ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウ・ヨンウ弁護士』は天才肌』は、2022年6月から韓国のENAチャンネルで放送された法廷ヒューマンドラマ。自閉スペクトラム症を抱えながら、ロースクールを主席で卒業した彼女は、韓国きっての大手法律事務所に入社する。さまざまな困難に直面しながらも、弁護士として、一人の人間として、そして女性として成長していく。また、世の中の偏見や理不尽さにぶつかりながらも立ち向かっていく彼女の姿勢が、多くの視聴者から支持を得た。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の概要

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』は、2022年6月から韓国のENAチャンネルで放送された、韓国初の自閉スペクトラム症弁護士となった女性が主人公の法廷ヒューマンドラマ。
クジラと海苔巻きをこよなく愛する新人弁護士ウ・ヨンウが、事件を通して成長していく物語。天才的な頭脳を持ちながらも時には挫折し、偏見に苦しみ、自身の出生の秘密を知り苦悩もする。また一人の男性と恋に落ち、良いときも悪いときも、全てを糧として彼女は成長していく。難解な裁判をヒロインの頭脳を持ってして勝利に導いていくおもしろさと、さらにはロマンスも楽しめるドラマとなっている。
主演のパク・ウンビンは第59回百想芸術大会にて大賞を受賞した。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のあらすじ・ストーリー

韓国初「自閉スペクトラム症」の新米弁護士誕生

初出勤の日、父グァンホ(画像左)が営む海苔巻き店で朝食を食べるヨンウ(画像右)

自閉スペクトラム症にして、韓国初の弁護士が誕生した。ハンバダ法律事務所の新人弁護士ウ・ヨンウである。クジラやイルカが大好きで、食べるものはいつも海苔巻きだった。
ヨンウは5歳の頃、自閉症の可能性があることを医師に告げられる。ショックを受けながらも懸命に育ててきた父親のグァンホは、弁護士として娘が初出勤する日、感動で胸がいっぱいになっていた。
グァンホは海苔巻き店を経営している。いつものようにそこで朝食を済ませたヨンウは、電車に乗り緊張しながらもハンバダへと向かった。
事務所が入るビルの下には回転扉があった。ヨンウがうまく入れずに混乱していると、扉を止めて「どうぞ」と言ってくれた人がいた。ハンバダで訟務チームに所属する男性、イ・ジュノである。彼に案内され無事に事務所へたどり着いたヨンウは上司となるミョンソクの元へ向かった。自己紹介のぎこちなさに疑問を持ったミョンソクは、代表ソニョンの部屋へ行き、履歴書を見て彼女が自閉症であることを初めて知る。しかしソニョンは「ロースクールを主席で卒業した秀才だから採用しない手はないでしょう」とミョンソクに説明した。ミョンソクはヨンウがちゃんと法廷に立てるのか疑問であることを訴えると、ソニョンは案件を1つ任せた上で辞めさせるかどうかを判断することを約束する。
ヨンウの弁護士としての能力に大いに疑問を持っていたミョンソクだが、任された案件を彼女は見事に解決する。チームの弁護士たちが誰も解決の糸口を見つけられない中、ヨンウの閃きにより裁判は弁護人の納得のいく結果で終結した。ミョンソクが気にしていた話術や対応力についても、自分とは確かに違うものの彼女の才能は目を見張るものがあった。そしてミョンソクは以降ヨンウをチームの一員として認めていく。
この案件でヨンウの調査に同行して行動を共にしたのがイ・ジュノである。ジュノはヨンウに対し、常に優しく接していた。

母との再会

入社後順調に見えた弁護士の仕事だが、初めて挫折を味わうことになったヨンウ。自閉症であることを理由に弁護できなくなってしまった。ヨンウの請け負った案件が、兄殺害の疑いのある自閉症の弟を弁護するものだった。このことから同じ自閉症であるヨンウは弁護人の父親から「弁護を外れて欲しい」と言われてしまう。そのことにショックを受けハンバダを退職することを決めたヨンウは、退職願をミョンソクの机の上に置いて事務所を後にした。落ち込むヨンウの元にやってきた親友のグラミは、父が不当な契約書を兄たちに交わされたと憤り、訴訟を起こしたいと思っていた。ヨンウはグラミにハンバダを紹介してミョンソクの元へ相談に向かわせたが、彼はヨンウに自分で弁護するように促した。ヨンウは自信がない中でのミッションとなったが、見事勝訴させることに成功。自信を少し取り戻した彼女は再びハンバダで弁護士を続けることになった。
ある案件で、ハンバダは最大のライバルであるテサン法律事務所と対決することになった。都市開発による村民と行政との裁判で村民側の弁護をすることになったヨンウは、相手弁護士の華麗なる弁論に感動を覚えた。テサンの代表である、テ・スミだった。彼女は実は、ヨンウの母親であったがこの時点で2人は互いに親子であることは知らない。そしてスミはヨンウの才能にいち早く気付き、テサンに引き抜こうとする。
スミを通してテサンへの移籍を持ち掛けられたヨンウは、父に相談に向かう。グァンホはヨンウの話にショックを受け、これ以上隠せないと悟りスミがヨンウの母親であることを告げた。父の話に衝撃を受けるヨンウだが、父から自分の出生についての話を聞いた後スミに面会する。そして彼女に自分はグァンホの娘であることを伝え、驚き涙が溢れるばかりで言葉が出ないスミに「テサンには移らない」と伝え、一礼してその場を立ち去った。

ジュノとの関係

家から会社に駆け付け、ヨンウに「好きです」と気持ちを告げるジュノ

ジュノは、ヨンウのことをずっと気にかけていた。落ち込むヨンウを励ましたり弱音を吐く彼女にいつも優しく寄り添った。クジラが好きな彼女に、会議室の壁面にある大きなクジラの写真を見せて喜ばせると、ヨンウは目を輝かせた。そんな彼女と一緒にいるとジュノは幸せを感じた。
ヨンウはジュノへの思いが「好き」という感情かもしれないと思い始め、ジュノもまたヨンウのことが好きになっていた。しかしヨンウとの恋愛が簡単なものではないことはジュノ自身にも分かっていた。ある日ジュノは、同居相手のミヌに恋愛相談をする。「お互いに好きでも、その先が想像できない。お互い辛くなってしまうかもしれない。生半可な気持ちでは始められない」と言うジュノに、「じゃあ生半可なのか?」とミヌが聞き返す。「そんなわけない」と怒ったジュノに、「じゃあいけよ」と言われジュノははっとする。そしてヨンウの元へ走り出す。ハンバダのビルの回転扉にいる彼女を見つけたジュノは、駆け寄って「好きです」と自分の気持ちをストレートに伝えた。そして2人は恋人としての関係がスタートした。
手をつなぐことも難しく、普通の恋人のように過ごすことがなかなかできない2人ではあるが、それでも幸せな時間を過ごしていた。少しづつ距離が近づきつつあった2人だが、ジュノが姉にヨンウを紹介したことで事態は悪い方向へと進んでいってしまう。「面倒を見る子ではなく、あなたを幸せにしてくれる子を連れてきて」という姉の発言をたまたま聞いてしまったヨンウは、「わたしたちは付き合うべきではない」と言って別れを切り出した。唐突なヨンウにショックを受けるジュノを残して、ヨンウはジュノの元を立ち去った。

父と母の再会

ヨンウは、依頼された案件を自分なりに懸命にこなしていた。準強制性交容疑で逮捕された青年の弁護を担当したときには、被害女性はヨンウと同じ自閉症だった。しかし彼女は逮捕された恋人を愛していて、刑務所に入れないでと言っている。彼を訴えたのは彼女の母だった。その後ヨンウの後押しで、被害女性は法廷で自分の気持ちを話したものの、彼女の勇気ある証言は障がいを持っていたために受け入れられない形となった。裁判の結果は青年に対する懲役2年の実刑判決で幕を閉じた。偏見から来る判決に悲しみを覚え辛い思いもしたが、それでも前を向いて次の裁判に臨んだ。
一方ヨンウの父グァンホの店に、元恋人でありヨンウの母親であるスミが訪ねてきた。ボストンにあるテサン法律事務所のオフィスのパンフレットを渡し、「ヨンウにとって最善の場所を用意したい」と提案した。「今まで一度も顔を見せなかったのに、今更口出しするな!」とグァンホは彼女を追い出す。

運命の裁判

自分の罪を母スミ(画面左)に打ち明けるサンヒョン(画面右)

さまざまな案件をこなしていたヨンウはオンラインショッピングの個人情報流出事件を担当することになる。チームを引っ張ってきたミョンソクが少し前に病気のため入院をしたので、スンジョンが代わりに主導することになった。ヨンウのことを理解していたミョンソクと違いスンジョンは彼女が気に食わず、辛辣な態度を取り続けていた。天才的な才能を持つヨンウの存在が邪魔だったのだ。スンジョンはヨンウをチームから外し一人で突き進むが裁判は劣勢となる。ヨンウとともにこれまで仕事をしてきた新人弁護士のスヨンとミヌは、ヨンウの代わりに彼女の思いを裁判で熱弁した。今回の裁判の争点は、新法か旧法どちらで判決を出すかというところにあった。ハッキングの開始時期について、新法の施行前に実行されたことに気付いたヨンウの弁論を、彼女に代わって法廷で述べたのだ。その結果スヨンたちは裁判を有利な方向へ持っていくことに成功する。
またこの裁判には意外な人物が犯行に関わっていた。スミの息子サンヒョンである。彼はある朝母に自分が犯人であることを伝えた。ショックを受けるスミだが、彼女は自分の利益を優先するあまり「母さんは今すごく大事な時期なの!」と言って息子に向き合おうとしなかった。サンヒョンは自分の罪を償いたいと思っていたがスミは息子の罪を隠すために彼をアメリカへ行かせようとしていた。ハンバダはこの事実を知り世論戦で対抗措置を取ってはどうかと意見がまとまりかけた。そうすれば警察は動かざるを得ずサンヒョンもアメリカから帰国させることができるからだ。しかしヨンウがその方法に異論を唱える。そのやり方ではサンヒョンが罪を告白する機会を奪ってしまうからだ。彼女はスミを説得するため、ジュノとともに国会で法務長官になるための聴聞会に出席するスミの元へ向かった。
聴聞会直前のスミに面会が許されたヨンウは「サンヒョン君に過ちを証言させてあげて欲しい」と言ってスミを説得する。「彼はあなたをいい母親だと信じている。そう信じる彼を裏切らないでください。自分の利益のために彼を傷つけないで欲しい。わたしにはいいお母さんではなかったけれど、サンヒョン君にはいいお母さんになってください」と涙を浮かべて訴えた。ヨンウの訴えが届き、サンヒョンは裁判で証言する機会を得た。彼はヨンウを弁護士に指名し法廷で自らの罪を認めた。サンヒョンは「迷惑をかけたから罰を受けます」と言い無事裁判は終了した。一方サンヒョンの母スミは、息子の罪に対して記者の前で謝罪をし長官への立候補を辞退した。そこには息子サンヒョンに対し真摯に向き合おうとする母としての姿があった。
そして後日、ヨンウはハンバダで正規の弁護士になったことを父に告げる。グァンホは立派になったヨンウを誇らしく思い大いに喜ぶ。いつものように電車に乗って出勤したヨンウは、回転扉の前まで来てジュノに教わった方法で初めて一人で通り抜けることに成功した。満面の笑みを浮かべるヨンウ。そこにジュノがやってきて2人は笑顔で見つめ合った。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の登場人物・キャラクター

主要人物

ウ・ヨンウ(演:パク・ウンビン)

日本語吹き替え:森ななこ
韓国初の自閉スペクトラム症弁護士。ロースクールを主席で卒業し、大手法律事務所のハンバダに新人弁護士として入社が決まる。鯨をこよなく愛し、誰にでも鯨の話をする。食べるものはいつも海苔巻き。自己紹介は「逆から読んでもウヨンウ、キツツキ、トマト、スイス、子猫」が決まり文句。天才的な頭脳を活かし、ときに挫折しながらも新人弁護士として日々奮闘していく。訟務チームスタッフのイ・ジュノと惹かれ合い恋愛に発展。

イ・ジュノ(演:カン・テオ)

日本語吹き替え:興津和幸
法律事務所ハンバダの訟務チームに所属している。優しく仕事もできるイケメン。その端正な顔立ちから女性社員から絶大な人気を得ている。同じ事務所の新人弁護士ミヌとは同居仲間。事務所があるビルの回転扉にうまく入れないヨンウを助けて以来、いつもヨンウに優しく寄り添い好意を寄せるようになる。どんなときも、全力でヨンウをサポートすしようとする。

HiyaTakuya
HiyaTakuya
@Takuya00

Related Articles関連記事

今、私たちの学校は…(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

今、私たちの学校は…(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『今、私たちの学校は…』とは、Netflixシリーズで2022年1月28日から公開されているゾンビホラー韓国ドラマ。同名のウェブチューンを原作としている。配信されて3日間で視聴時間が世界29か国で1位となり、テレビ・非英語部門でグローバルTOP10に入った。最初に1人の生徒、次に高校、ついには街全体と瞬く間にゾンビであふれかえった地方都市。ゾンビ地獄と化した学校に閉じ込められた高校生たちが、自力で恐怖に立ち向かう様を描いたアクションスリラー。

Read Article

恋慕(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

恋慕(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『恋慕』とは、2021年10月から韓国のKBS2チャンネルで放送されたテレビドラマ。李氏朝鮮時代が舞台の王宮歴史ロマンスである。本作のヒロインであるタミは、王族でありながら双子の女児という理由で捨てられる。しかし兄の死により男装の世子イ・フィとして生きる運命を背負う。自分が女人であることも恋心も隠して波乱の人生を歩み、王宮内の権力争いに翻弄され孤独の中で生きる彼女は、初恋の人チョン・ジウンの存在だけが心の拠り所だった。王宮の美しい描写や豪華キャスト陣のきめ細やかな演技が見る人の心を魅了した。

Read Article

目次 - Contents