ターヘルアナ富子(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ターヘルアナ富子』とは、原作者徳弘正也による漫画作品。集英社の『週刊少年ジャンプ』において、1986年より1986年まで連載された。医者の娘・亀田富子と、その隣にある寺院の息子・天童空也が織り成す騒動を描いたギャグ漫画である。
なお、タイトルは『解体新書』の底本となった解剖学書、『ターヘル・アナトミア』のもじりである。

空也「坊主の前で殺生すると地獄行きだぜ」

住職の息子である天童空也が、悪党の行為に我慢ができなくなって叩きのめす前に、怒りに震えながら「坊主の前で殺生すると地獄行きだぜ」というセリフを言ってからぶちのめすのがお約束。腕っ節が強く、空手の達人である空也はこの後あっさりと相手をノックアウトしてしまうのがパターン。

下ネタギャグが多い

下ネタが得意な徳弘正也らしく、デビュー作『シェイプアップ乱』と同様に本作も医療系ギャグと同時に下ネタギャグがあちこちに登場する。しかしながらグロさや暗さのある下ネタ全開というわけではなく、ほのぼのとした爽やかな下ネタが多いのが徳弘正也作品の特徴である。

『ターヘルアナ富子』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作者の徳弘正也が編集者に突っ込まれているシーンが登場する

連載当初は富子が悪人を懲らしめる際には両手にメスを持って「おぺしましょ」と叫ぶのが決めセリフとなっていた。しかし連載後半に移行するにつれて、殆ど話題になる事もないままこのシーンは一切出てこなくなった。医療+ギャグというコンセプトの下で考案したであろうこの決めセリフは、結果的に流行ることはなかったわけであるが、徳弘正也自身も半信半疑であったようで、編集者から「流行ると思ってんの?」と突っ込まれているシーンが登場している。

連載開始前に念入りに病院関係の取材が行われている

本作を執筆するにあたり、原作者の徳弘正也は兄が高知県で薬品関係の会社に勤めていたこともあり、わざわざ現地を訪れて医師に面会したり手術室やレントゲン室の写真を撮影したりと念入りな取材をおこなっている。病院関係と寺院関係の写真百数十枚や医療器具のカタログを集めて研究を重ねたこともあり、本作の背景や舞台、医療器具などの描写がリアルなのはそれが理由である。

タイトル名は『解体新書(ターヘル・アナトミア)』から着想を得た

本作のタイトル名「ターヘルアナ富子」は、『解体新書(ターヘル・アナトミア)』から着想を得ており、作品は医療と下ネタがベースになっている。医療がテーマであるだけに、登場キャラクターが医者や坊主など、死に密接な人物が多い。メスを使って体を切り刻んで相手を懲らしめるというグロいシーンも多いが、下ネタも満載のギャグ漫画となっている。コンプライアンスの絶頂期である2020年代の倫理観では許されない、手術して「また開くかもしれないから」と縫合しないでファスナーを付けたりといった、いわば不謹慎なシーンも多い。

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