魔道祖師(小説・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『魔道祖師』とは、墨香銅臭による中国小説及びアニメーション作品である。古代中国を舞台としたファンタジー作品で、主人公の魏無羨と藍忘機の2人の出会いから別れ、そして再会を描いた物語である。小説版はBL作品として、アニメーションはブロマンス作品として公開されている。また、『魔道祖師』を原作とした実写ドラマ『陳情令』もブロマンス作品として公開されている。戦闘シーンのアニメーションの美しさや、中国ならではの建物や景色がまるでアニメとは思えないほどリアルに描かれているところもみどころである。

中国でいう”鬼”は“死霊”のこと。温寧は、一度死んで魏無羨の禁術により死霊として蘇っている。“幽霊の将軍”という意味で“鬼将軍”と呼ばれている。

『魔道祖師』の名言・名ゼリフ/名シーン・名場面

江澄「お前が温氏のやつらを守ろうとしたら、俺がお前を守れなくなる」

魏無羨に対して本心を口にし、その場で泣き崩れる江澄。

江澄が魏無羨を家族として心配するセリフである。羨雲編の第5話で夷陵老祖として温家の生き残りを守りながら暮らす魏無羨を迎えに来た江澄が、彼を連れて帰るために説得しに来る。魏無羨は「女子供と年寄りが多い。彼らを引き渡せば殺されてしまう」と江澄の考えに反対する。江澄が「他人の心配よりも自分の心配をしろ。お前が温氏の奴らを守ろうとしたら、俺がお前を守れなくなる」と言う。そんな江澄に魏無羨は、「守らなくてもいい。捨ててくれ」と言い放つ。

これまで魏無羨に対しての江澄の態度は良いとは言えなかったが、心の底では家族として彼のことを大切にしていたとわかるセリフである。

金子軒「阿離がお前をずっと待っている」

魏無羨の暴走によって亡くなる金子軒。

羨雲編第6話で金子軒が亡くなる前に魏無羨に伝えたセリフである。魏無羨は金凌の誕生一月の宴に招待されるが金子勲を筆頭とする金氏から攻撃を受ける。魏無羨は、素直に甥の誕生の宴に招待されたことに気持ちを高ぶらせていたが、裏切られた怒りから鬼道を制御できなくなり暴走してしまう。金子軒が止めに入るが、温寧の攻撃により致命傷を負い亡くなる。金子軒は意識を失う前に「阿離がお前をずっと待っている」と呟く。そこで魏無羨は我に返り、力を抑えるがすでに遅く多くの金子を殺した後だった。

夷陵老祖として名を広めた魏無羨に届いた金凌の誕生の宴の招待は紛れもなく本物だったが、それを逆手にとって夷陵老祖を討伐しようとする金子勲率いる金氏にその幸せは壊されてしまう。座学時代から決して仲が良いとはいえない関係だった魏無羨と金子軒だったが、江厭離が魏無羨のことを誰よりも心配しており、四大世家の敵となった彼のことをいつまでも家族であると信じていることから金子軒は魏無羨を宴に招くことを決めたのだった。金子軒が魏無羨を金凌の叔父であることを認めた場面であり、どんなに姿や立場が変わろうとも魏無羨を自分の弟であると言い続ける江厭離の思いが読み取れるセリフである。

魏無羨・藍忘機「天地に曲響けば、山水はいつか出会う」

目的を達成し家に帰っていく魏無羨(画像左)と藍忘機(画像右)。

完結編の12話のラストシーンで魏無羨と藍忘機が2人が言うセリフである。13年前からの事件が解決し、自由を手に入れた魏無羨と家に帰る藍忘機が「天地に曲響けば、山水はいつか出会う」とセリフを読み物語は終わる。この言葉は「山と川のように必ず再会できる」という意味を持つ。魏無羨と藍忘機の座学時代の出会いから、魏無羨の死による別れ、そして再び蘇った魏無羨と藍忘機の出会いを示すセリフである。アニメの中でも義城での事件の後に藍忘機は口にしているが、13年間魏無羨が生きていることを信じて思い続けた藍忘機の心境そのものであることが分かる。

『魔道祖師』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

金凌の字の名付け親は魏無羨

江澄(画像左)と言い合いながらも江厭離(画像中央)の子供の字を考える魏無羨(画像右)。

羨雲編第6話で、蘭陵金氏に嫁ぐ江厭離が魏無羨に花嫁衣装を見せているシーンが描かれている。江澄が魏無羨を夷陵から呼び寄せ、そこで江厭離が魏無羨に生まれる子供の字(あざな)を決めてほしいというお願いをする。魏無羨は“如蘭”を提案するが、江澄はこれを見て「姑蘇藍氏みたいだ」とダメだしをして魏無羨と言い合いになる。

江厭離と金子軒との間に産まれた金凌の字は実は魏無羨が考えたものだが、本人はそれを知らない。字は親や親しい人からつけてもらうのが一般的であるとされる。作品を通して金凌が字である“如蘭”を使うことはほぼない。

藍思追の正体は岐山温氏の生き残りの温苑

1話から登場し度々魏無羨と共に行動していた藍思追だが、彼は姑蘇藍氏の直系でもなければ実は岐山温氏の生き残りである。夷陵老祖となった魏無羨が助けた温氏の1人であり、魏無羨に懐いていた温苑だったのだ。彼は時々様子を見に夷陵までやってきていた藍忘機にもよく懐いていた。藍忘機は魏無羨の死後、彼の願いを叶えるために温苑を姑蘇藍氏に連れて帰り、藍氏の名前を与えて育てていた。藍思追は記憶を取り戻す前から、何度か魏無羨に懐かしさを感じており、この時から彼の正体が温苑だったことが仄かされている。

魏無羨と藍忘機の名前は中国文学が由来

魏無羨の字“無羨”の由来は漢詩・長安古意の一節「願作鴛鴦不羨仙」からだと考えられている。これは、“おしどりの雄と雌のようにずっと一緒に暮らせれば、不老不死の仙人なぞ羨ましくない”という意味を持つ。”鴛鴦”は夫婦仲が睦まじいことを喩えており、作中での”鴛鴦”は魏無羨と藍忘機のことを示しているといえる。また、藍忘機の字“忘機”は、“たくらみの心を忘れる”という意味を持つとされる。藍忘機は正義感が強く、己の不利になることさえも進んで行う人物である。魏無羨が鬼道の道に進み、仙門を敵に回したときでさえも藍忘機は自分の名に傷がつくことを恐れずに彼の味方となった。また、魏無羨を陥れた犯人を彼が死んだ後もなお探し続けていた。彼が利益に捉われず、自分の正しいと思ったことをする性格であることを表している文字である。

このように、2人以外にも中国文学が由来となっている人物が多く存在しているようだ。

『魔道祖師』の主題歌・挿入歌

前塵編

OP(オープニング):CIVILIAN 「千夜想歌」

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