少女少年学級団(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『少女少年学級団』とは『別冊マーガレット』(集英社)から連載された藤村真理の漫画。小学生たちが悩みながら、成長していく青春学園ストーリーである。野球が大好きな女の子中谷遥が、高校生で甲子園に行った経験のある田辺健に憧れる。健と一緒に過ごしているうちに憧れではなく好きという気持ちに変わっていく。自分の思いを上手く表現出来ず葛藤しながらも、周りの人や状況を受け入れながら、大人になっていく姿が描かれている。

『少女少年学級団』の概要

『少女少年学級団』とは、藤村真理が『別冊マーガレット』で、2007年に連載を開始し、2018年まで掲載された漫画。単行本では全9巻で完結している。本作は、2011年からの長期休載を経て、2018年2月号を似て連載が再開している。約6年ぶりの再開となり、心待ちにしていた読者も多い。藤村真理は、1982年、別マ少女まんがスクールにおいて『ほんとにホント!?』で努力賞及びベスト賞を受賞し、『別冊マーガレット』で掲載デビューする。デビュー以来、少女漫画を描き続け、人気作家となる。主な代表作は、綾瀬はるかの主演でドラマ化された『きょうは会社休みます。』。
若草第一小学校6年生の主人公・中谷 遥が、高校生に恋をすることで、今まで自分では知らなかった新たな感情が表れてくるのを感じていく。恋愛を通して、成長し大人になっていく小学生の姿が、細やかに描かれている青春学園ストーリーである。恋愛に興味が無かった遥が、甲子園に行った人が同じ団地に住んでいると知り会ってみたいと考える。その人は同級生のお兄さんであり、「健兄」という愛称で小学生にも大人気である。野球を通して仲良くなり距離が縮まっていくうちに、健に対する気持ちが憧れから好きという気持ちに変わっていく。遥は同級生の男子から、責任感強く、優しく、可愛いということで人気がある。遥に思いを寄せる男子達の表情や言葉、行動も小学生らしいと思えるような単純で分かりやすく、少し笑えるような微笑ましい作品になっている。そして、健は小学生の遥と最後はどのような関係になっていくのかも見所の1つである。

『少女少年学級団』のあらすじ・ストーリー

健兄との出会い

父親の退職を機に、若草第一小学校に転校してきた、主人公の中谷 遥(なかたに はるか)は、野球が大好きな女の子。しかし、転校してきた学校では男女の仲が悪く、男子と女子が一緒に遊ぶことが許されていない常に歪み合っているようなクラスだった。野球が出来にくい環境になってしまったことを落ち込む遥。そんな遥を見兼ねた親は、「リトルキャッツ」という野球チームに入ることを許す。喜ぶ遥に、姉が同じ団地でピッチャーとして甲子園に行ったことがある人がいることを伝える。
ある時、同級生の田辺 渡(たなべ わたる)と喧嘩になり、殴ってしまったことから謝りに行くこととなる。出てきたのは、兄の田辺 健(たなべ けん)。遥に、殴ったら自分も痛い思いをするし、大好きな野球が出来なくなったらもったいないと優しく接する。ここが、初めて健との出会いである。そして、甲子園に行ったすごい人であることも知り、憧れの気持ちが強くなっていく。遥は「健兄」と呼んで慕っていく。そして、健と接する遥を見て、同級生の男子たちが「けっこう可愛い」と注目し始める。まだ、愛とか恋とか分からない小学生たちがもうすぐで初恋の入り口に立っていく。

野球が大好きだけど女の子は甲子園に行けない

遥は「健兄は男でいいなぁ」と感じる。それは、女の子はプロ野球選手になれないことを聞いたからである。作文の将来の夢というテーマにも、男になると書くほどである。
ある時、渡に「女は甲子園にすら行けないからな。女は野球をやっても意味ない」と言われ喧嘩となる。努力しているのに、甲子園やプロ野球チームにも行けないし、女ってだけで諦めないといけないと言って悔しさが溢れる。しばらく悲しい思いをする遥だが、同級生の小玉小絵(こだま さえ)に、「希望を捨てるから夢が終わるんだよ」と言われ、未来に対して期待をするようになる。そして、女の子でもプロテストに合格すれば、プロ野球選手になれることを知り、野球を頑張っていくことを誓う。

思ってもいない突然のファーストキス

マラソン大会で、団長が渡、副団長が遥となる。最初はまとまりがなく団長の渡が病んでしまうが、渡がクラスにいないことで存在の大きさに気づいていく。マラソン大会は副団長の遥の支えもあり、無事に終わりクラスの雰囲気が以前よりも良くなりつつあった。そんなある日、遥の大好きな健が昔の彼女と一緒にキスをしているプリクラを見てしまい動揺する。泣いてしまう遥を元気づけようと渡は遥にキスをする。これが無理矢理だったので大問題となる。遥は思ってもみない形でのファーストキスに怒り狂い、思い切り渡を殴り「大嫌い」としばらく口を聞かなくなるほどであった。健の仲介もあって、渡との仲は以前と同じように戻る。

健兄のこと好き仲間

同級生の池口萌香(いけぐち もか)は姉の池口美咲(いけぐち みさき)との関係に悩んでいる。萌香は読者モデルになるほど可愛く、モデル事務所での芸能活動をすることとなるが、そのことを美咲はよく思っていない。それは、可愛いと悪い男がどんどん近寄ってきて母親みたいに、男に対して依存する人間にはなりたくないと常日頃から思っているからである。そして、萌香の着飾る姿を見て、洋服を勝手に捨てようとする。美咲との関係に悩み「帰りたくない」と泣く萌香をほっておくことができずに、遥は美咲を殴ってしまう。それを後悔した遥は、美咲に謝り関係が修復する。そして、美咲は遥達の真っ直ぐな言葉から背中を押され、美人に変身するが、美咲の好きな人が遥と同じ健であることを知り、動揺する遥。本当は美咲の恋を応援したいが、自分も健のことが好きな遥は葛藤し、どうしたら良いか困惑する。正直にそのことを打ち明けると、健のことを好きな人はいっぱいいるからみんな同じ好き仲間だと思って一緒に頑張ろうという言葉で遥の葛藤は吹き飛ぶこととなる。

一寛との恋愛

遥は健のことが大好きだが、健のことを忘れようと同級生で同じ野球チームの山野一寛(やまの かずひろ)と付き合うこととなる。しかし、付き合っていく上で遥が本当に好きなのは健であることを一寛は察する。そのことで傷つけることとなり、遥はクラスメイトからいじめを受ける。一寛は、密かに女子に人気があり、クラスメイトの女子が怒ったのだ。いじめを受け、自分が過ちを犯し、いかに周囲を悲しませたか自覚し、一寛に謝罪して友情を取り戻すこととなる。

波月への嫉妬

野球の試合で先発を任されることになった遥。「絶対打たせない」と意気込んでいる遥であったが、初めて生理が来たことで野球の試合を最後までできるかどうか心配しているのである。生理のことで身体の不調もあり、いつも通りにプレー出来ない遥。周りは男子ばかりなので誰にも相談できずに悩んでいた。そこに声をかけたのが、波月凛(はづき りん)である。遥の動揺している姿や異変に気づいてすぐに声をかけてトイレに連れていく。遥はエースなのに自分から試合をやめてしまったことを悔しんでいる。波月は落ち込む遥に、自分が昔野球チームに入っていたが、怖くなって色々な理由をつけてやめてしまい後悔したことがあると伝える。遥は波月の後悔を聞いて、女だからって野球を諦めたくない、後悔したくないと思い前に進んでいくのである。波月は、健のことを知っており、中学の同級生である。少年野球チーム時代に健と試合をしたこともある。渡に1度中学の卒業式の日に健に宛てた手紙を渡していた。健のことが好きだったのである。しかし、手紙は渡らないまま思いは伝わらず終わったのである。野球の試合を見ながら、健と波月が仲良く話をしている姿に遥は、やきもちをやく。そして、ある時渡から健が波月と付き合うことになったと伝える。傷ついた遥に寄り添って慰める渡である。失恋の辛さを初めて知った遥であったが、どんなに痛みが消えなくても毎日を乗り越えていかなくてはならないと前を向くのである。

健兄の旅立ち

遥は、健兄のことを忘れるために受験勉強に打ち込むようになる。同級生で昔のチームメイトである三木勇馬(みき ゆうま)と同じ中学を受験し、硬式野球部のある場所で野球を続けていくと決意する。そんな遥に、健はお守りと飴をプレゼントし、お互い受験を頑張ろうと励ます。健もまた、大学受験を控えているのである。そして、合格した遥は真っ先に健に報告する。お祝いに健とケーキ屋に行くこととなる。その帰り道に、健は波月と付き合っていないことを伝える。渡が勘違いして、付き合っていると言ってしまったみたいだが違うと言う。それを聞いた遥は、まだ健のこと好きでいられると思い喜ぶ。しかし、健は、大阪の大学に合格したので、地元から離れることを遥に伝える。健は旅立ちの日に、どこにいても遥のことを応援していると手紙を渡し、旅立ってしまう。

将来の夢はプロ野球選手と健兄のお嫁さん

小学生だった少女、少年達が高校生になる。遥は、肘を壊してしまってから野球部には顔を出さず、学校をサボったり、街へ出て遊んでいるという。渡はそんな遥に活を入れ、「いつまでそのまんまでいるの?健兄に毎日遊び歩いていると言って良いのか」と聞き、遥は何も答えずに立ち去る。怪我をしてから野球をするのが苦しくなっていた様子である。周りにどんどん置いていかれ、それでも必死についていこうと頑張ることに疲れたと話す。そして、遥は時間潰しのため怪しいバイトをしようとするが、手を引っ張って止めに入ったのは大阪から帰ってきた健である。健は、暇をしている遥を毎日迎えに行き、朝5時からランニングをする。そして、ランニングをしながら理学療法士の仕事をしていることを伝える。「とりあえず、毎日何していいか分からないなら走っておけ」と言い、遥と毎日走るようになる。そして、身体も引き締まってきたところでキャッチボールをすることになる。その間に、苦しかったのは野球が好きだったから、夢を諦めきれなかったからと気づく。そして、再び野球を頑張ることに決めた遥は、いつか健に追いつくからそれまで待っていてほしいと伝える。健は優しく抱きしめて、「もう追いついている」と言う。遥は再び小学生の時の夢も今の夢も同じで、「プロ野球選手と健兄のお嫁さん。いつか叶いますように」と願うのである。

番外編 甲子園行きを決めた瞬間

健の甲子園を決める大事な決勝戦。渡は応援に来ている。渡と同じ野球チームに所属している年上の先輩は、渡が応援に来た時に挨拶しなかったことを怒っている。
そして、健の所属する、南東高校が負けたら野球チームを辞めるという約束をしてしまうのである。「健兄は絶対に勝ってくれる」と信じ、応援を続ける。大事な場面でピッチャーとして出てきた健は、昔渡から帽子のつばに「しょうり」と書かれた帽子をかぶっている。その帽子をかぶって、ピッチャーとしてしっかりと相手打線を抑え、打者としてもヒットを打って9回に逆転勝利し、甲子園行きを決めたのである。

『少女少年学級団』の登場人物・キャラクター

遥の友人・同級生

中谷遥(なかたに はるか)

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