マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』とは、2018年韓国のtvNチャンネルにて放送されたテレビドラマである。イ・ソンギュンとIU主演による話題作。生きづらさや理不尽な社会に翻弄されながらも、励まし合うことで人は前に進んで生きていけるということを教えてくれる名作ドラマ。最終回では地上波を含む同時間帯視聴率1位を獲得。「第55回百想芸術大賞」や「2018 APAN STAR AWARDS」にて作品賞、脚本賞、最優秀演技賞など数々の賞を受賞している。

ドンフンとジアンが働いている会社。ドンフンはこの会社の安全診断チームに所属している部長である。ジアンも同じ部署で派遣社員として働いている。

後渓洞(フゲ)

ドラマの中に頻繁に出てくる町。ドンフンはじめ、ジアンやドンフンの家族、友人たちがそれぞれに語らい、傷付いた心を癒す場所。実際には存在しない架空の町だが、この後渓洞(フゲ)を中心に物語は紡がれていく。

ジョンヒの店

フゲの町の中にある、ジョンヒの店。ドンフンの友人たちが集まる小さな店に、毎夜誰かが集っては時間を共に過ごし、同じ空間を過ごすことで疲れた心や傷付いた心を癒していく、物語の核となる場所。

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

パク・ドンフン「傷を負った子は早く大人になる。あの子の過去を知るのが怖いよ」

ドンフンがジアンについて、飲み屋でチームのメンバーに「傷を負った子は早く大人になる。あの子の過去を知るのが怖いよ」と話していた。ジュニョンと結託してドンフンを陥れるために盗聴をしているジアンもスマホ越しに聞いている。周りを拒絶するかのようにして生きているジアンについて、思いを巡らせ心配をするドンフンの優しさが伝わる。そんな彼の言葉にジアンもまた動揺を隠せないでいた。

ジアンの記憶に残る幼い頃のグァンイル

父親をジアンに殺されたグァンイルは、ジアンへの憎しみと恋心という複雑な思いに苦しんでいた。幼少期、よくジアンを庇ってグァンイルが殴られることもあり、ケガをしたジアンを背負って歩いた路地裏を覚えているなど、憎しみと愛情が混ざり合い、行き場のない思いがジアンへの暴力となってしまう。グァンイルの心の痛みが何倍にもなって伝わってくる。複雑な心境を抱えて生きることの辛さがひしひしと伝わる。暴力でしか相手への気持ちを表現できないグァンイルのことをよく表したシーンとなっている。

パク・ドンフン「俺でも殺す 俺の家族を目の前で殴る奴は俺でも殺す」

掴み合いの喧嘩をし、グァンイルに殴られた直後のドンフン。

「かわいそうな子をなぜ殴る」とグァンイルへ問い詰めるドンフン。「俺の父親を殺したからだ!」悲痛な叫びでそう伝えるグァンイル。衝撃を受けるも、「俺でも殺す。俺の家族を目の前で殴る奴は俺でも殺す」とドンフンは言い放った。この時の2人のやり取りを盗聴して聞いていたジアン。祖母への暴力に耐えられずグァンイルの父を殺めた事実。ジアンにとっては拭いきれない辛い記憶。しかしその過去をまっすぐ受け止めてくれたドンフンに、ジアンは泣き崩れる。心の温もりに触れ、ジアンの重くのしかかっていた悲しい思いや辛さを解放させた一言となる。

パク・ドンフン「俺だって人間だ」

不倫をしていたことを悔い、謝る妻ユニに対して、ドンフンが感情を露わにする。怒りからドアを殴り泣き崩れるシーンは、いつも落ち着いていて穏やかなドンフンからは想像できない一幕となった。「俺だって人間だ」。ドンフンから出たこの言葉の重みに、ユニもまた泣き崩れるのである。

パク・ドンフン「なんてことない」

ドンフンがジアンに「なんてことない」と言うシーン

ドンフンがジアンに伝える言葉。人を殺してしまい、その事実から逃れることもできず、苦しみ続けて生きてきたジアンだったが、ドンフンの「なんてことない」という一言に心から救われる。しかしまた、妻の不倫や会社での社内抗争など、自身の人生にのしかかる重圧に、自分に言い聞かせているかのようにも聞こえる。ジアンへ伝えるセリフが、彼自身もまた救われているように感じる名シーンとなっている。

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@sono-shioy4

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