タイフウリリーフ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『タイフウリリーフ』とは2022年1月5日より茂木ヨモギ(もぎよもぎ)が『週刊少年サンデー』で連載を開始した野球をテーマにしたスポーツ漫画。主人公は慎重でなかなか感情を表に出さないクールな兄、日鷹風(ひだかふう)と感情のコントロールが苦手な天真爛漫な弟、日鷹大陸(ひだかたいりく)。2人は兄弟だが別々の家で暮らす不思議な関係。凸凹な兄弟が互いの武器を活かして初の甲子園出場を目指す過程を描く。性格が真反対だからこそ互いに刺激を受けていく兄弟ならではの魅力が詰まった作品。

『タイフウリリーフ』の概要

『タイフウリリーフ』とは2022年4月18日より茂木ヨモギ(もぎよもぎ)が『週刊少年サンデー』で連載を開始した野球をテーマにしたスポーツ漫画。ファンに惜しまれながらも、2022年10月5日発売の『週刊少年サンデー45号』で連載を終了。主人公は慎重でなかなか感情を表に出さないクールな兄、日鷹風(ひだかふう)と感情のコントロールが苦手な天真爛漫な弟、日鷹大陸(ひだかたいりく)。2人は兄弟だが親の離婚をきっかけに風は母親、大陸は父親に引き取られ別々の家で暮らす不思議な関係。風はアンダースローから繰り出す抜群のコントロールと変化球を、大陸は140kmの豪速球ストレートを活かして初の甲子園出場を目指す過程を描く。性格が真反対だからこそ互いに刺激を受けて成長していく魅力が詰まった作品。

『タイフウリリーフ』のあらすじ・ストーリー

三羽烏

柊学園中等部(ひいらぎがくえんちゅうとうぶ)に通っているさわやかイケメンの日鷹風(ひだかふう)15歳、金髪クールでオールバックヘアーが特徴の鷲尾雷雲(わしおらいうん)15歳、天真爛漫で勢いのあるストレートが武器の日鷹大陸(ひだかたいりく)14歳は三羽烏と呼ばれ、関東中に名を轟かせていた。そんな三羽烏の活躍で柊学園は関東大会優勝を決めた。柊学園は中高一貫校のため、風、雷雲、大陸がそのまま進学すれば、柊学園の初甲子園出場は夢ではないと言われていた。風と雷雲が高校に入学した1年後、大陸が高校に進学する。これで三羽烏が揃うと思われていたが、柊学園の野球部には雷雲の姿はなく、雷雲は同じ地区の強豪校で甲子園常連の天川高校に通っていた。

大陸は仮入部のためグラウンドに向かっていた。野球部のグラウンドには新1年生が集まり、野球部キャプテンで細目が特徴の水口織(みずぐちおり)が1人ずつ自己紹介をしていくように指示を出した。出身中学、ポジション、夢などを語る簡単な自己紹介をしていき、大陸の番になる。大陸は自信満々な表情で夢は「甲子園で優勝投手になって、親父に3億円の豪邸を建てること」と宣言した。上級生たちは大陸の自己紹介を聞くと、爆笑をし、風は1人頭を抱えていた。風が入学した時も大陸と同じような自己紹介をしていたからだ。全員の自己紹介が終わり、部活が終わると風が大陸の自己紹介内容で恥をかかされたことに激怒していた。2人がいがみ合っていると、2人と小さい頃から仲がよく腐れ縁の雀ひなせ(すずめひなせ)が「今日の夕飯なぁに」と割って入る。雀が現れたことで冷静になった風が「今日はカレーのつもり」と答えた。3人で家に帰る途中、歩道橋を前にして大陸だけが違う方向へ歩きだした。大陸と風は兄弟だが両親が離婚し父の元に大陸、母の元に風が引き取られたのであった。一度自分の家に帰宅した大陸は空のタッパをもって風の家に上がり込み、カレーをもらっていった。

1年対上級生の紅白戦

翌日、水口の口から1年対上級生の紅白戦が行われることが告げられた。試合のオーダーを組むために1年の実力チェックが行われることになる。まずはピッチャーから行うことになり、ピッチングをしたい人から手を挙げるように言われ、大陸は真っ先に手を挙げた。大陸とほぼ同時タイミングで手を挙げた下まつ毛が特徴的な1年、砂月晃(さつきあきら)は大陸よりも先に手を挙げたといい、大陸より先にマウンドに立った。砂月は中学時代に西日本代表に選ばれたほどの実力者で、他の1年を見下していた。本来であれば甲子園常連校である天川高校に通っていたはずなのだが、願書を出し忘れたことによって天川高等学校に入学できず、柊学園に入学していた。実力をアピールし自分の番を終えた砂月はそばで大陸のピッチングを眺めていた。大陸がピッチングを始めると軟式の部活ではありえない豪速球を投げ、あまりの速さに砂月は驚愕した。

紅白戦当日、紅白戦の罰ゲームが発表され、試合に負けた方が点差分外周1周走ることになった。レギュラーを目指すと同時になんとしても外周を避けたい1年は士気を高めていく。紅白戦が始まり、1年生のピッチャーは大陸からスタートした。大陸は上級生相手に武器である豪速球で攻めていく。1人目のバッターを三振に討ち取ると、次のバッターは風だった。高校に入学して初の兄弟対決になり、大陸は風が相手でも変わらず豪速球で討ち取ろうとする。しかし大陸の投げた球は風に簡単に打ち返されて先制点を取られてしまった。4回を終えた時点で大陸は5失点をしていた。そんな状況を見かねた砂月は自分と交代するように大陸に交渉したが、大陸は頑固としてそれを拒否した。ピッチャーでアピールはできないかもしれないと悟った砂月はバッターとしてアピールするべく打席に入る。風を相手にいいバッティングをしようとするものの、ストライクゾーンギリギリの球や緩急をつけた変化球で簡単に打ち取られてしまった。1年生は全く上級生に歯が立たず試合が終わる頃には1年生チームは15失点し、外周を30km分走ったのであった。

レギュラーの壁

上級生相手に惨敗した翌日大陸は授業終了のチャイムを聞くやいなや、もっと上達するために全速力で部活に向かう。着替えを終え、練習をしようと部室を出ると上級生とぶつかってしまった。そこにいた上級生たちは3年生で昨日の紅白戦には出ていなかった。昨日の紅白戦は2、3年の控えのメンバーのみで行われており、3年のレギュラー組は遠征合宿で外していたのだ。上級生の1人でちょんまげのように髪を結び、目つきが鋭い小犬丸雄平(こいぬまるゆうへい)が大陸が風の弟であることに気づき、大陸の実力を知るために大陸との1打席勝負を持ちかけた。ホームラン以外は大陸の勝ちでいいというルールを設けた小犬丸が打席につく。いざ勝負が始まると、大陸は小犬丸のプレッシャーに押されいつも以上に球が荒れてしまい、1球目を大きく外してしまう。打たれてしまうかもしれないという恐怖心で縮こまってしまっていると、その姿を側から見ていた砂月は「お前はいいコースなんか狙えないだろ、いつも通り直球で勝負しろ」と鼓舞した。砂月の鼓舞で目が覚めた大陸は小犬丸との真っ向勝負に挑む。1球目のストレートはど真ん中に入り、小犬丸はワンストライクを取られた。大陸は自分のことをバカにしていた小犬丸からストライクを取り、上機嫌になる。2球目もストライクを取ろうと意気込み全力で投げると1球目と同じコースに入ってしまった。小犬丸は大陸の球にしっかり反応し、ボールを完璧に捉え軽々とホームランにした。小犬丸が勝負に勝ち切り上げようとすると、大陸はもう一戦勝負を申し込む。そこに柊学園高等部の野球部監督であり、中学時代の風と大陸を育てた鴎誠一(かもめせいいち)がやってきて、「変わってねぇな、大陸は」と大陸との中学以来の再会を懐かしんだ。鴎は小犬丸に大陸はどうだったかと問われると小犬丸は「見てくれ以上のバカ」だとけなした。しかし1球目を見逃した時は得体の知れない恐怖を感じたことも伝え、小犬丸は鴎が大陸と風を育て、ピッチャー陣を強化しようとしていることを察知した。

1年ぶりの再会

鴎はグラウンドに野球部を集め、雷雲が進学した天川高校と練習試合を組んできたことを伝えた。元々柊学園の中等部に通っていた雷雲を知らない外部生の小犬丸は、雷雲と同期である風に雷雲の素性を聞いた。風は雷雲が中学時代から抜きん出た存在であり、全国大会初戦で負けてしまった後にチームを裏切り天川高校に入学したことを伝えた。天川高校との試合を6日後に控えた野球部メンバーは試合に向けて調整をしていくのであった。そんな中、鴎は先日の紅白戦のビデオを見返し、大陸と風がこのままでは天川高校に通用しないと悩む。一方大陸と風は調整のため、ブルペンでピッチングをしていた。2人の元に柊学園のエースでありクールな表情をした恩田銀次(おんだぎんじ)がやってきた。大陸は自分のピッチングを恩田に評価してもらおうと「どうだったすか、俺のボール」と問いかける。その問いに対し、恩田は「何を考えながら投げていたの」と逆に質問をした。「全力でいいボールを投げることだけしか考えていない」と回答した大陸に対し、「最悪な回答だね」と大陸を酷評した。試合に勝つために自分がいいボールを投げることを考えるのが最悪と言われた意味が理解できず、恐る恐る恩田に問いかけた。恩田いわく、自分が勝ちたいことしか考えず、周りの仲間のことを考えれないやつは自己中心的でチームの足を引っ張る存在になりうるため、マウンドは譲れないとのことだった。恩田の考えに納得できない大陸は、そのことで頭がいっぱいになり練習に集中できなくなっていた。

翌日練習を終えると柊学園の校舎に雷雲がやってきていた。雷雲は柊学園中等部のOBとして取材を受け、その帰りだった。約1年ぶりの再会に「元気だったか」と雷雲は問いかけた。その問いかけに大陸は「元気だったに決まってるだろ、今度の試合でお前をぶっ倒すんだからな」と答えた。雷雲はその答えを聞いて「何も変わっていないみたいだなお前は」と蔑んだ表情を見せる。風に対しても同じように問いかけ、風は雷雲が柊学園のみんなを裏切って天川高校に行ったことへの不満を口にした。すると雷雲は「別の場所にいるんだから関係ないだろ」と冷たく語り、その場を後にした。大陸は雷雲の偉そうな態度に激怒したが、風は自分達が同じ場所に留まりすぎて雷雲との差が開いていることを痛感するのであった。

柊学園VS天川高校

天川高校との練習試合当日になり、天川学校を訪れる柊学園野球部。グラウンドにつくと鴎から試合のオーダーが発表された。ピッチャー以外はいつも通りのスタメンだったが、先発のピッチャーはエースの恩田ではなく、大陸が選ばれた。驚きを隠せない一同に対して鴎は、「投手陣は必ず3人とも投げてもらう」と伝えた。加えて風と大陸には課題を設け、破ったら即降板という特別ルールを追加した。特別ルールの詳細を伏せられたまま試合が始まる。試合は柊学園の攻撃から始まり、天川高等学校は雷雲をピッチャーにせず、温存していた。柊学園は攻め立てるものの、3人できっちり抑えられ0点で攻撃を終えた。対して柊学園は恩田との一件以降悩み続けている大陸の先発からスタートし、開始早々に1点を先制されてしまう。落ち込む様子を見せる大陸に対して、柊学園のメンバーは点を取られることは想定済みだったようで落ち着いた様子を見せた。大陸は気持ちを切り替え、次のバッターに対してストライクを取る。その瞬間鴎は大陸を降板させ、大陸にレフトを守るように指示した。課されたルールの内容がわからないまま降板させられた大陸は不満な表情を見せた。

大陸に代わり、2人目には風がマウンドに立った。風は同じフォームから繰り出す緩急ある変化球を織り交ぜながら慎重に天川高等学校の攻撃を3人で抑えた。ベンチに戻ると鴎は風に対して「次の回からライトに入れ」と指示を出した。完璧に抑えたはずなのに交代を告げられた風も大陸と同様に不満な表情をみせつつ、鴎の指示を受け入れた。鴎の意図を理解できないチームには不穏な雰囲気が流れる。柊学園の攻撃はまたも無失点に終わり、3回表からはエースの恩田がマウンドに立つ。恩田は守備をし始める前にメンバーをマウンドに集合させる。先日酷評された大陸はまた冷たい一言を言われるんじゃないかとビビっていたが、大陸の想像とは裏腹に恩田はチームに「今日も頼んだ」と優しくげきを飛ばしチームの雰囲気を和ませる。大陸は恩田のプレーを観察し、恩田がチームのために自分の気持ちを消していることに気づく。恩田はチームのメンバーを頼り、ツーアウトまでを完璧に抑えた。ツーアウトまで追い込まれた天川高校の次のバッターは雷雲だった。恩田は雷雲に対して、自分の武器であるスライダーから攻める。変化の大きいスライダーだったが、雷雲にしっかりと合わされ、あわやホームランとなるいい当たりを打たれる。1球目への対応力を見たキャッチャーの水口は、恩田にさらに変化の強いスライダーを要求した。恩田は水口の要求通り、1球目より変化の強いスライダーを放った。雷雲の打球は芯に当たらず恩田が難なくキャッチしアウトにする。

恩田の過去

柊学園メンバーがベンチに戻る最中、大陸は「あと2回は投げられるね」と会話する水口と恩田の姿を目撃する。調子がいいのにも関わらず、なぜ2回しか投げないのかと疑問に思っている大陸に対して小犬丸が「恩田は1日に50球しか投げられない」と打ち明けた。恩田は中学時代、得意のスライダーを頻繁に投げていたせいで肘を怪我をし、球数を制限しないと投げられなくなってしまったのだ。恩田がチームのメンバーを頼りにする真の理由を知った大陸は、今までの自分が犯した過ちの大きさを理解した。恩田を中心に柊学園は鉄壁の守りを見せ、1回の攻撃以降無失点で天川高等学校に追いつこうと士気を高めていく。恩田が50球を投げきり、恩田は風にマウンドを託した。6回裏、風の最初のバッターは雷雲、風は絶対に打たれてはいけないと考え慎重にピッチングをしようとする。そんな風を見た雷雲は「相変わらず成長していないな」と風に告げた。雷雲の言葉を聞き自信を失った風に大陸が駆け寄り、「ビビってんじゃねぇよ」とげきを飛ばす。大陸の言葉で風は今までの自分のピッチングが慎重になりすぎていたことに気づき、大陸ならこの状況で何を考え投げるかとイメージし、感情に任せ積極的にストライクを狙っていく。雷雲からストライクを取ると、いつもはクールな風が叫び喜ぶ。2球目も直球で勝負をし、雷雲がめずらしく連続でストライクを取られる形となった。3球目は試合を組み立てる水口が変化球を要求するものの、風はそれを拒否し直球で勝負することを選択した。3球目は雷雲に綺麗に打ち返されるものの、次の打者を塁に出させず0点に抑えることに成功する。

柊学園の攻撃、最初のバッターである風が相手のフォアボールで塁に出ると次のバッターは大陸だった。いつもの大陸であれば大振りをすることしか選択になかったが、チームのために戦う恩田や風に影響され、繋げることを頭に入れてバッターボックスに立つ。1球目はしっかりとボールを見てカウントを稼いだ。2球目に甘いコースに入ったボールを前に飛ばすものの綺麗に当たらず、あわやアウトの打球になる。大陸は繋げることだけを考え全力で走り、ヘッドスライディングでなんとかセーフに持ち込んだ。風と大陸のヒットで1、2塁が埋まり、次のバッターは小犬丸だ。疲れ切った相手ピッチャーの甘い球を強烈なあたりで打ち返しホームランにし、柊学園は3対1と初めてリードを奪った。ここで天川高等学校は温存していた雷雲をピッチャーにチェンジさせる。交代してすぐ、雷雲は圧倒的な豪速球で柊学園がもっていった流れを断ち切っていく。柊学園の上位打線をストレートのみで抑え7回の裏を迎えた。ここでも風はきっちり0点に抑え、雷雲も負けじと柊学園の攻撃を0点で抑える。試合は8回表、大事な場面で鴎は未だ課題をクリアしていない大陸をピッチャーに戻した。ルールは明かされていないが、自分の課題はチームのためにピッチングすることだと薄々気づいている大陸はいつも以上の気迫でマウンドに立った。バッターは雷雲、大陸は雷雲にも臆せず武器であるストレートを主体に攻め立てる。雷雲は大陸の気迫に押されファールを連発していく。大陸は中学時代から一度も雷雲を三振させたことがなかったが、今まで以上の気迫が雷雲を追い込み初めて三振を取ったのであった。その後は緊張の糸が途切れたかのように天川高等学校の連打を浴び、試合が終了する頃には3対7と逆転負けをしたのであった。

『タイフウリリーフ』の登場人物・キャラクター

主人公

日鷹風(ひだか ふう)

柊学園高等部2年。中学時代三羽烏の1人として名を轟かせ、柊学園中等部を関東大会優勝に導く。長身から繰り出すコントロール抜群のアンダースローで多彩な変化球を操り、相手を討ち取るのが得意。穏やかな性格で慎重に攻めるプレースタイル。

日鷹大陸(ひだか たいりく)

柊学園高等部1年。中学時代三羽烏の1人として名を轟かせ、柊学園中等部を関東大会優勝に導く。ストレートに球威があり、ストレートを活かした積極的なプレーを得意とする。まだまだ精神面が幼いところがあり、感情が前面に出てしまうところがある。夢は「甲子園優勝投手になって、父親に3億円の豪邸を建てること」。

柊学園(ひいらぎがくえん)

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