30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(チェリまほ)のネタバレ解説・考察まとめ

『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(チェリまほ)』とは、豊田悠のボーイズラブのラブコメディ漫画。スクエアエニックスpixivより単行本となった。2020年ドラマ化。地味で内気なサラリーマン安達は童貞のまま30歳になった日から、触った人の心の声が聞こえるようになる。偶然エレベーターの中でイケメン同期黒沢の心の声を聞くと、自分への恋心だった。安達はどう受けとめるのか。ピュアで一途な恋が感動を呼んだ。全ての人に優しい世界。ボーイズラブの枠を超えたと絶賛されたラブコメディである。

「お姫様抱っこ」とは顔を上にして横に抱っこする抱き運び方。少女向けコミック、女性向けライトノベル、アニメーション、TVドラマに登場する。ドラマでは、黒沢が体調の悪い安達が倒れそうなので、お姫様抱っこでタクシーに乗せることになった。この時点ですでに、安達は黒沢を恋の相手として意識している。

安達「もうすでに、やけどしそうです」

黒沢のつくったおかゆを食べる安達。

「もうすでに、やけどしそうです」とは、黒沢の刺激的な妄想シーンを見てしまった安達の言葉で、恋愛初心者なので強いショックを受けてしまった、と言う意味である。
黒沢が調理してくれたお粥を、安達は食べようとしていた。そのとき安達が魔法の力で見た、黒沢の心の妄想の同棲生活が刺激的だった。お粥もやけどしそうに熱い。黒沢は、お粥を手わたすとき、「やけどしないでね」と優しく声をかける。「もうすでに、やけどしそうです」と、安達は食べる直前に言った。体調を崩した安達を、黒沢は泊まり込みで看病する。「好きなだけ、泊まっていいよ」と安達に言われ、喜びのあまり妄想が広がっていく。ふたりが同棲して、ペアルックの部屋着で料理したり、洗濯する場面だった。

安達「俺は、こいつの心の声を聞くために、魔法使いになったのかもしれない」

「俺は、こいつの心の声を聞くために、魔法使いになったのかもしれない」とは、安達が黒沢の告白の返事をしたときの、心のつぶやきである。黒沢は安達が「俺、おまえのこと、好きだ」と返事をすると走ってきて安達を抱きしめた。安達は手をはなしていたが、少しずつ両手で黒沢を抱きしめる。黒沢の恋心がいっきに安達に向かって流れこんできた。そのときに安達は黒沢の純粋な愛を実感した。

黒沢「恥ずかしがりやの僕のエンジェル」

「恥ずかしがりやの、僕のエンジェル」黒沢のポエムは、心の中でつぶやかれた。

「恥ずかしがりやの僕のエンジェル」とは、黒沢の心の声で朗読されるポエム「僕の恋人」の中の1節である。つまり、安達を指している。
初めてのデートは予定変更になったが、黒沢は幸せをかみしめていた。バスの中で突然、黒沢の脳内でポエムが始まる。それを安達は魔法の力で聞いていた。安達は驚き、幸せを実感した。

スピンオフドラマ三部作

TSUTAYAスピンオフドラマ三部作とは、ドラマ終了後に、TSUTAYAで独占配信されたミニドラマ。メイキング映像、副音声も含まれている。バレンタイン編、柘植・湊編、六角編のミニドラマのこと。ラブストーリーよりもコメディ要素が多い。

バレンタイン編

オフィスで二人きり。安達にもらったバレンタインチョコを食べる黒沢。

黒沢は去年のバレンタインを思い出していた。出張先で、タダで配られていたチョコをもらい、それを安達にあげたいを思う黒沢。夜になり、オフィスに戻ると、安達が一人残業していた。しかも、バレンタインチョコを手に黒沢に向かってくる。黒沢は期待と驚きを隠せない。「これ、受付の本田さんから、頼まれたから」と他の人からのチョコを渡された。さっさと、帰ろうとする安達を引き留めようか、黒沢は迷う。思い切って、安達、と声をかけ爽やかにチョコを投げた。受け取ってしまった安達は、きょとんとしている。黒沢は、道で配っていたが甘いもの苦手だしあげるよ、と必死に説明した。安達は純粋に喜ぶ。
そして、今年は、カップルとして迎えるバレンタインの日がきた。朝から落ち着かない黒沢が、お手製のチョコを隠し持って安達のデスクに近づく。こっそり引き出しにチョコを入れようとして、そこにあるあやしいチョコを発見する。本命チョコのようだ。黒沢の胸がざわつき始めた。夕方、黒沢が外まわりの営業からもどると、デスクの引き出しに、あやしいと思っていたあのチョコがあった。自分へのチョコだった。安達からのアイコンタクトがきた。黒沢の心配は喜びに変わった。夜にオフィスでふたりきりになると黒沢もチョコをわたす。お互いのチョコを食べてみた。安達が黒沢にあげたのは、辛いチョコだった。黒沢は、辛いものは苦手だが、無理して笑顔をうかべて食べた。

柘植・湊編

宅配サービスの制服を着た綿谷湊

ある日湊は、お祝いしたいことがあって、柘植を訪ねた。ダンスのオーディションで合格して最終審査にすすめることになったのだ。ケーキを買って一緒にお祝いしようと、柘植を訪ねる。しかし、柘植はちょうどその頃、著書が文学賞を受賞して浮かれていた。湊のケーキを見て、自分のことだと勘違いする柘植に、湊は話を合わせる。柘植の受賞はすごいことだ、それに比べて俺なんてと、自分の祝い事を話すことができなかった。一方で柘植は、湊に出会ったことがきっかけで受賞作が書けたのだと感謝している。続編のために、湊のダンスの練習を取材する柘植。周囲の人たちに、不審者扱いされたが、受賞作家とわかると、急にもてはやされる。湊はそれを見ていた。柘植と湊はお互いの小さなすれ違いを解消しようと、本音で話し合う。二人の絆はさらに、強くなった。

六角編

なぜか、六角が安達と親しくすると黒沢が割りこんでくる。

六角は、安達と黒沢に、疑いを抱いていた。「なぜ、安達先輩と仲良くしていると、黒沢さんが割り込んでくるのだろう」と。先輩二人は同期なんだから、あたりまえのことかもしれない。しかし、何かおかしい気もする。六角は名探偵となって、調査を開始した。やはり安達と会う約束をしたり、ボディタッチしながら会話すると、黒沢が割り込んでくる。結局、自分を育てるために、二人の先輩は協力している、という結論を導きだすのだった。

黒沢「初めて心に触れられた気がした」

「初めて心に触れられた気がした」は、黒沢の心のつぶやきである。
今まで外見でしか評価されない人生を送ってきた黒沢は、自分の内面を理解してくれる人を求めていた。7年前に安達が、セクハラを受けて落ち込んでいる黒沢をいたわって、優しい言葉をかけてくれたとき、初めて「外見ではない自分」を認めてくれたと感じた。努力する黒沢を安達がみていたのだ。完璧ではない黒沢を「なんか、いいな」と言ってくれた。
黒沢は嬉しかったが、涙をこらえることができなかった。つらい経験だったが、安達と本当の意味で、出会うことができた。

黒沢「安達を好きな気持ちに、魔法は関係ない」

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