紳士同盟†(クロス)のネタバレ解説・考察まとめ

『紳士同盟†(しんしどうめいクロス)』とは、種村有菜による学園ラブコメディ漫画。2004年9月から2008年7月まで、集英社の少女漫画雑誌『りぼん』にて連載されていた。お金持ちのみが通える名門学園を舞台に、ヒロインである元ヤン少女と生徒会長である青年との複雑な恋模様を描く。単行本だけでなく、イラスト集や文庫版のコミックスも発売されている。単行本は全11巻、文庫版は全7巻となり巻末にはそれぞれ書き下ろし漫画やキャラクター設定資料などのお楽しみ要素がある。2004年にはドラマCD化もされている。

文化祭合宿中、他の生徒会メンバーの様に遊んで息抜きが出来ない閑雅。「自分は頭が固いのかもしれない」と悩む彼に、灰音は「自分次第で決まることなら自分の特徴はいつも『良く言えば』のほうで」と言葉を掛ける。閑雅の頑固という性格は、信念が強いという意味にもとれる。長所も短所も言いかえれば本質は同じなのだということを上手く伝え、彼の心を解きほぐした。

辻宮真栗「『寂しい』って感じるのは『寂しくない』って感じたことがあるからだよな おまえがあげた気持ちじゃねーの?」(4巻)

閑雅に突き放され、プラチナでなくなってしまったことから学園中の好奇の目に晒される灰音。真栗はそんな彼女を庇いながら、閑雅の雰囲気が柔らかくなったのは認めたくないが灰音のお陰なのではないかとぶっきらぼうに告げる。かつて自分が閑雅に対する失恋の気まずさから彼を避けてしまった時、閑雅が「1番の親友に避けられるのは寂しい」と告げた経験を明かす真栗。そして、「『寂しい』って感じるのは『寂しくない』って感じたことがあるからだよな おまえがあげた気持ちじゃねーの?」と灰音を励ます。それは、彼女と同じく閑雅に恋をしていた真栗だからこそ言える言葉だった。

天宮潮「灰音がプラチナの地位を大切にしてたのは『名誉』のためじゃないと おまえも知っているだろう⁉」(5巻)

プラチナ解任後、体調不良のまま実家である香宮家へと誘拐されてしまう灰音。しかし閑雅はその状況でも、一向に迎えに行く素振りを見せようとしない。かつて養女に出された灰音にとっては、実家の香宮家も受け入れ先の乙宮家も心から安らげる居場所ではなかった。しかし彼女はそんな状況から立ち直る為に、ずっと閑雅の存在を励みにしていた。その気持ちを知るからこそ、潮は「灰音がプラチナの地位を大切にしてたのは『名誉』のためじゃないと おまえも知っているだろう⁉」といつになく激しい口調で彼を諭すのだった。

『紳士同盟†(クロス)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

灰音の差し歯のエピソードは、作者種村有菜の体験談が元ネタ

今作のヒロイン乙宮灰音には、前歯が2本とも差し歯であるというやや特殊なキャラ設定がある。差し歯となるに至った原因は、閑雅を追って帝国学園に入学する際、ヤンキーから足を洗う為に受けた制裁とされている。灰音自身はこの歯をコンプレックスに感じている節があり、歯が取れると恥ずかしさから自我を失い暴走した行動を取ってしまう。親友の潮はその様を「制御不能の暴走生物」と評している。なお、その状態となっても想い人である閑雅のことだけはきちんと判別できるらしい。
コミックス内において、この灰音の設定は作者が幼少期の頃、兄から貰ったバレンタインチョコレートがとても固く歯が折れてしまった実話エピソードが元であると語られている。

真栗の頭の包帯は幼い頃の事故の名残

真栗は昔、木から落ちたまおらを受け止めて頭を5針縫う怪我を負った。その縫い跡を隠すために成長した現在に至るまで包帯を巻き続けている。また、白い包帯の色が目立たないようにと髪の色を脱色し、金髪にしたのもこの頃である。

「描けないものを描く」ことが作品の隠しテーマ

昂る感情を抑えきれない灰音(右)は、自ら高成(左)にキスをしてしまう。

『紳士同盟†(しんしどうめいクロス)』という作品全体の隠しテーマとして「描けないものを描く」というものが挙げられる。その為作中には、これまで描くことを避けていた描写に、作者が敢えてチャレンジしている箇所が多々見受けられる。具体的には「女性キャラから男性キャラへのキス」や「男性キャラが女性キャラを平手打ちする」等のシーンがそれに該当する。

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