おいしい給食(ドラマ・映画・小説・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『おいしい給食』とは、2019年と2021年に放送された日本のテレビドラマ。1980年代の中学校を舞台に給食絶対主義者の男性教師と給食マニアの男子生徒の給食にまつわる対決を描いた学園グルメコメディ。教師・甘利田幸男は毎日の給食を何より楽しみにしている。同じく給食を愛し、美味しく食べるアレンジを得意としている生徒・神野ゴウと、どちらがより美味しく給食を食べられるかバトルするというストーリーとなっている。テレビドラマシリーズ、映画、ノベライズ、コミカライズなど、さまざまなメディアで展開された。

テレビドラマSeason2

転校生神野

給食の時間は甘利田にとって至福の時間である。

1986年、黍名子中学校に赴任してきた甘利田は3年生の担任を務めている。前任校では児童の減少と、給食設備の老朽化で給食が廃止となってしまったのだ。相変わらず大の給食好きであり、給食を食べることが目的で教師をしているような人物。赴任してきてまず最初にしたことは、給食前に校歌を歌うことの提案であった。給食への感謝の思いを込めて歌いあげる甘利田の姿は、相変わらずノリノリなのであった。毎日給食を前に、彼のモチベーションは高まっていくばかり。
するとある日、神野という生徒が黍名子中学校に転校して来て、何と甘利田のクラスに配置された。彼は以前甘利田が勤務していた常節中学校において、給食の食べ方のアレンジを競い合ったライバル同士だ。神野は「いかに給食を楽しみながら食べるか」をテーマに給食をアレンジすることを楽しみにして、毎回奇想天外な発想で給食を楽しんでいる。そんな日の給食は筑前煮と白ご飯。さっそく、米、肉、野菜を食べていく甘利田。神野は、独自のアレンジを施す。甘利田と神野のライバル関係が再び始まるのであった。

宗方の監視

そんな中、甘利田が給食にこだわりを持っていることをよく思っていない教育委員会の鏑木優が、黍名子中学校に彼を監視しにやって来た。鏑木は、甘利田とおなじく三年の学年主任である宗方早苗(むなかたさなえ)に対して、彼のことを見張るように頼む。給食では輝きを見せる甘利田だが、3年の担任でありながら、進路指導にあまり積極的ではないため、学年主任の宗方は甘利田が好きではなかった。そのため、宗方は本意ではなかったものの、甘利田を見張ることを引き受けた。早速甘利田の後をつける宗方は、彼が学校帰りに駄菓子で買い食いしているのを目撃する。
次の日、甘利田はジャンバラヤ、アメリカンドッグ、コーンスープ、コーヒーゼリーという給食を前にしていた。給食が楽しみで学校に来ている甘利田がこれに喜ぶ一方で、神野は再び甘利田が見たことがないような斬新なアレンジをほどこした食べ方を披露するのだった。この様子を見張っていた宗方は、甘利田があまりにも給食に対するこだわりが強すぎて、進路指導にあまり積極的ではなく問題であると校長に報告する。こうして宗方と鏑木という敵に睨まれながらも、甘利田は毎日の給食に命を賭ける中学校生活が繰り広げられるのであった。

諮問委員会

教師の給食廃止を通達にやってきた鏑木。

宗方の報告もあり、甘利田の行動を問題視した教育委員会が動き出し、諮問委員会が開かれることとなった。鏑木と教育委員長が黍中を訪れる。宿敵鏑木の目的は、給食を廃止して弁当にすることである。またしても前任校に給食廃止を突きつけて甘利田を転勤させた鏑木が、彼を苦しめようと給食廃止を提案したのだ。「この学校、教師だけ弁当にするそうです」と宗方に聞かされた甘利田は大パニックになり、「何ですかそれ。それではまるで私が給食だけが楽しみで学校に来てるみたいじゃないですか」と反論するのであった。
その頃、何も知らない神野は配膳室で「毎日甘利田先生と給食対決してるんだもんね」と、給食のおばさんである牧野文枝(まきのふみえ)に言われ、笑顔で「僕は先生に喜んでもらいたいだけです」と返す。鏑木の陰謀は、神野にとってはかけがえのない競争相手を失うことをも意味するのだ。落ち込んでいる甘利田は給食の時間にも身が入らない。そんな甘利田の様子に気づいた生徒たちが心配する。恒例の給食前の校歌合唱する生徒たちに励まされた甘利田は、「何があろうとも目の前の給食には何の罪もない。いまを生きることにこそ意味がある」と気を取り直して給食に向き合うのであった。今日の献立は栗ご飯、スタミナ炒め、ニラ玉スープ、瓶牛乳、三色ゼリー。栗ご飯を食べ、満足げな甘利田。そして神野に目をやると、栗を三色ゼリーに乗せている。しかし給食を愛する者はライバルではなく同志であると考え始めた甘利田は落ち着いた様子でそれを真似する。もはや勝ち負けなどは関係なく、ただ給食を愛する者同士の心の交流が生まれていた。

緊急職員会議

放課後、緊急職員会議という名の甘利田を糾弾する時間がやってくる。鏑木は満を持して「甘利田先生は異常なまでに給食に執着している。教師が生徒よりも給食を楽しみにしている」と厳しく批難する。しかしここで何と宗方が甘利田を庇う。自分の欲望に忠実な甘利田に対する憧れと、尊敬の念が湧き上がったのだ。「甘利田先生は確かに、毎朝穴が開くほど献立を見ています。しかし甘利田先生は、私たちと違って好きなものを好きでいられるんです。そんなふうに私はなりたい」と叫ぶ。校長が「買い食いはやめられませんか」と優しく問いかけると、甘利田は「やめられません」と真剣な顔で即答し、買い食いへの異常な執着を見せる。
すると鏑木の上司である佐久本哲史(さくもとてつじ)が、「言えないから言える人を攻撃するのは違いますよ」と鏑木を糾弾する。実は鏑木も給食好きであり、給食を楽しむ甘利田に嫉妬していたのだった。上司の佐久本は全てお見通しのようである。こうして甘利田への処分はなくなり、給食も継続されることとなった。
長らく給食と買い食い好きを隠し、一人で楽しんできた甘利田だが、むしろ隠さないことによって、周囲の人々と通じ合うことができ、新たな楽しさを知ったのであった。

劇場版おいしい給食 卒業

ナポリタン対決

1986年、黍名子中学校の校門では甘利田が生徒を迎えていた。その日は給食に大好きなナポリタンが出るので、甘利田も神野も朝からそわそわしていた。ナポリタンは大人気のメニューなのだ。
給食の時間が来ると、ナポリタン、かき玉汁、コッペパン、フルーツヨーグルト、牛乳というメニューが甘利田の前に並ぶ。人気のメニューということもあり、生徒の的場達也(まとばたつや)がナポリタンをがっついて口の周りを派手に汚していた。それを見た他の生徒も真似してがっついて邪気のない笑顔を作る。そんな姿を見た甘利田も、夢中で麺を口に運び満足げに微笑んだ。神野はかき玉汁の卵を集めて皿に敷き、その上にナポリタンを置く。まるで純喫茶で鉄板で供されるナポリタンのような高級品のようである。ドヤ顔で食べる神野を見て、甘利田はまた勝負に負けたと痛感するのであった。

給食試食会

給食センターの試食会に忍び込んだ甘利田。

ある日、甘利田が給食室で「給食メニュー改革決定」というプリントを発見する。来月から健康増進のための献立計画が始まるにあたり、それに先立って新たな給食の試食会が日曜に市の給食センターで開かれると知る。甘利田は目を輝かせた。
そして日曜日、甘利田はサングラスをかけて変装して黍名子市の給食センターへ行く。そこでは新たな給食のメニューを来場者に提供していた。カレーライス、あげパン、クジラの竜田揚げ、マカロニサラダ、いちごジャム、冷凍みかんなど、どれもおなじみのメニューだが、どうも物足りなく感じる。味わってみると、とにかくヘルシー重視で味が薄いため、甘利田は唖然とする。怒った甘利田は、教師だという身分を明かして「給食の本質を分かっていない」と言ってセンターを去るのであった。その時、黍名子市教育委員会職員の鏑木がいるのを見て、今回の給食改変に鏑木が関わっていると知るのであった。

給食センター長会議

ある日の給食メニューは炊き込みご飯、あさりの佃煮、かき玉汁、青りんごゼリーであったが、甘利田も神野も、給食が匂い立っていないことに違和感を覚える。食べ始めるとどれも量が少なく、味も控えめだ。その後も新給食の物足りなさは続き、あくる日のカレーは生徒らに人気のメニューのはずだが、味が悪くてみんな黙々と食すだけでなく、残す生徒まで現れた。
ある冬の日、職員室では、来月3月の献立表を目にした甘利田がショックを受けていた。「米飯は全て麦飯になります。」という文字が書かれていたのだ。甘利田は米飯をこよなく愛する神野の様子を見に教室へ行った。すると神野は怒って学校を抜け出し、タクシーを拾って給食センターへ向かっていた。その神野を甘利田も走って追っていく。神野は入り口で警備員に止められながら、責任者に会いたいと主張した。通りかかったセンター長の四方田岳(よもだたけし)が神野を見かけると、「栄養バランスの面で米飯より麦飯がいい」と言う。しかし神野は生徒たちが給食をおいしく感じていないと主張する。そこに通りかかった鏑木が会議で神野の意見を聞こうと言い出した。
センター長会議室で大人に囲まれた神野は、つるし上げのような状態に遭っていた。そこへ乗り込んだ甘利田は、鏑木に「もはやこれは私への私怨だ」と指摘する。「子どもたちは正直なのでまずければ残す、作っても残される給食を出してもいいのか」と職員たちに甘利田は主張する。しかし甘利田と神野が直訴した程度では教育委員会は変わらず、無力感にうちのめされて帰宅する2人であった。

おいしい給食を目指して

明日は卒業式。新学期からは函館から代わりの教師が赴任し、甘利田が函館の学校へ行くことを知って宗方は驚く。甘利田はその理由を「自分がいるかぎりこの地域の給食の味を守れないからだ」と答える。そして3年生にとって最後の給食は、カレーライス、ハンバーグ、わかめスープ、牛乳、いちごのロールケーキだ。配膳の列にならんだ甘利田と神野は、給食の香りが以前と同じだと気づいて喜ぶ。ご飯をスプーンですくってルーにつけて食べていた甘利田は、神野がご飯にハンバーグを乗せてルーを流し込む姿を見て「子どもは素直がいちばんだ」と思いながら自分も真似をする。
放課後、配膳室へ行って文枝に挨拶すると、文枝は給食だよりのプリントを甘利田に見せた。そこには四方田の言葉で「おいしい給食を目指したい」と書いてあった。
甘利田は神野と教室で2人話していた。神野は将来、教育委員会に就職して全国の給食を守ると言う。甘利田は函館へ異動になったことを伝え、「いかめしが出るらしい」と言って笑う。「先生に会えてよかったです」という神野のことばに甘利田は感動し、甘利田は笑顔を浮かべるのであった。

『おいしい給食』の登場人物・キャラクター

主要人物

甘利田幸男(あまりだゆきお/演:市原隼人)

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