東京深夜少女(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『東京深夜少女』とは、2022年1月よりWebコミック配信サイト『サイコミ』で、漫画家もてぃまが連載を開始したフルカラーの漫画作品。原案は輸千ユウ。絵の可愛さは勿論、コスプレやコンセプトカフェなど、現代ならではの題材をリアルに描くその世界観に注目が集まった。就活が上手くいかず、自分に自信が持てない1人の女の子が、人との出会いを通じて夜の世界にのめり込む物語。明るくキラキラしていく一方、「かわいい」と言われることへの承認欲求に捉われ、もがいていく。

『東京深夜少女』の概要

『東京深夜少女』とは、2022年1月よりWebコミック配信サイト「サイコミ」で、漫画家もてぃまが連載を開始したフルカラーの漫画作品。原案は輸千ユウ。絵の可愛さは勿論、コスプレやコンセプトカフェなど、現代ならではの題材をリアルに描くその世界観に注目が集まった。作中のシーシャバーは、「サキュバスシーシャ ABYSS 新宿歌舞伎町店」をモデルにしている。連載は単行本は小学館の『裏少年サンデーコミックス』より発売されている。就活が上手くいかず、自分に自信が持てない1人の女の子が、人との出会いを通じて夜の世界にのめり込む物語。明るくキラキラしていく一方、「かわいい」と言われることへの承認欲求に捉われ、もがいていく。少女たちのどろどろとした感情と歪な関係が、夜のネオンに交えて美しく描写されている。

『東京深夜少女』のあらすじ・ストーリー

夜の世界に飛び込む主人公

はるか(左)とりあ(右)の出会い。

この物語の主人公である佐々木はるか(ささきはるか)は、小さいころからコンプレックスが多くあった。就活もなかなか上手くいかず、20社連続で落ち続けてしまう。落ち込む帰り道、はるかは歌舞伎町で男女が言い合いをしているところに出くわした。りあとショウである。言い合いの際にりあが自動販売機の下に落としたスマートフォンを、はるかが拾ってあげた。りあははるかに対し、「超好みのお姉さんと会えてサイコーの気分!」と言い、はるかを飲みに誘う。この出会いをきっかけに、2人は仲良くなるのだった。飲みの帰りに潰れてしまったはるかはりあの家に泊まった。そこでりあのコスプレの写真を見せてもらったはるかは、自分にはできないと思いながらも、コスプレに興味を持ち始める。

後日、はるかを気に入ったりあは、自分が働いている「サキュバス」というシーシャバーの体験入店に強引にはるかを誘った。仕方なくお店に向かって一日働いたはるかだが、お店での色々な出会いを通じて、「こんなに私のこと気にしてくれる人…今までいなかったな」と思い始める。必要とされることに飢えていたはるかは、その後は流されるようにお店で働き始め、夜の世界に足を踏み入れるのだった。最初は失敗も多かったはるかだが、職場の仲間のあたたかさや自分を必要としてくれている感覚に嬉しさを覚え、徐々に楽しく仕事をこなすようになる。
しかし、サキュバスの先輩であり、友達でもあるりあと体の関係があるショウと寝てしまい、その秘密を抱えるようになる。ショウと関係を持ったばかりのはるかは、りあにバレないかを心配したり、ショウへの嫌悪感に悩まされたりしていた。だが次第にはるかは、カメラマンであるショウを上手に利用する立場になっていく。2人の関係がりあにバレることを恐れているショウは、はるかのお願いには逆らえなくなっていった。煌びやかな夜の世界で生きることで、はるかは性格も明るくなってき、魅力的な女性へと成長していく。しかし、それと同時に夜の世界のグロテスクな一面が垣間見えることも増えた。女性同士の人間関係の拗れや、男女関係の縺れ、過度な露出でお金を稼ぐ友人の存在もあり、夜の世界で働く人間は何かしらの事情を抱えていたり、人に言えないことがある場合が多い。はるかは様々な葛藤の中、今の仕事と就活を天秤にかけ、悩むようになる。

同じく「サキュバス」で働く「べるたそ」に、「本当に夜の世界で働くなら、その覚悟を決めた方が良い」と助言をされる。はるかは悩んだ挙句、覚悟を決めた。夜の世界で働くために変わり始めたはるかは、まずは自分をもてあそんだショウを味方につけることを覚え、徐々に夜を生きるしたたかな女性へと変貌を遂げてゆく。

明かされるべるたその過去

「サキュバス」では、毎年恒例のハロウィンイベントが行われることが発表された。昨年はお客さんからもらったチップの量が多い人が発表されたが、今年はお客さんによるコスプレランキングも発表される形式となった。賞金も高額で、べるたそはその賞金を求めてハロウィンイベントを頑張ることを決めた。

彼女が賞金を手に入れようとする理由は、不倫関係にある男、アキラのためだった。アキラとの出会いは、彼女が「べる」という名前でキャバクラで働いていた頃にさかのぼる。最初はよくいる一見のお客さんだと思っていたが、アキラはそうではなかった。お店でシャンパンを入れてくれたアキラはべるたそをアフターに誘う。彼はシーシャバーにべるたそを呼び、「いつか自分の店を持ちたい」という夢を語った。夢も将来の希望も無かったべるたそはアキラに入れ込み、次第にお金を渡すようになっていったのだ。ハロウィンイベントで賞金があることを知ったべるたそは、「今度30万程手に入るかもしれないから」と話し、アキラを旅行に誘うのだった。

そして迎えたハロウィンイベント当日、べるたそは圧倒的な勢いでチップを貰っていたが、はるかも負けない勢いで人気を集めていた。特に普段はサキュバスで働くりあは、はるかにエンジェルというシャンパンを入れるなどして大いに応援した。接戦の結果、2位ははるか、1位はべるたそという結果になった。お金が手に入ったことでアキラとの旅行に心を弾ませるが、当日の朝にアキラの妻から連絡が来る。「アキラの嫁です。もう連絡しないでください。後ほど改めて弁護士より連絡がいくと思います。」という文面を見たべるたそは、不倫関係の終わりを察した。いつかはこうなることが分かっていたが、タイミングの悪さに落胆した様子のべるたそであった。べるたそはアキラと行く予定だった旅行にはるかを誘い、2人でめいっぱい楽しんだ。その後、アキラとの関係が終わったことでサキュバスで働く意味を失ったべるたそは、お店を辞めることにした。お店を辞めることは、先にはるかに伝えていた。はるかは寂しがり、泣きながら「辞めないでくださいぃ~」と止めたが、べるたその意志は固かった。お店の仲間はべるが突然辞めたことを不思議に思ってはるかに尋ねるが、はるかは「何も聞いてないです」と答えた。べるたそは、後日アキラと2人で会い、言いたいことを全て言ってけじめをつけた。そして、夜の歌舞伎町にキャバ嬢として戻ることを決めたのだった。

雲行き怪しいコスポリイベント

りあとコスポリのイベントに出ることを決めたはるかは、昔「サキュバス」で働いていたマルに衣装制作を頼む。コスポリとは、コスプレイヤー達が写真集を売るイベントである。マルから写真集の話を聞き、りあの影響で以前から写真集に興味があったはるかは、自分の写真集を出すことを決める。りあには内緒でショウに手伝ってもらい、衣装はマルに作ってもらったもので撮影を行った。ショウと2人きりの撮影にならないように、手伝いとしてべるたそも撮影場所に呼んだ。

結局はるかは、個人の写真集とりあと2人での写真集の2種類を作った。しかし、個人の写真集の方ははるかの自宅に届いてしまい、母親にバレてしまう。友達とふざけて作ったと説明するが、母親からはとても心配されるのだった。はるかはコスポリのイベントに向けて髪をロングからボブにして美意識を上げるが、可愛くなることに対してりあからは嫉妬の眼差しを感じるようになる。迎えたコスプレイベント当日、ショウとりあと2人で写真集を売り、撮影会などをする。個人の写真集はマルが出店するブースに置かせてもらうことにした。コスポリにはべるたそも遊びにきてくれた。しかしイベントの最中、はるかとりあのブースに遊びに来たお客さんが、はるかの個人写真集を持ってきてしまった。自分に内緒ではるかが写真集を作っていたことを知ったりあは激怒し、はるかを殴ってしまう。はるかも言い返し、りあはイベント会場をあとにした。それだけでなく、コスポリで喧嘩をした2人はSNSにその様子を上げられてしまう。これがきっかけでりあは、はるかが自分には内緒で「ルカ」という名前で写真集を発売していたこと、SNSアカウントも新たに作っていたことを知る。さらに、写真集の写真はショウが撮ったことを知り、ショウははるかとも体の関係があるのではないかと疑い始める。一方はるかは、自分の憧れの存在であったりあが自分に嫉妬心を向けているように感じ、この出来事を少しだけポジティブに捉えているようだった。しかしどちらにせよ、りあとはるか、2人の関係には大きな亀裂が入ってしまう。

『東京深夜少女』の登場人物・キャラクター

主要人物

佐々木 はるか(ささき はるか)

この漫画の主人公。コミュニケーション能力に自信が無く、就活では20社連続で落ちているようで、面接でも暗い雰囲気を指摘されていた。落ち込む帰り道、歌舞伎町でりあと出会う。りあに半ば強引に連れられ、「サキュバス」というシーシャバーの体験入店に行ったことをきっかけに「はる」という名前で働き始める。家は経済的に厳しいが、母は就活が上手くいかないはるかを心配し、優しく気遣う。はるかは、背が高いことなど昔から自分の容姿にコンプレックスがあり、最初はサキュバスで働くことやコスプレをすることに抵抗感があった。しかしお店で働くことで徐々に自信をつけ、明るい女の子になっていく。真面目な性格をしている一方で、リスクを顧みない行動も多い。りあと肉体関係のあるショウと体の関係を持ったり、自身が際どい衣装を着た写真集を販売したりしている。優しくはるかを心配する両親の描写も多いことから、はるかの自分勝手で考え無しのように見える行動に、読者からの批判のコメントも多い。

りあ

サキュバスで働く、コスプレイヤー。SNSのフォロワーが多く、自分の「かわいい」を見てもらうこと、それにたくさんの「いいね」が付くことを求めて執着している。サキュバスで働いたり、コスプレをする際の「りあ」という名前のほかに、「ありちゃん」という名前で活動をしている。「ありちゃん」名義では、過度な露出をした過激な写真を発信しており、写真集販売などでお金を稼いでいる。ショウに写真を撮ってもらっており、彼とは肉体関係があり、りあが依存しているようにも見える。初登場シーンでは、新宿でショウと言い合いをしていたところ、はるかと出会った。はるかのことが大好きでよく懐いているが、彼女への執着のようにも見え、時々読者にも怖がられている。はるかと一緒に写真集を作った際には、はるかが自分よりちやほやされることに不安を感じ、メンタルが不安定になっていた。「かわいい」を魅せることに関してはこだわりが強く、周りが見えなくなってしまう。地雷を踏まれた時には豹変してキレるが、基本は明るくて素直な子。

ショウ

りあのコスプレ写真のカメラマン。夜はバーで働いており、将来はプロのカメラマンになりたいと話す。りあと肉体関係があり付き合っているかのような描写が多いが、はるかとも1度体の関係があり、女関係にだらしない。

サキュバスシーシャで働く仲間

べるたそ

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