SOUL CATCHER(S)(ソウルキャッチャーズ)のネタバレ解説・考察まとめ
『SOUL CATCHER(S)』(ソウル キャッチャーズ)とは、神海英雄による学園・音楽漫画。公式略称は「ソルキャ」。吹奏楽や指揮がテーマの作品である。2013年に集英社の『週刊少年ジャンプ』にて連載を開始。その後、『少年ジャンプNEXT!!』での連載を経て、『少年ジャンプ+』に移籍し完結している。
主人公・神峰翔太は人の心が見えるという特殊な体質を持っていた。それ故に人間関係に臆病だったが、自身が通う鳴苑高校吹奏楽部の刻阪響と出会って指揮者として吹奏楽部に入部してから世界が一変し始めた。
『SOUL CATCHER(S)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
伊調剛健「グッドじゃない 最高(ファンタスティック)!!」
「天籟WF」で全ての学校の演奏が終わり、伊調剛健の総評になった時、剛健は他校に優しくアドバイスを送った。しかし鳴苑高校の神峰に対してだけは終始厳しい言葉を向ける。神峰翔太は無茶な指揮の振り方をして指揮台から落ちてしまったため、それを含め叱責を続ける剛健に会場はざわめいた。神峰もこっぴどく怒られ徐々に自信をなくしていく。そして剛健は最後を「グッドじゃない 最高(ファンタスティック)!!」と締めくくった。叱責の最後の最後に急に出てきた褒め言葉に神峰を始め、会場はポカンとなる。ただ1人、剛健の孫の鋭一だけは、ことの重大さがわかっていた。
剛健は期待を寄せるものにほど厳しい指導をする。そして「天籟WF」では鋭一への厳しい言葉はなく、厳しい言葉を送られたのは神峰だった。それは剛健から送られる最高の誉である。鋭一はこの事実を受け、ますます神峰をライバル視するようになっていくのだった。
この剛健の言い回しは最終回にも登場する。全国大会での演奏が終わり、鳴苑高校は金賞を獲得。そのことを刻阪と2人で神峰が噛み締めていると、いきなり鋭一が現れた。鋭一はこれからも神峰に音楽を続けるようにと、勝ち逃げは許さないと言う。そして最後、神峰に「君の今日の指揮!!全然良くなかった!!最高だった(ファンタスティック)!!!なんてね」と言って去っていく。
この言い回しは読者にも広く浸透しており、『少年ジャンプ+』のコメント欄でも「全然良くなかった。最高だった。」とけなしておいて、最後に「最高だった」と締めくくるものが多く見られた。
『春よ、来い』に引き出された「桜の音」
伊調剛健主催の「スプリングコンサート」で、神峰は最後まで自分を認めてくれないトロンボーンパートリーダーの金井淵涼を味方につけるために、とある策を講じた。それは金井淵や管崎舞、星合美子、川和壬獅郎、そして金井淵が罪の意識を向ける管崎咲良を巻き込んでのアンサンブルの演奏だった。曲目は松任谷由実の『春よ、来い』。この曲は金井淵達が中学時代に演奏して、聞くものを魅了した曲である。その頃はまだ咲良が事故に遭う前で、金井淵達の関係は今のような歪なものではなかった。神峰にとってもこれは賭けであり、これによって金井淵の心を救えるかはわからなかった。しかし神峰のたどたどしいピアノに乗せた『春よ、来い』は会場で聞く他校生の心を掴むことに成功。誰もが知るメジャー曲だったため、会場では歌い出す生徒も続出。演奏を聞いている人間の心が1つになる。それこそが金井淵達がずっと目指してきた「桜の音」だったのだ。これにより金井淵達の歪な関係は終わり、彼らは再び心からの笑顔を取り戻したのだった。
神峰の笑顔と「虹の音」
全国の強豪校が揃い集う吹奏楽コンクール全国大会。鳴苑高校が演奏する頃には、会場はそれまでの他校の演奏の余韻に支配されていた。その中で鳴苑高校の奏者達は演奏に苦戦する。そんな中、タクトを振る神峰は楽しくて仕方がないというように笑顔だった。その笑顔に勇気づけられ、鳴苑高校の奏者達は最高のパフォーマンスを発揮する。その演奏は観客の心に響き、観客達はそれぞれ何かを感じ取っているようだった。通常、音楽を聞くことで何か別のものを見たり感じたりする能力は共感覚(シナスタジア)と呼び、誰もが持っているような能力ではない。しかし観客たちは皆一様に鳴苑高校の演奏に虹を見た。その虹は7色だったり、5色だったり、もっと多かったり少なかったり、人それぞれだ。それは音楽とは聞くものにより異なる感想を持ち、それぞれに好きなところが好きなだけあるということを表していた。それこそが神峰が目指していた「虹の音」なのだ。この「虹の音」を持って、鳴苑高校は長年の悲願・全国大会出場、金賞獲得を叶えたのだった。
『SOUL CATCHER(S)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
プロトタイプは『少年ジャンプNEXT!』の読切漫画
『週刊少年ジャンプ』の連載版『SOUL CATCHER(S)』(ソウル キャッチャーズ)は、『少年ジャンプNEXT!』2012 AUTUMNにて掲載された同タイトルの読切漫画が元となっている。読切版の話の筋は連載版『SOUL CATCHER(S)』の第1話とほとんど同じ。大きく異なる点は、神峰や刻阪が助けるのが刻阪の幼馴染の滝沢桃子ではなく、刻阪の姉の楓である点。この読切版の『SOUL CATCHER(S)』は、単行本8巻に収録されている。
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目次 - Contents
- 『SOUL CATCHER(S)』の概要
- 『SOUL CATCHER(S)』のあらすじ・ストーリー
- 神峰翔太と刻阪響との出会い
- 指揮者として吹奏楽部に入部
- 伊調鋭一との出会い
- 天籟ウィンドフェス
- 桜の音
- 全国大会へ
- 『SOUL CATCHER(S)』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 神峰翔太(かみね しょうた)
- 刻阪響(ときさか ひびき)
- 鳴苑高校(めいえんこうこう)
- 奏馬俊平(そうま しゅんぺい)
- 音羽悟偉(おとわ さとい)
- 打樋透(うてび とーる)
- 歌林優菜(かりん ゆうな)
- 御器谷忍(みきたに しのぶ)
- 邑楽恵(おうら めぐみ)
- 吹越花澄(ふきこし かすみ)
- 木戸雅(きど みやび)
- 金井淵涼(かないぶち りょう)
- 管崎舞(かんざき まい)
- 星合美子(ほしあい よしこ)
- 川和壬獅郎(かわわ じんしろう)
- 弦野政彦(つるの まさひこ)
- 演藤さやか(えんどう さやか)
- 谺夕子(こだま ゆうこ)
- 竹風高校(たけかぜこうこう)
- 伊調鋭一(いちょう えいいち)
- 律田定義(りった さだよし)
- 譜久原真由子(ふくはら まゆこ)
- 黒条善人(くろじょう よしひと)
- ソニトゥス学院高校(ソニトゥスがくいんこうこう)
- 吹越聖月(ふきこし みづき)
- 曲山・クリストファー・晴海(きょくやま・クリストファー・はるみ)
- 天籟高校(てんらいこうこう)
- 重松宏(しげまつ ひろし)
- 弾徹也(だん てつや)
- 琴城柚子(きんじょう ゆず)
- 田丸(たまる)
- 群馬県外の高校の生徒
- 叉山一誠(さやま いっせい)
- 叉山捷(さやま さとし)
- 室節広大(むろふし こうだい)
- 符波有愛(ふなみ ありあ)
- 拍堂悠人(ひょうどう はると)
- 詩村京也(しむら きょうや)
- 唄方幸乃(うたかた ゆきの)
- その他
- 滝沢桃子 (たきざわ ももこ)
- 伊調剛健(いちょう ごうけん)
- 刻阪楓(ときさか かえで)
- 管崎咲良(かんざき さくら)
- 西口実理(にしぐち みり)
- 邑楽尊(おうら たける)
- 『SOUL CATCHER(S)』の用語
- 全日本吹奏楽コンクール(ぜんにほんすいそうがくコンクール)
- ダメ金(ダメきん)
- 三出制度(さんしゅつせいど)
- 共感覚(シナスタジア)
- 吹奏楽ジャーナル(すいそうがくジャーナル)
- 天籟ウィンドフェス(てんらいウィンドフェス)
- 虹(にじ)
- 『SOUL CATCHER(S)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 伊調剛健「グッドじゃない 最高(ファンタスティック)!!」
- 『春よ、来い』に引き出された「桜の音」
- 神峰の笑顔と「虹の音」
- 『SOUL CATCHER(S)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- プロトタイプは『少年ジャンプNEXT!』の読切漫画