蜜×蜜ドロップス(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『蜜×蜜ドロップス』とは、2004年より水波風南が小学館の『少女コミック』で連載した漫画、およびそれを原作としたOVA、ゲーム作品。
舞台となる蜂城学院には、普通科とお金持ちの子息令嬢が所属する九華科がある。さらに、普通科の生徒が九華科の生徒の世話係をする「HONEY」制度があり、普通科から「HONEY」に選ばれた萩乃柚留と九華科の煉夏可威の身分違いの恋愛模様を描く。
身近な学校という舞台で起こるハラハラドキドキな恋愛模様は、中高生の女の子を中心に人気を博した。

『蜜×蜜ドロップス』の概要

『蜜×蜜ドロップス』とは、2004年より水波風南が小学館の『少女コミック』で連載した漫画、およびそれを原作としたOVA、ゲーム作品である。単行本は小学館『フラワーコミックス』にて全8巻が発売されている。2006年には全2話のOVAが制作され、PlayStation 2用のゲームソフト『蜜×蜜ドロップス LOVE×LOVE HONEY LIFE』が発売された。ゲームでは、原作とは違うオリジナルキャラクターが登場し、ヒロインの視点で恋愛シュミレーションを楽しむことができる。
主人公の萩乃柚留(はぎの ゆずる)が通う蜂城学院(ほうじょうがくいん)には、普通科と金持ちの子息令嬢が所属する九華科(くげか)がある。そして、九華科の生徒は普通科の生徒から世話係を1人選ぶことのできる「HONEY(ハニー)」制度が設けられていた。夏休みにホテルのカフェでアルバイトをしていた柚留は、九華科の煉夏可威(れんげ かい)に興味を持たれて可威の「HONEY」に任命されてしまう。我が儘で傍若無人な可威に振り回されるも、様々な困難を乗り越え柚留は可威に惹かれていく。高校生の2人の成長と身分違いの恋愛模様を描く少女漫画である。

『蜜×蜜ドロップス』のあらすじ・ストーリー

初めてのDROPゲーム

経済的に苦しい生活をしている主人公の萩乃柚留(はぎの ゆずる)は、夏休みにホテルのカフェでアルバイトをしていた。そこに自分勝手な態度をとる煉夏可威(れんげ かい)が現れ、柚留は可威を平手打ちして言い返す。可威は柚留と同じ蜂城学院(ほうじょうがくいん)の九華科(くげか)に所属する生徒だった。柚留に興味を抱いた可威は、柚留を自分の「HONEY(ハニー)」に任命して仕返しをすると宣言する。

2学期が始まり、「HONEY」を辞退すると退学処分になることを知った柚留は、学費の全額免除に惹かれ、仕方なく可威の「HONEY」になることを受け入れる。そして、九華科では定期的に行われる「DROP(ドロップ)ゲーム」の開催が近づいていた。「DROPゲーム」では、「MASTER(マスター)」と「HONEY」のペア同士でバスケットボールの試合を行い、最下位の「HONEY」は「DROP」され、クビになってしまう。柚留たち以外は幼い頃からのペアばかりで、あらゆる手段で勝ち残ろうとする。柚留も可威の指導で特訓を始める。特訓の中で、柚留は可威がバスケットボールが好きで純粋に試合を楽しみたいと思っていることや、「HONEY」である柚留を大切に思い、クビにしたくないと考えていることを知る。その一方で、セクハラ行為をしてくる可威が何を考えているのかがわからなくなってしまう。そこに、同じ九華科の生徒で「HONEY」を持たない百合丘千駿(ゆりおか ちはや)が近づいてくる。千駿は、柚留に「DROPゲーム」でわざと最下位になって「DROP」されることで可威の「HONEY」を辞め、自分の「HONEY」にならないかと持ちかける。しかし、可威なりの優しさや懸命に戦う姿を見て、柚留は可威を裏切ることができなかった。こうして、初めての「DROPゲーム」で柚留は「DROP」を回避した。

百合丘千駿の企み

実は可威を慕っているあまりに、「HONEY」として未熟な柚留の存在が許せない千駿は、柚留を強制的に「DROP」する計画を立てる。
以前の千駿は、幼い頃から何でも器用にこなしていたために日常に退屈さを感じていた。ところがある日、可威と出会って勉強でもスポーツでも初めて敗北する。それ以降可威を尊敬するようになり、高等部から蜂城学院の九華科に編入した。優秀な可威には優秀な「HONEY」が付いていると思っていた千駿だが、実際の「HONEY」は可威に振り回され、「HONEY」も可威も周囲から嘲笑されていた。ダメな「HONEY」のせいで可威が馬鹿にされていると考えた千駿は、可威の「HONEY」を次々と「DROP」に追い込んでいったのだ。
千駿を危険視した可威の幼馴染の桜樹那由太(さくらぎ なゆた)は、千駿が柚留に近づかないようにする。しかし、那由太の「HONEY」久喜絃青(くき げんじょう)は、千駿から那由太を傷つけられたくなければ協力するように脅迫される。

「HONEY」の仕事を教えてもらうために柚留が絃青を待っていると、そこに現れたのは絃青ではなく千駿だった。千駿は柚留に、「HONEY」の証であるピアスを外すための暗証番号を調べてくるように命令する。柚留が拒否すると、千駿は無理矢理犯そうとするが、絃青の機転によって難を免れる。その頃、可威は偶然柚留の鞄と取り違えたために、柚留の身に起こっている異変を知り、千駿を疑う。柚留は可威の自宅を訪れ、なんとか暗証番号を知ることができたが、可威に千駿と共謀して可威を裏切ろうとしているのかと誤解されてしまう。柚留が自宅へ戻ると、そこには千駿がいて、柚留のピアスは外された。柚留は可威への恋心を自覚し、せめて最後に告白をしたいと千駿に訴え、1日の猶予を得る。その頃、可威は千駿によって柚留のピアスが外されていることを予想し、24時間以内にクラスの半数以上の「HONEY」のピアスを外すことで「DROP」を無効にする「RIBORN(リボン)」を行おうと行動を始めていた。そのおかげで柚留は「DROP」を免れ、再び可威の「HONEY」になる事ができ、千駿の企みは失敗に終わった。

可威の許嫁

柚留と可威、那由太、絃青が可威の家で柚留の16歳の誕生日を祝っていると、可威の許嫁だと言う司竜茅架(しりゅう かやか)がやってくる。可威は親が勝手に決めただけの許嫁だと言うが、柚留は茅架の表情から本当に可威を好きなのだと察する。茅架もまた、可威と親密な柚留に対抗心を燃やす。

柚留たちが2年生に進級すると、千駿の「HONEY」として茅架が転入してくる。茅架は柚留を可威の欲求不満解消のヒマつぶしと言って、悪態をつく。その一方で柚留は、可威と茅架の関係に不安を抱く日々を送っていた。そして、柚留にとっては2度目の「DROPゲーム」が開催される。毎回最下位になる鳥兜(とりかぶと)がまた最下位になると思われていたが、柚留を「DROP」させようと画策する千駿が鳥兜に助力し、最下位を逃れる。すると、危機感を抱いた九華科のメンバーは自分が最下位にならないように、あらゆる妨害を仕掛ける。それでも、柚留の奮闘の甲斐あって試合に見事勝利することができた。困難を乗り越え、心を通わせた柚留と可威は、始めて共に一夜を過ごす。2人の情事を目撃してしまった茅架は、これまで卑怯な手段で可威を奪うことを忌避していたが、可威を自分のものにするため行動に出る。千駿が用意した半裸の茅架と可威の写真を使って、父親に可威と体の関係を持ったと証言し、許嫁としての地位を確立しようとしたのである。

茅架の父親は、茅架と可威の婚約話を正式に進め、茅架を千駿ではなく可威の「HONEY」にしようとする。煉夏家の執事で可威の教育係である冬唯(とうい)もまた、可威に茅架と婚約させるために柚留のピアスを外そうとするが、失敗に終わる。そして、冬唯は次の手段として煉夏家が柚留とその家族を支援する代わりに、柚留に「HONEY」を辞めて退学するように迫った。家族も柚留に「HONEY」を辞めるように言うが、柚留は可威に辞めさせられない限りは「HONEY」を続けることを決意する。以降、煉夏家からの支援は打ち切られ、柚留は学校以外の時間にアルバイトをして家計を支えていた。

可威と茅架の婚約披露パーティーが始まると、可威は「婚約の事実はありません」と宣言し、茅架との婚約を拒否する姿勢を示した。冬唯は、茅架に恥をかかせたと可威を叱りつけ、柚留への支援が打ち切られている以上、可威は柚留の「MASTER」ではないと告げる。柚留がアルバイトに明け暮れていると知った可威は、自らも一緒に働くことで柚留を支援し、「MASTER」であろうとする。
可威がアルバイトをしているという噂が流れると、可威は周囲から蔑まれるようになり、柚留のせいで可威の威厳が傷付けられたと考えた千駿は、最終手段に出る。千駿が柚留と家族の支援を行うことで、柚留を強制的に千駿の「HONEY」にしたのだ。さらに、柚留の両親の同意を得て、「HONEY」の自覚を持たせるために柚留を千駿の家に居候させることを決める。可威にプレゼントされた指輪を奪われた柚留は、仕方なく千駿の家を訪れる。

その頃、可威は何とか父親に連絡して、柚留への支援の件を解決しようとしていた。そこで、可威の母親が学生時代は可威の父親の「HONEY」だったことを知る。可威の父親に連絡されると、柚留と可威の交際が認められてしまう可能性が高いため、冬唯は可威が連絡できないように阻んでいたのだ。可威が冬唯のPCのロックを解除するためのパスワードを探していると、茅架が部屋に入ってくる。茅架は媚薬の香を使って無理矢理可威と体の関係を持とうとするが、可威は自分の手を傷つけて理性を保ち、抵抗する。パスワードを教えなければ茅架を傷つけると冬唯を脅し、可威は父親の連絡先を入手することができた。茅架、千駿、冬唯の計画は失敗に終わったのだ。その後、茅架は医師になるために留学することになり、ずっと茅架を想い続けていた冬唯も一緒に旅立った。柚留も煉夏家の支援を受けて元通り可威の「HONEY」となった。

「HONEY」制度の廃止

2学期の始業式のため、九華科の生徒全員が体育館に集まると、蜂城学院の理事長が交代したことが告げられる。新しい理事長は、絃青の父親である久喜青慈(くき せいじ)だった。さらに、九華科の教育方針を一新し、完全なエリートの育成を目指すことが宣言される。そのために生徒会長となった絃青と、元「HONEY」の日高未玖(ひだか みく)が現れる。九華科の生徒が混乱する中、絃青によって告げられたのは、自立した人材を育成するために「HONEY」制度を廃止するということだった。絃青を失い、ショックを受ける那由太だったが、可威や柚留に励まされて絃青を信じることを決意する。他の九華科の生徒もまた、「HONEY」制度を廃止にしないために行動を起こす。

なぜ、理事長が青慈に代わったのかを調べると、前理事長の持っていた裏金リストが青慈の手に渡り、理事長の座を奪われたことがわかった。その裏金リストを手に入れるため、九華科の生徒たちは協力して理事長室に忍び込もうとするが、失敗してしまう。そして絃青もまた、裏金リストを手に入れようとするが、青慈の厳重な警戒によって阻まれる。九華科の生徒たちは次の手段として、理事長である青慈に正式に「HONEY」制度の存続を願い出た。その思いの強さに免じて、青慈は九華科の「MASTER」全員が音楽・学力・体力のテストで合格できれば「HONEY」制度を存続させると条件を出す。今まで「HONEY」に頼ってきた「MASTER」それぞれが努力し、テストに備えた。

テスト当日、なんと千駿がテストの辞退を表明する。そのため「HONEY」制度の廃止が決定されようとしていた。しかし、柚留が千駿を何としても連れてくると提案する。これまでの事から、可威は柚留が千駿の家に行くことを止めるが、絃青が柚留と一緒に千駿の説得へ行くと言う。他の九華科の生徒たちは、裏切り者の絃青を信用できないと言うが、可威と那由太は絃青を信用して柚留と共に送り出した。説得の結果、可威が千駿の言うことを何でも1つ聞くという条件で、無事にテストが実施された。絃青も未玖も、内心では「HONEY」を続けたいと思っていたが、裏金リストを入手するために青慈側に付いていたことを打ち明け、それぞれの「MASTER」をサポートする。

絃青によって発表されたテストの結果は、全員合格だった。しかし青慈が現れ、絃青がテスト結果をすり替えていたことが伝えられる。本当の結果では、学力テストで不合格者が出ていたのだ。「HONEY」制度の廃止が宣言されるが、可威が壇上へ上がり、もう一度チャンスが欲しいと頭を下げる。それに続いて那由太や九華科の全員が頭を下げ、自分たちには「HONEY」が必要だと訴える。すると、前理事長が現れ、今回の騒動は全て前理事長と青慈の企てたイベントだったと明かす。九華科の「HONEY」制度は、元々日本の将来を担う者たちに相応しいパートナーを自力で育て上げるために設けられた制度だった。しかし時が経つにつれ、「MASTER」たちは「HONEY」を怠けるための便利な道具として扱うようになった。そこで、「MASTER」たちの認識を改め、気を引き締めさせるためにイベントが催されたのだ。こうして「HONEY」制度は廃止されることなく、「MASTER」と「HONEY」はより強い絆を手にした。

可威の婚約者として

「HONEY」制度の廃止の一件が収まり、「MASTER」と「HONEY」はこれまで以上に親密な関係になっていた。また、各々が「HONEY」を失う恐怖を体験したことで、「DROPゲーム」で最下位になったペアの「HONEY」が「DROP」されるというルールも廃止された。千駿は可威と一緒にバスケットボールをするようになり、徐々に友情を育んでいく。

ある日、久しぶりに可威の両親が帰国することになり、可威は柚留を紹介する。可威の母親である紗雪(さゆき)も元「HONEY」であったことから、柚留の存在は快く受け入れられると思われた。しかし、柚留のテーブルマナーは滅茶苦茶で、夕食の席で大失敗をおかしてしまう。その様子を見た紗雪は、このままでは可威の婚約者として認められないと告げ、1週間後のパーティーまでにテーブルマナーをマスターするよう課題を出す。その間柚留は努力し続け、可威のフォローもあったおかげで、なんとかパーティーでは失敗することなく終了した。パーティーの後、紗雪は柚留に可威の好きな料理のレシピを教え、一般庶民の「HONEY」が名家に嫁ぐ大変さや、それを乗り越える方法を話す。柚留は見事紗雪に認められることができたのだった。

5年後、柚留たちは蜂城学院大学の卒業式を迎えた。6年半続けた「HONEY」も終了を迎える。卒業式を終えたその足で、可威は柚留を連れて飛行機で飛び立った。そして、「HONEY」の証であるピアスの代わりだと言って、煉夏家の家紋が刻印された指輪を渡す。可威は柚留に内緒で結婚式の準備を進めていたのだ。翌日の結婚式会場には、一足先に結婚していた冬唯と茅架もお祝いに駆けつけた。皆に見守られる中、柚留と可威は永遠の愛を誓い合った。

『蜜×蜜ドロップス』の登場人物・キャラクター

蜂城学院九華科

萩乃柚留(はぎの ゆずる)

CV:福圓美里
本作の主人公、蜂城学院普通科の生徒。煉夏可威の「HONEY」。誕生日は12月22日。
実家に借金があり、アルバイトをして家計を支えている。そのアルバイト中に可威と出会った。
正義感が強く、横暴な態度をとる初対面の可威に平手打ちした。それがきっかけで可威に興味を持たれて「HONEY」に指名される。
お金を大切にしており、「HONEY」になる際も学費の全額免除に惹かれて承諾した。高額なテーマパークのフリーパスを餌にすると、簡単に釣られてしまう。
勉強もスポーツも苦手で、いつも失敗ばかりしてしまうが、我慢強い一面もあり、困難を乗り越えていく。
弟の奏留(かなる)と共にバイオリンを習っていたことがあり、簡単な曲なら弾ける。

煉夏可威(れんげ かい)

CV:鈴村健一
蜂城学院九華科の生徒。柚留の「MASTER」。誕生日は6月22日。那由太、絃青、茅架とは幼馴染。
傲慢で傍若無人な性格で、「HONEY」を振り回してきた。そのため、どの「HONEY」も長続きせず、内心では「HONEY」を失うたびに傷ついてきた。本当はお互いに強い絆で結ばれている周囲の「MASTER」と「HONEY」に憧れを抱き、「HONEY」に人の温もりを求めていたが、金銭的な方法しか人を繋ぎ止める方法を知らず、捻くれてしまった。柚留と出会ってからは徐々に認識を改め、「HONEY」との絆や温もりを感じられるようになる。
勉強もスポーツもとても優秀で全国トップレベル。特にバスケットボールが好きで、よく那由太や絃青と一緒にプレイしている。
地道に練習することが嫌で、バイオリンを弾くのが苦手。そのため、音楽の授業はいつもサボっていた。

桜樹那由太(さくらぎ なゆた)

CV:菅沼久義
蜂城学院九華科の生徒。久喜絃青の「MASTER」。可威、絃青、茅架とは幼馴染。
とても明るい性格で、九華科のムードメーカー的存在。遊ぶことが大好きで、絃青に止められることもしばしば。
「HONEY」の絃青とは幼等部の頃からの付き合いで、全幅の信頼を置いている。幼等部で泣き続けていた時も、絃青の髪を掴むと落ち着いた。
絃青の髪を結ってあげることが日課になっている。勉強は苦手で、いつも絃青に助けられている。

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