推しが武道館いってくれたら死ぬ(推し武道)のネタバレ解説・考察まとめ

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』とは、平尾アウリによる漫画作品で略称は「推し武道」。『月刊COMICリュウ』(徳間書店)にて、2015年8月号より連載を開始した。女性地下アイドルグループたちと、その彼女たちを応援するファン・アイドルオタクたちとの様子や生き様を軽やかに描いたコメディ作品。2017年には「このマンガがすごい!2017」オトコ編第12位、第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門第11位にランクインした。アニメ化やドラマ化などのメディア展開もなされている。

『推しが武道館いってくれたら死ぬ(推し武道)』の概要

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』とは平尾アウリによる漫画作品で略称は「推し武道」。『月刊COMICリュウ』(徳間書店)にて、2015年8月号より連載を開始した。2022年10月時点で単行本は1巻から9巻出版されている。岡山県を中心に活躍する地下アイドルグループ「ChamJam(ちゃむじゃむ)」とその「ChamJam」を応援し追いかけるファン(アイドルオタク)たちの様子と生き様を描いているアイドル応援コメディ作品。2017年には「このマンガがすごい!2017」オトコ編第12位となり第3回「次にくるマンガ大賞」コミックス部門では第11位にランクインした。漫画の絵のタッチは可愛らしく描かれている。ほんのりとした百合感もあるのが特徴。百合感とは女性同士のイチャイチャや恋模様を表現している。出てくる女性は主人公以外はみなオシャレな服装をしている。本作の主人公は名を「えりぴよ」と呼ばれ、本名は分からない。その「えりぴよ」と地下アイドル「ChamJam」の「市井舞奈(いちいまいな)」の関係を中心に物語は進んでいく。地下アイドルグループの「ChamJam」は岡山県で活躍する女性7人組グループで、メンバーには不動のセンター・五十嵐れお(いがらしれお)をはじめ、松山空音(まつやまそらね)、伯方眞妃(はかたまき)、寺本優佳(てらもとゆうか)、水守ゆめ莉(みずもりゆめり)、横田文(よこたあや)、そして市井舞菜が所属。主人公の「えりぴよ」は古参にして唯一の舞菜オタ。つまり舞奈のファンは「えりぴよ」しかいない。収入のすべてを舞菜に注ぎ込み、自分は高校時代の赤ジャージを着用するという生ける伝説。アニメの時に付けられたキャッチコピーは、「君のために生きている」。アニメ化やドラマ化などの複数のメディアで展開されている。

『推しが武道館いってくれたら死ぬ(推し武道)』のあらすじ・ストーリー

えりぴよのファン活動

舞菜の応援をするえりぴよ

岡山県に住む20歳のフリーターのえりぴよは地元の地下アイドルグループChamJam(ちゃむじゃむ)の熱烈なファン。最も推しているメンバーである市井舞菜(いちいまいな)のために、収入のすべてを捧げてファン活動を行なっていた。いつものように地下ライブ会場近くのカフェで同じくChamJamのファンで古株のくまさと新参のファンの基(もとい)とえりぴよでライブが始まるまでお茶をしていた。くまさはChamJamのファンの古参と言われる存在で最も推しているのはChamJamのリーダーである五十嵐れお(いがらしれお)である。古参とは古くからファンとして参加しているという意味。基の推しは、耳の下まで伸ばした青のボブヘアの松山空音(まつやまそらね)。えりぴよとくまさでどっちの推しの方が可愛いかでもめていると、ライブの会場がオープンし入場するというのがいつもの構図。

ライブが始まり、最初の曲はメンバーそれぞれの紹介曲 「ずっと ChamJam」 。最初に五十嵐れお、次が松山空音とそれぞれ紹介されて行き、最後に市井舞奈の紹介がはじまった。紹介が終わると途端にえりぴよが「まいなあいしてる!!」と叫び鼻血を出して倒れた。会場は騒然とし、えりぴよは伝説の人となった。
えりぴよが倒れて休憩室で休んでいる間にライブは順調に進み、ライブは終了となった。ライブが終わるとファンのお待ちかねの握手会が始める。ここでファンたち自分の推しのためにグループメンバー個人曲のCDを1枚1000円で購入する。そのCDの枚数1枚で5秒間の握手する権利が得られるのである。
休んでいたえりぴよも握手会だけははってでも参加する。なぜならばここでCDを購入することが推しである舞奈と会話ができるチャンスだからである。舞奈のファンはえりぴよのみで毎回えりぴよは舞奈のCDを買い占める。買い占めた時間で舞奈とえりぴよは握手と会話をする。だが舞奈はいつもえりぴよに対し冷たい対応だった。
いつも冷たい対応をする舞奈だが、実は舞菜もえりぴよの事を非常に大切に思っており、恋愛に近い感情すら抱いているのだが、アイドルは特定のファンと親しくし過ぎてはならないという暗黙のルールがある。そのため、わざとそっけなく振る舞っていたのである。

初イベントのグループ内人気投票

地下アイドルグループChamJamでは、グループ内人気投票が開催される事になった。今まではアイドルメンバー内で格差が生まれるのを懸念してグループ内人気投票を開催していなかった。遂に開催されたグループ内人気投票でえりぴよはどうしても舞奈を上位にしたかった。そのため投票券付きCDを買うためアルバイトに励む。睡眠時間を削りに削ってアルバイトに励んでいたえりぴよはフラフラだった。フラフラになりながら歩いているえりぴよは、後ろからやってきた車に飛ばされ足を骨折してしまう。怪我をしてまでお金を稼いだ結果、中間発表で舞菜は見事3位となった。
しかし、投票終了までCDを買い続ける事はえりぴよにはできない。そこでえりぴよは握手券付きCDを買い控える事にする。舞菜はこれによって、えりぴよに会う機会が減るのを淋しく感じていた。握手券付きCDを買い控える事で最近舞奈の所に握手に行かないえりぴよが推しているメンバーを変えたという噂が流れる。有名ファンであるえりぴよの動向が投票結果を左右すると考えた他のファン達はえりぴよの些細な変化を目にしては無根拠に騒ぎ立てていたのである。

そしてグループ内人気投票最終日。ようやくケガが治ったえりぴよは、ギリギリまでアルバイトをし投票券付きCDを一枚でも多く購入しようとしていた。しかし最終日の朝、えりぴよは体調を崩して足を滑らせて川に落ちてしまう。そしてようやくCD販売場所に着いた頃には、投票時間は過ぎてしまっていた。こうして人気投票は終了し、舞菜は結局最下位に終わってしまった。それでも舞奈のために稼いだお金だから舞奈に貢ぎたいと残ったCDを全て購入するえりぴよ。その気持ちを ChamJamの運営スタッフである三崎(みさき)は舞奈にちゃんと伝えた。三崎からえりぴよの思いを知らされた舞菜は、えりぴよの応援に心から感謝し、次回の握手会でこの気持ちを絶対に伝えようと誓った。

初参加の岡山アイドルフェス

初めて参加することになった「岡山アイドルフェス」。れおの昔の仲間のメイが所属する「めいぷる♡どーる」や、担当カラーはイエローでセクシーな雰囲気を漂わせた伯方眞妃(はかたまき)のいとこである村井夏未(むらいなつみ)がいる「ステライツ」など、ChamJamと関係があるアイドルグループも参加している。
ライブが始まるまで待つための控え室を探し、向かっている途中で、めいぷる♡どーるのリーダーのメイとばったり会う。メイに会ったれおとその他メンバーたちはめいぷる♡どーるが今度武道館でライブをすることを聞く。そのことに衝撃を受けその場に立ち尽くしていた。気を取り直し「今日はよろしくお願いします!」と伝え、その場を離れるのだった。
そしてフェスでのパフォーマンスが始まった。いつものライブ会場よりも数倍は広い会場にChamJamは怖気づいてしまう。何とか全員でライブ会場にたち、その場を見渡すといつものファン達が目に入り嬉しくなるのだった。舞奈もえりぴよをみつけ「わたし自分で思ってた以上に不安だったんだ」と気づき、えりぴよの存在に感謝と嬉しさを感じた。そしてライブが終了し、ChamJamたちは「武道館」でのライブを意識し始める。

初のCM出演と東京でのリリースイベント

五十嵐れおと伯方眞妃と、担当カラーはホワイトで目の下にほくろが縦に2つ並んでいる寺本優佳(てらもとゆうか)の3人が、ドアストッパーのローカルCMに出演することになる。普段は地下でアイドル活動しているのでメディアに出ることはなく、多くの人が知る由もなかった。だがCMに出ることで、CMを見た人がライブに来てくれていた。そしてライブを見ることでChamJamの良さが伝わり、固定のファンとして付くようになった。
この時、久しぶりに基の妹の玲奈(れな)がライブに来ていた。玲奈は以前、兄の基に誘われてライブに来ていたが大学受験のためご無沙汰だった。大学受験がおわりまた来るようになったのである。因みに舞奈推しである。舞奈のファンはえりぴよしかいない状態だったが、玲奈が2人目のファンとなっていた。
ファンが増えてきたChamJamをみて運営側はまだまだいけると考えるようになる。新曲を発売するか迷っていたが、運営側は新曲の発売を決意する。そしていつまでもインディーズでCDを売るのではなく、メジャーでのCD発売を計画する。メジャーデビューを目指すために今回のCDのリリースイベントのスケジュールを練り直すのだった。

練り直した計画が突然の東京でのリリースイベントだった。岡山でしか知っている人がいないChamJamにとって無茶な計画だが、きっかけが無いと人気も出ないと決行することに。お金もないので新幹線は使えず、車で10時間かけて行くことになった。突然に決まった東京でのイベントなのでファンたちに「お知らせ」が来たのは、始まる時間の2時間前だった。このお知らせをみた、えりぴよとくまさに基は東京に行くことを考える。流石に2時間では間に合わないのでその日のイベントには参加ができなかった。それを大変に悔しがっていたが、次の日にも開催されていた。2日目のイベントには何としても参加するべく、早速深夜バスに乗り東京に向かうのだった。東京についたえりぴよとくまさ、基はイベントまで時間があったので武道館を見に行くことにした。そして同じタイミングでChamJamたちも武道館を見に行くことを考えていた。
2組とも武道館で鉢合わせるかと思われたが、合うことはなかった。実は武道館とは複数存在していて、通常「武道館」と言えば「日本武道館」のことを指す。が東京には「東京武道館」というのも存在している。なんとChamJamたちはその「東京武道館」の方に向かってしまっていた。岡山で生活していて滅多に東京の土地情報を調べたりしないので知らなかったのだ。因みに、えりぴよ達オタクは日本武道館を見ていた。えりぴよ達は東京でのイベントもしっかり見る事ができ、えりぴよと舞奈のファンとアイドルの信頼を深めていくのだった。

「ステライツ」「神薙ラビッツ(かんなぎらびっつ)」とのツーマンライブ

伯方眞妃のいとこの村井夏未の計らいで対バンをすることに。村井夏未は以前岡山アイドルフェスに出ていた香川のアイドル「ステライツ」に所属していた。対バンとは2組のアイドルがライブすることである。ツーマンライブとも言う。
対バンにあたり、ChamJamはステライツのライブ映像を見る事にした。ライブを見るとステライツのファン層が自分たちと違い女性が多いことに気が付く。その理由がステライツはいわゆる百合営業をすることで、女性ファンを獲得していたのだった。百合営業とはメンバー同士で女性同士のイチャイチャを演出すること。そんなステライツとChamJamが対バンすることを知った、えりぴよとくまさと基は香川県でのツーマンライブを見に行く計画を立てていた。

さらに今度は大阪のアイドルグループ・「神薙ラビッツ(かんなぎらびっつ)」と対バンをすることになる。ちなみに「神薙ラビッツ」は実在のアイドルグループ。ChamJamはそれぞれのメンバーにファンがつくいわゆる単推しが多いのだが、この神薙ラビッツはグループ全体を推す箱推しが多い。
最近対バンが増えてきたことを喜んでいる、えりぴよとくまさ。今回はホームの岡山ということで相手の神薙ラビッツに失礼のないように動画で神薙ラビッツの曲を予習する。そして対バン当日。いつもの定期ライブで使用している会場で始まった。神薙ラビッツのパフォーマンスはきれいに揃っていて、見事なものだった。

夏の浴衣イベントとテレビでのミニコーナー

夏になり浴衣でのライブ開催が決定した。その浴衣ライブのための浴衣を買いに来た舞菜。そこで偶然玲奈に遭遇した。浴衣選びの経験のない舞菜は玲奈に選んでもらうことにする。その浴衣ライブも楽しく終わり、その興奮冷めやらぬままお祭りに直行したえりぴよたちは玲奈に出会う。その彼女の浴衣は舞菜と似ていると感じ、よく見るとどう見ても同じだった。2人はもうすごく仲良くなっていて、だから玲奈はライブにも来ないんだと疑った。その状態からえりぴよは「積むことだけがすべての正解ではないのかもしれないな」と悟っていた。ちなみにここでの「積む」とはたくさんCDを買って推しに貢ぎ、購入した時間で握手や会話をすることである。

ステライツの夏未と親戚のChamJamメンバー眞妃は最近、一緒に香川県のローカルテレビに定期的に出演していた。そこで夏未が突然、ChamJamがグループで香川県の番組に出演することを発表。期間限定でのミニコーナーを受け持つこととなった。親戚の夏未がいきなり発表するもんだから、ChamJamのメンバー全員がビックリの状態。コーナーの内容は香川のいい所をChamJamで訪ねてコメントするというものだ。
この頃ChamJamにはもう1つ悩みがあった。最近チームで始めたYouTube動画の再生数がまったく伸びないというもの。食べ物をたべる動画やみんなで行うチャレンジなど諸々の動画を上げているのだが、再生数が稼げる動画がなかった。

再生数が上がらないChamJamのチャンネルをめいぷる♡どーるのメンバーでセンターのメイが見つけた。このチャンネルを見てメイは旧友のChamJamの五十嵐れおに対し、コラボしないかとのお誘いラインを送る。れおは1週間ぐらいは返信をせず、どうするか悩んでいた。悩みに悩んだ結果、ChamJamのためにはコラボしたほうがいいと考え、「お願いします」と返信した。そしてChamJamメンバーにも、れおとメイが同じグループにいたことを告げて全員で考え、めいぷる♡どーるの動画の生配信に参加することになった。その後、ファン達のえりぴよやくまさ、基の元にも連絡が来た。

YouTube生配信で「めいぷる♡どーる」とコラボ

めいぷる♡どーるとの生配信も来週となった頃、えりぴよは、とある洋服店で服を見ていた。そこは舞奈がよく行く洋服屋で服を物色していたのだ。そこになんと偶然に舞奈が夢と一緒に買い物に来る。偶然のニヤミス。びっくりしたえりぴよはそのタイミングで持っていたクソダサいTシャツを抱きかかえてしまう。それを見た舞奈は「わたしも買います」と勘違いをし、購入して走り去ってしまった。舞奈は走りながら「今度のYouTubeで着ます」と叫んでいた。この今度のYouTubeがめいぷる♡どーるとのコラボ配信となる。因みに、えりぴよはこの洋服店が舞奈のよく来るお店だと思ってきているが、実は最初ここの洋服店の服を着ていたのはえりぴよだった。えりぴよの赤いジャージから見えるTシャツのメーカーを調べ、舞奈はえりぴよに会えるかもという気持ちで、この洋服店に通っていたのだ。

そして配信がスタート。当たり障りのない感じで始まるが、舞菜が変な服を着ていることをイジられる。先日にえりぴよと会った洋服店で買ったクソダサいTシャツを本当に着ていたのだ。視聴者数はなんと15万人。めいぷる♡どーるは武道館でライブするほどの人気なのでそのぐらいの視聴者がいる。その中で舞奈はTシャツをイジられ、追い詰められた舞奈は「480円だったの…」と発言した。変な空気になるかと思いきや、このコメントが受けて視聴者は「480円ちゃん」とあだ名を付けこのコメントで大いに盛り上がるのだった。

この配信後の定期ライブが始まった。ライブには先の配信を視聴してかいつもより、観客が多かった。そして握手会が始まると驚きの光景がえりぴよの目に飛び込んできた。なんといつも自分と玲奈ぐらいしか並ばない舞奈の所に列ができていた。
ただ、めいぷる♡どーるとのコラボ配信を視聴して来た新規のファンは舞奈のことを「480円ちゃん」という名で呼び、「舞奈」という名を覚えていなかった。名前を覚えて欲しい舞奈のことを察したえりぴよは、会場中に聞こえる大声で「この子は市井舞奈って言います!」と叫んだ。こうしてファンも増え、そして舞奈とえりぴよの絆は深まるのだった。

初めて開催される舞奈の生誕祭

ついに舞奈の生誕祭が開催できることになった。今までライブ会場の工事などのトラブルに阻まれ一度も開催できていなかった。だがついに、舞奈の生誕祭ができるとえりぴよは、はしゃいでいた。舞奈の初となる生誕祭を仕切るのは、もちろんえりぴよになった。えりぴよと玲奈の2人が中心となり、生誕祭の計画を立てる。2人で話し合いの結果、「やりたいことを全部やる」ということに決まった。
そして生誕祭当日。まずは作成した舞奈の写真のアルバムを配布。そして、舞奈がライブ会場に入場してくる道には花道を作る。ライブに参加するファンたちにはペンライトと羽根を配り、舞奈の登場と共に羽根を巻く。ペンライトは舞奈のイメージカラーであるサーモンピンクに光らせて、ライブ会場も舞奈カラー一色にした。盛大に初の舞奈生誕祭が開催されることとなった。
ChamJamの生誕祭ではメンバーの方も1つやりたいことをやってもいいことになっている。今回舞奈がお願いしたことは、疑似体験の「武道館」でのライブだった。疑似なので、普段の定期ライブで使用するライブ会場に段ボールへ手描きした武道館というなんともチープなものだったが、舞奈は大満足だった。このライブにより、ChamJamたちとそのファン達の中で「武道館ライブ」を目指そうという結束が固まった。

先の舞奈生誕祭でのライブで「武道館ライブ」を目指すことをグループとファンも決意し、少しずつだが着実にファンを増やし前に進んでいるChamJam。そんなChamJamからリーダーであり精神的支柱である五十嵐れおが「卒業」するというお知らせがファン達に連絡が入り、れおのトップオタであるくまさの陰りのある表情で終わる。

『推しが武道館いってくれたら死ぬ(推し武道)』の登場人物・キャラクター

ChamJam オタク

えりぴよ

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