真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしましたとは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』とは、ざっぽんによるライトノベルおよび、それを原作とする漫画、アニメ作品である。勇者パーティーから追放されたレッドがリットと共に辺境の地でスローライフを送る物語である。この世界では生まれつき与えられた加護によって役割が決められてしまう。その中で、人々が与えられる役割と自分がどのように生きたいかという意志とのはざまで悩み、道を見つけていく様子が描かれている。

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』の概要

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』とは、ざっぽんによるライトノベルおよび、それを原作とする漫画、アニメ作品である。ライトノベルは角川スニーカー文庫より刊行されており、イラストはやすもが担当している。もとは「小説家になろう」に投稿されていた作品である。漫画版は池野雅博が作画を担当している。アニメは2021年に全13話が放送された。
主人公のギデオン・ラグナソンは勇者である妹のルーティ・ラグナソンの旅立ちを守る役割を持つ「導き手」の加護の持ち主であった。しかし、仲間の成長に伴い、足を引っ張るような場面が出てくる。そして、勇者パーティーのメンバーの一人であったアレス・スロアに「真の仲間じゃない」と言われてパーティーを追い出されてしまう。追放されたギデオンはレッドと名前を変えて辺境の地ゾルタンで暮らすことにする。そこにかつての仲間であったリットも加わりスローライフを送ることになる。一方で、ギデオンが抜けてしまった勇者パーティーは崩壊寸前の状態になってしまっていた。

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』のあらすじ・ストーリー

辺境の地でのスローライフ

すべての人に「加護」が与えられ、それがこの世界では大きな意味を持っていた。加護によりスキルが与えられ、嗜好もそれによって変わるため人生が決まってしまうような側面があった。主人公のギデオン・ラグナソンは「導き手」の加護を持っており、その役割は勇者である妹のルーティ・ラグナソンの旅立ちを守ることであった。ギデオンとルーティは仲間たちと共に魔王討伐の旅に出る。しかし、ギデオンの「導き手」の加護は初期時点では強いが伸びしろがないため、ほかの仲間に対して力が見劣りするようになってくる。その状況に勇者パーティーの一人であるアレス・スロアは自分の役割を果たせず共に戦うことができないギデオンは「真の仲間じゃない」と指摘し、パーティーから去るようにと言い放つ。ギデオンはその言葉を受け入れてパーティーを去る。
ギデオンは名前をレッドと変えて、辺境の地ゾルタンにやってきた。そこでは、実力を隠して薬草採取専門の冒険者として生活をした。そして、薬草店を開業したところにかつて仲間として協力したこともあるリーズリット・オブ・ロガーヴィアが現れる。リーズリットはロガーヴィア公国の第2王女であったが、王位継承争いを避けるために出奔し、リットという名前でBランク冒険者として活動をしていた。レッドに好意を寄せるリットは薬草店の手伝いを申し出て、薬草店は「レッド&リット薬草店」としてやっていくことになる。二人は薬入りのクッキーやサウナ用のにおい袋などを開発し、順調に店を発展させ充実したスローライフを過ごしていく。その間にリットは好意を隠さずに猛烈にアタックをしていき、レッドもそれを受け入れていく。Bランク冒険者であったリットはまた冒険に戻ることが周囲から切望されるがレッドとの生活を優先する。
一方で、ギデオンが抜けた勇者パーティーの旅は順調とは言い難かった。アレスはギデオンの代わりに暗殺ギルドのティセ・ガーランドを新たな仲間として入れるが、勇者パーティーの一員であるヤランドララはアレスがギデオンを殺したと思い込みパーティーを抜け、同じくパーティーの一員であるダナン・ラボーもギデオンを連れ戻すと言って単独行動に出る。ルーティもまたギデオンを求めていたが、余計な行動を許さない「勇者」の加護により旅を続けなければならなかった。

悪魔の加護

ゾルタンでは麻薬が出回り、中毒患者が現れ始めていた。麻薬には新しい自分になれる効果があるという触れ込みで広がっていた。そこに、斧を振り回す通り魔事件が発生する。その中にはゾルタンのBランク冒険者アルベールの仲間も含まれていた。アルベールは「ザ・チャンピオン」という加護により歴史に名を残す英雄になりたいという衝動を持っていた。そのような折に貧民街であるサウスマーシュ区に住むハーフエルフの子供であるアルの家族が襲われるという事件が起きる。アルの家族を襲ったのはゾルタンの衛兵隊長の息子のアデミであった。アデミはそのまま行方不明となる。そのことにサウスマーシュ区の住民は衛兵がアデミを隠していると疑い、一方で衛兵たちはアデミを可愛がっていたため事件はサウスマーシュ区の住民たちの狂言ではないかと疑い、両者の対立は深まっていた。そのような折にレッドが保護していたアルが、盗賊ギルドのビッグホークとゴドウィンに攫われる。麻薬をばらまきアデミにアルの家族を襲うように仕向けたのはビッグホークであった。麻薬を服用した者は本来の自分の加護に加えて悪魔の加護を得ることになり、自分の加護がもたらす衝動を抑えることができた。しかし、悪魔の加護は斧を見ると殺戮衝動に襲われるという効果があった。自分の加護がもたらす衝動に悩んでいたアデミはそこを付け入られ、麻薬を服用してしまい、結果としてアルの家族を襲ってしまっていた。この一連の事件はビッグホークがゾルタンの王となるために契約により力を与える悪魔コントラクトデーモンと契約したことによるものであり、その結果ビッグホークは身体をコントラクトデーモンに乗っ取られてしまっていた。レッドに事件を暴かれたコントラクトデーモンは次に英雄になりたいと考えているアルベールと契約する。しかし、アルベールはレッドに襲い掛かるも返り討ちにあい片腕を失うことになってしまう。サウスマーシュ区の住民は衛兵たちに対して武力蜂起しようとしていたが、助けられたアルとアデミが協力して住民たちに戦うことをやめるように訴えたためにこれを防ぐことに成功し、一連の事件は解決に至った。
一方で、コントラクトデーモンはアルベールと共に勇者パーティーに接触するために牢から逃げ出す。

勇者を救う物語

ルーティはコントラクトデーモンがもたらした麻薬を使えば「勇者」の加護を押さえることができることに気づく。「勇者」の加護を押さえて自由に生きたかったルーティは薬の調合を行ったゴドウィンに会いに行くため、ティセと共にゾルタンに向かう。一方で勇者パーティーであったアレスとテオドラ・ディフイーロを置き去りにする。「勇者」の加護はルーティに魔王を倒す旅を強要していたが、その加護が弱まったことによりゾルタンに向かうことができた。そして、ゾルタンで捕まっていたゴドウィンを脱獄させる。そのような折にルーティは偶然にもレッドと再会することになる。ルーティは再び一緒に旅をすることをレッドに提案するが、レッドはここが居場所であるとそれを断る。ルーティはそれならば自分もゾルタンに住むと言い出す。ルーティは「勇者」の加護を押さえるために、ゴドウィンを古代エルフの遺跡に隠し麻薬を作らせることにする。一方でティセはルーティとの関係を深め友人となり、ルーティの抱える「勇者」の加護への悩みを理解していく。ティセはルーティを救いたいと考え、レッドとリットにルーティが麻薬を服用していることを告白する。ルーティを心配する面々は、ルーティとゴドウィンがいる古代エルフの遺跡に向かう。その途中でレッドはかつての仲間であるダナンに出会う。そして、ダナンからかつて倒したと思っていた魔王軍の将軍シサンダンが生きていることを知らされる。一方、置き去りされたアレスとテオドラはアルベールと共にルーティを探すためにゾルタンに訪れていた。アレスはダナンに扮したシサンダンに誘導されて古代エルフの遺跡に向かう。また、テオドラとアルベールも本物のダナンと合流し遺跡に向かった。
遺跡でルーティに再会したアレスはまたともに旅をすることを提案するが、ルーティはこれを拒絶する。アレスはシサンダンに遺跡の奥にあるセイクリッドアベンジャーという剣をルーティに握らせれば「勇者」の加護を強化できると知らされる。そうすれば、また魔王討伐の旅に戻すことができると考えたアレスはシサンダンに協力することにする。セイクリッドアベンジャーを手に入れたアレスとシサンダンはレッドとルーティ達に襲い掛かるが撃退される。しかし、その過程でルーティはセイクリッドアベンジャーを握ってしまい、「勇者」の加護の衝動によりレッドに切りかかり、それを庇ったティセに大けがを負わせてしまう。レッドの機転で正気に戻ったルーティは「シン」という謎の加護を得ており、「勇者」の加護を押さえることができるようになっていた。
問題が解決したレッドとリットはスローライフに戻り、「勇者」の加護を押さえることができるようになったルーティは友人のティセと共にゾルタンで暮らすことになった。

『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』の登場人物・キャラクター

ゾルタンの人々

ギデオン・ラグナソン/レッド

CV:鈴木崚汰
勇者の旅立ちを守る「導き手」の加護を持つ元勇者パーティーのメンバー。「導き手」の加護により初期状態でも王国近衛騎士クラスのレベルを持っていたため、18歳で騎士団の副団長になるまで出世した。その後、勇者パーティーを組み旅を続けていたが、段々と戦闘において足を引っ張る場面が出てくる。それを理由にアレスにパーティーを追い出されたため、ゾルタンで薬草店を営むようになる。ゾルタンでは名前をレッドと変えている。妹は勇者であるルーティ。

リーズリット・オブ・ロガーヴィア/リット

CV:高尾奏音
ロガーヴィア公国の第2王女であったが後継者争いを嫌い、冒険者として暮らしている。冒険者としての名前は「リット」。自分の仲間を守る衝動を与える「スピリットスカウト」の加護を持っている。レッドと出会ったことは対立することもあったが、協力する中で徐々に惹かれていった。その当時は素直に気持ちを伝えることができなかったが、ゾルタンで再会した際には好意を隠さず前面に押し出していき、同居して薬草店を手伝うことになる。

アルベール

CV:天﨑滉平
ゾルタンのBランク冒険者。英雄になりたいという衝動を与える「ザ・チャンピオン」の加護を持つ。しかし、ゾルタンでは英雄になるということを十分に実現できないと感じていて、勇者パーティーに加わりたいと考えている。傲慢な性格でレッドを見下した態度をとっているが、一方でレッドが実力者ではないかと疑っている。

ビッグホーク

CV:稲田徹
盗賊ギルドに所属するハーフオーク。「拷問の達人」の加護を持っているが、それに不満を持っており、ゾルタンの王になりたいという野心を持つようになる。しかし、そこをコントラクトデーモンに付け込まれて、体を奪われることになる。

ゴドウィン

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