【超大作】教科書に載らない暗い歴史…「親なるもの 断崖」を徹底紹介!

曽根富美子の『親なるもの 断崖』は、昭和初期の北海道に実在した幕西遊郭を舞台にした物語。思わず目をそらしたくなるような生々しい描写が特徴的なヘビーで残酷な作品ですが、史実を元にした物語は一見の価値があります。
ネット広告などで紹介され、じわりじわりと知名度を増している『親なるもの 断崖』について紹介します。

武子は芸者の道を。梅は遊女の道を。道子は下働きを。
それぞれ全く違った方向で、色々な苦労を抱えながら進んで行きます。人間の描写が複雑に描かれており、読み進める手がとまらなくなります。

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主人公:梅が生き地獄の中で絶望します
「誰か聞いて
人に生まれながら牛馬にもおとる虐待を受けた 女のうめきを
いつも空腹で目が覚め ああ 今日も私は女郎なのかと
それでも 夜 男をむかえるため 身じたくをする
せめて忘れないでいてほしい 私のような女たちがいたことを」

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そんな梅を愛する男が現れる。

「自分が女郎でいることを当たり前だと思うな」
「自分が女郎でいることを疑問に持て」

その言葉に異常とも思える現状を不思議と思わない社会、現代にも通じそうな社会の中にある「麻痺」というものへの危惧が込められている感じすらします
賛否両論あるのかもしれませんが、目をそむけてはいけない1つの歴史を描いた傑作だと思いました

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梅ちゃんは、戦争を推し進める当時の日本でタブーとされていた思想を持った医者の息子と恋に落ちます。

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こんなに正義心の強い彼が、昭和初期の日本では「非国民」扱い…。

地獄のような日々を過ごす人たち

道子の最期 血を吐きながらいったコトバ
「お梅ちゃん(道子と一緒に売られてきた美少女)はきれいな顔してるなァ…うらやましいなァ…」

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痣が残るほど武子の肌をつねりあげ、嫌がらせをする先輩芸者たち。凍りつくような冬の庭先で泣きながら三味線をかき鳴らす武子。

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武子は売られてきた当初から、一人肝が座っていた。武子もまた、客と情を絡ませ妊娠したが、遣り手の女将に堕ろされる。

11歳の梅ちゃんは、姉である自殺した松恵の姿を見て11歳で生理が来る前の見習いの時期から、番頭の直吉に客の取り方を教えてもらい、女郎となります。

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せめて忘れないでほしい
私のような女たちがいたことを

梅のこの言葉こそ、女郎たちの心の叫び。
これは遊郭を出てしまい、足抜きを疑われた梅が裸にされ、ムチで拷問される場面。

重い内容です。北海道に住むものとしては、今のこの生活はこれだけの犠牲の上に成り立っているという事実を知っておかなければいけないと思います。日本人はともすれば過去の過ちをなかったものにしようとしたり、程度を低く言ったりすることが多々あり、事実を事実として多くの国民が認識しなければいけないと思います。マンガという媒介は、読みやすく理解しやすいものなので、ぜひ学校現場で使ってほしいと思います。

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1部と2部に分かれており、1部が幕西遊郭で働く女性たちの生き様をリアルに描かれています。現在は、絶版になっていて電子書籍でしか読めませんが、多くの方に読んでほしい作品です。

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