサス村の宿屋で働いている。ショートカットが特徴。内気な性格で、ジェスと同じイェスマという種族である。豚が人間であることを見抜き、彼に協力する。ノットという狩人に想いを寄せており、彼がジェス達と一緒に王都へ旅立つのを嫌がっている。

ブレース

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