錆兎（鬼滅の刃）とは【徹底解説・考察まとめ】

錆兎のプロフィール・人物像

性別：男
享年：十三歳
使用する呼吸：水の呼吸

CV：梶裕貴

錆兎（さびと）とは、大正時代を舞台にした吾峠呼世晴の漫画作品『鬼滅の刃』の登場人物で、主人公・竈門炭治郎（かまど たんじろう）の兄弟子である冨岡義勇（とみおか ぎゆう）と共に修行に励んだ少年。
宍色（赤みがかったオレンジ色）の髪を持つ少年。狐を模した面を被っており、右頬には抉れたような傷跡がある。物言いは雄々しく峻烈だが、内面は非常に優しく強い正義感の持ち主である。

人食いの怪物・鬼によって家族を殺され、天涯孤独の身となる。鬼を狩るための組織・鬼殺隊への入隊を志し、かつて鬼狩りとして活躍した老剣士・鱗滝左近次（うろこだき さこんじ）に弟子入りする。ここで同じ境遇にして同い年だった義勇と出会って意気投合、厳しい修行の合間にふざけ合うほどの親友となる。
しかし入隊のための最終選別に赴いた際、“鬼が封じられた藤襲山（ふじかさねやま）で七日間生き延びる”というその内容を知って、「一人の犠牲者も出したくない」という優しさか、「自分ならできる」という慢心か、あるいはその両方か、山中の全ての鬼を倒そうと奮闘。早々に負傷した義勇を仲間に預けて一人戦い続けるも、あまりに多くの鬼を斬ったために刀が折れてしまい、鱗滝との間に因縁を持つ手鬼（ておに）の前に敗死した。

その後は霊となって鱗滝の下に戻り、自分同様に最終選別で命を落とした真菰（まこも）たちと共に、手鬼を倒せる者を求め続ける。やがて義勇の紹介で炭治郎が鱗滝に弟子入りすると、壁にぶつかっていた彼に稽古をつけてその成長を促した。

錆兎の能力・呼吸・装備

全集中・水の呼吸（ぜんしゅうちゅう・みずのこきゅう）

鬼殺隊の剣士が修得している、身体能力を劇的に上昇させる特殊な呼吸法。いくつかの型があり、水の呼吸はその中でも防御力と変幻自在の太刀筋を特徴としている。作中では水の呼吸であれば荒れ狂う水流、炎の呼吸であれば燃え盛る炎が斬撃と共に放たれているように描かれているが、これらは全て「周囲の者にはこう見えている」という一種の演出であり、実際に水や炎が出ているわけではない。
鱗滝は水の呼吸を修めており、その弟子である錆兎や義勇もこれを学んでいる。錆兎の才能は並外れており、最終選別に臨んだ時点で鬼殺隊の並みの剣士を上回る活躍を見せた。

厄除の面（やくじょのめん）

鱗滝から錆兎に送られた手製の面。鱗滝は非常に優しい顔立ちをしており、これを対峙した鬼にバカにされることが多かった。命懸けの戦いの中で、もっと相手を威嚇する必要があると感じた鱗滝は、手製の天狗の面をつけて自分の顔を隠すようになった。
厄除の面は、最終選別に送り出す弟子たち一人一人に彼が手向けとして用意したもの。愛用の天狗の面と同じく鱗滝の手作りで、稲荷の顔を模している。しかし手作りならではの独特の癖があるらしく、皮肉にも手鬼が鱗滝の弟子を判別する材料となり、彼らが集中して狙われ命を落とす要因となってしまった。鱗滝は弟子たちのほとんどが最終選別を突破できずに死亡したことは理解しているものの、自分の贈った面がその原因となったことは知らなかったようである。

錆兎の来歴・活躍

鬼に家族を殺される

市井の少年として暮らしていたが、ある時人食いの怪物・鬼に襲われて家族を失う。この絶望を怒りに変えて立ち上がり、自身も鬼殺隊に入隊することを志す。
錆兎のみ生き永らえることができたのは、鬼殺隊の救援が間に合ったか、家族に守られたものと思われる。鬼殺隊への入隊を志すにはその存在を知っている必要があるため、前者である可能性が高い。一方、後に親友となる義勇は姉に庇われたことで命拾いしており、彼が「自分と錆兎は同じ境遇」であるように説明しているため、後者であると考えることもでき、真実は読者の想像に委ねられている。

鱗滝の弟子となる

鬼殺隊の剣士を育成する“育手（そだて）”である鱗滝左近次に弟子入りし、彼から剣術と全集中の呼吸を学ぶ。同門となった冨岡義勇とは同い年で、鬼殺隊の剣士となることを志した理由も似通っており、無二の親友となっていく。
義勇は祝言を翌日に控えた姉に命懸けで庇ってもらったことを引け目に感じており、自分が生き延びるべきではなかったのではないかと考えていた。これを知った錆兎は激怒し、彼の頬を叩いて「姉が命を懸けてお前に託した未来を、他ならぬお前が否定するな」と叱責している。この言葉と、錆兎との友情によって、義勇は“家族の犠牲の上に自分が生きている”という罪悪感をいったんは払拭する。

最終選別に臨み、命を落とす

錆兎と義勇はそれぞれに傑出した才の持ち主で、弱冠十三歳にして鬼殺隊への正式な入隊試験である最終選別に臨む許可を得る。これは「生け捕りにされた鬼が封じられた藤襲山で七日間生き延びる」という内容のもので、参加者の大半が命を落とすという過酷なものだった。この際、鱗滝は彼らが災いに遭わないことを祈って手製の厄除の面を作り、それぞれに渡している。
いざ最終選別が始まると、初めての実戦に対する緊張からか、義勇は早々に負傷。これを共に最終選別を受けた村田という剣士に預けると、錆兎自身は山中の全ての鬼を倒そうと奮闘する。「一人の犠牲者も出したくない」という優しさ、「自分ならそれができる」という慢心、あるいはその双方からの行動だったが、結果としてこれが命取りとなる。
最後に残った鬼は、手鬼と呼ばれる特に強い個体であり、自分を捉え藤襲山に閉じ込めた鱗滝に深い恨みを抱いていた。厄除の面の彫りの独特の癖から、錆兎が鱗滝の弟子であることを見抜いた手鬼は、彼を執拗に攻撃。錆兎も果敢に応戦するも、これまでの戦いであまりに多くの鬼を斬ったために刀が折れてしまい、そのまま頭を握り潰される。
錆兎を倒して満足したのか、彼との戦いでの消耗で引き下がったのか、その後手鬼は姿を消す。結果として自身は死亡するも、藤襲山に封じられた手鬼以外の鬼を討伐し、この時最終選別に臨んだ義勇たち他の者は全員がこれを突破している。

弟弟子の炭治郎を導く

死した後、霊だけの存在となり、鱗滝の下へ、かつて修行に励んだ狭霧山へと帰還。同じように手鬼に殺された鱗滝の弟子である真菰らと共に、幽霊となって師と弟弟子たちを見守る。
自身が最終選別に臨んだ八年後、竈門炭治郎という少年が義勇に推薦されて鱗滝の弟子となる。鱗滝は炭治郎を厳しく鍛え上げ、修行の最後に刀で大岩を斬ってみせるよう命じる。これは錆兎たちも経験した鱗滝の修行の最終試練でもあったが、炭治郎を“最終選別に行かせない”ためのものでもあった。鱗滝は自分の弟子が最終選別を突破できずに次々命を落としていくことに心を痛めており、炭治郎にまで死んでほしくないと考えていたのである。

諦めることなく大岩を斬ろうと努力する炭治郎の前に姿を現し、彼の稽古に付き合う。半年かけて弟弟子を鍛え上げ、ついに大岩を斬断させる。
鱗滝から許可を得て最終選別に臨む炭治郎を見送る一方、真菰から「炭治郎は手鬼に勝てるだろうか」と相談された際は、手鬼の手強さを認めた上で「炭治郎は今までの鱗滝の弟子の中で、誰よりも大きな岩を斬った」という事実を挙げて、彼の素質と力量を評価した。
錆兎の見立て通り、炭治郎は見事に手鬼を撃破し、鬼殺隊の剣士として活躍。義勇ともども鬼殺隊の中心戦力として、ついに鬼を討滅させた。
数十年後が舞台となった最終回では、義勇や真菰も合わせてよく似た人物が平和に暮らす姿が描かれた。これが遠縁の子孫なのか、彼らが転生した存在なのかは不明。

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