今、私たちの学校は…(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『今、私たちの学校は…』とは、Netflixシリーズで2022年1月28日から公開されているゾンビホラー韓国ドラマ。同名のウェブチューンを原作としている。配信されて3日間で視聴時間が世界29か国で1位となり、テレビ・非英語部門でグローバルTOP10に入った。最初に1人の生徒、次に高校、ついには街全体と瞬く間にゾンビであふれかえった地方都市。ゾンビ地獄と化した学校に閉じ込められた高校生たちが、自力で恐怖に立ち向かう様を描いたアクションスリラー。

ヨナス・ウイルスとは、ビョンチャンが開発したゾンビウイルスのこと。ビョンチャンが名付け親であり、ドイツの哲学者ハンス・ヨナスがその由来である。哲学者ヨナスは科学技術の有用性を指摘する一方で、その危険性と技術を開発した世代が将来の世代のために引き受けるべき責任についても説いていた。

ゾンビ

ゾンビとは、本作ではヨナス・ウイルスが発症した状態のことを指す。ビョンチョルによれば、「極度の恐怖心」を覚えることによりウイルスが発症し、死亡した後に生前の人格と理性を失って狂暴化し、人肉を食らう化け物となる。この化け物がゾンビであり、ゾンビに噛まれた人間もまた、ゾンビ化や死への恐怖からゾンビ化してしまうものと推測される。ゾンビは、音に反応して人間の所在を突き止め、襲い掛かる。

ハンビ

ハンビとは、半分ゾンビの略称。人としての理性も保ちながら、ゾンビとしての特性も兼ね備えた状態を指して言う。ハンビに噛まれた人間はゾンビ化してしまう点は通常のゾンビと変わらない。しかし、ハンビ化した場合は、驚異的な身体能力と、通常の人間であれば死亡してしまうような損傷を負っても生き返れるほどの自己回復力を得ることになり、しかも半分残された人間としての理性でこれらをコントロールすることも可能になる。さらにゾンビとしての性質も有していることから、通常のゾンビの攻撃対象にはならなくなる。本作では、ウンジやグィナム、免疫保持者であるナムラがハンビ化している。

『今、私たちの学校は…』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

感染するギョンス

手当てだと偽り、ゾンビの血液の付着した布をナヨンがギョンスの傷口にあてがう。

裕福な家庭に育つナヨンは、普段から貧乏な家庭に育ったギョンスを見下し、腫物扱いしていた。ギョンスは果敢に戦い、ナヨンを含めた仲間を守ったが、その過程で傷を負ってしまう。主人公らの活躍もあって、何とか放送室に逃げ込むことに成功した主人公たち。しかし、ギョンスが感染しているのではないかと疑うナヨンは、普段通りにギョンスに心ない言葉を浴びせかけるばかりか、ウイルス呼ばわりまでしてしまう。

ナヨンは普段から横柄な態度で2年5組のクラスメートに嫌われていたが、非常事態にあってより一層醜悪さを極めつつあるナヨンの態度に、主人公含む生き残ったクラスメートの怒りが爆発する。そこで、謝罪の意味も込めて、隣室に1人で隔離されているギョンスの傷の手当てをナヨンが引き受けることになった。ナヨンは一見、普通に傷の手当をしているように放送室の主人公たちからは見えていたが、防音構造になっている隔離部屋で聞こえない大きさの声でギョンスを侮辱し、ギョンスは激高する。そんな様子に驚いた主人公たちがナヨンを問い詰めると、彼女は悪びれもせずにギョンスを侮辱したことを自白。主人公一同がまたも怒りを爆発させていると、ギョンスの体調が急変する。ゾンビ化する際の特有の症状である鼻血や出血が見られ始め、ついにギョンスはゾンビ化してしまう。

窓から突き落とされ、ゾンビの集団に紛れて見えなくなっていくギョンスを尻目に、やはり「ウイルス」呼ばわりした自分が正しかったのだと開き直るナヨン。しかし、ナムラは、ナヨンが手当てに行く前に、こっそりとゾンビの血液の付着したモップの取っ手の先端部分からあて布で血液をふき取る様子を目撃していた。そして、ナヨンが手当てだと偽ってあて布をギョンスの傷口に当てたことからギョンスが感染してしまったのだという事を突き止められてしまう。このことを知った主人公たちクラスメート一同は口々にナヨンを非難。誰もナヨンの味方をするものはいなくなり、居場所をなくしたナヨンは、安全圏であった放送室から1人追い出されてしまうのであった。

パク・ソナ「今度は、みんなを助けて」

安全圏であった放送室から追放されて失意のうちにあるナヨンがゾンビに追われているところを庇うのと引き換えにゾンビに噛まれた2年5組の担任パク・ソナが、最後にナヨンに放ったセリフが「今度は、みんなを助けて」である。

ギョンスをゾンビ化させて殺したことを主人公たちに非難された挙句、罰として放送室を追放されたナヨン。失意のうちにある彼女がまさに追ってきたゾンビに噛まれようとしたその時、放送室にいたはずの担任ソナは自分の身を盾にして彼女を音楽室に押し込め、彼女を救出する。結果としてソナはゾンビ化してしまうことになるが、自らの保身を第一に考えていた校長や他の教師とは異なり、最後まで自分の生徒を見放さず、生徒の未来を守るという教師としての責務を全うした。茫然と立ち尽くすナヨンに向けて、彼女が過去の行いを反省し、主人公らと手を取り合って明るい未来を築いていけるよう祈りを捧げて、ソナは息絶えるのであった。

ソジュ「オンジョ、行け」

娘であるオンジョたちをかばい、ゾンビ化していくソジュ。

高校からの脱出の際にゾンビの集団から追われるオンジョたちをかばって囮となったソジュが、ゾンビ化して死亡する前に最後に言い放ったセリフが「オンジョ、行け」である。

高校にオンジョらを救助しに来たソジュは、テニスコートの外まで主人公たちを誘導した後、追いついてきたゾンビに噛まれてしまう。ゾンビ化を免ることができないと悟った彼は、テニスコートの中でゾンビを引きつけて内側からコートを施錠。自らの身を犠牲にしても娘たちの安全を最優先に考え、断腸の思いで父である自分を見つめるオンジョたちを最後まで見送ると、息絶えてゾンビ化してしまうのであった。残酷でありながらも親娘の絆や家族愛を感じられるシーンとなっており、感涙にむせぶ思いで視聴したファンも多い。

『今、私たちの学校は…』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

発症しないオンジョ

オンジョは本作12話までゾンビ化しなかった生き残りであるが、実は1話で実験ハムスターに噛まれて感染した女子生徒ヒョンジュが暴れるのを静止したはずみに噛まれてしまっている。他方で、同じタイミングで噛まれてしまった保健室の先生はゾンビ化してしまった。この違いは、ビョンチャンが「感染した人間は極度の恐怖心を覚えて生き残るための攻撃を始める」という発言から説明がつく。

オンジョがヒョンジュに左手首を噛まれたのは、噛まれると「ゾンビ」になるという認識が学校中に広まる前であった。そのため、オンジョは噛まれた後も少し怪我をしただけだと考え、特段恐怖心を感じることなく何事もなかったかのように教室に戻っていった。これに対し、保健室の先生は噛まれた後の痛みが原因で自己の知識から感染症の発症を疑い、自分で健康チェックをしてしまっている。このことから、オンジョとは異なり、自分が刻一刻と得体の知れない病に侵されているのではないかという恐怖心が生まれ、ゾンビ化してしまったものではないかと推測できる。本作序盤では、彼女は鏡を見たり、体温を測ったりするたびに、症状が大きくなっていることが確認できる。
仮に、恐怖心の有無がヨナス・ウイルスの発症とは無関係なのであれば、オンジョがゾンビ化への免疫保持者である可能性も否定できないが、オンジョが免疫保持者かどうかは不明である。

ゾンビ独特の動き方は振付師の演技指導の賜物

本作では度々登場人物が噛まれてゾンビ化するシーンやゾンビが身体を細かく震わせながら独特の動き方をしているシーンを目にすることになる。特にゾンビ化する際に一度死亡した感染者が身体全体を激しく痙攣させ、仰向けの状態から支え無しでダイナミックに起き上がるシーンは圧巻であるが、これらのシーンで一切加工はなされていない。全て振付師による演技指導の賜物であり、また、感染前の普通の人間としての動作と感染後のゾンビとしての独特の動作を演じ分けている演者も多いことから、演者&振付師の努力と技量のすさまじさが窺える。

オンジョの武器は消防関連のアイテム

オンジョがゾンビと闘ったり、ゾンビから逃げたりするシーンで使用している武器は、どれも消防に関するアイテムばかりである。第2話でチョンサンとオンジョが2年5組に逃げる際にチョンサンを襲うゾンビに使ったのは消化器である。また、第5話で2年5組から実験室に入る際に南京錠を壊すのに使ったのは消防用ホース、最終話ではバールであった。オンジョがこのような消防関連の道具ばかりを武器として使用する設定となっていることからは、消防士の娘であることへの彼女の矜持や、制作者側のこだわりのようなものが見て取れる。

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@miya38386

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