只野工業高校の日常(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『只野工業高校の日常』とは、小賀ちさとによって、2019年から集英社出版の月刊漫画誌『ウルトラジャンプ』にて連載されている青春コメディ漫画である。工業高校あるあるや、リアルな工業高校生の様子を楽しめるストーリーが魅力の作品となっている。
物語の舞台は、とある雪国の片田舎にある只野工業高校。赤崎眞央、仙堂勝利、八坂斗真を中心に、工業高校の日常や工業高校に通う学生のリアルな姿が描かれていく。
『只野工業高校の日常』の概要
『只野工業高校の日常』とは、小賀ちさとによって、2019年から集英社出版の月刊漫画誌『ウルトラジャンプ』にて連載されている青春コメディ漫画である。国内最大級の電子書籍サイト、『コミックシーモア』が開催している「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2022」では大賞を受賞している。豪華声優陣によるボイス付きPVなども公開されており、SNSで話題を呼び人気が高まっている。
工業高校あるあるや、リアルな工業高校生の様子を楽しめるストーリーが魅力の作品である。工業高校で用いる道具や、工業高校で学ぶ電気や機械関係の豆知識なども知ることができる。単品でも読めるオムニバス形式の部分と、複数の話数でストーリーが進む部分があり、連載分は1回につきある程度の小話をまとめて「~時間目」と表記される。
物語の舞台は、とある雪国の片田舎にある只野工業高校。ヤンキーのような生徒が少々目立つが、どこにでもあるごく普通の工業高校である。メインで登場する赤崎眞央、仙堂勝利、八坂斗真は、電気科の2年生。彼らを中心に工業高校の日常や、工業高校に通う学生のリアルな姿が描かれていく。
『只野工業高校の日常』のあらすじ・ストーリー
電気科の日常
只野(ただの)工業高校電気科2年のクラスには、他の生徒と比べて一際成績が悪く、問題児である3人の生徒がいる。工具の電工ナイフを誤って鞄に入れてしまい、警察に補導される赤崎眞央(あかさきまひろ)。授業は寝てばかりのうえに、喧嘩をして停学になった経験もある仙堂勝利(せんどうしょうり)。不器用で電工ナイフが上手く使えず、毎回のようにケーブルの導線を傷付けてしまう八坂斗真(やさかとうま)。勉強面の不安に加えて、見た目もヤンキーのような3人に、担任の藤原丞(ふじわらたすく)も手を焼いていた。しかし、そんな彼らでも専門科目の実習はまともに受けている。作業着を着崩すことはなく、危険を伴う実習では、髪が邪魔にならないようにゴムやピンでまとめる。赤崎たちに限らず、普段は校則違反をしているような生徒たちも、実習では真面目になるのが只野工業高校電気科の日常であった。
機械科の転校生
ある日赤崎は、機械科2年のクラスに女子の転校生が来るらしいという話を耳にした。何故「らしい」という不確定な話なのかと疑問を持った赤崎は、八坂から「新しい名簿を見たやつが名前が女子っぽかったって言ってただけ」という事実を聞く。赤崎たちは不確定な情報に半信半疑になりながらも、数少ない女子生徒が増えることに期待を膨らませていた。
一方、転校生の永廻咲(ながさこさく)は、機械科2年の女子生徒が自分のみであることを知り緊張していた。1人で実習室へ移動していると、電気科3年の女子生徒である金原美也子(かねはらみやこ)に声をかけられる。永廻は、男子生徒ばかりの教室に転校してきた自分を苛めに来たのかと身構えた。しかし永廻の心配とは裏腹に、金原は「機械科男子は真面目だから女子1人でも心配はない」、「何かあったら自分を頼ってくれていい」というアドバイスをして去っていく。その後も見た目が派手な生徒たちを見て、学校の治安を心配するが全て杞憂に終わる。思っていたよりも平和な学校の様子に、永廻は安心して学校生活を楽しめそうだと思い直すのだった。
機械科2年の男子生徒たちは、クラスで唯一の女子生徒である永廻の扱いに悩んでいた。そして永廻に楽しい学校生活を送ってもらうために、学級委員長の武田宗史郎(たけだそうしろう)を中心に会議が行われることとなる。しかし、女子生徒との交流が少ないために良い案が浮かばず、会議は難航するのだった。
偶然機械科の生徒の話を聞きつけた赤崎は、廊下に身を潜めてこの会議を聞いていた。不器用ながらも永廻のことを思う武田たちの姿に、赤崎は思わず窓から身を乗り出して応援してしまう。その姿を発見した武田は、永廻との接し方について赤崎にアドバイスを求めた。しかし、赤崎自身も女子生徒との交流は少なく、女性の扱いについてはほとんど無知である。武田は以前、赤崎が永廻と会話する姿を目撃していたため、赤崎が女性とのコミュニケーションに慣れていると誤解しているのだった。見栄を張った赤崎は誤解されたまま、アドバイス係として武田たちと接することとなっていく。
優雨の学校見学
赤崎眞央の弟で、中学3年生の赤崎優雨(あかさきゆう)は、兄に憧れて只野工業高校への進学を考えていた。どの学科へ入学するか悩んでいる優雨は、母と共に只野工業高校の学校見学に参加する。
学校関係者に案内されて、優雨が初めに訪れたのは機械科の実習棟である。そこでは、機械科の実習を模した体験授業を行っていた。体験授業の指導係をしていた武田は、数少ない女子生徒の参加者にも興味を持ってもらうため、更に目を引く企画をできないかと考え始める。そして思いついたのは、教室にジェットコースターを作るという案だった。それを聞いていた優雨は、さすがに他の生徒や教師たちに止められるのではないかと危惧する。しかし、永廻を始めとした同級生やその場にいた教師たちは、武田と共にジェットコースター作成の実現に向けて真剣に意見を出し合っていた。優雨を含めた中学生たちは、その楽しそうな姿に興味を持ち、機械科は思わぬ形で体験入学参加者の心を掴むのだった。
次に優雨たちが訪れたのは、自動車科の実習棟。ヤンキーのような風貌の生徒が多い自動車科に、参加していた中学生たちは委縮してしまう。しかし優雨は、兄の影響でヤンキーにも憧れを持っている。そのため他の生徒のように委縮することはなく、積極的に自動車科の生徒に質問をしていた。その質問のほとんどは、自動車科についてではなくヤンキーについてである。ヤンキーへの期待値の高さに、自動車科の生徒の方がプレッシャーを感じるほどであった。
電気科の実習棟を訪れた優雨は、兄の眞央や八坂たちと合流した。電気科の実習内容を聞いた優雨は、細かい作業の多さに、不器用な自分には向いていないのではないかと心配してしまう。そんな優雨の姿に、八坂は自分も不器用だが練習を重ねればできるようになったと励ますのだった。電気科の授業内容を聞いた優雨は、改めて兄への憧れを強く抱き、電気科へも興味を示す。
全ての学科を見学した優雨は、どの学科にも魅力があることを知り、希望の学科を決められないまま体験入学を終えるのだった。
文化祭の準備
文化祭の実行委員となった武田と、八坂の中学の同級生で設備科に在籍している宮沢悠(みやざわはるか)は、広報担当に任命される。偶然その場に居合わせた赤崎も加えて、3人は文化祭のチラシに添えるイラストについて悩んでいた。3人とも絵には自信がなくフリー素材の使用を考えていると、設備科の女子生徒・後藤(ごとう)が宮沢に借りていた小説を返しに来る。後藤が絵を描くことが得意だと思い出した宮沢は、その場で後藤にチラシのイラスト制作を依頼した。その様子を見ていた武田と赤崎は、宮沢が自然に女子生徒と接していることに驚愕する。女子との接し方が分からない2人は、設備科は他の学科と比べて女子生徒の数が多いことを改めて実感するのだった。
電気科2年の教室では、文化祭の出し物を決める話し合いが行われていた。赤崎たちは1年時の出し物は喫茶店だったことを思い出し、今年も喫茶店でいいのではないかと提案する。すると、女子生徒たちからテーマを決めたコンセプトカフェにするのはどうかという意見が出た。具体案を聞くとマッチョ喫茶や極道喫茶、武将喫茶など特殊な趣向のものが多く、男子生徒たちは困惑するのだった。話し合いが難航する中、仙堂は喫茶店のメニューの1つに、工具の形をしたクッキーを提案する。工具を模した型を自作し、アイシングで絵を描くことで工業高校生らしさも出るのではないかという案に、男女共に乗り気になる。料理が得意な赤崎は、クッキーの試作品作りを任されることとなった。
調理実習室でクッキーの試作をしていた赤崎と八坂は、合流する予定のクラスメイトの川田志穂(かわだしほ)を始めとした女子生徒たちを待っていた。川田たちの到着と共に、試作のクッキーの匂いに釣られて永廻も現れ、試食に参加する。クッキーの味は好評だったが、絵を描くことが苦手な赤崎はアイシングに苦戦していた。独特な感性の絵にクラスメイトたちは困惑するが、同じく絵を描くことが苦手な永廻には好評で、2人は思わぬところで意気投合する。永廻は、試食のお礼に3Dプリンタを使用した型の作成を申し出た。一連の文化祭の準備は、赤崎にとって貴重な女子生徒との交流の場となるのだった。
なべっこ遠足
赤崎たちは、グループごとに分かれて食材や調理器具を持参し、鍋料理を作る学校行事・なべっこ遠足に参加していた。登山とセットになっているこの行事に、赤崎は1年時は登山のみだったことを思い出し、何故なべっこ遠足まですることになったのかと疑問に思う。その疑問に八坂は、登山だけでは欠席する生徒や途中で帰ってしまう生徒が多いため、食べ物で釣れば人が集まるのではという考えで開催されたことを話す。そんなことで参加者が増えるのかと懐疑的な赤崎だったが、同じグループであり1年時は欠席していた仙堂は、実際に鍋を食べるために参加しているのであった。
自動車科の安藤スバル(あんどうすばる)は、調理をするための目的地に到着しクラスメイトが到着するのを待っていた。同じグループの鈴木仁(すずきじん)は、材料の肉を準備する係であった樋口大地(ひぐちだいち)が欠席したことにより、肉が食えないことに激怒している。そんな中、遅刻してきたグループメンバーの1人・豊口翔太(とよぐちしょうた)は担当していた食材や鍋など、持参する予定だったもの全てを忘れたことを自白した。食材どころか鍋すらない状況に、鈴木の怒りは頂点に達し、言い争いが始まる。
一方、武田は機械科のクラスメイトとグループを組み、すでに食事も終えていた。武田と同じグループだった谷口裕樹(たにぐちひろき)は、安藤のグループの様子に気付き、彼らに気付かれないように言い争いの原因を探る。食材と鍋がないと知った武田たちは、自分たちが用意した鍋と余った食材を渡すことにした。ヤンキーのような見た目の自動車科の生徒たちに話しかけに行った武田は、グループのメンバーからその勇気を称賛される。その後、礼を言いに来た安藤に、共に鍋を食べることを提案された。武田たちは満腹であることは言い出せず、自動車科と共に2回目の鍋を食すこととなった。
『只野工業高校の日常』の登場人物・キャラクター
電気科
赤崎 眞央(あかさき まひろ)
只野工業高校電気科の2年生。金髪で見た目はヤンキーだが、根は真面目。入学時に部活に入部したが、1度も参加していないため自分が何部だったのか覚えていない。
「響きがかっこいいから」という理由で電気系の国家資格を数種類取得し、電気科2年の中で資格取得数は最多となっている。しかし勉強が得意なわけではなく、テストでは常に赤点を取ってしまう。髪形や服装などが校則違反していないかをチェックする整容検査が行われる際は、その日限定で髪を黒に染める。
仙堂 勝利(せんどう しょうり)
只野工業高校電気科の2年生。ラグビー部に所属していたが、怪我をして1年未満で退部している。赤崎や八坂からは「かっちゃん」と呼ばれている。身長が189cmで、2年生の中では1番高い。ガソリンスタンドとゲームセンターでアルバイトをしている。自動車科2年の安藤スバルとは、中学校からの同級生。
授業中はほとんど寝ているため、テストは赤点ばかり取っている。しかしお金に関することには真剣になるため、ガソリンスタンドの時給がアップする資格の勉強は真面目に取り組んでいた。
八坂 斗真(やさか とうま)
只野工業高校電気科の2年生。バスケットボール部に所属している。赤崎や仙堂からは「やっちん」と呼ばれている。兄の隼人(はやと)が只野工業高校電気科を卒業できたため、自分の学力でも大丈夫だと思い入学した。コミュニケーション能力が高く、学校の内外問わず知り合いが多い。
工業系の科目は苦手で常に赤点だが、普通科目は得意で赤点を取ることはほとんどない。茶髪にしていることがバレないように、入学時から徐々に髪色を明るくしていき地毛だと主張している。本人は周りを騙せていると思い込んでいるが、担任の藤原丞(ふじわらたすく)にはバレていた。
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目次 - Contents
- 『只野工業高校の日常』の概要
- 『只野工業高校の日常』のあらすじ・ストーリー
- 電気科の日常
- 機械科の転校生
- 優雨の学校見学
- 文化祭の準備
- なべっこ遠足
- 『只野工業高校の日常』の登場人物・キャラクター
- 電気科
- 赤崎 眞央(あかさき まひろ)
- 仙堂 勝利(せんどう しょうり)
- 八坂 斗真(やさか とうま)
- 一条 歩生(いちじょう あゆむ)
- 川田 志穂(かわだ しほ)
- 金原 美也子(かねはら みやこ)
- 黒須 由姫(くろす ゆめ)
- 機械科
- 永廻 咲(ながさこ さく)
- 武田 宗史郎(たけだ そうしろう)
- 佐々木 康太(ささき こうた)
- 谷口 裕樹(たにぐち ひろき)
- 門脇 良平(かどわき りょうへい)
- 自動車科
- 安藤 スバル(あんどう すばる)
- 豊口 翔太(とよぐち しょうた)
- 樋口 大地(ひぐち だいち)
- 本田 龍己(ほんだ たつき)
- 鈴木 仁(すずき じん)
- 設備科
- 宮沢 悠(みやざわ はるか)
- 後藤(ごとう)
- 教師
- 藤原 丞(ふじわら たすく)
- 村岡 望(むらおか のぞむ)
- その他
- 赤崎 優雨(あかさき ゆう)
- 東海林 真希(とうかいりん まき)
- 八坂 隼斗(やさか はやと)
- 紅屋(べにや)
- 『只野工業高校の日常』の用語
- 只野工業高校(ただのこうぎょうこうこう)
- ポケットコンピュータ(ポケコン)
- 乙4(おつよん)
- 科職(かしょく)
- 科長(かちょう)
- 整容検査(せいようけんさ)
- なべっこ遠足
- ババヘラアイス
- 『只野工業高校の日常』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 藤原丞「学生が腹減らしてんじゃねぇ 飯くらい遠慮せずもらっとけ」
- 赤崎眞央「俺はお前にかっこよく見せるためでも お前の手本になるためにやってるわけでもねぇ 俺は俺の思うように生きてるだけだぜ」
- 安藤スバル「いつまで経っても車との相性は最悪だしよ けど それでも好きだからどーしようもねぇ」
- 永廻咲「マキちゃんは いまのままでもかっこいいよ」
- 赤崎眞央「ベニヤ板はさ 何にでもなれるんだぜ」
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