マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~(韓国ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』とは、2018年韓国のtvNチャンネルにて放送されたテレビドラマである。イ・ソンギュンとIU主演による話題作。生きづらさや理不尽な社会に翻弄されながらも、励まし合うことで人は前に進んで生きていけるということを教えてくれる名作ドラマ。最終回では地上波を含む同時間帯視聴率1位を獲得。「第55回百想芸術大賞」や「2018 APAN STAR AWARDS」にて作品賞、脚本賞、最優秀演技賞など数々の賞を受賞している。

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の概要

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』とは、2018年韓国のtvNチャンネルにて放送されたテレビドラマである。監督は2014年の韓国にて社会現象を巻き起こした話題作『ミセン-未生-』を世に送り出したキム・ウォンソク。ドラマ制作会社は『愛の不時着』『トッケビ』など、数多くのヒット作品を生み出している「STUDIO DRAGON」。脚本はパク・ヘヨンが担当している。

理不尽な世の中に翻弄されながらも堅実に生きる中年男性パク・ドンフンと、重い人生を歩んできた若い女性イ・ジアンが出会い、肩を寄せ合い、心を通わせる感動のヒューマンストーリー。
サムアンE&Cに勤めるドンフンは、ある日差出人不明の5,000万の商品券を受け取る。同じ会社で派遣社員として働くジアンは、そのことを目撃していた。翌日ドンフンはこの件に関して監査部から調査を受けることになる。しかしあるはずの場所に商品券はなく、ドンフンは困惑する。結局会社のごみ置き場から発見されるのだが、彼は社内で商品券を捨てた男として英雄視扱いされることになる。しかし実際に捨てたのはジアンであった。このことを知ったドンフンはジアンに「自分が捨てたことにしてほしい」と伝えるが、交換条件として1カ月間食事をおごることになる。ジアンは借金返済のために、ドンフンをよく思っていない社長と手を組み、彼を陥れようとしていた。そんなことを知るはずもないドンフンは、彼女と関わるうちに彼女の境遇を少しずつ知っていくことになる。借金を抱え、若くして祖母の面倒を見て、ただ孤独に耐えて生きるジアン。それからというもの、ドンフンはジアンを気にかけ優しく接するようになる。ジアンもドンフンの優しさに触れるうちに、自らの心の変化を感じるようになる。誰かの優しさに救われ、思いを共有し、気持ちを理解してくれる。そんな人が近くにいるだけで人生に光りがさす。ジアンはドンフンを通して希望を見出だし、そして愛情を感じることで自らも愛を与えられる人へと成長していく。

俳優陣の演技が光る、素晴らしい作品であり人間愛の深さを感じられるドラマ。心に響くセリフに幾度となく鳥肌が立ち、時に厳しく時に癒され、温もり溢れる内容となっている。「第55回百想芸術大賞」にてドラマ作品賞及び脚本賞を受賞。ヒロインを演じたIUは、2018 APAN STAR AWARDS最優秀演技賞を受賞。数々の賞を受賞し、注目度の高いドラマである。

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のあらすじ・ストーリー

商品券の行方と陰謀

一人のしがない中年男パク・ドンフンは、建設会社のサムアンE&Cで働く普通のサラリーマン。今日も家族のため、生活のためただ黙々と働く。そんな彼の元に、ある日差出人不明の5,000万ウォンの商品券が届く。それをつい受け取ってしまうドンフン。翌日匿名の告発を受けて監査部から捜査を受けることになったのだが、受け取ったはずの商品券はなく、ドンフンは困惑する。
一方、ドンフンの会社の契約社員であるイ・ジアン。彼女は借金取りに追われ障害のある祖母の面倒を見ていた。ジアンは暗い過去を抱え人生に絶望しながら生きている。正当防衛ではあったが過去に殺人を犯しているのであった。そんな彼女は無情な世の中に希望を見いだせずに生きていた。
5,000万の商品券は、結局ごみ置き場から発見されることになるのだが、捨てたのはジアンだった。社内派閥のための罠として間違って送られたものだったが、ドンフンは5,000万を捨てた男として会社で英雄視されることに。ジアンが捨てたことを知ったドンフンは、自分が捨てたことにしてほしいとジアンに頼むが、交換条件として1カ月間食事をおごることになった。
平凡だがまじめに、そして道理に適った生き方をするドンフン。社内からの信頼も厚く、彼を昇進させようという動きもあるが、ドンフンは興味を示さない。しかしそんな彼を目障りに思う者がいた。会社の社長ト・ジュニョンである。ジュニョンはドンフンの後輩であり、いつも彼を目の敵にしていた。そしてジアンを使ってドンフンを陥れようと企む。借金返済の資金を手にするため、ジアンはジュニョンの手先となり、ドンフンを陥れようとする。そんなことは知る由もないドンフン。彼の知らないところではそれぞれの陰謀が渦巻いていた。

ドンフンの優しさと妻の裏切り

ジュニョンと結託したジアンは、ドンフンを離職に追い込むためのネタを手に入れようと、彼の携帯を使って盗聴を開始した。

そんなある日、ジアンは帰宅後に借金取りのイ・グァンイルに会い、何度も殴られてしまう。グァンイルはただの借金取りではなく、ジアンとは因縁があった。彼はジアンによって父親を殺されているのだ。グァンイルにとってジアンは親の仇であるという許しがたい存在である一方、恋心を抱き続ける相手でもあった。父親を殺される前は、ジアンを庇ってグァンイルが殴られていたこともあった。グァンイルの心の中には相反する思いがあり、彼もまた人生に傷付きながら生きていた。
その夜ジアンは任務のためドンフンの会話を盗聴していた。すると自分のことをとても心配している彼がいた。自身がいない場所で気にかけてくれるドンフンの優しさに、心がざわついた。またある夜、月が見たいという祖母の願いを叶えようとスーパーのカートに乗せて連れ出したところをドンフンが見かけ、彼女の願いを叶えただけでなく、さらに祖母を背負って自宅まで送り届けてくれたのであった。ドンフンの優しさに困惑しながらも感謝するジアン。
一方ドンフンは商品券の真相を突き止める調査をしている最中に、妻のカン・ユニと社長であるジュニョンが不倫をしていることを知ってしまう。ユニは弁護士であり才色兼備の妻である。しかしいつもどこか報われない顔をしていた。信じられない気持ちで困惑するドンフンだが、妻には内緒でなんとか収拾を試みる。ジュニョンがいるキャンプ場へ行き、ケガをした彼を病院へ連れていった際ユニと別れるように警告をするのであった。
一方ジアンもユニとジュニョンの関係を把握していた。彼女はあるときユニに会いに行き、盗聴したジュニョンの音声を聞かせる。「人妻を相手にしているのは一番楽だ」という彼の言葉に愕然とするユニ。ジアンは続けてこう言った。「おじさん(ドンフン)は全部知っている。知っていて黙っている」と告げるのである。衝撃を受けたユニはジュニョンに会いに行き、「哀れな人。なぜあなたのような人を好きなったのか。好きになった自分が情けない」と告げるのであった。一方ジュニョンは、ドンフンへの嫉妬心が増すばかり。どうにかしてドンフンを潰してやりたいと思うのであった。

ジアンの心の変化

ドンフンは商品券を見つけた清掃員から彼女の生い立ちを聞いて胸が締め付けられる。一方当初社内抗争や派閥、昇進には興味のなかったドンフンだが、ジュニョンへの怒りと反発もあり、常務になるために面接をという上層部からの依頼を受けることを決意する。ジュニョンと敵対する側となったのだ。それを盗聴していたジュニョンは、ジアンを呼び出しすぐに成果を出すよう求める。
ユニは、浮気に気付いていても沈黙を貫く夫に耐えきれなくなりついに自分から謝罪した。その瞬間、それまで胸にしまっていた思いが爆発するドンフン。「よりによってなぜあいつなんだ?会社を辞めさせた後に離婚をするつもりだったことは知っている!」とドアを何度も叩き泣きじゃくる。ユニは「常に家族を優先させて私は1番になれなかった。」と泣きながら告げた。翌日、サッカーに出かけたがユニとのことが頭から離れない。気分転換に、出家して僧侶となったユン・サンウォンのもとを尋ねると、ドンフンに何かあったと感じた彼に、「なんてことない」と言って励まされるのであった。サンウォンは、チョン・ジョンヒの元恋人である。ジョンヒもまたドンフンの友人であり、彼の兄弟や友人がいつも集う場所となっている店を経営していた。サンウォンを訪ね一緒に過ごす時間の中で、ドンフンはユニともう一度関係を築き直していこうと決意するのであった。
そしてジアンは、ドンフンの優しさに幾度となく触れ、次第に心が変化していく。自分が殺人を犯した真実を知っても変わらぬ優しさで手を差し伸べるドンフン。これまで関わってきた人たちとは違う、心地よい温もり。凍った心が少しずつ溶けていくと、彼女の表情や感情にも変化が表れだした。周りの環境の過酷さに悲観して生きてきたジアンは、暗く重い人生という絶望からは決して抜け出せられないと思っていた。しかし、どんなに人生が重くとも辛くとも、なんとか踏ん張って正しく生きようとするドンフン。彼の存在が彼女の中でどんどん大きくなっていく。そして自分の人生にもわずかな希望を見出だしていくのである。そしていつしかジアンは大切な人のために行動するようになっていた。自分でも気づかないうちに、誰かのことを想い、誰かのために行動していくのである。優しく包み込んでくれるドンフンのおかげで、ジアンの人生に光りが差し込むのである。
彼女はドンフンの昇進にあたって、同僚の一人として同僚面接の場に呼ばれることとなる。彼女はそこで、ドンフンの優しさをありのままに伝えたのである。ジアンの中にはもう、ドンフンを陥れようとする心などなくなっていた。
そんな折、ジアンの唯一の友人であるソン・ギボムの家へ来たグァンイルは、盗聴データを盗む。そしてジアンを操っていた黒幕がジュニョンであることを知る。

幸せになるために

昇進のための面接を終えたドンフンは、ついに常務になることが決定した。家族も友人もみんなが大喜びである。ジアンにも結果をメールで知らせたが、返事が来ない。ジアンはこれまでしてきたことが明るみになってドンフンに知られてしまうことを恐れ、姿を消したのであった。その後商品券に関連する一連の調査により自身の携帯がジアンにより盗聴されていたことを知るドンフン。またその黒幕がジュニョンであることを知り、彼を呼びつけ殴りつけるのであった。しかしジュニョンはこの期に及んでジアンのせいにする。
ジアンを探すドンフンであったが彼女は見つからない。一方グァンイルはギボムの家から持ってきた盗聴データを聞いていた。ジアンが幼い頃の自分たちの思い出話をしていて、思わず涙をこぼす。
清掃員のおじさんから一報を受け、ジアンの元へ向かうドンフン。そこでジアンは、「あなたの声も生き方も、足音も、全て好きだった」と告白するのであった。ドンフンは「俺のくそみたいな人生を聞いて心配してくれてありがとう。心配されないように幸せになる」と告げた。
ジアンにとって、幼いころからの唯一の心の拠り所であった祖母が亡くなった。質素で寂しい葬儀場を見て、ドンフンの兄が自分のへそくりを全て使い、供花や多くの弔問客を集めた。悲しみの中にも人の温かさと愛を感じるジアン。心からみんなに感謝をし、その夜サッカーをするドンフンとその友人たちを眺めながら、「人の縁とは不思議で貴重なもの。幸せに生きて恩返しをしなさい」と祖母と交わした手話を思い出して胸が熱くなるのだった。
一方グァンイルは、ギボムから奪った盗聴データのUSBをドンフンへ送る。この盗聴データが証拠となり、ジュニョンはこれまでの悪事が暴かれ失脚した。彼もまた、自分のためではなくジアンのために行動したのであった。
多くの困難を、ドンフンやその周りの人たちの温かな愛情により乗り越えたジアン。ジアンの境遇を知った会社の会長のはからいにより、彼女は新たな職場へ行くことになったのである。自分のことを誰も知らない土地で、新たに生きていきたいと考えるジアン。ドンフンの深く尊い愛情により、前を向いて進んでいく決意ができたのだ。ドンフンもまた、「俺を救うためにこの街に来たんだな」とジアンからもらったこれまでの想いに感謝をする。「お互い本当に幸せになろう」。ドンフンはそう言ってジアンを送り出すのだ。「人の縁とは不思議で尊いもの。幸せに生きることで恩返しをしなさい」生前交わした祖母の想いも胸に刻んで、ジアンの新たな生活がスタートするのである。
時が経ち、ドンフンとジアンは偶然にも再会を果たす。近況を伝え合って互いに握手を交わす2人。そこには、穏やかに笑うジアンの姿があった。そして彼女は「今度おごらせてください」と笑顔でドンフンに申し出る。同僚たちと語らいながら去って行くジアンの姿を見てほほ笑むドンフン。「至安(ジアン)、その名の通り生きているか?」と心の中で問いかけるドンフンに、ジアンもまた心の中で「はい」と答えるのであった。

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

パク・ドンフン(演:イ・ソンギュン)

建設会社の部長として働く普通のサラリーマン。真面目な性格で3人兄弟の次男。妻と留学中の子供が一人いる。

イ・ジアン(演:IU)

ドンフンと同じ会社で働く契約社員。自身は過酷な運命を背負っており、親の残した借金の返済をしながら体の不自由な祖母の面倒も見ている。過去に犯罪歴あり。心を閉ざして生きている本作のヒロイン。

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