かつて魔法少女と悪は敵対していた。(まほあく)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』とは藤原ここあが『月刊ガンガンJOKER』にて連載していたラブコメ4コマ漫画作品である。また、それを原作としたアニメ作品が放送される。悪の組織の参謀・ミラが薄幸魔法少女・深森白夜に出会い、一目惚れをしてしまう。本来敵対するはずだった二人の殺し"愛"(あ)わないロマンスラブコメディである。ほのぼのと温かい、でもクスッと笑えるような面白さもある作品は作者亡き今もなお多くの人に愛されている。

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』の概要

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』とは、2013年9月から2015年3月まで『月刊ガンガンJOKER』にて連載されていた、藤原ここあの4コマ漫画中心の漫画作品である。作者である藤原ここあは、2015年3月31日に死去したため、現在発売されている3巻で完結となっている。藤原ここあの代表作として、前作『妖狐×僕SS』があるが、同誌同時連載として『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』の連載が始まった。略称として「まほあく」と呼ばれている。

2023年11月にTVアニメ化が発表され、2024年7月からアニメの放送が開始された。アニメーション制作はボンズ、監督は『海辺のエトランゼ』で監督を務めた大橋明代、シリーズ構成・脚本は『ギヴン』。『アイドルマスター SideM』などの人気作でシリーズ構成を務めた綾奈ゆにこ、キャラクターデザインは藤原ここあの代表作『妖狐×僕SS』がTVアニメ化された際にもキャラクターデザインを担当した飯塚晴子、音楽は『王様ランキング』やTVドラマなどの幅広いジャンルの作品の楽曲を担当してきたMAYUKOが担当している。原作連載開始から10周年という節目の年でのTVアニメ化だった。

世界を滅ぼすべく、悪の王の片腕、そして悪の組織を裏で牛耳る悪の参謀・ミラは悪の組織から世界を守るため戦う魔法少女・深森白夜(みもりびゃくや)に一目ボレしてしまう。本来敵対するはずだった二人は戦うことなく、ミラが持ってきたお菓子で公園でお茶をすることが日課となる。その二人のやり取りを主として、ミラの悪の組織での出来事やもう一人の魔法少女・篝火花(かがりひばな)の話など、個性豊かなキャラクター達が織りなす日常をそれぞれの視点で楽しむことができる。いじらしくてかわいい主人公ふたりの心情が繊細に描かれている作品である。

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』のあらすじ・ストーリー

ミラと白夜の出会い

地上侵略を目的とし、地上を攻撃していたミラを止めるため、魔法少女である深森白夜(みもりびゃくや)が戦いに来た際にミラが白夜に一目ボレをしてしまう。その後、ミラがシフォンケーキを手土産に白夜を訪れ、公園のテーブルで二人でお茶をするようになる。ミラは「敵に塩を送るあれだよ」と発言し、体裁を取り繕っているが、白夜は「参謀さんは器が大きいんですね」とミラの優しさだと思っている。その際、白夜の言葉に悶えてしまうミラは「胸が苦しい」と言っており、その4コマ漫画の隣には、「悶デレ悪の参謀」と記載された。ミラが悶えるたび、白夜は体調が悪いのか、悪の帝国の人と人間は違うからかといった鈍感さを発揮している。白夜はミラの持ってきたお菓子以外をあまり口にしておらず、もう一週間水しか口にしていないという趣旨の発言もしており、白夜が「薄幸魔法少女」ということが定着した。
ミラは悪の組織に帰還した後も、白夜のためのお菓子を準備したり、白夜にもらったものを大事にしたり、悪の参謀としてあるまじき行為をしてしまい、悪の組織内で魔法少女にご執心という噂まで経ってしまう。ミラはごまかしているが、魔法少女にご執心であることは事実であるため、言葉を返すことができなかった。ミラ自身も我々は敵同士なんだと言い聞かせているが、白夜を前にすると冷静になることができなかった。

少しずつ仲が深まる二人

悪の王の勅命で、魔法少女討伐の任務を悪の組織の幹部の一人であるフォーマルハウトが補佐することになった。しかし、ミラは邪魔でしかないと考え、フォーマルハウトを消すことを考える。フォーマルハウトは明るく、情熱的な性格であるため、熱心に白夜に対してアクションを起こすが、そのたびにミラの逆鱗に触れてしまう。フォーマルハウトに対し、「白夜がミラに対してのみ、表情を和らげ、会話を試みること」を説明した。その際、白夜にとってミラが特別だということをミラ自身が自覚し、悶えることになる。ミラはフォーマルハウトの動くものを追う習性を利用して、白夜と二人きりになる。お互いに敵同士だという自覚が足りないとミラは考えるが、白夜はミラのことを知ることができて嬉しいと感じていた。
白夜が悪の組織に捕まった際も、なんとかミラが白夜を逃がしたが、その際白夜は気を失ってしまう。白夜は人に甘えることや、何かを望むことをしないため、ミラはそんな白夜をもどかしく思っていた。だから、ミラは白夜に甘えてもいいのだという態度を示すことで、ミラも白夜もお互いに素直な気持ちを少しずつ見せるようになった。

新たな魔法少女、篝火花(かがりひばな)が登場

篝火花(かがりひばな)は恥ずかしがり屋で、すぐに手が出てしまう、口癖が「フ★ック」である、魔法少女に憧れる女の子だった。魔法少女を導く御使い(鳥)(みつかい)と契約し、魔法少女になるが、変身するのが恥ずかしいことから、素手で悪の組織に立ち向かったり、魔法じゃなく物理攻撃を行ったりした。
火花がミラと遭遇するや否や、ミラに瞬殺されてしまう。ミラは魔法少女の同胞を葬ってしまったことに罪悪感を感じ、白夜に会いに行かず、距離を置いた。白夜もミラも毎日お互いのことを考えていた。そんな中、仕事に手がつかないため白夜のもとを訪れたミラは、白夜がほかの魔法少女との関係が一切ないことを知る。白夜は一部始終を聞き、魔法少女の訃報よりも、ミラが無事だったことに安心した。そんな白夜をミラは抱きしめてしまう。そのとき、倒されたはずの火花が現れ、火花と白夜が同級生であることが判明する。ミラは二人が密接な関係であることに再び罪悪感を抱く。しかし白夜は火花に会うたびに頭突きやラリアットをされるため、火花のことを恐れていた。
そこに現れた御使い(鳥)が白夜にその男を愛しているのだろうと問いかけ、白夜は自覚していなかった感情に戸惑いを見せる。敵同士でありながら、愛し合う二人を御使い(鳥)は認めていないが、火花の「魔法少女は愛を守るためにある」という発言から、御使い(鳥)は「愛無くして世界の平和など成り得ない、火花…君に気づかされたよ」と言い、火花と御使い(鳥)は帰っていった。

一緒に過ごす時間の幸せを噛みしめる二人

白夜を魔法少女にした御使い(猫)(みつかい)の提案で、魔法少女の決め台詞をいうことになった白夜。その決め台詞は「ハピハピハピネース!薄幸パワーで最底辺に道連れよ☆」である。白夜がミラと会った際に、タイミングを逃したので明日やると言ったが、ミラが今からやろうと言い、白夜は魔法少女としての仕事だからと真面目に披露する。それを見たミラは大爆笑し、3回ほど決め台詞をやらせた。また、魔法少女の魔法を見せようとするが、それは不幸を幸にする魔法であった。ミラの手では白夜を不幸にすることができなかったため、うまくいかなかった。
ミラと白夜は別れた後、白夜は「参謀さんと居ると私ばかり幸せになってしまう、この日々に幸福を感じている」と思っており、ミラも「その日々に幸福を感じている」と思っていた。

悪の組織に囚われた白夜とミラ

再び捕まってしまった白夜は、悪の組織の中でも限られた人しか入ることができない、第一級の危険人物だけが収容される塔に監禁されてしまった。白夜は御使いのことをあらいざらい吐き、人体実験をされる予定であるが、ミラによって監禁部屋はふかふかベッドにたくさんの娯楽、かわいい生き物がいる快適な空間となっていた。毎日白夜の元に訪れるミラであったが、その任務は拷問をして情報を引き出すことである。しかし、いつも通りお茶をし談笑する日々となっていた。ミラはサダルスウドに自白剤を渡され、決着をつけるよう促される。サダルスウドは「マッドサイエンティスト」と呼ばれる悪の組織の幹部の一人である。ミラが白夜を訪ねると、白夜は眠っていた。寝ている白夜に自白剤を打ったミラだったが、夢を見ている白夜の寝言に翻弄され、夢の内容が気になってしまう。そしてミラは、御使いのことを聞くという本来の目的を見失ったあげく、自らの手で問い詰めたいと考えたのだった。

スピカは悪の組織の幹部の一人で、低身長、かわいらしい見た目で、人をよくからかっている人物である。また、アルキオネは悪の組織の幹部の一人で、性別は男であるが、心は女性でスピカと仲のいい人物である。スピカにミラは案外本当に魔法少女にご執心じゃないかと問われごまかすが、アルキオネにいっその事悪の王に話をつけ、褒美として白夜をもらい受けてはどうかとの提案を受ける。そのことを白夜に話すが、白夜は女性の捕虜を囲うということがあまり理解できていなかった。ミラが「目的は体を慰める為だろう」と、白夜をもらい受けるという旨を話している際にはっきりと言ってしまう。白夜は慰めるという意味を落ち込んでいるところを慰めるといった趣旨の理解をしたため、「そんな事でいいなら」と同意してしまう。ミラと白夜の中で誤解が加速していくが、ミラが話がかみ合わないことに気づいた。そのとき、白夜がミラの頭を撫で、「慰めてます」と言ったことによって、ミラは誤解していたことに気づくことができた。

心理テストを楽しむ悪の組織の幹部たちと白夜

スピカが「貴方は宇宙船に乗っています。数々のトラブルに見舞われた後なんとかどこかの星に不時着しました。そこで一言貴方が漏らした言葉は?」という心理テストをアルキオネに聞く。この心理テストの回答は「事後の感想」であるが、アルキオネは知っており、「遭難するならスピカとが良い」とスピカをからかった。他の幹部の答えはベラトリックスは「死ぬかと思った」、ミラは「さて、ここからだな…」、サダルスウドは「もう帰っていいか?」、フォーマルハウトは「色々あったが、素晴らしい体験ができた…。俺はこの日を生涯忘れない」と答えた。ベラトリックスは悪の組織の幹部の一人で、妄想癖を持っている真面目な女性だ。次の心理テストは二つ四字熟語を思い浮かべると、一つ目が人生、二つ目が恋愛を表しているというものだった。アルキオネは「円転滑脱、獅子奮迅」、ベラトリックスは「無味乾燥、臨淵羨魚」、ミラは「順風満帆、千慮一失」、サダルスウドは「慷慨憤激、有害無益」、フォーマルハウトは「情熱大陸」と答えた。それぞれの性格や考え方が存分に表現された。
白夜の元へミラが向かうと、先にフォーマルハウトが来ていた。ミラが白夜に私以外の者を入れるなと注意する中、フォーマルハウトが「俺は間男か?」と発言した。ミラを待っている間にフォーマルハウトが白夜に対して、心理テストを行っていた。宇宙で不時着した際の白夜の答えは「(一緒に乗ってた)相手が参謀さんで良かった…」であった。ミラはそんな白夜に「寧ろ私以外の者と遭難など決して許さない」と発言しており、心理テストの意味を知っていながらそんなことを言うミラを見つめ、フォーマルハウトは呆然としていたのだった。

『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』の登場人物・キャラクター

主要人物

ミラ

出典: www.fwinc.co.jp

CV:小野友樹(ドラマCD・テレビアニメ)

本作の主人公。
悪の王を筆頭にあらゆるものを侵略し、あらゆるものを滅ぼす残忍にして狡猾な悪の組織に属しており、王の片腕たる悪の参謀。組織を裏で牛耳るまさに悪の権化であった。悪のエリート一家に生まれ、悪のエリート人生を送ってきた。悪の組織は悪の帝国にあり、そこから地上にやってくる。
悪の組織では、地上侵略を目的として魔法少女討伐任務を任されている。
地上侵略を止めるため、戦いにやってきた白夜に一目ボレをしてしまう。それ以来、お菓子などのお土産を白夜に持ってきて、二人でお茶をするようになる。白夜の言葉や振る舞いに翻弄されるばかりで、挙動不審になっており、その様は「悶デレ悪の参謀」と言われている。
黒髪で長い前髪と眼鏡が特徴的である。白夜の行動に対して、ひどく動揺したときや、歓喜した際に、眼鏡がよく割れる。

深森 白夜(みもり びゃくや)

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