刻刻(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『刻刻』とは堀尾省太によって、『増刊モーニング2』に2008年から2014年まで不定期連載されていたSFサスペンス漫画、および漫画を原作としたアニメ作品である。主人公である佑河樹里は、ある日兄と甥を誘拐したという脅迫電話を受ける。2人を助けるため祖父は止界術を使い、時が止まった世界へと行くがそれは誘拐を指示した宗教団体の罠だった。窮地に追いやられる樹里だが、隠れていた不思議な能力が発動する。予想できない展開と刻々と変わる状況に目が離せない、最後まで引き込まれる物語である。

じいさんが止界術を使い霊回忍(タマワ二)と融合する際に発した言葉。「衛盒(えいごう)」と唱えることで任意に霊回忍(タマワ二)と融合することができる。おそらくじいさんが祖父から教えられた言葉であろう。この場面以外でも数回発している場面が出てくる。融合するだけではなく、自身から出ていこうとする霊回忍(タマワ二)を、体に留めるためにも唱えている。
この瞬間から世界は止まり、6時59分の世界が始まる。どれだけ時間を費やしても、現実の時間ではわずかほども経過しない閉ざされた空間に入る。止界術の継承者として、自分の孫たちには伝承しないと決めたじいさんが、不測の事態に対して使わざるを得なかったこと、これから説明しなければいけない多くのことに対する不安と決意のこもった言葉になっている。

樹里がじいさんを助けるため自身が止界から出られなくなるのを顧みず石を破壊するシーン

樹里が佐河を追い詰めるため自身が止界から出る唯一の手段である石を破壊した瞬間。樹里の覚悟の強さがわかる。

赤ん坊になった佐河を育てる樹里の強さ

佐河が赤ん坊となり樹里がそのまま育てる。憎むべき相手だったが佐河の記憶も意思も引き継がないこの子供を実の子のように愛情をかけて育てた。

『刻刻』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

樹里はアニメ版では21歳で次女の設定

原作では28歳で長女の設定だが、アニメ版では21歳の次女という設定になっている。また、真の母親である佑河早苗は21歳のシングルマザーだった。この改変について大橋誉志光監督は「企画時の視聴者層のターゲットが20歳前後なので、原作での30歳近い女性よりも、大卒で、よりターゲットに近い年齢のほうが共感を得やすいだろうという判断です。また、ラストシーンにも関わることなんですけど、この年齢のほうが最後の選択がより重たい決断になるかなという狙いもありました。もちろん原作サイドにも『こういう意味で変えています』と確認を取った上でやっています」(https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1516155372)と言っている。
樹里の年齢が若くなった分、樹里から受ける印象も多少変わっている。原作よりも感情が表面に出やすくなっていたり、原作では樹里が話していたところがじいさんのセリフになっていたりする。樹里のカッとなる性格がより描きやすくなり、その分じいさんの冷静さを出しやすくなったと言える。監督の言う通り、最後の選択を、21歳と28歳でどう印象が変わるのかも注目したい。

後日談として『番外編-300日後-』が掲載

番外編として、300日後のある日が描かれている。
樹里たちが止界から出た後どうなったかが、マリヤが勤めるキャバクラ内の客同士の会話を通して語られていく。ライターの男がある宗教団体の失踪事件を調べており、それをテレビ番組にする企画が出ていた。その団体こそが実愛会であり、失踪したのが教祖と副代表を含む4人となっている。そしてその近辺でおかしなことが同時多発したという。これこそが佑河家と佐河側が争った形跡で、止界で行われたが故に同時に起こった出来事として現実世界に出現していた。実愛会は失踪事件の3か月後に解散したと言われている。
ライターの男は推測で佑河家の存在を示し目星までつけていたが、それを横で聞いていたマリヤが能力を使い脅し、佑河家に手が出ないようにした。

『刻刻』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):MIYAVI vs KenKen「Flashback」

作詞:Lenny Skolnik・MIYAVI・KenKen
作曲:Lenny Skolnik・MIYAVI・KenKen
歌唱:MIYAVI・KenKen
「Flashback」はギタリストのMYAVIとベーシストのKenKenが作詞作曲、歌唱を担当した楽曲で、2017年11月8日にリリースされたMIYAVIのニューアルバム、「SAMURAI SESSIONS vol.2」に収録されている。
MIYAVIは「痛み、もどかしさ、やるせなさ、無力感を表現した」、「『淡々と、刻が、流れていく』という、無情で暴力的な側面をオーケストレーション・ヒットと共に形にした」とコメントしている。
どこか不安に駆られるような、そして心地いい曲調は、刻刻の世界観と見事にマッチし、日本語と英語が入り混じった歌詞は、時の止まった世界で次々と変化していく展開を彷彿とさせる。

ED(エンディング):ぼくのりりっくのぼうよみ「朝焼けと熱帯魚」

作詞:ぼくのりりっくのぼうよみ
作曲:ササノマリイ・ぼくのりりっくのぼうよみ
編曲:ササノマリイ
歌唱:ぼくのりりっくのぼうよみ
ぼくのりりっくのぼうよみの「朝焼けと熱帯魚」は、2017年11月22日にリリースされた、ぼくのリリックのぼうよみの3rdアルバム「Fruits Decaying」に収録されている。
ぼくのりりっくのぼうよみは「『朝焼けと熱帯魚』は違和感を伴う日常を描いた曲ですので、とても合うと思います」と語っている。
大切な人と同じ季節を過ごすも、別れの時が来てしまい揺れる心の繊細さを表現しているこの楽曲は、心地いいメロディーに合わせて樹里と間島の対比が美しいエンディング曲となっている。

tsujimo
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@tsujimo

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