DIVE!!(ダイブ!!)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『DIVE!!』とは、森絵都の小説をもとに2017年に放送されたスポーツアニメ作品。原作小説は第52回小学館児童出版文化賞を受賞した。テレビアニメの他にも、ラジオドラマ化、漫画化、舞台化など、様々なメディアミックスがされてきた作品である。飛び込み競技に青春をかける3人の少年が、限られたオリンピックの出場枠を争うというストーリー。個性豊かな少年たちが、それぞれの強みを活かしながら切磋琢磨していく様子が見どころである。

『DIVE!!』の概要

「『DIVE!!』(ダイブ!!)とは、森絵都による小説をもとに、2017年にフジテレビで放送されたスポーツアニメ作品。アニメーション制作はゼロジー。原作小説は2000〜2002年に講談社より全4巻が刊行され、第52回小学館児童出版文化賞を受賞した。2006年には角川文庫より文庫版全2巻(上・下)が発刊されている。
メディアミックスも盛んに行われており、テレビアニメ化の他にも、2003年にはNHK-FMの「青春アドベンチャー」にてラジオドラマ化、2007〜2008年には池野雅博により『週刊少年サンデー』にて漫画化、2017〜2018年には紅柴るづるにより『ヤングエース』にて再漫画化、2021年にはテレビ東京にてテレビドラマ化されている。
所属しているダイビングクラブの経営危機を救うため、坂井知季(さかいともき)・富士谷要一(ふじたによういち)・沖津飛沫(おきつしぶき)の3人が翌年のオリンピック出場を目指す物語。一瞬で勝負が決まる水泳の飛び込み競技に青春をかける少年たちの成長と情熱が描かれ、個性豊かな少年たちがそれぞれの強みを武器に切磋琢磨する様子が見どころである。

『DIVE!!』のあらすじ・ストーリー

オリンピックを目指す知季たち

中学2年生の坂井知季(さかいともき)は、同級生の大広陵(おおひろりょう)・丸山レイジ(まるやまれいじ)と共にミズキダイビングクラブ(通称MDC)に所属し、幼少の頃より水泳の飛び込み競技に打ち込んでいた。
競技を始めるきっかけとなったのは、クラブの先輩で3つ年上の富士谷要一(ふじたによういち)の美しい演技。知季は「いつか要一のように見る人を魅了できたら」と夢見て、日々の練習に励んでいた。
ある日、謎の女性・麻木夏陽子(あさきかよこ)が現れ、MDCの新コーチに就任する。彼女は知季たちに、「MDCが経営危機に陥っている」「クラブの中から翌年のオリンピックに出場する選手が出なければクラブが潰れる」と告げる。
知季たちの困惑をよそに、オリンピック出場を目指すため夏陽子による厳しい指導が始まった。
それまで自主トレをサボっていた陵とレイジは夏陽子の徹底した指導に反発するが、要一と知季は真面目に練習をこなすようになる。
そんなある日、夏陽子がMDCに、津軽の海に飛び込んで育った青年・沖津飛沫(おきつしぶき)を連れてくる。彼の飛び込みは演技としては0点だったが、あまりのダイナミックさにMDCのメンバーは圧倒される。飛沫をクラブメンバーに迎え、MDCはオリンピック出場を目指して新たに始動する。

ライバル・友人・恋人との関係を通じた知季の成長

ある日知季は夏陽子から、中学生ではまだ数名しか成功したことのない大技「前宙返り三回半抱え型(通称:三回半)」を練習するよう命じられる。夏陽子は知季が柔軟性に優れた二重関節と人並み外れた動体視力の持ち主であると見抜いており、「知季ならできるはずだ」と太鼓判を押す。知季は夏陽子の期待に応えるため、7月の選考会で三回半を成功させることを誓う。
ゴールデンウィークに突入し、MDCのメンバーは全国から競合選手が集まる合同練習に参加することになった。「ピンキー山田」と呼ばれる山田篤彦(やまだあつひこ)をはじめとする個性豊かなライバルたちとの練習に心躍らせる知季だったが、三回半はなかなか成功しない。さらには練習をサボっていた陵とレイジから「知季は夏陽子に贔屓されている」と逆恨みされ、知季は落ち込む。
練習に身が入らない知季を見た要一は、「何万人もの観客を沸かせるためには陵とレイジに気を取られてはだめだ」と励ます。また、夜の公園で出会った飛沫は「良い点数をもらうために飛ぶのではなく、自分を取り囲む枠を超えるために飛んでいる」と知季に話す。要一と飛沫に勇気をもらった知季は、陵とレイジと仲直りし三回半を成功することができた。
しかしその夜、知季が帰宅すると、弟の坂井弘也(さかいひろや)が知季の彼女の野村未羽(のむらみう)を部屋に連れ込んでいた。知季が「未羽とキスしたのか」と問い詰めると弘也は答えない。彼女を弟に奪われていたことを知り、あまりのショックから2週間練習をサボってしまう知季だが、「弘也は自分が選ばなかった人生そのもの。だから悔しかったのだ」と悟り、飛び込み競技に戻ることを決意する。

知季・要一・飛沫の間に芽生えた特別な絆

失恋のショックから立ち直り選考会に姿を現した知季は、水飛沫を立てないで入水する「ノースプラッシュ」で三回半を成功して高得点を叩き出し、4位入賞を果たす。しかし知季が感じたのは喜びではなく強い悔しさであり、「次こそ1位になりたい」と心に誓う。一方、飛沫は腰の故障が発覚したことで1度津軽に戻り、結果が振るわなかった陵はMDCを去る決意を固めていた。
そんな中、知季は要一とともに北京合宿メンバーに選ばれる。「故障中の飛沫の代わりに選ばれた」と知らされた知季は合宿参加を拒絶するが、要一はそんな知季に「仲間を踏み台にできないくらいなら飛び込みなんてするな」「このチャンスを掴んで北京の選手たちを驚かせよう」と言って叱責激励する。要一の言葉によって前向きな気持ちを取り戻した知季は、要一とともに北京合宿に参加することを決意した。
一方、津軽に戻った飛沫は家族や恋人の西川恭子(にしかわきょうこ)とともに穏やかな日々を過ごしていた。そんな彼のもとに突如、北京合宿帰りの知季と要一が訪れる。一時練習を離れ余暇を満喫する3人だったが、要一は飛沫に「お前と一緒に飛びたい、戻ってきてほしい」と懇願する。要一は夏陽子から預かったDVDと手紙を飛沫に手渡した。DVDには飛沫の祖父・沖津白波(おきつしらは)の飛び込みの姿が記録されており、夏陽子からの手紙には「白波は飛沫と同じく腰に故障を抱えていたが、美しいスワンダイブで見る人を魅了した」と綴られていた。飛沫は再び津軽を離れ、MDCで飛び込みを続けることを決意する。

五輪代表に選ばれ困惑する要一

そんなある日、要一が突然飛び込み界のエース・寺本健一郎(てらもとけんいちろう)とともにオリンピックの代表選手に選ばれる。選考会を待たず代表内定が決定した要一は動揺が隠せず、他人の意思で全てが決まっていく感覚に違和感を覚え、人生初のスランプに陥ってしまう。
一方代表落ちした知季と飛沫も、新たに前宙返り四回半抱え型(通称四回半)を練習したりバレエをトレーニングに取り入れたりと、それぞれの方法でレベルアップを図っていた。そんな折、知季たちは夏陽子がMDCを訪れた外国人と話し込んでいるのを目にし、「夏陽子が自分たちを置いてアメリカに戻るのでは」と不安を抱く。その動揺から、知季は技の完成を急ごうと焦って飛び込み台から転落し、頭を打つ大怪我を負ってしまう。見舞いに訪れた要一は、「自分たちのオリンピックにしたいから、自分の枠を超えたいから四回半を飛ぶ」という知季の言葉に心を揺さぶられる。同時に、選考会を経ずに代表が決まるやり方に強い不満を覚えた要一は、日水連の会長・前原一朗(まえはらいちろう)の元を訪れ、自分が代表に選ばれた理由を問いただす。前原は「競技人口が圧倒的に不足している飛び込み競技でスター選手を輩出するため、見た目がよく飛び込み選手の両親から生まれたサラブレットである要一を代表に選出した」と理由を述べた。納得のいかない要一は、「代表内定を白紙に戻してほしい」と直談判する。結果、オリンピック代表内定選手は寺本のみとなり、要一はライバルたちと共に残り1つの代表枠を選考会で争うことになった。

オリンピック代表枠をかけた知季たちの闘い

代表選考会に向けて、要一は夏陽子の指導のもと5255Bという新技に取り掛かっていた。そんな折、もしMDCから代表が出なければ父親の富士谷敬介(ふじたにけいすけ)がMDCのコーチを辞めて大学教師になると聞かされ、要一は動揺する。
ついに幕を開けた代表選考会には、知季・要一・飛沫・レイジのMDCメンバーの他、合同練習で出会ったライバルたちが集まった。どの選手も自身最高の素晴らしい演技を見せる中、要一の演技はさえない。実は要一は、代表を自ら辞退したことで敬介にコーチ辞任の話が出たことに責任を感じ、前日かなり無茶な練習をしていた。結果、高熱を押して選考会に出場することになり、ついには会場で気を失ってしまう。
要一が運ばれた控え室にて、MDCの選手たちが夏陽子のアメリカ行きについて問いただした。夏陽子は「自分はアメリカに行く予定はなく、腰の治療のために飛沫がアメリカに行く予定だ」と答える。コーチが自分たちを見捨てようとしていたわけではないと知ったMDCのメンバーたちは、それぞれの想いを胸に勝負に戻った。
飛沫は祖父のように観客を魅了する美しいスワンダイブに挑み、知季は四回半の成功を目指す。そして要一も、体調不良でも諦めきれない想いに突き動かされて他の選手たちを猛追した。
結果、オリンピック代表に選ばれたのは知季だった。しかし、要一もピンキー山田とともにシンクロナイズドダイビングの代表に選ばれる。腰の故障を押して選考会に出場していた飛沫は、4年後のオリンピックに照準を合わせるため、夏陽子のつてを辿りアメリカで最先端の治療を受けることになる。

『DIVE!!』の登場人物・キャラクター

主人公

坂井 知季(さかい ともき)

CV:梶裕貴、橋本ちなみ(小学生時代)

中学校2年生。小学生の頃からMDC(ミズキダイビングスクール)に所属し、飛び込み歴は6年。当初は平凡な選手だったが、生まれつきの柔軟性と「ダイヤモンドの瞳」と称される並外れた動体視力を武器に次第に頭角を表していく。まだ小柄な体格と子犬のように純粋な瞳が特徴。マイペースに飛び込みを楽しみ、言われたことは素直に受け止める性格。最終回でオリンピック飛び込み競技の代表選手に選出される。

富士谷 要一(ふじたに よういち)

CV:櫻井孝宏、藤田奈央(小学生時代)

両親も元飛び込み選手というサラブレッドの高校生。小学2年生の頃からMDCに所属しており、3年連続中学生チャンピオンという実績を持つ。どんな時にも安定した演技ができることが持ち味。日水連の会長・前原に「飛び込み界のスターになれる」と言わしめるほどルックスにも恵まれている。試合時に着用するレモンイエローの海パンがトレードマーク。突出した実力を持ちながらも常に自分にストイックで、知季たち年下の選手たちの憧れの存在である。最終回では惜しくも飛び込みでのオリンピック出場を逃すが、シンクロナイズドダイビングの代表に選出された。

沖津 飛沫(おきつ しぶき)

CV:中村悠一

昭和初期の天才ダイバー・沖津白波を祖父に持つ、幻の高校生ダイバー。
13歳の頃から自然の海に向かってダイブしており、大きな体を生かした豪快な飛び込みで見る人を魅了する。MDCの新コーチ・麻木夏陽子と「飛沫の祖父が残したものを見せてもらう代わりに、夏陽子の祖父の願いを叶える」という契約を交わしたことでMDC所属となる。無口でぶっきらぼうな一匹狼タイプだが、腰に大きな故障を抱えている。

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