Eastward(イーストワード)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Eastward』とはChucklefishから公開された、美麗なピクセルアートで廃墟世界を表現したアクションアドベンチャーゲーム。「タタリ」という厄災によって滅びかけた世界を、料理上手で寡黙な男と不思議な力を持った少女が列車に乗って冒険するストーリーだ。
細部まで徹底的に拘り抜かれたドット絵で表現される終末世界と、個性的で表情豊かなキャラクターが魅力。
対応プラットフォームはSteamとNintendo Switchだ。

『Eastward』(イーストワード)の概要

『Eastward』とはChucklefishから公開された、美麗なピクセルアートで廃墟世界を表現したアクションアドベンチャーゲーム。「タタリ」という厄災によって滅びかけた世界を、料理上手で寡黙な男・ジョンと不思議な力を持った少女・珊(サン)が列車に乗って冒険するストーリーだ。対応プラットフォームはSteamとNintendo Switch。
細部まで徹底的に拘り抜かれたドット絵で表現される終末世界と、個性的で表情豊かなキャラクターが魅力だ。コミカルで明るいキャラクターたちとは裏腹に、シビアな世界観と過酷なストーリーが繰り広げられる。
2023年冬のホリデーシーズンに大型DLC「よみがえれ!カモメ町」がリリースされた。「タタリ」とは無縁のパラレルワールドを舞台に、ジョンと珊が農業や町の復興、住民との交流を楽しむというコンテンツだ。

『Eastward』(イーストワード)のあらすじ・ストーリー

ポットクロック島

ポットクロック島を歩くジョン(中央左)と珊(中央右)。

「タタリ」という災害が世界を覆いつくそうとしている終末世界。タタリから逃れて地下に向かった人々が作った「ポットクロック島」という村があった。主人公のジョンはポットクロック島の炭鉱夫として働く、ひげもじゃで寡黙な男だ。あるときジョンは仕事中に、不思議なカプセルに入った少女・珊(サン)を発見する。ジョンが見つける前のことを何も覚えていない珊は、そのままジョンと暮らし始めた。世間知らずだが天真爛漫な珊と、無口だが優しく料理上手のジョンはよい家族になっていった。
ポットクロック島では地上の話をすることは禁忌とされている。タタリによって滅んだ恐ろしい場所だからだ。地上に夢を見る人間は愚か者とされ、「美しい地上を見た」と言って村を出ていった男・ウィリアムの息子のダニエルは学校でひどい苛めにあっていた。他の子ども達と同様に学校に行くことになった珊は、ダニエルを苛めから助けて仲良くなる。
珊には「地上には美しい空と大地がある」という確信があり、ジョンにそれを見せてあげたいと思っていた。禁忌を破って外に出てしまった珊とジョンは専制政治を敷いているホフマン町長に目をつけられ、追放処分を受けることになってしまう。村の外れに通っている線路にやってくる怪物のようなもの(列車)に入れられて、珊とジョンは外の世界へと旅立った。

グリーンバーグ

グリーンバーグを歩くジョン(中央左)と珊(中央右)。

ジョンと珊を乗せた列車は、青く澄み渡った空と、瑞々しい緑に覆われた大地の中を走っていった。やがて列車は駅に停車し、ジョンと珊が下車すると列車は去っていった。
駅は緑豊かな山の中にあった。ジョンと珊が森の中を歩いて行くと、ひとりの女性に出会った。彼女はユヴァといって、近くにある村「グリーンバーグ」に住んでいるという。ユヴァはジョンと珊をグリーンバーグに連れていき、住民たちに紹介した。村は農業と畜産業を生業としており、素朴で穏やかな住民たちが暮らしていた。ジョンと珊は住民たちに歓迎され、仕事を手伝う。家畜を荒らす生物の調査を依頼されたジョンと珊が森の中を進んでいくと、大きなロボットが襲い掛かってきた。ロボットが出てきた建物の中にはかつて珊が入っていたカプセルに似た機械が並んでおり、「ブリーダーロボット」というロボットが働いている怪しげな施設だった。
ジョンと珊は収穫祭に参加し、楽しい時間を過ごす。ユヴァは寡黙だが心の優しいジョンに惹かれているようだった。だがその日の深夜、異変が起きる。村はずれの家にいたジョンと珊のもとに見たことのない金髪の女性が訪れ、「タタリがきている、すぐに駅まで逃げて」と言うのだ。ジョンと珊は村人たちのことを女性に任せ、触れるだけで人間を死に至らしめるタタリをかわしながら駅へ走った。さらに、意識を失った珊の脳裏に別の人格のようなものが現れる。
駅へ辿り着いたジョンと珊はやってきた列車に乗り込んだ。村人は誰一人として助からなかった。目を覚ました珊は不思議なことにグリーンバーグのことをすっかり忘れており、自分たちはポットクロック島を出たばかりだと思い込んでいた。

ダム城

アルヴァ(中央上)の手伝いをすることになったジョン(中央左下)と珊(中央右下)。かたわらでイザベルが見守っている(右)。

ジョンと珊はクリスタルレイクという巨大な湖のほとりにある大きな街「ダム城」にやってくる。個性豊かなたくさんの住民が豊かに暮らしている、活気のある街だ。ジョンと珊はここで、グリーンバーグで異変を知らせてくれた女性イザベルに再会する。イザベルは街の住民たちから「騎士」と呼ばれており、「姫」と呼ばれて慕われている天才発明家の女性アルヴァと共に、タタリに立ち向かっていた。アルヴァはジョンと珊を迎え入れ、一緒にタタリに対抗する術を探すことになる。
ジョンと珊はアルヴァに頼まれた探しものや調査をこなしながら、街の住民たちと親しくなっていく。ダニエルというロボットを連れた詐欺師のウィリアムにジョンと珊は何度も騙されるが、腐れ縁のような関係になっていった。また、街を裏から支配している権力者のリーとは当初対立していたが、ジョンの料理の腕前に感服したリーはアルヴァたちと全面的に協力してタタリに立ち向かうことになる。
ジョンがグリーンバーグの夢を見た日、ダム城をタタリが襲った。ジョンが珊と共にモンスターと戦っていると、ソロモンと名乗る少年が現れる。彼は珊を「マザー」と呼び、タタリで人々を滅ぼそうとしているようだ。
アルヴァは先代の頃から準備していた巨大な装置とリーのリーダーシップによって、街をタタリから守ることに成功する。だがジョンと珊が合流した時、アルヴァは大怪我をして意識を失っていた。イザベルはひどく取り乱し、「アルヴァを助ける」と言って街を捨て、ロケットで「未来」という場所へ向かってしまった。
珊はグリーンバーグでの出来事を思い出していた。「自分はタタリと関係がある」と確信した珊は、タタリの謎を解くためにイザベルの後を追って旅立つことを決意する。ジョンと珊はダム城のことをリーに任せ、ウィリアムの機関車に乗って東へと旅立った。

未来

「未来」の街を歩くジョン(中央右)と珊(中央左)。街には常に霧がたちこめている。

ウィリアムは珊とダニエルが寝静まった車内で、ジョンに「ダニエルはどうしてる?」と尋ねる。ウィリアムはポットクロック島にいたダニエルの父親だったのだ。
ジョンたちは時空の歪んだ霧の中に迷い込み、ふたたびソロモンと戦う。ソロモンを倒した後、イザベルが乗っていたロケットを発見した一行は、ロケットの推進力を使って霧を抜け出すことに成功した。
無事、「未来」の街に到着した一行だったが、未来は街ぜんたいが時間磁場にとらわれ、同じ日をループし続けている場所だった。ジョンと珊はこの街で、「ロケット騎士団」を名乗る5人の老人達に出会う。彼らはソロモン以外で初めて、珊の過去を知っている人達だった。彼らはタタリを止めるため、カプセルの中の珊に希望を託してポットクロック島へ送り出したのだった。ジョンと珊はロケット騎士団に頼まれて、時間磁場を作り出しているソロモンがいる「永遠の塔」へ向かう。ソロモンとの激闘を制したジョンと珊だったが、ソロモンが倒れて時間磁場が消えるということは、ロケット騎士団や街の人達との別れを意味していた。
悲しみに暮れる間もなく悲劇は続く。最後の悪あがきをしたソロモンの攻撃からジョン、珊、ウィリアムを守って、ダニエルが大破してしまったのだ。友達の死に激しく動揺した珊は、残酷なもうひとつの人格に体を乗っ取られてしまう。珊はタタリをふりまく列車「カロン」に乗り込んで、ジョンの元を去っていった。ジョンは珊を助け出すため、カロンの後を追う。

カロン

東へ向かう列車を待っているジョン(左)と少女(右)。

カロンに乗り込んだジョンの前には、とても列車の中とは思えない空間が広がっていた。ジョンは夢とも現実ともつかないその場所で、珊の後を追い続ける。珊はタタリの根源であり、人間を生み出す工場でもあるカロンを支配する「マザー」だった。ジョンと過ごしてきた人間が大好きな珊と、人間を滅ぼすことを望むマザーとしての珊の意思は激しくぶつかり合っていた。
カロンの奥へと進んだジョンの前に、イザベルが現れた。アルヴァを失ったことで正気でなくなったイザベルの背後には、培養カプセルに入った大量のアルヴァのクローンが並んでいる。イザベルはアルヴァを守るため、カロンを止めようとするジョンに斬りかかる。戦闘に特化して作られたイザベルと多くの戦いを切り抜けてきたジョンは激しい戦闘を繰り広げるが、戦いを制したのはジョンだった。膝をついたイザベルの前にアルヴァの魂が現れ、「死んだ人は生き返るべきではないの」、「もう終わったことよ」、「あとは彼らに任せましょう」、とイザベルを諭して姿を消した。ジョンはその場に現れた珊の思念体と共に、最奥で待ち構えるカロンの意思に立ち向かう。
最後の敵を打ち倒したジョンだったが、それはカロンの根源である珊の消滅を意味していた。タタリとカロンを根幹としていた世界が生まれ変わろうとする中、ジョンの腕の中で珊は消えていった。

どこかの駅のホームに、白い髪をポニーテールにした少女が立っていた。彼女が列車を待っていると、ひげもじゃの男が現れる。男は少女を見て幽霊にでも会ったかのように驚いたが、何も語らなかった。ふたりは並んで、東へ向かう列車を待った。
ダム城の駄菓子屋の奥で、ウィリアムが息子のダニエルと共に、ロボットのダニエルを修理している。息子と過ごすウィリアムの表情は明るい。

『Eastward』(イーストワード)のゲームシステム

ふたりの主人公

プレイヤーはジョンと珊(サン)のふたりの主人公を操作する。戦闘をはじめとする力のいる場面ではジョンが、モンスターを足止めしたり特殊なエネルギーを作用させる場面では珊を操作することになる。また、片方の主人公をスイッチの上に立たせてもう片方の主人公に開いたゲートを通らせる、といったパズル要素も多い。

ジョン

扉をふさぐ植物を焼き払っているジョン(右)。

フライパン、銃、火炎放射器といった多彩な武器で戦う。左下の体力ゲージの上に銃弾と爆弾の数が表示される。武器を使ったりモンスターを退治するほか、大きなものを動かすような力がいるアクションもジョンの役割だ。

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@shuichi

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