サマータイムレンダ(サマタイ・サマレン)のネタバレ解説・考察まとめ
『サマータイムレンダ』とは田中靖規による『少年ジャンプ+』にて連載されたSFサスペンス漫画である。
幼馴染の小舟潮の葬儀に参列する為、主人公の網代慎平は帰郷する。
潮は海の事故で亡くなったはずが、他殺の可能性が出てくる。「影を見たら死ぬ」という島に伝わる「影の病」。
慎平は島全体を巻き込む幼馴染を取り戻す闘いに巻き込まれていく。
本作は主人公がタイムリープを繰り返す事で明らかになってくる真相と影の正体、張り巡らされている物語の伏線が最大の魅力。
ループ10週目。
24日、慎平はヒルコ洞で目を覚ます。9週目の海底探索前に、朱鷺子の使役する影の中に入り、ヒルコ洞に入っており、ウシオを復活させたら即ループを行い、相手が海中探索や、遠くにいる状態で自分たちは相手の本拠地を攻める作戦であった。
仲間たちと共に次々に影を倒していく慎平。シデが洞窟まで戻ってきたが突如裏切り、ハイネを攻撃し瀕死にさせ、「ヒルコの故郷で決着をつけよう」と別次元へ招待し、慎平、リュウノスケ、ウシオは覚悟を決めて入っていく。
そこは現世の上の世界である常世と呼ばれる場所であった。
シデの目的はこの世界の行く末を見届けたいという事であった。今までヒルコの力を使い老いた体を入れ替えながら生きてきたがヒルコの衰弱と共に真砂人の代で終わりが見えてきた。そこで自分の代で世界を終わらせる。という逆転の発想になっていった。
シデとの激闘の末、慎平はついにシデを倒すことに成功する。
慎平は瀕死のヒルコを抱きかかえると常世の景色が一変し、砂浜が広がり、そこに巨大なクジラが漂着していた。
その光景は300年前の現世であり、ヒルコが最後の力で常世の出口を繋げた世界であった。このクジラには常世から落ちてきてしまったハイネが憑いており、それを見つけた子供がクジラに触れることから影が始まる。その為すべての始まりとなるクジラの存在を消せば、ヒルコの存在を消すことになる。
慎平がクジラに触れようとする子供に声をかけ、子供を逃げさせ、ウシオが能力を使い漂着したクジラを消滅させた。影の存在がなくなる為、消えていくリュウノスケ、ヒルコ。最後にウシオも慎平の前から消えていく。
しかしウシオは最後に常世を利用し次元を超越して南方ひづるのスマートフォンへ24日の夏祭りに皆が殺されてしまう事、止められるのは網代慎平だけで、ひづるの力が必要だという事を伝える。
そしてフェリーで寝ている7月22日の慎平のもとにたどり着き、慎平に自らの目。ループできるヒルコの能力をプレゼントをし、消えていく。
おかえり
7月22日、葬儀ではなく、潮から今年こそは帰って来いと言われ仕方なく帰郷した慎平。
フェリーを降りて自転車で迎えに来た澪。当然、ブレーキが壊れていることもなく海に落下せずにすむ。
洋食コフネでは小早川家の母親、しおりもいた。そしてしおりの傍にいた同年代の友達は南方龍之介の子供で名前は波稲。
慎平は今までの事をまるで夢を見ていたかのようにひづるに話し、それに興味をもったひづるは小説家としての新作のネタとして取り掛かっていく。
ひづるの新作のタイトルが「サマータイムレンダ」と記される。
7月24日、潮と夏祭りを楽しむ慎平。たこ焼きを食べる時、潮がたこ焼きの数が少ない事を不満がる。その会話で蘇る過去の記憶。
思い出したその時、無数の花火が2人を彩る。そして潮からの「おかえり」。
想いは廻り、想いは還った。
『サマータイムレンダ』の登場人物・キャラクター
日都ヶ島の村民
網代 慎平(あじろ しんぺい)
本作の主人公で17歳。10年前の事故で両親を亡くし、母の縁で小舟家の養子として迎えられる。料理が得意で、2年前から東京の調理学校へ上京し、1人暮らしをしていた。本を読むことが好きで作者『南雲龍之介』の大ファン。困ったときや焦ったときに自分を俯瞰し、客観的に見て対処できる特徴を持つ。
小舟潮とその妹である澪とは幼馴染。菱形窓とは引っ越してきてからの親友である。
小舟 潮(こふね うしお)
慎平の幼馴染、小舟家の長女。金髪で活発な性格で思うより先に行動にでるタイプ。7月18日の海の清掃活動で自らの影を目撃するが、影のウシオがハイネの洗脳を受けておらず、影を見たしおりちゃんを助けるために影のウシオと共闘することになる。しかし失敗し海中で首を絞められ本物は死んでしまう。影のウシオはシデらと最後まで慎平と共に戦い、最終的に影のいない世界に戻し、運命を変えて消えていく。
潮が死ななかった世界での夏祭り。何気ない慎平との会話で花火が打ちあがると共にウシオとの記憶がリンクする。慎平の事が好き。
小舟 澪(こふね みお)
小舟家の次女。運動神経抜群で水泳が得意。慎平の事が好きだが、姉の潮も慎平に好意を抱いていることを知っているため、伝えられずにいる。菱形窓の妹である朱鷺子と早朝まで電話で語り合うほどの親友。また朱鷺子の兄である窓から2度告白を受けているが断っている。
菱形 窓(ひしがた そう)
菱形医院の長男で母親想い。実直でまじめな性格であり野球が得意。慎平の親友。
澪に好意を抱いており2度告白するもフラれている。
慎平から影の正体についてや、慎平がタイムリープしていることを告白されても親友のいう事を疑うことなく信じた。
潮の事故の時に傍にいたにも関わらず助けられなかったことを後悔しており、影のウシオに会ったときに謝り殴ってくれと言いウシオに何故か蹴り飛ばされる。
菱形 朱鷺子(ひしがた ときこ)
菱形窓の妹で澪のクラスメイトであり親友。父親の青銅より選任され、影の存在とその親であるハイネに食事として人を与える役を担っている。
自らを護衛する影を2体使役している(ローゼンクランツ・ギルデンスターン)。母親想いで母親が影である事を知りながら、今の日常を崩させないために澪や窓には秘密でハイネに協力する。
タイムリープをしてきた慎平とウシオにこれまでの過去の映像を再生され、自分がシデ達に利用されていた事を後に知り、澪や慎平達への罪悪感に苛まされるが、澪の励ましにより共に戦うことになる。
普段は大人しい性格だが澪に危険が及ぶときや影との戦闘の時には目が見開き、過激な発言をする。兄の窓を不出来な兄と最初は罵るがウシオの映像から命をかけて窓が守ってくれた事を知り以後窓にも真摯に接するようになる。
南方 ひづる・龍之介(みなかた ひづる・りゅうのすけ)
2人は兄弟でひづるの姉と弟の龍之介。ひづるは過去にハイネと接触していたが、そのハイネに弟の龍之介が殺されてしまう。その際に、龍之介の影のデータが飛散しひづるに触れ、彼女の中で龍之介の影が生きることになる。髪をほどいているときはひづる。結んでいるときは龍之介の人格が出る。龍之介の時は超人的な身体能力と、2秒先の未来が見えている。
ひづるは小説の作家でもありペンネームは南雲龍之介。著書「沼男」は過去の自分の記憶から書かれている節がある。普段は冷静だが、怒ると語彙力が失われる。
影との闘いの後、慎平の夢の話からアイデアが溢れ、「サマータイムレンダ」と作品タイトルとしスランプを脱している。
龍之介は闘いの後は死亡せずにその後結婚し波稲という子供を授かっている。
根津 銀次郎(ねづ ぎんじろう)
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『サマータイムレンダ』の概要
- 『サマータイムレンダ』のあらすじ・ストーリー
- 帰郷。不可解な影の病
- 始まるタイムリープ
- ウシオと夏祭り
- 反撃開始
- 呪われた手形
- 影の逆襲
- 迎撃
- 影の罠とひづるの戦い
- 最後の作戦
- 常世での最終決戦
- おかえり
- 『サマータイムレンダ』の登場人物・キャラクター
- 日都ヶ島の村民
- 網代 慎平(あじろ しんぺい)
- 小舟 潮(こふね うしお)
- 小舟 澪(こふね みお)
- 菱形 窓(ひしがた そう)
- 菱形 朱鷺子(ひしがた ときこ)
- 南方 ひづる・龍之介(みなかた ひづる・りゅうのすけ)
- 根津 銀次郎(ねづ ぎんじろう)
- 小早川 しおり(こばやかわ しおり)
- 凸村 哲(とつむら てつ)
- 小舟 アラン(こふね あらん)
- 菱形 青銅(ひしがた せいどう)
- 雁切 波稲(かりきり はいね)
- 菱形 紙垂彦(ひしがた しでひこ)
- 網代 透(あじろ とおる)
- 網代 暁美(あじろ あけみ)
- 浜路 俊(はまじ しゅん)
- 浜路 あかり(はまじ あかり)
- 灯台 照(とうだい てる)
- 影
- ハイネ(ヒルコ様)
- 雁切 真砂人(かりきり まさひと)
- ミオ
- シンペイ
- 『サマータイムレンダ』の用語
- 影の能力
- スキャン
- プリント
- 影の本体
- 平面化
- 体の一部を武器化
- 消去
- その他
- 『サマータイムレンダ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 網代慎平「まだ後ろは見やんでいい…。今だけ見てろ」
- 菱形朱鷺子「暴れなさい。爆弾みたいに、静かにね」
- シオリ「こっちの話しやから」
- 網代慎平「好きなやつといっしょにおりたい。何か文句あるか」
- 『サマータイムレンダ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 物語の情報が整理されている記録メモ
- 登場人物紹介の写真は南方龍之介の子供が撮影したもの
- 表紙カバー裏にある絵日記や手帳メモ
- 作者の趣味はゲーム
- 南雲龍之介スランプ脱出の作品名がサマータイムレンダ