ワンルームワンコ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワンルームワンコ』とは、正田しろくまによる『フレックスコミックス』から出版された犬好きの為の漫画である。第8回メテオ・ポラリス彗星賞佳作と審査員特別賞を同時に受賞した作品。6畳のワンルームで暮らす飼い主の六条ひとみとサモエド犬ぽてまるの可愛さが詰まった日常系犬漫画。サモエド犬への愛情がたくさん詰まっているだけでなく、アパートの住人やそこに住むワンコとの交流も描かれて、楽しい作品となっている。サモエド犬だけではなく、いろいろな犬種の犬が出てくるので犬好きにはたまらない作品である。

ある日、ひとみは友達の幸子が働いているドッグカフェに誘われてワンコ仲間の二ノ宮と三峰とそれぞれのワンコたちを誘い初めてのドッグカフェに行くことにした。ドッグカフェには看板犬のレディ・モコと見習い中の看板犬のコパンがいてお出迎えしてくれる。さっそく仲良くなるワンコたち。飼い主たちはそれぞれコパンをイメージしたデザートやワンコデザインのカフェラテ、ワンコ用クッキーを見てあまりの可愛さに感動した。楽しそうにする飼い主たちに、ワンコたちはテーブルに集まってきてかまって欲しがったのでワンコ用のクッキーをあげることにした。
可愛いおやつをワンコと楽しむワンダフルな1日を過ごしたのだった。
ひとみが帰る少し前、ドッグカフェには犬好きな先輩の田貫と小川に連れられた犬井が来ていた。田貫と小川の犬語りを聞いている間にひとみと犬井はすれ違ってしまっていたのだ。ひとみが来ていたことに気づかなかった犬井は2人の犬への愛を聞きながらひとみとの会話のきっかけを考えるのであった。

夏のワンコ編

ある夏の日、ひとみはぽてまるの洋服について悩んでいた。サモエドは暑さに弱い為、保冷剤を入れたり虫よけ効果のあるものを着せたいと思っていたのだが、サイズが大きい為なかなか店に売っていなかったり、買ったとしてもふわふわの体毛が邪魔しておしゃれに着こなせなかったのだ。ひとみはそこで、おしゃれな服をマサムネとコジュウローに着せている三峰に相談することにした。

ひとみの悩みに三峰はオーダーメードで作ったらいいとアドバイスした。ダルメシアンも体が大きいうえに腰が締まった体系なので洋服選びが難しく、最近は三峰も洋服をオーダーしていたのだ。そのアドバイスを聞いたひとみは早速作ってみようかと考えたが、ぽてまるが体を締め付けられるのが嫌いなことを思い出した。ぽてまるが洋服をおとなしく着てくれないかもしれないと考えたひとみは残念がった。二ノ宮からのアドバイスはサマーカットだった。洋服が駄目となると家を短く刈り涼しくするのがいいんじゃないかと言う二ノ宮。だがひとみは断熱の役割もする毛を刈ってしまうのに躊躇いがあるのと、何よりモフモフじゃなくなってしまうのが寂しくてサマーカットはためらっていた。二ノ宮も芽龍と童金をサマーカットした時にモフモフがなくなって寂しかったのでひとみに同意した。ひとみは二ノ宮に芽龍と童金がサマーカットした時の写真を見せてもらうとモフモフではなかったが、可愛くカットされていてサマーカットもいいなと思った。サマーカットはいろいろなカットの仕方があるのでぽてまるに似合うものを考えているうちに夏が終わってしまいそうなひとみであった。
ハイツ犬養では熊五郎によって犬用の大きなプールが設置され、水遊びができるようになった。

暑いのでワンコたちはみんな気持ちよさそうに遊んでいた。水に浸かったぽてまるは、ほっそりして別の犬のようになっていた。足の長いぽてまるもすごく可愛くてひとみはにやけてしまうのだった。ワンコ用浮き輪を出して遊ばせようとしていた三峰は浮き輪の空気が抜けてしまってがっかりしていた。コジュウローが噛んでしまったようだった。二ノ宮もよくやられるので浮き輪は消耗品だと諦めていた。
ぽてまるが浮き輪をしたらすごく可愛いだろうと想像するひとみだったが、よく噛んで駄目にしてしまう話を聞くとぽてまるも噛んでしまうかもと心配になった。一緒に遊んで興奮しすぎないようにすれば大丈夫じゃないかと言う三峰だったが一緒に泳げるプールがなさそうで夏の夢破れるひとみであった。

秋のワンコ編

秋、落ち葉の掃除をすることにしたひとみ。ひとみは集めた落ち葉を散らかすぽてまると戦いながら楽しく落ち葉を集めていく。集めてはぽてまるに散らかされてなかなか掃除を終えられないひとみであった。
秋を感じるきっかけは人それぞれだが、ワンコと暮らす飼い主たちは換毛期の抜け毛で秋を感じることもしばしば。禿げてしまいそうなほど抜けるので毎回心配になる飼い主たちであった。
ある日、ハイツ犬養の中にはに出たひとみはバンダナの首輪をした柴犬たちを発見する。

二ノ宮に教わって大家さんが作ったらしく、作りすぎたバンダナを貰ったひとみはさっそくぽてまるに着けてみた。
ネクタイも似合っていたけどバンダナもよく似合っているとその場にいた三峰もたくさん褒められて嬉しがるぽてまる。大家さんは伊勢神宮に柴犬たちと旅行に行くため、江戸時代に見られた、風呂敷にお金を包んで主人の代わりに伊勢参りをするおかげ犬をモデルに風呂敷風バンダナの首輪を作ったらしい。伊勢参りは大家さんの夫の誠一郎が密かにおかげ犬グッズを集めていて、戌年限定のおかげ犬グッズを買いに行きたがっていたのを察して、大家さんから言い出したようだった。

伊勢参りをする大家さんたちを想像してひとみもぽてまるとどこかへ出かけたくなったのであった。ぽてまるを連れて出かけられたらと思い車の練習をしていたひとみは、三峰を誘って遊びに行こうと誘おうとしたが、ぽてまるにじゃれつかれて言うタイミングを逃してしまった。そこへ丁度良く二ノ宮が牧場のチケットを持って現れ、お泊り女子会を提案する。あっという間に約束が決まり、牧場を楽しみにするひとみなのだった。
終末に牧場に行くことになったひとみは2時間以上運転するのを不安に思っていた。会社での昼食中にひとみから相談を受けた犬井はアピールチャンスだと思いドライブが趣味だから代わりに運転しようかと提案する。そして当日、犬井はひとみとぽてまる、二ノ宮と童金と芽龍を乗せて牧場へとやってきた。現地で三峯とマサムネとコジュウローと合流し、牧場に入ると二ノ宮の後輩の入間來未がアラスカンマラミュートのハルトとともに出迎えてくれた。ハルトの特技は犬ぞりを引くことだと紹介した入間にひとみはぽてまると犬ぞりで走ってみたいと思った。ぽてまるが犬ぞりを引けるのか心配なひとみだったが、入間は、疲れて走れなくなった時は人が走り一緒に道を進んでいく一体感が最高なのだと言った。犬任せに引いてもらうものだと思っていたひとみは犬ぞりに興味がわき雪が降ったらまた牧場に来て犬ぞりを引いてみたいと思った。犬井はひとみがまた来たがっていることを察してチャンスを逃すまいと、車を出すからまた一緒に来ようと誘ったのだった。そんな犬井の気持ちに気付いていないひとみは雪が降るのを楽しみにするのだった。

犬ぞりとぽてまる編

ある冬の日、ひとみは公園で犬井と小川と南とワンコたちを遊ばせながら犬ぞり大会に出ることを話していた。3か月後のレースに向けて犬に指示を出すマッシャー役の勉強をしようとしたひとみだったが、何からやったらいいのかわからず不安になっていた。不安がるひとみに元気づけるように声をかけたのは南だった。なんと南とアシュリーは犬ぞりの経験者だったのだ。ひとみは今度南に指示出しの仕方やそりを引く練習を教えてもらえることになった。
数日後、練習しやすい河原へとやってきたひとみとぽてまるは南にアシュリーとの練習を見せてもらいながらハーネスを引く練習や指示出しの練習をした。犬井は陰ながらひとみとぽてまるを応援し、ひとみはぽてまると楽しく練習ができた。
犬ぞり大会当日、緊張気味のぽてまるを落ち着かせるため、まずはひとみが落ち着いてぽてまるに接してぽてまるを安心できるように努めていた。大会にはひとみを応援するため二ノ宮や三峯、犬井はもちろん小川と南とワンコたちが応援に来てくれていた。そしていよいよひとみの出場する200mレースが始まりひとみの番になった。

ぽてまるは落ち着いてひとみの指示を聞き力強くそりを引いてゴールまで駆け抜けた。犬ぞりは風になったような体験で、ぽてまると一緒だからできたことにひとみは感動したのだった。
犬ぞり大会終了後、泊っている宿で応援してくれたみんなと打ち上げパーティーをするひとみとぽてまる。犬ぞりレースの順位は10位中7位で表彰台には届かなかったがひとみの中のMVPはぽてまるだった。ひとみたちが泊っている宿は元ハイツ犬養の住人だったオーナーが経営していてワンコと一緒にピザを焼いて食べることができた。ひとみはぽてまる用にワンコ用のサラミやチーズでピザを作り一緒に食べた。

皆とワンコと一緒に楽しく過ごせる宿をひとみはとても素敵な場所だと思った。ひとみはオーナーに感動したことを話している中で、宿を犬にとって過ごしやすいように作っていて、ハイツ犬養を参考にしていると知った。ひとみは自分もぽてまるの健康のために何かできることはないかと考えるのだった。
犬井はオーナーとひとみの会話を聞いて犬を飼うのに家のことまで考えなければいけないことを初めて知って驚いていた。でもなぜかひとみを見ていると犬との暮らしを考えることが楽しい事のように思えてきた。そしてできればその隣に犬井自身も居たかった。犬井はひとみに引っ越すとしたらどんな家に住みたいか聞くとハイツ犬養のようなところだと言った。ハイツ犬養がすごく犬の事を考えて作られていると語るひとみについ犬井は見てみたいと言ってしまう。家に行きたいと言ってしまった事に犬井は焦るが、ひとみはそれに気づかずハイツ犬養で行われるイベントに犬井を誘ったのだった。

お祭りワンコ編

春になり、ハイツ犬養は夜桜祭りの日に中庭を休憩所として開放することになった。
2か所のお祭り会場の間にあるハイツ犬養は休憩場所として丁度良く、大家さんはせっかくだからワンコと触れ合う場所にしたいと考えていた。そこで大家さんは人見知りしないぽてまるにおもてなし役を頼みたいとひとみに話しに来たのだった。大家さん家の柴犬たちはスキンシップが苦手でふれあいイベントには向いていなかった。ひとみは快諾し、ぽてまるとおもてなし役をすることにした。そこへ話を聞いた二ノ宮と三峯が現れ、お祭りらしく衣装を合わせて着て休憩所もそれに合わせて飾ろうと盛り上がる。
そしてお祭り当日、衣装をみんなで合わせて文化祭のようで楽しいと思うひとみ。ぽてまるは大人気で沢山の人に撫でてもらっていた。大家さんやハイジの家のオーナーのように場所を作れなくても場を楽しくすることができてひとみも楽しかった。休憩所には今までワンコ繫がりで知りあえた人たちが来てくれて、犬井もひとみに会いに来ていた。

犬井はひとみを夜桜見物に誘って夜桜を楽しんだ。犬井は告白のチャンスなんじゃないかと一世一代の告白をする。花びらが鼻についてくしゃみをしたぽてまるに邪魔されたり、ぽてまるのかまってほしいアピールに何度も告白を邪魔されたが犬井の気持ちはひとみに伝わっていた。いつの間にかぽてまるを平気で触れるようになった犬井にひとみはこれからもぽてまると遊んでほしいと遠回しに告白への返事をしたのだった。

『ワンルームワンコ』の登場人物・キャラクター

六条家

六条ひとみ(ろくじょうひとみ)

23歳OL。「ハイツ犬養」101号室に住んでいる。
ぽてまる大好きでぽてまる中心の生活をおくっているため、ぽてまる以外の事はあまり考えておらず犬井の好意に気付いていない。
成人式で将来どんな大人になりたいかとインタビューされてサモエドを飼える大人になりたいと答えた。
人見知りだが犬つながりで友達を増やしていく。
毎朝2度寝をしてしまいそうになるところをぽてまるに起こしてもらっている。ぽてまると暮らすうちに早起きできるようになってきた。
ぽてまるのご飯を作るついでに作ったおかずで弁当を作り会社へ持って行っている。

ぽてまる

サモエド。名前の由来は小さい時、寝ている姿がポテトコロッケに似てたから。
首につけているネクタイはひとみの高校時代に着けていたもの。いたずらっ子。
好きなもの:ブラッシング、段ポールで遊ぶこと、水遊び。撫でられること。
嫌いなもの:納豆
シャンプーはちょっと嫌いだけどひとみに庭を掘らせてもらう代わりになら洗われてもいい。

両親

ひとみの両親。ハイツ犬養から500mほどの場所に住んでいる。母親の名前はたえ子。昔リュウタという豆柴を飼っていたことがある。
ぽてまる用の体重計を作ったのは父親。
ひとみがぽてまるとをちゃんと育てているのを見て安心したのとまた飼いたくなったのでこれから自分たちも犬を飼おうと思っている。

二ノ宮家

二ノ宮忍(にのみやしのぶ)

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