サマータイムレンダ(サマタイ・サマレン)のネタバレ解説・考察まとめ

『サマータイムレンダ』とは田中靖規による『少年ジャンプ+』にて連載されたSFサスペンス漫画である。
幼馴染の小舟潮の葬儀に参列する為、主人公の網代慎平は帰郷する。
潮は海の事故で亡くなったはずが、他殺の可能性が出てくる。「影を見たら死ぬ」という島に伝わる「影の病」。
慎平は島全体を巻き込む幼馴染を取り戻す闘いに巻き込まれていく。
本作は主人公がタイムリープを繰り返す事で明らかになってくる真相と影の正体、張り巡らされている物語の伏線が最大の魅力。

人間の体はあくまで複製したもので、光などに当たって映る影が本体。
映っている影は人間と同程度の耐久性しかなく、本体に負ったダメージはその影が使用している本物を再度スキャンし、プリントしなければ回復できない。
逆に、体側はどれほど攻撃を受けても復元が可能。
触れられるのを嫌い虫や人の足などを近づけると影が不自然に歪むため、ひづるはこれを見て影か人間かを判断していた。
影を攻撃されると再生できなくなり、最終的に消滅する。

平面化

人の体を映り込んでいる影に収納し、高速移動することができる。
その為、せまい隙間に入るときや壁などを垂直移動が可能。

体の一部を武器化

腕を鋭利な刃物にしたり、髪の毛一本一本を手足のように動かしたり、まとめて束にして攻撃することができる。

消去

コピー元である本体、本物を消すこと。影は本体をスキャンし、データを抜いた後でないと消すことができない。
また消す場合はその対象に直接触れる必要がある。人間の場合は生きている状態では消去ができない為、殺す必要がある。
影にとっては情報が食事の為、人間を消去すると味覚としてはおいしく、機械類を消去するとまずいらしい。

その他

死んだ影のオリジナルが生きている場合、以降コピーができなくなる。
影の母であるハイネは何度でも影を生むことができる。その場合はコドモと呼ばれる。また生まれた影達は作中ではカナ表記で区別されている(例:潮→ウシオ)
ハイネはテレパシーを使い、自ら生んだコドモ達に情報の共有や指示ができ、また他者に触れることで自身の記憶を追体験させることができる。

『サマータイムレンダ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

網代慎平「まだ後ろは見やんでいい…。今だけ見てろ」

仲間を失い涙するウシオを励ます慎平

ループ4週目で慎平達がヒルコの元までたどり着くが仲間が次々とシデに殺されてしまう。
慎平もひづるの助力でなんとか毒薬を飲みループをする事に成功する。ウシオとループをする最中、ウシオが仲間を失ったのは自分のせいだと涙する。慎平は「まだ後ろは見やんでいい…。今だけ見てろ」と力強くウシオを励ました。
4週目時点では戦力的にも圧倒的に負けており、ループをする度に慎平は仲間の死を見ることになる。またループをするという事は慎平自らも死ぬ必要があり、今回の服毒も含め、楽に死ねるという選択肢などない状態。
慎平がそんな絶望だらけの闘いでも、影の正体に迫り仲間と潮を助ける方法を決して諦めない、決意の強さが垣間見えた瞬間である。

菱形朱鷺子「暴れなさい。爆弾みたいに、静かにね」

ループ7週目での学校での決戦時。単身で攻めてきたミオ相手に窓、朱鷺子、澪の3人が迎え撃つ。
ミオの素早い動きについてこれず慌てる窓とは逆に冷静で的確な一撃をミオにお見舞する。
朱鷺子が使役する「ローゼンクランツ・ギルデンスターン」と名付けた2体の影に「暴れなさい。爆弾みたいに、静かにね」と攻撃を命令するシーン。
2体はウシオによってハイネとのリンクが切られており、朱鷺子の命令しか聞かない状態になっていた。
敵の増援がくるリスクを考慮し、確実に敵を撃破する為には動作に音が出ず素早く動ける影だからこそ両立することができる指示であった。
普段は物静かな朱鷺子であるが、戦闘時の頼もしさを垣間見ることができる名シーンである。
結果としてミオを捕獲することに成功する。

シオリ「こっちの話しやから」

小早川家で待ち伏せする為に食事をするシデ

ループ6週目。ハイネが慎平の腕に手形をつけたことにより慎平の場所が分かるようになる。
小早川家に慎平達が来ることが分かったハイネは事前にシデを呼び寄せ共に待ち伏せしているシーン。
南方ひづるがしおりの家に攻め入る時には既にシデがおり、慎平達を返り討ちにした。
そしてループ7週目。慎平はこのまましおりの家に入るとまたおなじ結果になる事を想定し中止。
シオリの影を利用し行動しているハイネは家での食事中にループの起点となり目が覚める。
外を確認し、慎平達がいない事を確認し「ループの起点が遅くなっている」と呟く。
母親の影に食事中に動き回ることを咎められ「何を言うてんの?」と言われた時に「こっちの話しやから」と一蹴。
そして食事の席には平然と座りシデが食事をしていた。
日常と異常とが混ざったシュールなシーンとなっている。
ハイネは精神的にも子供であり、影でありながら家族を望んでいた。その為、父親、母親の影をままごとのように使用していた。

網代慎平「好きなやつといっしょにおりたい。何か文句あるか」

闘いの最後での慎平の告白

常世へ向かう最中、闘いが終わった後にどうしたいかの話になった時、慎平が「オレは潮が好きだ。好きなやつといっしょにおりたい。何か文句あるか」とウシオへ告白したシーン。今までウシオ側から好意を口にした事はあったが、その度に慎平ははぐらかしてきた。そんな慎平側から告白したのは今回が初。
もう元の世界に戻ってこれないかもしれない。常世では死んでしまうとループすることもできないと言われていた為、素直な自分の気持ちを俯瞰し、そのまま伝えたシーン。
ウシオが言った「あっぽけ」は和歌山弁で「アホ」という意味。ウシオも予想外にストレートな告白をされ、照れ隠しをするしかなかった。

『サマータイムレンダ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

物語の情報が整理されている記録メモ

Taishij5
Taishij5
@Taishij5

目次 - Contents