桃組プラス戦記(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『桃組プラス戦記』とは、左近堂絵里により2005年から『月刊Asuka』で連載を開始した学園アクション漫画。2017年からは『コミックNewtype』へ移籍した。謎の超マンモス学校に転校してきた桃園祐喜は、転校早々に自身が「桃太郎」の生まれ変わりであると告げられる。長年苦しんできたトラブル吸引体質の原因が鬼からの呪いであり、このままでは18歳までに死んでしまうという。体質のせいでずっと孤独だった主人公が、やっとできた友人たちと共に己の運命を覆すために奮闘する物語である。

物語の舞台となる、愛譚市の中央の高台に建設された巨大学園都市。
幼稚舎から大学院まであり、選び抜かれた生徒・教員関係者合わせて1万5000人のマンモス校である。
様々な学科の校舎や広大な土地を収容し、なおかつテーマパークやデパートなどの娯楽施設や生徒の寮までをも完備している。
数多くの歴史的な人物の生まれ変わりが在籍しているが、一般生徒はこの生まれ変わりについて一切認知していない。
この学園の正体は現代版の鬼ヶ島であり、神である声が作らせた鬼が守り鬼が治める場所である。

言霊

桜鬼である鴇羽の能力。
言葉を現実にする力であり、それにより強化や治療まで行うことができる応用の幅が広い能力である。

『桃組プラス戦記』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

高猿寺咲羽「勝つ事の反対は、1歩も歩こうとしないことだよ」

咲羽の言葉に励まされる祐喜

トラブル吸引体質のせいで五感のトレーニングがなかなか進まず、せっかく誘ってくれたのにと落ち込む祐喜を咲羽が励ましたときの言葉である。
勝つ事の反対とは何かと問うた後、「勝つ事の反対は、1歩も歩こうとしないことだよ」と祐喜はずっと頑張って歩み続けていると伝え、けっして無駄ではないと元気づけるのであった。

生きることを諦めきっていた桃太郎が桜鬼との生を望んでしまった瞬間

桃太郎の言葉に涙する桜鬼

いつかの代の桃太郎と桜鬼が織りなす過去の約束の話である。
生きることをすっかり諦めきっていた桃太郎に生きたいと思わせることを兄の敵討ちとした桜鬼だったが、残り少ない日々を過ごす中で互いに心を通わせていく。
期限が残り2日となった時に、桃太郎から「生きてぇな。もっとお前と生きてぇよ」と臨んだはずの言葉を引き出した桜鬼だったが、もうすでにただの敵討ちではなくなていた桜鬼にとっては心を抉る言葉に等しかった。
ただただ愛しいと涙を流す桜鬼の悲しい名シーンである。

自分の身を顧みずに祐喜の治療をしながら、名を呼んでもらえない悲しみに涙する鴇羽

祐喜にすがりながら名前を呼んでと涙する鴇羽

7日間の互いの命をかけたゲームの最中、暴走した鴇羽と咲羽の攻撃の間にたち鴇羽をかばった祐喜は重傷を負ってしまう。
身の丈以上の言霊を使用したせいでその利子が膨れ上がって自身に返ってきた鴇羽は満身創痍であったが、それでも祐喜の治療をやめることはなかった。
「桃太郎はあたしの獲物なの。私の手であの人じゃない桃太郎は殺す」と瀕死になりながらも治療を続けようとする鴇羽が、意識のない祐喜にすがりながら自分の名前を呼んでと涙する心打たれるシーンである。

トラウマを乗り越えて祐喜を信頼するこうじ

こうじの信頼に迷いなく答える祐喜

主をもつことでその力を行使することができる福録獣であり、そのレア中のレアである黄金福録獣は互いの信頼が釣り合わないと契約自体に危険が伴う。
過去に契約に失敗してとある獣基の腕を弾き飛ばしたことがトラウマになっているこうじだったが、祐喜はその信頼に応えて迷いなく手をとるのだった。
命の危険が伴うことを承知で迷いなく信頼を返してくれた祐喜のまっすぐさにこうじが涙する感動のシーンである。

小鬼たちのために祐喜と約束をする白霓

祐喜(左)と約束をする白霓(右)

声によって体を殺されて魂だけとなった状態で幼き日の祐喜に出会った白霓は、その心が壊れかけていることに気づく。
大切にしてきた小鬼たちと変わらない年で、本来なら笑って守られているはずの子供1人に小鬼たちの運命がかかっていることに白霓は涙する。
そして、いつかの約束として「小鬼たちを助けてやってくれ。殺す以外の方法を考えて、できたら友達になってやってほしい。それさえ叶えてくれるなら君は俺が守る」と伝え、了承した祐喜の初めての友達となり祐喜の中に匿われるのだった。
もはや魂だけの状態になっても小鬼たちの幸せを願い、ここで祐喜を殺せば今代の鬼たちが戦うことはないのに祐喜を見捨てることができなかった白霓のやさしさが伝わるシーンである。

高猿寺狸花「凪いだ風を探すあの手が掴みとるものが喜びに満ちた生でありますように。祐喜、どうか幸せに」

祐喜を守るために最後まで戦った狸花からの手紙

祐喜を守るために敵と戦って寝たきりとなってしまった母からの手紙の最後の一文。
「凪いだ風を探すあの手が掴みとるものが喜びに満ちた生でありますように。祐喜、どうか幸せに」と母から子へ渡せる唯一の贈り物である名前と、ただただ幸せになって欲しいという心からの願いを込めた一文である。
純粋で誠実な言葉であるとともに、ひたすらに子の幸せを願う感動のシーンでもある。

『桃組プラス戦記』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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